極楽とんぼは風まかせ

東は東、西は西。交わることなき二つとはいえ、
広い太平洋、東の風が吹き、西の風が吹き・・・

風の吹くまま、気の向くまま

2013年07月15日 | 今日の風の吹きまわし
月曜日。正午ぎりぎりに起床。まずは業務上の事務処理から。法律専門の翻訳会社のロンドン、サンフ
ランシスコ、ニューヨークのオフィスにそれぞれ予定の連絡(週の後半まではダメ)。世界中の主要都市
にオフィスがあるけど、その3つから同時に引き合いが来たのは初めて。はて、何か国際的な商業紛争
の大型案件でもあるのか。でも、やる気がわかないから、どうか何も言って来ませんように。

きのうはできるだけコンピュータから離れて、タブレットで遊んだり、ちょっとだけ家事をしたり。ニュースを
見ながらあれこれ、食事の支度をしながらあれこれおしゃべりをしているうちに、11月のサンアントニオ
行きは最終的に中止。オースティンにも行って、ニューオーリンズまで足を伸ばす10日くらいの予定だっ
たけど、カレシもそういう旅行は少し億劫になって来たらしい。4、5日の短い旅行の方がいい、と。互い
に家の中や庭をうろうろしながら、2人が顔を合わせると野菜作りの話、料理の話、5、60年代のポップ
スの話、英語教室のディスカッション教材の話。さりげなく密着していた感じで、心行くまでゆったりとした
1日が過ぎて行った。

銀行サイトで請求書の支払い処理をしながら、(すべて共同名義になっている)口座の明細を見て考える。
年金は今2人合わせて月46万円。それぞれの個人年金が加わっている5年後には(インフレ調整がなく
ても)月60万円くらいになる。これが私たちが土砂降りの雨にもめげず、竜巻のような大風にもめげずに
38年かけて地盤を固めて、準備してきた老後の糧。その悠々自適の「老人2人暮らし」はどんなものに
なるのか。もしもカレシの方が先に逝ってしまったら、生まれ育った土地を離れて異国の土に深く根を下
ろしたワタシの「おひとり様の老後」はどんなものになるのか。

初めて入金された年金を見て「老後」の始まりを実感して以来、ずっとそんなことを考えていた。それが、
イジメが絡む事件の顛末を訳す仕事に関わって、何となく心をかき乱されてしまって、そのおかげでとい
うわけでもないだろうけど、やっと方向が見えた。もやもやの正体が見えてみたら、おとなの人生のほと
んどを生きて来たこの国の普通の人として余生を送って、「My life was good(いい人生だった)」と言っ
て普通に死ぬと言う、いとも単純なイメージ。その余生が仮にあと20年あるとすれば、それを目いっぱい
に楽しむにはどうしたらいいのか。何をしたいのか。

そうだなあ、長いこと在宅で篭っていたから、外へ出て行ってこの国のいろんな人たちと出会ってみたい
し、カレシと一緒の時間をたっぷり楽しみたい・・・と考えているうちに、ストーリーを書きたい、絵も描きた
い、即興演劇もやりたい、楽器もいじりたいと、かって燃え盛った後にしばらく熾火のようにくすぶってい
た「表現欲」とでもいうものがめらめらと燃え上がって来たから不思議。生まれつきワタシの頭の中には
「表現したいイメージ」がいつも渦巻いていたような気がする。だからこそ、中学生になって初めて英語の
教科書を開いたときに「頭の中のイメージを表現する方法が他にもあったのか」と感動したんだと思う。あ
れから50年余り。あの感動の原点に戻ってみたい気持がある。

なぜか、カナダに来てから一度も日本に帰りたいと思ったことはないし、「異国で暮らしている」感覚はと
うの昔から微塵もないし、掲示板でよく見かける「英語を話すもどかしさに疲れたから思い切り日本語を
話したい」という欲求も感じたことがない。(逆はあるけど・・・。)まあ、長年日本に住むアメリカ人の同業
者の中にも、年を取るにつれて思考やボディランゲージがすっかり「日本人」になった人たちがいるから、
それぞれに自らの「精神的な居場所」を見つけたということで、たまたまそれが彼らには日本であり、ワタ
シにはカナダだったということに過ぎないと思う。折りしも、カレッジの秋の継続教育プログラムの案内が
来る頃。また創作講座に戻って、頭の中や心の奥にごちゃごちゃあることを文章やイメージや動作として
表現する楽しさをまた味わいたいと思う。もちろん、へたの横好きはもちろん百も承知の上で・・・。

この数年の間にだんだん日本語で機能することがめんどうくさいと感じるようになって来ていて、最初の
うちは心理的なわだかまりが残っているせいだと思っていたけど、これまで30年近くも自然に打ててい
た日本語のローマ字入力が、最近はなぜか「ローマ字綴り」を意識していないと指が動かなくなって来た
から、その意味でも「65歳定年」はひとつの潮どきなのかもしれない。「日本語を錆び付かせないため」
に書き始めたブログだけど、三日坊主のワタシが7年間せっせと書き綴ったものを読み返すと、文章も文
体も質的に向上しているとは思えない。英日翻訳ではきちんとした教科書的日本語を書けていたのに、
もしかしたらワタシの「日常日本語」は27歳で日本を離れた時のまま止まっていたのかもしれない。(家
族や友だちに会ったときだけはかなり普通に日本語なのはそのせいかな。)

まあ、今さら日本語の質の向上を図らなくたって何の差し障りがあるのかという気がする。筆不精ながら
も家族や友だちへのメールや手紙は書けるし、これからも仕事を続けていれば読まなければならないん
だから、忘れるということはまだ当分ありえない。何よりも、自分の食い扶持を稼がなければというプレッ
シャーがなくなったんだから、これからの時間は38年かけて耕してきた「ワタシの畑」のいわば「収穫の
秋」を楽しみたい。こんなふうに蜘蛛の巣を払って行って、たどり着いた結論は、いかにも極楽とんぼ流
に「とりあえず無期限のぐうたら休暇」。風の吹くまま、気の向くままに・・・。

     


3 コメント

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Unknown (mノズライト)
2013-07-17 13:40:23
え~と ブログお休みになるのかな?
年金のいくつかは もらえる年数が決まっているので
その間に貯金しないといけないので のほほんと
してられないです。
カレシさんと一緒の時間をたっぷり過ごしてこられたと
思ってましたが まだ不足のようですね~(゜▽゜*) 
 
とりあえず軸足を・・・ (lyra)
2013-07-17 16:46:28
風がそっちの方へ吹き出したので、軸足をそっちに移そうというところでしょうか。たぶん、脳みそが「ずっと二股はきついよ~」と感じ始めたんだと思います。まあ、思いついたらフォーマットを変えて戻ってくるかもしれませんが、とりあえず「無期限」です。

「一緒の時間」・・・今まではいろいろとあったので、ここへ来て互いの気持の結び目を締めなおそうというところでしょうか。こちらの年金にも、組合年金や個人年金などは、90歳までという制限のあるはずですが、カレシが90になる頃までには家を売って、ホームに入っていると思いますけどね。それまで20年あるわけです。

休み中もときどきモズライトさんのところに伺いますね。写真、楽しみです。
お疲れ様でした (モズライト)
2013-07-18 14:17:40
短い付き合いでしたが 頂いたコメントは
かなりの数で100件ありました 返事をいれると
200件になります ありがとうございました^^
またブログ再開することもあるかと思いますので
その時はお知らせください
まだお二人の時間はたっぷりある筈なので
心行くまでお楽しみ下さい 趣味の世界もね。
海外とのやりとりはlyra様が初めてで面白かったです
ではまた~~~ お疲れ様~

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