まど

細く開いた窓を覗いてみると、そこにはNikonD70Sを前に困惑している女がひとり・・・

みやこのかほり  ~こーと~

2007-11-29 13:05:06 | Weblog

旅行の楽しみはは、計画を立てたときから始まるものです。
ガイドブックを見たり、ネットで検索したりしているうちに半分行った気になったりします。

今回買ったガイドブック「Hanako・WEST」の中に「KYO(今日、京)のお言葉」というコラムがありました。
今日のお言葉は「こーと」です。
こーと、「そういえばずいぶん着倒したなあ、そろそろ新しいの欲しいなあ、コート。」の「こーと」ではなく、「はんなり」の対にあたる表現なのだそうです。
「はんなり」は洗練され、開放的な感じ、に対して「こーと」は一見何気ない、よくよく観察しなければ、その魅力は理解出来ない、いわば侘寂の世界、といいます。
ここらへんのことが「エースをねらえ!」をからめて(コートつながり)で面白く解説されているので、是非立ち読みしてご確認下さい。
私的には紀宮さまがご婚礼のときにお召しになった白いドレス、あれが「こーと」なドレスなのではないかと思います。たぶん。

・・・で、京都で見つけて来た「はんなり」と「こーと」です。

舞妓さんと下地っ子。
舞妓さんは芸妓さんの前、舞妓さんの見習いさんが下地っ子さんですね。
この下地っ子さんが芸を身に付け、やがて舞妓さんになるというだけで、既に普通の女の子ではありません。
同じ年くらいの女の子たちのほうがもっと派手な身なりをしているものですが、下地っ子さんは今は地味にしていても、いずれみんなに振りかえられる身の上になるのです。
頑張れ、下地っ子。


みやこのかほり   ~京都の底力。~

2007-11-28 22:36:11 | Weblog

会社の旅行で京都に行ってきたのだす。
(京ことば使用圏住民の校閲を受けていないので、インチキな京都弁でもお許し下さい。)

時は晩秋、さぞかし錦秋の京都であろう、羨ましい限りである、と、まわりの人々の羨望を背に受け来てみたのですが・・・・、

実は行く前からある程度予想はしていたのだす。
計画開始が遅いので、宿はいいとこ取れません、新幹線もみんな一緒の車両には乗れません、食事は飛び込みで食べられると思っては駄目です、お寺も人気のところは並ぶのは覚悟して下さい、交通渋滞はトーゼンと思って下さい・・・・・、そうであろう、そうであろうとも。だって、トップシーズンの京都だもの。
なのにあなたは京都に行くの、京都のまちはそれほどいいの・・・・・
そうよ、私は京都に行くわ。もう誰にも止められない。お金払っちゃったんだから。
チェリッシュと問答はさておき、問題は京都の混雑だす。

あの人の姿懐かしい、黄昏の河原町・・・・
渚夕子のつぶやきも絶対聞こえないであろう、朝の新宿駅より多い河原町の人出。
人は道路にはみ出す、道路は数珠つなぎ。
観光のまちとはいえ、地元の人にしてみれば大迷惑だす。すんまへん。

富士の高嶺に降る雪も、京都先斗町に降る雪も、雪に変わりはないじゃなし・・・
いいや、京都に降る雪はただの雪ではありません。
京都に降る雪は雅やかなのだす。
京都の紅葉はそんじょそこらの紅葉とは違います。
世の無常を秘め、儚ないながらも華やかで・・・・。
・・・・ただしこんなに人間うじゃうじゃではねえ。

すごいですねえ、京都の底力は。
混むとわかっていても来ずにはいられないのでしょう。
今回の旅行が京都と判ったときからみんな燃えました。
他の場所じゃここまで燃えないよねって言いながらガイドブックをながめる私たちでした。
おいしいものがありすぎて、どれを食べたらいいのか、欲しいものがありすぎて何を買ったらいいのかわからない。
どれをとってもお値段もかなりのものですから、そちらの制約がありますが。(涙)



見よ、京都の底力。
これ一箱で一人分の旅行代金を上回っております。

 


ふたたび酉の市  ~伝統工芸師~

2007-11-16 12:45:20 | Weblog

酉の市のつづき。

 

都営地下鉄で配布している小冊子に酉の市の記事が出ていました。 http://www.kotsu.metro.tokyo.jp/newsevent/magazine/fureai/200711/furemado02.pdf
いいお顔です。江戸っ子かどうかは存じ上げませんが、私はこういう(江戸っ子)タイプの人に弱いです。
この方、いらっしゃるかなあ、どんなくまでに仕上がっているかなあと楽しみにしていましたが、

さすが、特等席にお店が出ていました。

都営地下鉄の冊子にあった写真より、全然お綺麗です。
よく、お年を召した方に、「さぞかし若い頃は・・・」なんて言い方をしますが、この方はその年齢のその時々、それぞれに美しかったろうと拝察します。
出来るなら「恐れ入りますが、ちょっと1枚、」と写真を撮らせていただければ良かったのですが、さすがの貫禄に当てられ、いい年をして急にヒヨッコになったような気分になり、そんなお願いが出来るような勇気は出ませんでした。トホホ。

華やかで美しいくまで。

くまでを作る人はみな、くまでに命を吹き込み、そのくまでから元気を与えてもらっているような気がしました。


 


もう30年も経ってしまった。

2007-11-15 22:35:31 | Weblog

30年前の今日、新潟で横田めぐみさんが拉致されました。

昨年、新潟でこの看板を見たとき、思わず立ちすくんでしまいました。
当時、めぐみさんがいなくなってからすぐ市内では「北朝鮮に連れて行かれた」と噂になったとのことですが、全国的に拉致が問題になったのは近年になってからのことです。
いったいどれだけの時間が無駄に費やされたことでしょう。
そして、5人の拉致被害者が帰国を果たし、最近では問題は少々沈静化されたようにも感じます。

昨年、姪が新潟で小学生の子ども2人を連れた若いお母さんに出会い、挨拶をかわし、世間話をしたのですが、あとで聞くとその人はめぐみさんと同窓で、バドミントン部でその日の活動を終え、途中まで一緒に帰宅した人だというのです。
「わたしが拉致されてもおかしくなかった」とのちに言っていたそうですが、かたや言論の自由もない異国で暮らし、かたや自由の国日本でふたりの子供をもうけ、平和に暮らしている。
運命とは残酷なものだ、と簡単に片付けられない問題だと深く思います。
特にめぐみさんのご両親の髪がさらに白くなったこの頃は。


酉の市  ~おみくじは語る~

2007-11-13 22:24:59 | Weblog

今年夏、きっとお酉様にもいくよとほおずき市で友達と約束したのを果たしに、酉の市に行きました。

http://www.torinoichi.jp/index.htm

まずはお参り。そして、おみくじを引くことにしました。
おみくじのところにお坊さんが座っていて、おみくじの番号の入っている筒を
「善星皆来、悪星退散(ぜんせいかいき、あくせいたいさん)」
と唱えながら数字の書いてある棒を振り出してくれます。

おおっ、大吉だ。

・・・・・よく読むと・・・・・、
「此籤(このくじ)の心は譬へ貧乏人が久し振りにて、其の至って懇意にしている人の
家に行ったところが其の家が大変な金持ちで大変に大きな家であって、而して久しぶりに来たのだからとあって、大層に御馳走をされたと云ふ意なれば吉なりと知るべし。」
・・・・・・、うーん、微妙すぎます。
つまり私はあくまで「貧乏人」のほうで、御馳走をする側の立場にはないらしい。
思わず笑ってしまいました。笑うしかないでしょう。
でも、追い返されるのではないようですから、吉としましょう。(汗)

くまでは、それぞれの家によってデザインが違います。
若い人むけのキティちゃんのくまであり、やけに華々しいものもあり。
友達の家のは伝統的な落着きのある良いくまででした。

それぞれのパーツを仕入れて作るのかと聞いたら、
「そういうところもあるけど、うちはみんな作ってる。」と言います。
型を抜くところからやるのですって。
一年かけて準備し、今日がくまでやさんにとっても書き入れ(掻き入れ)どきです。
これだけのご商売を背負って頑張る友達がとても大きく見えました。
お?「大変な金持ちで大変に大きな家」って、この友達んちか?


人間も負けてないよ!

2007-11-03 21:53:02 | Weblog

鳥獣戯画がやってきました!
待ってました。
鼻息も荒く、初日に駆けつけました。
企画展で初日に馳せ参じるのは生涯初めてのことです。

鳥獣戯画を本気で見たのは高校生の時でした。
美術の時間、好きな場面を模写するようにと数枚のコピーを渡されたのです。
私が選んだのは蛙と兎が相撲をしている、この場面です。

 

筆を扱うことには慣れているし、デッサンもやってるし、「カンタン、カンタン。」(←馬鹿です。恥ずかしすぎる。若気の至り。)と取りかかったら・・・・・・。
描けども描けども、ちっとも似ない・・。
形が取れたとしても、線が違うとまるっきり違う絵になってしまいます。
打ちのめされた私はもらった数枚のコビーに見入りました。
いつか、本物を見たい。
それからウン十年、ついにその日が来たのです。

本物の持つ力はよく判っているつもりでしたが、ああ、来て良かったと思いました。
当たり前か!


有名な、動物達が擬人化されている巻はもちろん素晴らしかったのですが、動物が本来の姿で登場する巻も面白かった。
通常、鼻づらの長い動物の正面の顔というのはあまり描かれないものですが、 牛や馬の顔が正面から茶目っ毛たっぷりで描かれており、作者が楽しんで描いているのが伝わってきます。
また、人間が描かれている巻があり、見るまではあの動物たちの可愛さに比べたら見劣りがするのではないかと思っていましたが、とんでもありません。
たくさんの人の楽しい顔、こんなにたくさんの人が笑っている絵は他にあるのでしょうか。
現代の私たちはここでやっている事を実際に見てもこんなに笑えないでしょう。
遠い昔の、この絵の人たちは、単純でささやかな遊びに心から興じ、楽しんでいます。
いじらしくもかわいい彼らの様子は、見ている私たちにも微笑みを与えてくれます。

一体誰が、何の為に描いたか、そんな疑問は専門家にお任せして、素直に楽しみ、温かい気持ちになって帰って来られる、そんな展覧会でした。
後期も行かなくっちゃね、サントリー美術館さん。

図録を特製エコバックに入れてくれる。モッタイナイから使わない。(笑)


 


文机 それぞれの秋  鴫立つ沢

2007-11-02 12:50:48 | Weblog

湘南の名前は中国のある場所の風景と似ているので、そこから引っ張ってきたというのは、なんとなく知っていましたが、湘南といえばせいぜい茅ヶ崎までが西の端、とイメージしていたので、大磯が湘南の発祥の地と知って驚きました。
そして東は葉山くらいまで、と思っていたのですが、鎌倉、逗子、葉山は明治時代までは湘東と呼んで湘南とは区別されていたというのです。

 

大磯、鴫立亭に湘南発祥の碑と説明の立て札がありました。
ここは、西行が
こころなき 身にもあはれは 知られけり 鴫立つ沢の 秋のゆふぐれ
を詠んで吟遊した場所とされるところだそうです。
いい句ですね。
景色が目に浮かび、寂しさがこみ上げてきて背中がぞわぞわします。



鴫立亭は日本三大俳諧道場のひとつだそうです。
いかがでしょう。一句、ひねってみては。

 

鴫立亭の脇を流れる小川が行き着くところは「こよろぎの浜」と呼ばれる美しい浜になっています。
西行を偲びつつ、プリンスホテルのあたりまで浜を歩こうと思って、役場の脇から浜に出る隋道に向かってみたら、立ち入り禁止のテープが・・・。
台風による被害で、とのことです。
でも、浜には釣り人の姿があるので、どこか入れるところがあるはずです。
西湘バイパスの側道を、通れる隧道を探してとうとうプリンスホテルの先まで歩いてしまいました。
今日は海に嫌われたな、と思い、帰路に着くことにしました。
あとから聞いたところ、浜はひどい荒れようで、隋道のコンクリが終わったところから砂がごっそりなくなり、2~3mの高低差が出来てしまっているということです。
ただ、1箇所、幼稚園のところ(と、説明してくれた方はおっしゃいました)は船の引き込みのために機械を入れて砂を戻したので通れる、もう一箇所、釣り人が集まって人力で砂を戻し、立ち入り禁止のテープをくぐって通っているところがあるらしいです。

もとのように美しい浜の姿に戻るには何年もかかるでしょう。