まど

細く開いた窓を覗いてみると、そこにはNikonD70Sを前に困惑している女がひとり・・・

華やかさの裏に    ロートレック展

2008-02-28 22:39:28 | Weblog

ロートレックを見て来ました。

パリの一番良い時代に連れて行ってくれるかのようなロートレックの絵。
1枚ポスターが貼ってあるだけで、華やかな空気が漂い、ざわめきさえ聞こえてくるようです。



実はわたしが初めて行った本格的な展覧会はロートレックでした。
もちろん、自分の意思で行ったのではなく、「担任の先生が是非みておくと良いでしょうと言ってたよ」と家で話したら祖母がそれじゃあ連れて行くか、ということになったのです。
行ったのは、冷たい雪の降る日曜日でした。
何故悪天候をおして出かけたかというと、多分最終日だったから、ではないかと思います。

国立西洋美術館に着くと祖母は「私は下で待っているから見てらっしゃい。」と、私を送り出しました。
今から考えると、小学生でよく一人で見てまわったと思います。
見てどれほどのことが判ったのか。
でも、ロートレックの絵はなんだか寂しいという印象をずっと抱いているので、それがその時の感想だったのでしょう。
華やかな場所の裏にある、悲しさ。
今回はそれを大人の目で見て、再確認しました。

あの日のことで断片的に覚えていることがもうひとつあります。
絵を見ている私のうしろで、カップルが、
「あの、女へんに帽子の右側の字(昌)に婦って書いて何て読むの?」
「さあ・・・?」と言ったこと。
そういえばたくさんそんな題の絵があるけど、なんて字なんだろう、と思いました。
その時見ていたのは娼婦をモデルにした絵に違いないのですが、絵のほうはちっとも覚えていなくて、そんな他人の会話をはっきり覚えているとは。

そんな字は読めないほうが幸せです。

娼婦や、サーカスの芸人や、踊り子。
ロートレックの、彼らに対する愛、堪能しました。


 
赤毛の女。身づくろい。

なんだか、さばさばとして強さを感じさせるその後ろ姿。
ちょっと救われた、なんて思うのは現代の一介の主婦の感傷かもしれません。


冬には本のはなし2   SF世界の名作

2008-02-27 12:24:24 | Weblog

小学生の頃、地元の図書館にあった、「SF世界の名作」、そしてそれを昭和51年頃復刊した「SFこども図書館」、面白くて夢中になりました。

これこそ、どこを探しても、ない。
持っていた人は手放さないでしょう。
私だって自分が持っていたら手放さない。

それでも探して探して探し続けていたら、・・・・・・・・・あった、ありました。
しかも、その気になればすぐにでも買いに行ける場所に・・・・。

http://www.mandarake.co.jp/information/2008/02/23/12nkn07/index.html

さすが、中野の「まんだらけ」、マニアの聖地!

「合成脳のはんらん」R.ジョーンズ/三輪しげる ¥8400 、は許せる。
私には買えないけれど、この値段は仕方ないです。
多分「合成脳のはんらん」がシリーズ人気No.1でしょうし。(私の独断と偏見による!)

でも、「ついらくした月」シェリフ作/長新太 ¥21000 て!!

実はこのシリーズ、一部形を変えて復刊しています。
「ついらくした月」は挿絵がまるっきり変わってしまっているのです。

 冒険ファンタジー名作選  岩崎書店


長新太さんは数年前お亡くなりになったし、彼の挿絵は高価だったので使えなかったのかもしれません。
でも、「ついらくした月」は長新太さんでないとなあ。

人間の本質とは、とまで考えさせられるものを秘めている本なのに、なんじゃこのアニメチックな絵は!
あっ、すいません。現代の小学生にはウケがいいのかも。こういうのを受け入れられないところが、やっぱりトシなのねえ。

 

 

すぐ売れちゃうだろうなあ。なにしろ昭和40年代に小学生だった子供は現在40~50代。$持ってる人は持ってる世代ですからねー。
でも、食べるものを切り詰めてでも欲しいくらいのマニアな人の手に渡って欲しい。
せめてもの、私の願いです。(笑)



冬には本のはなし1   たくさんのお月さまを探す

2008-02-26 22:39:56 | Weblog

・・・・・・寒いですね。
ただでさえ寒いのに、ばーちゃんが亡くなったりして、心もさむい。(涙)
もういっそ遅い冬眠をしたいところですが、仕事も忙しくって寝ているわけにもいきません。(泣)

なかなか写真も撮りに行けず、またしても間が空いてしまうので、ちょっと本の話などを。

私の子どもの頃は、親が家計から買ってくれる本といえば「小学○年生」とか学研の「科学」「学習」、あとは夏休みの課題図書くらいのものでした。
それでも、ごくたまに本好きだった父がお土産に買ってきてくれることがありました。
「星の王子さま」「くまのプーさん」「東海道中膝栗毛」「銀河鉄道の夜」など、など。

子どもの頃買ってもらった本は、その後親戚の子に渡ったりして、ほとんど私の手を離れましたが、特に面白かったと思うものは、大人になって古本屋で見かけたときなど手に入れるようになりました。

岩波書店の児童文学シリーズなどは版が重ねられているので、簡単に手に入りますが、何軒探しても見つからないものもある。
宝探しのようで楽しいことは楽しいのですが、あんまりスカばっかり引かされるとテンション下がります。

しかし、便利になったものです。
自分の足で探さなくてもクリックひとつで全国の古本屋から探していた本が送られてくる時代です。
私はここを使います。

http://www.kosho.or.jp/servlet/top

amazonでも古本を扱っていますが、カード決済をしたくないのです。
そこいくと「日本の古本屋」は本と一緒に振込用紙を送ってくれるので、私のようなアナログ人間にはちょうどいい。

先日、数年越しで探していた本が両方でヒットしました。出るときゃ出るものです。
父が昔買ってくれた本で「たくさんのお月さま」(ジェームズ・サーバー 絵/宇野亜喜良)というのです。
物語の内容はお姫様が月を欲しがり、まわりの大人が大人の頭で月を手に入れる方法を考える、が・・・、というもので、私にはそんなにピンとくるものではなかったのですが、挿絵が素晴らしかった。

 

宇野亜喜良さん、ずっと好きですけれども、わたしにとってはここが原点です。  
長年探した甲斐がありました。

 

大変気を良くした私は次の獲物を決めました。

http://www.ta-kumi.com/harimaze/publication/gallery/iwasaki01.html

ところが・・・・・、(つづく)


 

 


 


まあるい背中

2008-02-12 21:54:44 | Weblog

祖母が亡くなりました。

生年月日があの「前畑ガンバレ!」の前畑秀子さんと同じでしたが、彼女より13年も頑張ってくれました。

祖母は父親を幼少の頃亡くしました。
当時は女性が一人で子どもを育てられる状況にありませんでしたので、幼い祖母は里子に出されました。
長じてお屋敷奉公をし、そこで家庭婦人としての一切の教育を受けましたので、大変お行儀が良く、言葉も丁寧な人でした。
晩年は家事も出来なくなりずっとソファーに座ったままでしたが、いつも膝がしらを揃え、きちんと膝の上に手を重ねているのです。
たまに私が行くと「うしろの正面ちゃんは、なんでもちゃんとやっていなさるから・・・・・。」と言ってくれました。
ほんとは全然ちゃんとやっていないので耳が痛かったのですが・・・。

なにしろ、十数年前にリンパのガンにかかり手術をして、起き上がれるようになると、朝の検温までには髪を整え、ベッドの上に座って看護婦さんを待っていたような人です。
そんな祖母から本当に褒められたならどんなに良いかと思いましたが、持って生まれたものが違うと諦めるしかありません。

私の子どもを膝に乗せる祖母。

この頃はコンパクトカメラしか持っていなかったので、写りがいまいちですが、実によく祖母の人柄が出たと思っています。

最期の5日間だけ病院で過ごしましたが、亡くなる前、意識が朦朧とする中、「お米を研がなくちゃ」と言っていたそうです。

さようなら、おばあちゃん。
またいつか会いましょう。
そのときは、本当に「ちゃんとなさったわね。」と言ってもらえるよう、頑張ります。

 


雪の鎌倉  その2

2008-02-04 13:04:58 | Weblog

どなただったか、「京都は絹、鎌倉は木綿」と例えた方がいらっしゃって、それは織物のことなのか豆腐のことなのかは判りませんが、うまい例えだなあと思います。
昨年、京都に行って、町の規模からひとつひとつの寺社に至るまで、わが鎌倉とはスケールが違うなあ、やはり天子さまのおわすところ(今はいないけど)は・・・と思い知らされたものです。
たったひとつ、勝てるとしたら、シラスかな!?
・・・・・・地味だ。

・・・・・写真も地味。

鎌倉は三方を山に囲まれ、そこからひだのように谷が入り込んでいて、住宅地も、そのすぐ裏手が山になっているので独特の雰囲気を出しています。


雪の鎌倉  その1

2008-02-03 21:50:39 | Weblog

曾祖母と祖父の年忌で母と姉弟が集まってお経をあげてもらおうと予定していました。
この雪で私が家を出てから中止が決まったのですが、せっかく雪をおして鎌倉まで行く気になっていたので、そのまま電車に乗りました。
鎌倉というと大抵墓参りで、このところ観光らしき観光をしていなかったし、なにより雪の鎌倉なんて滅多に行けるものではありません。

北鎌倉に降り立ってみれば、殆どカメラを抱えた中高年の人ばかり。もちろん私も年齢は立派にその一人です。ただし、みんな上手そうだけど・・・・。

ひととおり円覚寺を回って、実家の菩提寺に行く前に北鎌倉駅前の和菓子司「こまき」へ寄りました。
「こまき」はお菓子も勿論おいしいのですが、窓からの借景が素晴らしい。

きょうのお菓子は「福豆」という名前です。
2月1日から今日、つまり節分までのお菓子だそうです。