極楽とんぼは風まかせ

東は東、西は西。交わることなき二つとはいえ、
広い太平洋、東の風が吹き、西の風が吹き・・・

道具の価値は使いようで決まる?

2011年09月24日 | 今日の風の吹きまわし
土曜日。明るいな、けっこう。先に起きていたカレシが「うへ、蒸し暑いぞ~」と。そうか、インディ
アンサマーというやつね。とっくに夏の乾燥期は過ぎているから、気温が上がるとそんなに暑く
なくても体感温度は5、6度高くなる。今日みたいに昼過ぎに20度まで行っていると、ほんとに
蒸し暑い。

朝食の後、おととい買って来たスロークッカーに鴨の足のコンフィをセットして、画材屋のOpus
にでかける。ここで買い揃えて学生番号を提示すると10%割引になる。昔いつも行っていたの
はグランヴィルアイランドの美術学校の向かいにある店だけど、今はダウンタウン外れの老舗
デパート跡地にも支店ができているらしい。どっちも地下鉄の駅から歩いて行ける範囲。乗って
からあれこれ考えて、グランヴィルアイランドの行き慣れた店に行くことに。オリンピックヴィレッ
ジ駅で降りて西へてくてく。初期の都市再開発でできたコンドミニアムやタウンハウスとフォルス
クリークの間にスタンレー公園から延々と続く遊歩道/サイクリングロードがあって、油の匂い
が混じった海風に吹かれながら歩くのは気持がいい。港町育ちにはなつかしい「香り」・・・。

うろ覚えにどこかの掲示板に地下鉄駅から徒歩30分で行けると言う投稿があったので、地下
鉄の駅まで15分、駅から駅まで10分弱、そこから徒歩30分はまあまあかと思っていたら、投
稿者の足が遅すぎるのか、ワタシの足が速すぎるのかわからないけど、地下鉄を降りて20分
でアイランドのコミュニティセンターの裏に着いてしまった。いや、便利になったもんだオリンピッ
クの前だったら、バスで(そんな距離でもないのに)途中で乗り継いで1時間半はかかったから、
これなら天気のいい日にはカレシを誘い出して、運動がてらの買い物に来られそうだな。自動車
は個々の目的には便利だけど、便利すぎてしまうと逆に不便なことが多くなる。特に車が増えす
ぎた都会ではどんどん不便になるという皮肉な現象も起きる。

目指すOpusはコミュニティセンターからすぐのところ。いつもながらごちゃごちゃと乱雑な感じ
の店で、手持ちがなかった絵の具やら、(必要ないのに)新しい絵筆やら、2Bから8B の鉛筆の
セットやら、画用紙やら、あれやこれやを買い込んで、学生割引10%でしめて130ドル。書く方
の講座なら罫線を引いたパッドだけで済むけど、美術系はちゃんとした材料を買うと高いなよあ。
カレッジから送られて来たリストには「20本セット20ドルの絵筆は買わないこと」、「学童用の絵
の具は買わないこと」なんてこまごまと注意書きがある。まあ経験から言って、「弘法、筆を選ば
ず」という通り、道具の良し悪しを問わなくてもいいのは、どんな劣悪な道具でも使いこなせる技
量を持ったプロであることはたしかで、初心者こそ初心者向けよりもちょっと上のレベルの道具
で始めた方が無難なような気がするな。もっとも、初心者が「道具」そのものに凝ってしまっては
本末転倒もいいところだと思うけど。

トートバッグがずっしり重くなった帰り道はストレートに大通りまで出て駅まで一直線。くねくねと
曲がる遊歩道と違ってまっすぐだから時間を短縮できるかと思ったら、反対の南側にしか歩道
がない。結局のところ、駅までの所要時間は20分。時間的にほぼ同じだったら、対岸のダウン
タウンの風景を眺めながら、(時たまおバカなサイクリストにヒヤリとさせられるけど)海風に吹か
れて遊歩道を歩く方がずっと楽しめる。それに、車で来ると駐車スペースを探すのがけっこう大
変なので、めんどうくさがりのカレシは初めからアイランドの外の何ブロックも離れたところに駐
車して10分くらい歩くことが多い。帰りの地下鉄の中であれやこれやと「分析」して、グランヴィ
ルアイランドへは地下鉄と徒歩が最も効率的である、と結論・・・。

帰ってきたら鴨の足がちょうどいい頃合になっていて、後はつけ合せの野菜を洗って、切って蒸
すだけ。お出かけして、帰ってきたら夕食のメインができているなんて、こんないいことはないな。
衝動買いした名もないブランドのたった13ドル(約千円)のいかにも安っぽそうなスロークッカー
だけど、ふむ、かなり役に立ちそうな感じがする。つまりは、選んでも選ばなくても、しょせん道具
の価値は使いようで決まるってことなのか・・・。