モラルハラスメント・ブログ

モラルハラスメントな夫と壮絶なバトルの末離婚した二児の母のブログ☆モラハラブログリンク集もあります☆

脱出、その後21~這うような日々~

2006年04月22日 11時30分14秒 | 脱出後




いやぁぁやめてぇぇぇぇぇ
大声をあげて、目が覚めた。
また、あの夢かと思った。
またしても、ソファで寝ていたようだ。
幸せの白いふとんには昼横になっていて、
夜はなかなか就寝する気にならず、
ソファでうとうとして、気付くと断続的に寝ていた、と、
そんな日々だった。

その頃私は、就眠と覚醒の合間のうろうろとした瞬間に、
とんでもない夢を見るようになっていた。
それは、毎回同じで、色鮮やかな夢だった。
ガンガンという、とんでもない音がリビングの窓からして、
リビングのカーテンを恐る恐る開けると、
そこに顔中血だらけになった夫が立っている。
「何してるの?」と尋ねると、
「お前の気持ちが知りたいから」と、
自分の鼻や額やこめかみを、
思い切りサッシのガラスに叩きつけるのである。
そのたびにおびただしい血しぶきが飛んで、
私と子供達は絶叫しながら玄関から逃げる・・・というシーンだった。

一家心中しようと言われながら、
包丁をつきつけられたあの恐怖が、
なかなか心から拭えずに居た。
本当に、自分達を道連れにするかもしれないと思っていた。
父親が、その頃の私を心配して電話をくれていたが、
状況を説明すると、(もちろんすべては話せなかったが)
夫が切れてまた何をしでかすかわからない、
狂った奴には怖いものなどない、
子供達や娘である私に何かあったら大変だから、
そこから逃げて遠くへ引越した方が良いと、
ほとんど電話のたびに言われていた。

父親にしてみれば、幸せにしてくれると思って娘を託したのに、
こんな結果になった上に、娘が正気を失い、
どんよりと日々を過ごし、また、怯えていることが
不憫で仕方がないようだった。
だが、父親のそんな「仮定」のもしもの話が、
私をさらに怯えさせていたということを、父親は知らない。

私は、家から外に出る時や、帰ってきた時、
夫が待ち伏せているのではないかと神経を配るようになった。
そのうちに、寝ている間に、侵入するのではないかと、
そういう妄想で一杯になってきた。

また、これは夢ではないが、
こんな妄想が何度も浮かんでは消えた。
窓からそっと侵入した夫が、
二段ベッドの子供達を次々と殺傷し、
最後に私に馬乗りになる。
馬乗りになった血まみれの夫は、

「子供達は始末した」と微笑んで、私に包丁の切先を向け、

「全部お前のせいやからな。」

「お前さえ俺のところから離れなければこんなことにはならなかった。」

「お前が、わがままで悪い女でなければ、こんなことにはならなかった。」

そう言いながら、私はメッタ刺しにされるのだった。
もともと、痛みには強いし、死ぬことも怖くはない。
観念して絶命した私は、今度は上から夫を見下ろしている。
夫は腹にほんのちょっぴり包丁を刺し、119番に電話する。

「皆を殺して、俺も死ぬつもりだった。」

私はもうこんな傷だらけの命だから、
いつ差し出しても構わないと思った。
けれど、子供達が傷つけられるのは、耐え難い苦痛だった。
誰に話しても、「そこまでしないだろう」と思うだろうが、
私はそんな妄想で一杯になって、
恐怖で眠れない夜を過ごし、そのまま朝を何度も迎えた。


何度も何度も、私はシミュレーションした。
もし今この部屋に夫が突入してきたら。
私は全力で子供を守らなければ。
私は、耐え難い、ありえない妄想に囚われて、
心も体もがちがちになって、動けなかった。
そう、本当に、動けなくなっていた。

疲れ果てて、目を閉じると、
巨大な黒い蜘蛛が現れるようになった。

そもそも、黒い蜘蛛は、私のストレスの象徴である。
夫と暮らしていた頃、出口のない長い長いトンネルにいた頃、
理由なく無視されたり罵倒されたりあたり散らされたりして、
さらに重労働ばかり押し付けられて、
私はそんなストレスがたまってくると、
黒い巨大蜘蛛を見るようになった。
それは、寝ている間に、天井から、白い糸を垂らして、
最初つつつーーっ・・・・と、そのうちにしゃかしゃかしゃかと
私の頭上めがけて足をばたばたさせながら落下して来るのだった。

その蜘蛛は、いつも、直径20センチはあるのだった。
頭に落ちては大変だから、
ギャー!と叫びながら、ふとんから飛び起きて、
数メートル走ったところから自分のいた位置を見ると、
いつもあとかたもなく、蜘蛛は消えていた。

就寝中の夫はそんな私に気付き、驚き、
時には思い切り、「るっさいんじゃボケェ!!」と怒鳴ったし、
時には私の目を覗き込んで、耳の横で人差し指をぐるぐる回して、
「あったまおかしい」とか「だいじょうぶですかぁ?」
と口を歪めて嘲笑を浮かべて、
いずれの場合でも、私に触れないように、私を避けるように、
また思い切り背を向けて、眠るのだった。
あの家でその蜘蛛を見た回数は数え切れないが、
また、脱出先で同じ蜘蛛を見るようになってしまった。

幻想と、妄想と、夢が交互に訪れては、私を苦しめた。
どう考えても、何もよくならないと思った。
あの家から出てきてよかったんだろうかと、自分を責めたし、
生まれてきてよかったんだろうか、などと
思うようになった。
私が生きて、頑張れば頑張るほど、足が絡んでもつれて
悪いほうへ悪いほうへ行ってしまうような気がした。
自分なんて、存在することが悪で、
関わる人が迷惑だと思った。

そう思うときもあれば、逆に、
私は頑張ってきたし、精一杯生きてきたし、
人一倍努力だってしてきた。
結婚するまでだって、してからだって、
自慢できるぐらいいろんなことにチャレンジして、頑張ってきた。
なのに、そんな私がこんな扱いを受けて、
しかも幸せからどんどん遠ざかっていくなんて、不当だ、と、
何が間違っているのか、どこが悪いのか、
なぜ、なぜ、なぜと思いあえぐこともあった。

精一杯疲れた心で考えようとしても、考えられなかったし、
考えなければ考えないで、考えていない自分を責めたりした。


寝ていなくても、家事をしていなくても、
何もしていなくても、無常に朝がやってくる。

朝を迎えると、今日も無事だったのかとホッとしたものだった。
そんな風に日々を過ごすうち、私は、
あらゆる方向から考えるのにとても疲れ果ててしまった。

当時私は、寝たり寝なかったり、
食べたり食べなかったり、
そんな不規則極まりない生活を送っていた。

もともと夫との生活で壊していた胃が、
悲鳴をあげるのに、そう時間はかからなかった。
食べては戻し、水を飲んでも戻した。
それでも、甘いものや濃いものが食べたくなって、
子供のおやつをむさぼり食ったりして、
それでまた気分が悪くなって吐いたりしていた。

吐いて吐いて胃液が出なくなって、苦しくて苦しくて、
トイレの中で便器のふたにしがみついて泣いた。
薬を飲もうとか、摂生しようとか、
きっと今同じことが起きたならそのように思うだろうけど、
あの頃は何もかもがどうでもいいと思っていたので
それどころではないとも思っていたので、
ただただ私は、転がり堕ちていった。


何よりも、
体は遠く離れて住んでいても、
心は強く固く、夫に支配されたままということが、
嫌で情けなくて、悲しかった。

そのうち、私は、生理が遅れていることを知った。
恐怖の夜から3週間が経過していた。

もしも、もしもと思って、計算したが、どうしても妊娠するはずがない。
けれど、きちっきちっと生理が来るタイプの私は、
妊娠した時以外にそのリズムが狂ったことがなかった。

私は、もしものことを考えるようになった。
また、枯れていた涙が溢れてきた。
泣けて泣けて仕方がなかった。
怖くて、悲しくて、情けなくて、泣いた。
もし万が一今妊娠していたらと思うと、泣けた。

脱出して、目の前にできたまっすぐな道はいつしか消えて
私は高い高い塀に四方を囲まれていた。

前にも後にも、横へも行けない。
いけたとしても、気力も体力もない。
もう、どうしようもない。
誰か、助けて下さい。
私を、助けて下さい・・・
お願い・・・



しばらくこんな、メンヘル的地獄が続きます。
疲れる方は、どうか数日分すっ飛ばして下さい。

↓がんばれまっち~




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9 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
まっち~さん、がんばれ (すみれ)
2006-04-22 12:10:25
更新のたび、どきどきしながら読ませていただいています。

巨大黒蜘蛛まで現れた~生理が遅れた~

大変だ~

とっても心配ですが、

今が元気と知っているので読むことが出来ます。



根をつめすぎないようにしてくださいね~。
返信する
幻覚 (かなちゃん@夫の浮気にサクッと対応)
2006-04-22 12:37:22
幻覚を見、脅迫観念に襲われる。

もう確実に精神的な病に冒されていますね。



そこまで追い詰められた時、

もうそれは地獄としか表現できないのでしょうね。



返信する
大丈夫でしょうか? (にゃりんた)
2006-04-22 15:22:13
モラの被害に遭った私ですが、ここまで壮絶な被害を目の当たりにして驚くばかりです。

改めてモラの怖さを知りました。

こんな壮絶な体験を書かれていて辛くはないのでしょうか?

それでも最後までちゃんと読ませていただきます。

応援していますから・・・。
返信する
見守ってます (あずき)
2006-04-22 15:51:20
フラバらずに見守ってます。

いろいろフラバりそうな場面はたくさんありますが。。

ここまで、幻覚みながら、今は普通に自力で戻られてる、まっち~さん、すごいの一言です。

現在進行形でいろいろあるので細かくは書きませんが。

すごいよ、まっち~さん。

えらかったね。
返信する
Unknown (らぎ)
2006-04-22 20:46:55
まっち~さん、頑張りすぎないで下さいね。頑張るのは良い事ですが、できる範囲で頑張って下さいね。なかなか範囲を見極めるのは難しいですが…まっち~さんのペースで頑張って下さいね!
返信する
すごく… (すー)
2006-04-22 21:51:28
よく分かります…

私も一番酷い時には25kgほど体重が落ち、常に目つきは焦点が定まらないような顔つきをしていたそうです(顔つきは自覚なし)。

いつでも逃げ出せるように就寝時にもジーンズとトレーナー

を着て(息子も同様でした…)車の中にはこっそりと隠した着替えや日用品…

逃げ出した後も息子の学校まで押しかけてきて息子はしばらく学校へ行けませんでした。



今はね辛い事があっても「何とかなるさ」って笑って過ごしていられるし、こうやって昔を回想する事もできるようになったけど、当時は本当に死のうと思ったことが何度もありました。

自分一人で死のうとしたり息子を連れてって思ったり。

でも、でもね…



明けない夜は無いし、出口の無いトンネルは無いから…



理解してもらえない事を理解してもらおうと努力する必要はないんだなぁ~って今になって分かります。

当時、やっぱりまっち~さんのように私も理解を得たい人から理解を得られなかったり、理解してもらったと思った人から裏切られたりもしたけど、最終的には本当に理解してくれる人が味方になってくれて、励まされたり、知恵を授けてもらったりしました。



恐らく、まっち~さんの今がすごく幸せだからこんな辛い体験を文章にする事ができるのでは…と勝手に思っています。



でも、無理しないでください。

これだけ連日の更新で大丈夫かな…と思っています。
返信する
がんばれ、まっち~! (スイカズラ)
2006-04-22 23:41:50
今は頑張れって言っても大丈夫…ですよね?←自信なさ気(汗)

私は元旦那と一緒に居てよく見た夢は雪山の夢でした。

白くドッサリ積もった、行く手を遮る雪。

どこまでも続く冷たく、寒い雪の中。そんな夢です。

休憩しながら読んだりしてますが(^▽^;)

私もまっち~さんと頑張るよ!(え、いらん?(笑))
返信する
怖さが伝わってきました (saki)
2006-04-23 00:17:17
わかります。本当にそういう恐怖に襲われます。

私も、気持ちを受け入れなかったときに、目の前でつめで自分の顔を掻き毟って血だらけになったり、ドライバーを自分の手に突き刺し続けるのを見せつけられたことがあったので、そういう妄想に苦しみました。
返信する
Unknown (hanako【ココロ内離婚】)
2006-04-23 15:38:57
すさまじいですね。

私も夫のからモラハラ受けてる?という思いがありますが・・・ごめんなさい・・・こういう比較はしてはいけないはずなのですが・・・まっち~さんは精神的にも肉体的にもかなり痛めつけられてたんだなぁと思います。今の私に比べたら・・・。

逆に今の私ってば、辛抱足らないんじゃない?とも思ったりしますが、もともと夫婦なんだから、辛抱、我慢ということが不自然なんですよね。

相手から力ずくで押さえつけられている今を、どう切り開いていくかは私なんだという、強い信念で毎日頑張っていきたいと思います。

今のまっち~さんの幸せがあるからこそ、こちらのブログを読むことができます。

フラバしてお辛いでしょうが、是非続けていただきたいです。

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