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※症例は患者様の同医済み.

崩壊地名と経穴名

2014-09-06 15:21:02 | コラム
被災が大きかった八木地区というのは、もともとは「八木蛇落地悪谷(やぎじゃらくじあしだに)」と呼ばれていて、蛇が降るような水害が多かった、悪い谷といういわれからその名がついたそうです。
このことがテレビで放映されてから新聞やネットで話題になってます。
「ジャ」は、土砂の流出を表す「崩壊地名」のひとつなので、「蛇」をあてることが多いとも言っています。
蛇口とか蛇の目傘は水と関係してますし、蛟(みずち)という蛇に似て角と四脚とを持ち、毒気を吐いて人を害するという層状上の生き物がいて、これもまた水に関係しているらしいのです。

考えてみれば東洋医学では経穴名(ツボの名前)や漢方薬の名前に意味を持たせています。

経穴には世界標準の番号が振り分けられていて、一時はその番号だけで統一するという話しを聞いたことがあります。そのほうが鍼灸の国家試験を受けるときにかなりらくになるのにと思ってました。しかし今では漢字として伝承されていることでとても助かります。

例えば「風」という漢字が入っている経穴名には、風邪や中風(脳血管障害によるマヒ)で使われます。(秉風  風門 翳風 風池 風市 風府)、
「霊」は魂や心という意味から心臓病に関係してきます。(青霊 霊道 霊墟 承霊 霊台)。
「水」では腹水、下痢、腎臓、膀胱の病気などのように水の代謝に関するものに応用します(水道、水泉、水分)
五臓六腑をそれぞれ治療する経穴があって、肺兪 肝兪 胆兪 胃兪 腎兪 大腸兪 膀胱兪 …と、実にわかりやすいですね。

これは先人が多くの患者を治療し、失敗と成功を何百年という長きにわたり繰り返しながら経験的に学んだことを名前として後生に残したものです。
もしも無機質な番号で継承してしまったら失うものははかり知れません。

地名も同じく、いにしえの災害から学んだことをご先祖様が子孫の命を守るために警告してくれていたんです。

平成の大合併でなくなった地名も多く、どうみても便宜的に銘々されている地名もあります。
そして、今、論争されている道州制が現実となると、さらに消えて無くなるというか、失ってしまう地名は増え、何の意味もない無機質な地名のもと生活することになってしまいます。

経穴は日中韓で位置や数などが少し異なってましたが、数年前にWHOの要請で統一がなされ世界標準となりました。
これで経穴の研究発表があったときに、各国での追試のトラブルもなくなります。
しかしマイナス面もあると思うんです。
経穴の発祥は元々は中国で、日本に入ったときに日本人に合おうように独自の進化をしました。おそらく韓国も同様だと思います。
それを統一するというのだから、妥協や譲歩があったはずです。せっかく日本人に合ったツボが構築されたというのに便宜上統一されるのは、地名を変えられるのと同じように思ってしまいます。
そういうわけで古い経穴の教科書は廃棄できませんが、深谷伊三郎という昭和の灸名人は教科書に書いてあるきっちりした経穴の位置に対して、「…方向を示しているのみ」と言っています。
要するに患者さんの体には教科書の示した位置に経穴があるとは限らず、その周囲をしっかり触察して生きた経穴を探せということです。


古い名前、未だに変わってない不合理…と、いうのは地名や東洋医学だけではなく、社会や職場にもあるんじゃないかなと思うんです。
慣習や 慣例を変えるときは、古い人の意見を聞いたうえで慎重に行うべきだと思いました。


【蛇足1】
「少海」「小海」という経穴があり、いずれも「しょうかい」と読みます。
鍼灸師の先輩が「小海」のことを別名「子供しょうかい」、「少海」を「ひげしょうかい」と言っていました。理由がわからなかったので、子供と大人と使い分けるのかと想像してましたが、理由を聞いてがっかりしました。
「小海」は小児の"小"を使うので「子供しょうかい」で、"小"に"ノ"が舌下につくと"少"となり、この"ノ"がひげに似ていることから、「ひげしょうかい」ということでした。

【蛇足2】
「水突」という経穴も水に関係していますが、水鳥が鳴くような声の咽の腫れや喘息に効能があるということです。
水取りの鳴き声を聞いたことはないと思うのですが、あの水笛を連想してしまうので病的な声とは思えないのです。
「立つ鳥跡を濁さず」と言いますが、職場の同僚が退職するときに悪いうわさもなく、円満退職することを自慢して、「水鳥 跡を濁さず」と言ってました。





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