シネブログ

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『ブレイブ ワン』

2008年07月26日 00時42分08秒 | 映画レビュー
原題: THE BRAVE ONE
製作年度: 2007年
別題:-
製作国・地域: アメリカ/オーストラリア 上映時間: 122分
監督:ニール・ジョーダン
製作:
ジョエル・シルヴァー
スーザン・ダウニー
製作総指揮:
ハーバート・W・ゲインズ
ジョディ・フォスター
デイナ・ゴールドバーグ
ブルース・バーマン
原案:
ロデリック・テイラー
ブルース・A・テイラー
脚本:
ロデリック・テイラー
ブルース・A・テイラー
シンシア・モート
撮影:フィリップ・ルースロ
プロダクションデザイン:クリスティ・ズィー
衣装デザイン:キャサリン・マリー・トーマス
編集:トニー・ローソン
音楽:ダリオ・マリアネッリ
出演:
ジョディ・フォスター エリカ・ベイン
テレンス・ハワード ショーン・マーサー刑事
ナヴィーン・アンドリュース デイビッド・キルマーニ
メアリー・スティーンバージェン キャロル
ニッキー・カット ビタール刑事
ジェーン・アダムス ニコール
オススメ度:★★★☆☆

ストーリー:
ニューヨークでラジオ番組のパーソナリティを務めるエリカは、婚約者デイビッドとの挙式を間近に控えていた。そんなある日、2人は愛犬を連れた散歩中に3人組の暴漢に襲われ、デイビッドが命を落としてしまう。幸せの絶頂を目前に絶望の淵へ突き落とされたエリカ。そんな彼女とは対照的に、警察の事件への取り組みはおざなりだった。そこで彼女は、自分で我が身を守るしかないと一挺の拳銃を手に入れる。そしてある時、偶然入ったコンビニの中で銃殺現場に遭遇、自分も狙われたエリカはとっさに引き金を引くのだった。その瞬間、彼女の中で何かが目覚め、やがて深夜の地下鉄では恐喝してきた2人の悪党を躊躇なく撃ち殺すのだが…。

コメント:
最愛の恋人を殺されたヒロインが、自分の身を守るため一挺の拳銃を手にしたのを機に、街をごろつく悪人たちを処刑していく様を描く。

はっきり言ってこれ程までに重い作品は久々で、鑑賞後に心に蟠りの残る結末も初めてのような気がする。

復讐映画といえば、過去に数え切れないほど製作されているジャンルである。本作もパターン的には今までとさほど変わらない作品だと言えるかも知れない。だが、過去の作品と圧倒的に違うと感じたのは、ジョディ・フォスター演じるエリカの復讐に燃える動機と葛藤がリアルかつ繊細に描かれている部分である。

彼女は復讐をするために銃を持ったのか?
おそらく自分の身を守るための護身用の銃に違いない。
だがその感情は、仕事を通じて、献身的な刑事との行動を通じて、次第に復讐心へと変化していく。

たまたま遭遇した争いごとを”銃”によって切り抜けていくエリカ。
自分は悪を世の中から排除する力を持っている。
”銃”があれば自分を守れる、人を助けることができる、自分と同じ目に遭う人がいなくなる。
そんな自己中心的な偽善心がやがて彼女に復讐心を宿らせることになる。

だが全てが正しいという声ばかりではない。

ラジオ番組で犯罪に対する声を聞いて、悪に対する制裁を後悔するエリカ。
崩れつつモラルを前に、法と感情を両立させる刑事の話を聞き葛藤が渦巻く。
そんな中、自分と同じ被害者の話を聞いたときは彼女自身の決断が全てを決めることになったのだ。

ある日、彼女の家に結婚式の招待状が届く。
自分たちの結婚式のために、婚約者と一緒に作ったものだ。
この時彼女の心を復習心が完全支配することとなる。

「あのときに戻りたい。」

戻れるわけはないと知りながら、彼女は自分たちを地獄へ突き落とした犯人のところへ向かう。
エリカは自分の人生を奪ったやつらに迷いもなく”銃”を放つ。


一体何が正しくて何が間違っているのか?
僕は本作に答えを見出すことができない。

もちろんエリカとその婚約者に理由もなく暴行を与えたごろつき集団は間違いなく死刑に値する存在だ。
だが、その悪党に復習心だけで制裁を加えていいのかわからない。

どちらかといえば、その行動は許されるものなのかもしれない。
自分の人生、自分の大切な人を奪った人間を殺して何が悪い。
そう思うのが当たり前なのだ。
本人がやりたいのならそれを認めるのもやさしさなのかもしれない。

だが、どちらにしろ過去は消えることはない。
エリカには一生悪夢としてまとわりつく問題なのだ。
そこに救いはあるのか?希望はあるのか?
それこそ当事者の生きていくための課題なのだろう。

本作では答えを出すことはできない。
感情で片付けるか、法律で片付けるか…
考えたところで出る答えなどないのだろう。
当事者がどれだけ辛い思いをするか、それだけが重くのしかかる内容である。


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