まど

細く開いた窓を覗いてみると、そこにはNikonD70Sを前に困惑している女がひとり・・・

ふるさと遠く・・・  「大回顧展モネ 印象派の巨匠、その遺産」

2007-06-30 22:16:07 | Weblog

私が人生で初めに好きになった画家はモネでした。
明るく、優しく、判り易い。
日本人にはモネが好きな人は多いですよね。
私もそうやってごく普通の絵画鑑賞の第一歩を踏み出したわけで、モネはわたしの絵画のふるさとと言えます。

わたしが一番好きなモネの絵は「印象・日の出」です。
この絵、日本にきたことがあるでしょうか?
確かにこの目で見、「さすが印象派の名前の元になっただけのことはある。素晴らしい・・」と感激した覚えがあるのですが・・・・。
あれは、夢か?それとも良く似た題と絵だったのか・・・。


のちに、「モネとか印象派が好きだなんて、あんまり普通過ぎてちょいとカッコ悪いのではないか」と思うようになりました。
若いうちは刺激を求めるものだし、ちょっとマニアックなものが好きというほうが「通」っぽい感じがするし。(若いうちはとかく粋がりたいものです)
表向きには「モネね、まあ若い頃いいなと思ったこともあったけど」というふりをしつつ、展覧会がかかれば「一応おさえておくか」なんて観にいったりしていました。何スカしてるんでしょう。アホです。
いつか、川村記念美術館でやった「モネ展~睡蓮の世界~」は良かったな。
睡蓮ばっかり集めたので、どっぷり首まで浸かってふやけるほど堪能出来たなー。

・・・・・そして、今回、
ふるさとは私の目にどう映るだろう?

 

・・・・・・なんだ、なんだ?この人出は!今日は祭りか?ってほどの大混雑!・・・そのうちの一人が私なのだから文句を言う筋合いではありませんね。
会期終了まで数日ですから、仕方ないというものです。
それにしても入場まで40分待ちだなんて、私にとっては初めての経験でした。
この日、ここへ来るのに、何故か神谷町からズンズン歩き(東京タワー間近で見たかったのよ)、「21_21」で「チョコレート」を見、(面白かったし、建物も良かった)、満を持してやって来たのでした。
・・・後悔したー。一番好きなものを後にとっておくのは長女のクセ?だが、それがここでは悪いほうに出てしまいました。

中に入るまでにコテコテに疲れてしまい、イモ洗いのような会場で無我の境地にはなれず、「あっ、かささぎ、すばらしー。」「あっ、積藁、うつくしいー・・・・。」と時々感動しながらも集中しきれないわたし。
あっちで押され、こっちでどづかれ、「今日はダメだ・・・。」とヘロヘロになって出てきたのでした。

ふるさとは遠かった。まだ里帰りの時ではなかったのかもしれません。
だがまだ私とってふるさとは色あせてはいない。次回、体調万全でその輝きを確かめに行こう。

 

 


Monet・Renoir・Bonnard Exposition1979とあります。
この頃はキャンバス地に印刷したポスターを売っていたのですね。
私はキャンバスを張れないので油絵をやっている友達が張ってくれました。
尤もキャンバスの枠ではなく、私が使っていた鉛筆淡彩をするためのボードですが。
これをずっと部屋に飾っていました。青春の思い出とともに、宝物です。
 

 


おいしい展覧会

2007-06-03 21:38:53 | Weblog

アートで候。 会田誠/山口晃展(於上野の森美術館)に行って来ました。

このところ、行く展覧会に大当たり。
4月の「動物絵画の100年」、5月の「ANIMALS  PLUS」、そして今月(まだ始まったばかりですが)はこれだ!

山口晃氏は「たけしの誰でもピカソ」で知り、その後「江戸しぐさ」のCF、読売新聞日曜版の「私と20世紀のクロニクル」の挿絵などに登場、毎度毎度、ついつい顔を近づけてとことん見たくなるうまさ、細かさに魅かれます。

「ANIMALS  PLUS」展の対談で舟越桂氏が「大きいということはひとつの魅力ではある。」とおっしゃったとき、反対に小さい(細かい)ということも人を惹きつけるよねえ、と山口氏のことを思い出していました。

展覧会の図録はいまいちだなと思ったのでやめて、かわりに山口晃氏の「六本木昼図」のランチョンマットを買いました。
明日から職場の机に敷こうっと。ちょっとサイズはでかいけど、マウスパッドにするんです。

しかし、

このランチョンマットは原図の約70%に縮小してあります。それにしてもこの細かさ・・・・。
こんなに細かいのに、このカメラを構える腰つき、見事に表現してあります。
大きい作品ももちろん魅力的。巧い。ほんとに巧い。(上手い、じゃなくて巧いだよ)
ユーモア溢れる作品も多し。ますます好きになってしまいます。

さて、一方の会田誠氏、実はこの展覧会まで作品を見たことがありませんでした。
でも、その力でぐいぐい押してくる感じ、圧倒されました。
どれをとっても、その危なさが魅力です。エロだし、グロだし、死だし。ブラックです。
一歩手前でやめてあるのですが、見ているこちらにその先を感じさせるその力はすごい。
山口氏でにっこり、会田氏でドッキリ、ニヤリ、それぞれ違う味わいで二度おいしい展覧会です。
会田氏、たくさんの毒をありがとう。(笑)

会場の外、不忍池のほとりも、ちまちまとたくさんの人。
不忍之池畔之図です。