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※症例は患者様の同医済み.

赤ちゃんが整体を受ける前に

2014-09-09 19:48:34 | 乳幼児、小児の病
首を強くひねるなどの施術を受けた生後4か月の男児が死亡したというニュースがありました

施術したのは、NPO法人の代表で、赤ちゃんの背筋や首のゆがみを直して、免疫力を高める、病気になりにくい体になる、便秘やアトピーも...とホームページで宣伝し、自ら考案した施術法を実践していたということです。
その施術法ですが、死亡した男児が受けた施術では、床の上にうつぶせにして、首を90度以上ひねって顔を上向きにしたり、膝の上に乗せて首を揉んだりしていたそうです。
施術を始めてから約45分後に男児の呼吸が止まったので、病院に搬送されましたが低酸素脳症による多臓器不全で死亡したということです。

そのNPO法人代表の女性は国家資格を持ってなかったということが報道されてます。
ここで誤解されやすいのが、国家資格を持っていたらいいのかということになります。
首を強くひねるという行為は国家試験を受験させる日本国内の学校で教わるということはまずありません。
生後4ヶ月というのは首すわりが安定し、頭に近いところから運動機能が始まるという大切な時期です。国家資格を持ている施術者の乳幼児の治療も、頸部に行いますが、小児はりでは「こんなのでほんとうに効果があるんですか?」と不信がでるくらい刺激の弱い道具を使います。このような繊細さが要求されるので頸椎に強いストレスを与えるということはまず考えられません。

呼吸麻痺で考えられるのが頚髄損傷ですが、
昨年にも死亡事故があったというのに、「今後も(施術を)続けていくつもりだ」と話しているということは
死因と施術との因果関係が認められなかったということになってしまいます。


施術料金も気になりました。このNPOでは一回の治療が約1時間で1万円だったそうです。小児の鍼灸治療は1時間も行いませんが、幅はあるもののだいたい1000~2000円くらいです。NPO法人とは特定非営利活動法人のはずですが、関係ないみたいですね。


そもそも何でこんなリスクを伴う行為に大切な我が子を託すのかが信じられませんでした。

まず日本はすべてにおいて安全基準が高いという誤解があるからだと思います。
治療院、整体院、カイロプラクティック…と、ありますが、すべて一定レベルの医学教育をうけて開業されていると思っている方が多いのではないかと思います。
今の法律では人体に危害を及ぼすおそれのない施術ならば誰でも開業できるということになってます。「何も勉強してないけど、ホームページでも出して明日から整体でもやってみようかな」と思ったら保健所の届け出なしで営業できます。要するに法整備がなぜかしらこの業界はできてないんです。

そして、この業界は口コミで評判を知ることが多いのですが、今の口コミはネットに依存する傾向が強いと思います。ネットの口コミではどこの誰が書き込んだものかどうかもわからないし、内容に責任がありません。口津田絵では評判を教えた人にもアル程度の責任はかかってくるのでネットよりは信頼できますが、ネットに頼るほうが多いというのは、人付き合いの煩わしさがない気軽さとともに人間づきあいが希薄になったとも言えるのではないでしょうか。

このNPOでは、施術方法や抱き方を教える講座も開いて、障害を持つ子供の母親らも多いそうです。
そういうお母さんは病院に行っても治らない理由を聞かされるだけなので、
よくなったという話を聞くとわらをもつかむ気持ちで頼るのだと思います。
また訴訟が多い昨今、萎縮している医療従事者が増えていて、治療も消極的になってしまいます。
患者さんは心のどこかに「大丈夫、私に任せてください」という暖かい強引さを求めている気がするんです。



すぐに免許がとれるという触れ込みでいろいろな講習会や学校がありますが、
患者さんの治療をしたいと思われている方は柔道整復師などの国家資格をとるべきだと思います。
それは患者さんを守ることにもなりますし自分を守ることになります。

【蛇足】
以前、老人保健施設の婦長さんから治療依頼があったので、詰め所へ行きました。本来なら医師の指示書が出てから鍼灸治療が実施されるのですが、指示書は必要ないと言われるのです。そして部屋の番号と名前をメモに書いてもらって居室へ行きました。すると「便がでないんです、お願いします」と高齢の女性がやってきました。女性は犬のぬいぐるみを持っていて、よく聞くとどうもその犬を治療してほしいということでした。認知症の強い方らしく、他のスタッフは居室の入り口のドアに隠れてクスクスと笑っています。やられたと思いつつ、しょうがないので犬のおしり付近に鍼を刺しました。「大丈夫、私に任せてください」と言いたくなりました。


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