シネブログ

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『リトル・ダンサー 』

2007年06月07日 22時31分52秒 | 映画レビュー
原題:BILLY ELLIOT
製作年度:2000年
上映時間:111分
監督:スティーヴン・ダルドリー
出演:ジェイミー・ベル 、ジュリー・ウォルターズ 、ゲイリー・ルイス 、ジェイミー・ドレイヴン 、ジーン・ヘイウッド 、スチュアート・ウェルズ
オススメ度:★★★★★

ストーリー:
1984 年、イギリス北部の炭坑町。11歳のビリーは炭坑労働者のパパと兄トニー、おばあちゃんと暮らしていた。ある日、ビリーの通うボクシング教室のホールにバレエ教室が移ってきた。ふとしたことからレッスンに飛び入りしたビリーは、バレエに特別な開放感を覚えるのだった。教室の先生であるウィルキンソン夫人もビリーに特別な才能を見出した。それからというものビリーはバレエに夢中になるのだが……。



コメント:
夢に向かっていく息子-
そしてその姿を見守る家族-
まさに愛と希望に満ち溢れた最高のハートフルドラマだ。

1984年、イギリス北部の炭坑町を舞台に、バレエに夢中になる11歳のビリーと炭坑労働者の父と兄、そして昔はプロのダンサー(?)だったおばあちゃんが織り成す感動のドラマ。もう”すばらしい”の一言に尽きる最高の映画である。

幼くして母を亡くし、父と兄は炭坑夫としてストライキの真っ只中。ビリーはやりたくもないボクシングジムに通いながら寂しい日々を送っていた。そんなある日、ひょんなことからビリーはバレエの魅力へ取り付かれてしまう。先生に素質を認められたビリーは名門ロイヤル・バレエ学校へ入学するため父には内緒で猛特訓をはじめる。

ここまではよくある展開だが、徐々にバレエダンサーへ惹かれていく様子がなかなかおもしろい。家族には内緒にしながらも、自分の夢を見つけた少年が必死に練習する姿、上達していくダンスを見るのはとても微笑ましい。またビリーの友達でちょっとおかま気のあるマイケルとの友情もなんかリアルで笑える。

で、本作の見所といえばここからである。

不審に思った父がボクシングジムに行ってみると、なんと自分の息子がバレエを踊っている姿を目撃してしまう。男がバレエだなんてみっともない、と父は猛反対。更に追い討ちをかけるように、ストに参加していた兄が警察に逮捕されてしまい、バレエどころではなくなってしまう。一時バレエダンサーの夢も諦め、静かな日々を過ごしていたビリーだが、やはり一度夢見たものを諦めることなんてできない。欲望が一気に爆発して彼は渾身のダンスを踊りだす。そこへ偶然通りかかった父は息子の希望に溢れた姿を見せ付けられ、ある決意をしたのだった。

今まで頑固で我が道一筋だった父が、これをきっかけに全てを変える姿はなんとも感動的である。息子の夢のため、今まで頑なに拒んだスト破りにまでなり、周囲の目を憚らず入学資金を集めだす。まるで自分の夢を果たすかのように、息子へ対して最大の応援と愛情を注ぐ姿、これぞ本作の一番のテーマであると言えるだろう。

ラストのシーンでは、バレエダンサーの夢を叶えたビリーの公演を観に行く父と兄が映し出される。年老いた父の姿には、長年息子のために一生懸命働いた苦労と、最後まで応援してきた最大の愛情が見て取れる。舞台に立つ息子の姿こそ、父の求めた一番の夢だったに違いない。目を滲ませたその涙が全てを語っていると言えるだろう。

それにしても主演のジェイミー・ベルのダンスにはとても素晴らしいものがある。完璧とは言えないそのダンスだが、魂と情熱のこもった姿に一層魅了されること間違いなしだ。ダンスだけでなく、純粋な少年を見事に演じきった俳優としての才能も申し分ない。どれをとってもすばらしい作品に仕上がっていると言える。


余談だが、『フラガール』は間違いなく本作をリスペクトした作品だと言える。炭坑の町、ダンスの魅力、支えてくれる人々、厳しい先生など共通している要素がとても多いことに気付いた。例え似ている作品だとはいえ、どちらもかなりいい作品なので、比較して観てみるのも面白いのではないだろうか?少なくとも『フラガール』が好きな人にはオススメの作品だと言える。