シネブログ

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『ブラッド・ダイヤモンド』

2007年11月17日 00時03分58秒 | 映画レビュー
上映時間:143分
製作国:アメリカ
公開情報:劇場公開(ワーナー)
初公開年月:2007/04/07
ジャンル:サスペンス/ドラマ
監督:エドワード・ズウィック
出演:レオナルド・ディカプリオ、ジェニファー・コネリー、ジャイモン・フンスー、マイケル・シーン、アーノルド・ヴォスルー、カギソ・クイパーズ、デヴィッド・ヘアウッド、ベイジル・ウォレス、ンタレ・ムワイン、スティーヴン・コリンズ、マリウス・ウェイヤーズ
オススメ度:★★★★☆

ストーリー:
激しい内戦が続く90年代のアフリカ、シエラレオネ。愛する家族とつましくも満ち足りた生活を送る漁師ソロモン。しかしある日、反政府軍RUFが襲撃、ソロモンは家族と引き離され、ダイヤモンド採掘場で強制労働を強いられる。そんな中、彼は大粒のピンク・ダイヤを発見、その直後に起きた政府軍による来襲の混乱に紛れてダイヤを秘密の場所に隠すのだった。一方、ダイヤの密輸に手を染める元傭兵ダニーはある時、密輸に失敗し投獄される羽目に。すると、その刑務所にはソロモンも収容されていた。そして、彼が巨大ピンク・ダイヤを見つけ隠していることを耳にしたダニーは釈放後、ソロモンも出所させ、家族捜しに協力する代わりにダイヤの隠し場所を明かすよう迫る。また、アメリカ人女性ジャーナリスト、マディーに対しても、彼女が追っている武装組織の資金源“ブラッド・ダイヤモンド”の実態に関する情報をエサに、自分たちへの協力を取り付ける。こうして3人は、それぞれの思惑を胸に、ピンク・ダイヤを目指す危険な道へと進んで行くのだが…。



コメント:
とにかく観てよかったと思える作品であった。

今も世界のどこかで起こっている”紛争ダイヤモンド”という衝撃の事実を、映画化とはいえストレートな内容で描き切ったことはすごいことだ。ダイヤモンドに対してただの消費者に過ぎない日本人にとっては、信じられないような悪夢を見せつけられる作品だろう。

本作のキャッチコピーにもなっている、ダイヤの価値を決める“4つのC”
color(色) cut(カット) clarity(透明度) carat(カラット)

全ての要素が大きくなるほど人間の欲望は膨れ上がり紛争へと発展していく。つまり5つめのC<conflict>がそこに存在しているということである。

内戦が続くアフリカ西部のシエラレオネ共和国。反政府勢力のRUF(革命統一戦線)は武器調達のため、資金源となるダイヤモンドを無辜な人々に強制労働させ採掘している。その犠牲者の一人となった漁師のソロモン・バンディー(ジャイモン・フンスー)はたまたま大粒のピンク・ダイヤを見つけてしまい紛争の渦へと巻き込まれていく。一方、RUFに武器を調達し、代わりに受け取ったダイヤモンドを隣国リベリアへ密輸中に逮捕されてしまった白人傭兵のダニー・アーチャー(レオナルド・ディカプリオ)は、留置所でソロモンが見つけたピンク・ダイヤのことを耳にする。その結果、それぞれの人物にとっての<conflict>が展開されていくことになる…。

たかがダイヤモンドのために行われている行為がこれだと知ったときは本当に嫌気が差した。本作で描かれる内容はほんの一部に過ぎないだろうが、全ては内戦の資金集めのために続けられている”紛争ダイヤモンド”であるということには違いはない。我々日本人のような消費者からすれば、そのアフリカでの内戦も所詮他所で起こっている争いにしか過ぎず、ただダイヤモンドの輝きに魅了されるだけの生活を送っているのが現状である。結論を言えば、ダイヤモンドを高額で購入する消費者がいるがために毎日無辜な人々が犠牲になっているのだ。その言葉は本作の最後でもテロップで流されるが、まさしくその通りだと思う。実際、ダイヤモンドが全く価値のない宝石だったらこの紛争は存在しただろうか?おそらくこのような悲劇は起きていなかっただろう。

はっきり言ってこんなことを考えたからといってアフリカの内戦が終わるとはとても思えない。今後も難民は増え続け、子供たちも巻き込まれ、悲劇しか生まない紛争はこれからも永遠に繰り返されるのかもしれない。だが忘れてならないのは、お金に代わる単なる石ころのために毎日何人もの命が奪われているという現実である。

少なくとも僕は今後ダイヤモンドを買うことはないだろう。

はっきり言って僕には内戦を止めれるほどの力があるはずもないが、ダイヤモンドを買わないことで数十、数百の命が救えるのであれば、僕はそれを続けていきたい。何の意味もないかもしれないが、その行動がいつかこの悲劇を終わらせるためのきっかけになることをただ祈るだけである。

なんとも無力だが、これが現実なのだと思い知らされる作品であった。