極楽とんぼは風まかせ

東は東、西は西。交わることなき二つとはいえ、
広い太平洋、東の風が吹き、西の風が吹き・・・

公平は押しなべて平たくじゃない

2007年09月30日 | 今日の風の吹きまわし
なんか朝から風が吹いて、嵐っぽい土曜日。やたらと寒くて、やっとこさ10度。木曜日に外食したことだし
ということで、 今日は引きこもりということにした。ツレアイ君が何とか赤くなりそうなトマトをみんなもいで
きたので、セカンドキッチンのカウンターは緑と赤のトマトがごろごろ。いったい何十個あるんだろう。

今年は、キュウリは種に混じっていたカボチャに圧倒されてしまって、ほんの数個しか育たなかったけど、
トマトはすごかった。ツレアイ君が育てた葉っぱものの野菜はみんな若葉を摘んでメスクランにしている。
このメスクランは南仏が発祥地だというサラダで、最近はスーパーでも売っているけど、葉を摘み取るのに
人手がかかるせいか、けっこう高い。だけど、家庭菜園なら手っ取り早い。レタスにほうれん草、タア菜に
ミズナ。マスタードから果てはビーツの葉まで、7、8センチくらいのうちに摘み取って混ぜるだけ。何日か
すればまた葉が出てくるから、水と少しばかり肥料をやっていれば、数株ずつ植えるだけで、夏中いつも
採れたてのミックスサラダが食べられて、すごく効率的なのだ。来年は大根やカブの葉も試してみるとか。

9月最後の週末。週明け早々に納期の仕事にかかる。きのうは魚の話だったけど、今度のは民事裁判の
訴状だの応答だのざっと50ページ。こういうのは野次馬的にやれておもしろい。何たって北米は訴訟社会
なもんで、ええ?というようなことで訴訟が起きるところなのだ。もっとも、弁護士の数も多いから、それだけ
弁護士も競争が激しいし、生活がかかっているわけだけど。ワシントンかどこかだったか、女性の判事が
お気に入りのコートを台なしにされたと、ドライクリーニング屋に何万ドルというとてつもない賠償請求して
話題になった。この判事女史、かなりのイジワルなのか、服代の弁償でいいじゃないかという声をよそに、
訴訟を起こした。かわいそうなのはクリーニング屋。零細ビジネスだから、そんなお金はないし、弁護士を
雇って戦うこともできない。その後どうなったか知らないけれど、たぶん裁判所は「アホくさ~」と訴えを却下
したんじゃないかな。Frivolous litigation(くだらない訴訟)の典型例だろう。

仕事の訴訟はもう少し切実な話だ。中立の裁判所で決めてもらうのが一番ということもたくさんあるのだ。
どこぞの国みたいに、言い分を聞くでもなく被害者に「おまえにも悪いところがある」と喧嘩両成敗の原則を
振りかざしていたら、倫理は地に落ちる。人を傷つけておいて、「おまえも悪い」と、他人を踏みつけたまま
逃げられる。双方の言い分は水洗トイレにジャーッと流し、モラルに反することをした方がやり逃げで勝ち、
傷ついた方は腹ふくるる思いを抱えたまま黙るしかない。

喧嘩両成敗を考え出したのは徳川幕府だったっけ。問題解決能力のなさを棚に上げて、有無を言わせず
両方とも処分してしまえなんて、なんともいい加減。どうりで「公正な大岡裁き」が伝説になっちゃうはずだ。
喧嘩両成敗は正義じゃない。でもまあ、ソープボックスは横においといて、仕事のピッチを上げなくちゃ・・・


読解?見解?

2007年09月29日 | 今日の風の吹きまわし
秋晴れのいい天気。ツレアイ君は元同僚たちとのランチにでかけた。みんな同じ年代で、みんな引退組。
数人がときどき集まってビールを飲みながら近況報告をしている。ツレアイ君はめんどうくさがって、という
よりも「老人クラブみたいでいやだ」と思っているらしく、理由をつけて欠席するのが常だけど、今日は別。
初めは火曜日という提案だったのに、金曜しか空いていないといったら、みんなあっさり「じゃ、金曜日」と
いうことになってしまって、断れなくなったというわけ。職場で仲の良かった人たちなんだし、そうやって声を
かけてくれる友だちなんだから大切にしなさいっていうの、ほんとに。なぜかお金を持って歩きたがらない
ツレアイ君は私から20ドル札を受け取ってしぶしぶおでかけ。でも、けっこうご機嫌で帰ってきた。は!

今月最後の仕事が終わり。科学ものはやっぱりおもしろい。図解辞典で魚の解剖図を見ながらふむむふ。
ところが、漢字の読みがわからないと電子辞書を検索するのに入力できない。この頃はこんなイライラが
多くなった。しょうがないから、まずはIMEパッドで読みを調べようと、字画を数えにかかるけど、はて、角を
曲がってるヤツは1画?それとも2画?点々はいくつあるのか、虫眼鏡で観察。結局のところ、8画数えた
はずなのにないから、7画と9画のも調べる。それでもないから、あれぇと思いつつ、やっと見つけたら何と
10画だったということもある。日本語ローマ字化を唱える人もいるそうだけど、う~ん、ローマ字日本語と
いうのもけっこう読みにくいんだよなあ、これが。入力は楽になるだろうけど。

ツレアイ君が生徒さんに辞書を活用するように勧めたら、英語のスペルがわからないからできないという
返事が返ってきたという。う~ん、わかる、わかる。英語だと音で聞いてスペルを想定できるから、辞書を
引くのに困らないけど、漢字が読めないと日本語辞書を引けない。同じ現象なのだ。それにしても、いざと
なって漢字の読みがわからないということは、ふだんは読まずに目で見て読解しているってことなのかな。
漢字は絵文字だもの、読めなくてもわかっちゃうからおもしろい。まあ、英語だって慣れてしまうといちいち
スペルを見なくてもわかっちゃうけど。わかっちゃうもんで、スペルミスがあっても気づかずに正しく読めて
しまうから、これもおもしろい。これぞまさに「読解」じゃなくて「見解」。

ずっと前だったけど、短い英文の中に「F 」がいくつあるか、というクイズみたいなのがあった。ツレアイ君も
私もぱっと見て「4つ!」。残念でした、正解は「6つ」。ええ、まさか?と思ったら、前置詞に「F」があった。
英語人は単語を文字群として「見て」読解するんだけど、前置詞はそこにあってあたりまえなのか、どうも
思考回路にレジスターされないらしい。ツレアイ君が英語教室にもって行って生徒さんに数えさせてみたら、
みんなちゃんと「6つ」と答えたそうだ。ひとつひとつの単語をスペルを見ながら読んでいるのだろう。だから
なのかな、ローカル掲示板で他人のスペルミスが気になってしかたがないって人が多いのは・・・


秋の味覚

2007年09月28日 | 今日の風の吹きまわし
雨模様になるといよいよバンクーバーの秋。午後の気温はやっと10度。さむ~。夜の気温がかなり冷える
ようになって、木々も急ピッチで色づいて来ている。といっても、派手に紅葉するのは落葉樹の多い東部の
方で、針葉樹がほとんどの西部ではせいぜい黄色が中心といったところ。元々針葉樹が中心の北国育ち
だから、「日本の秋」のビデオなんかに出てくる「錦織」の紅葉を見たのは、一度だけ、富山から高山へ行く
電車の窓からだった。ふ~ん、なるほど、これが「日本」の秋の色か、と思いながらながめていた。

週末に食事に出なかったので、Rodney’sに牡蠣を食べに行くことにした。ツレアイ君はプリンタのインクが
いるというし、私もコリアンスーパーでへ行ける。ツレアイ君が英語教室から帰ってくるのを待って、途中で
日本に書類を送るために、市役所の向かいにあるクーリアのオフィスに立ち寄った。市役所職員のストも
すでに2ヶ月を過ぎて、雨の季節に入ってしまった。夏の間は歩道脇で日向ぼっこをして、みんなけっこう
いい色に焼けていたのが、今はテントの中でヒーターを囲んで寒そうにピケを張っている。これからは雨が
多くなって、気温も下がるからストは厳しい。もう2ヶ月も給料をもらっていないし、クリスマスショッピングの
シーズンもすぐそこまで来ている。ご近所随一の情報通であるおとなりさんの「インサイダー情報」によると、
来週いっぱいくらいで妥結するという話。そりゃ、早く妥結したいだろうな。でも、できるのかな・・・?

Rodney’sに入ったのは4時半になっていなかったから、人気一番のカウンターががら空き。牡蠣を開ける
コーナーに陣取って、引き潮スペシャル3ダース。プロの手さばきをじっくりと観察できた。使っているのは
鋭そうな細身のナイフ。ちょうつがいのある方にナイフを突っ込んでこじ開ける。とにかく早い。平たい方の
殻が目の前にどんどん積みあがる。水温が上がる夏の牡蠣はクリーミーになるけど、冬の牡蠣は冷たい
水で引き締まって、塩味も強くなるんだそうな。養殖場ではかなり深いところで育てるけど、そうすると夏で
も比較的水温が低いし、浅いところに集まるバクテリアや汚染物質を避けることもできるからだそう。うまく
開けられるようになるのにどれくらいかかるか聞いたら、「う~ん、20針くらいかな」。ええ、そんなに怪我を
していたら、指がなくなっちゃうんじゃないの・・・?

コリアンスーパーでの買い物は、ツレアイ君お気に入りの大根キムチとニッスイの魚のソーセージ、ニラと
にんにくの茎、大豆もやし、ブルコギ用の牛肉とタレ、それと冷凍の味噌ラーメン。魚の売り場ではサンマと
ししゃもが並んでいた。う~ん、オーブンのグリルでサンマ、焼けるかなあ。煙探知器が鳴り出しそうだなあ。
警備会社から電話がかかってきたら、何て説明しようか。サンマなんて魚、きいたこともないだろうし、魚を
焼いてましたなんていってもわからないだろうなあ。サンマに大根おろしは「ふるさとの味」だ。秋になると
釧路川の河口に黄色に塗ったサンマ船が集結。豊漁の年は街中がサンマの匂い。獲れ過ぎの年などは
バケツを持って行くとスコップでどさっとくれたそうだ。懐かしいサンマ、思い出に留めておいて、久しぶりに
ニラ入りのギョーザでも作ってみようっと。


痛いの痛いの飛んで行け

2007年09月27日 | 今日の風の吹きまわし
ドアの向こうに広がる世界も見あきたから、テンプレートを変えて気分一新することにした。

けさ目が覚めてまっさきに感じたのが「あ、頭痛」。目覚めの頭痛って、それだけで1日の天気が下り坂の
ようで、こんなにいや~なものはない。ツレアイ君は私の額に手を当てては、「熱はないよ~」と激励?して
くれるけど、納期が目の前に待ったなしで迫っているのに何だか起きたくない気分。でも、「今朝はベーコン
アンドエッグだぞ~」というツレアイ君のはしゃいだ声。しゃあない、起きるか・・・

いつも私がベーコンを焼いて、となりでツレアイ君が卵を焼くことになっているので、目玉焼、スクランブル、
今日はどっち?と注文取り。たまにはスクランブルもいい、ということになって、残っていたアスパラガスの
しっぼの使えるところを少しスライスして混ぜてもらった。スクランブルよりもオムレツに近いけど、それでも
トーストにベーコンと一緒に乗せて食べるとおいしい。頭痛はまあ、きのうほどでもないようだ。

仕事の期限まで4時間ほどしかないから、必死になってキーを叩いた。たまの英日、なぜか化学物質の
名前がずらずらと何十ページも続くから目がくらくらしてくる。重合体に類似体に異性体に何とか体と・・・
いやあ、よくこれだけあるものだと感心する。これがみんな人間にも動物にも地球にもやさしくないのだと
思うと、ちょっとぞっとするけど、使えなくなったらどうやってモノを作るのかなとも思ってしまう。それだけ
化学物質に依存しているってことなんだけど、習慣というヤツはすぐには変えられないからなあ。

結局は、「少しだけ遅れます」と緊急メールをしておいて、4時間遅れで納品にこぎつけた。もっとも、見積り
したときに「最短で」と修飾しておいたから、納期を逃したってわけでもないけど、地球温暖化、気候変動と
いうのはけっこう忙しい分野なのだ。EUが規制をバンバン打ち出して来るから、それに合わせて仕様だの
何やかやとアップデートするものが多くなる。「風が吹けば桶屋が儲かる」の論法で、地球が温暖化すれば
翻訳者がてんてこまい・・・儲かるかどうかは別の話だけど。

気がついたら、頭痛はいつのまにかどこかへ行ってしまっていた。デスクの上はまるで竜巻に遭ったような
形相で、ジャンクメールも何もかもごっちゃまぜ。送るべき書類はまだ手元にあるし、家の保険の請求書も
まだそのまま。サンフランシスコの会議の登録もまだ。締切のことを「deadline(死線)」という意味合いが
わかるような気がするなあ。なんて思いつつキッチンへ上がってみたら、ツレアイ君がまたパスタソースを
作ったという。そういえば、いい匂いがしていたっけ。でき立てのソースで買ってあったラヴィオリを食べた。
半分はフリーザーに保存。これで4つ目だ。まだ後1回は作れるだけのトマトがあるそうだから、この冬は
何度もホームメードのパスタソースを楽しめそう。いっそ、パスタメーカーを買って、スパゲッティとか作って
みない?ラヴィオリだって試せるし。(食いッ気が二人の赤い糸って、あり?)


頭が割れそう・・・

2007年09月26日 | 今日の風の吹きまわし
目が覚めたときからすごい頭痛。若い頃は偏頭痛なんかに悩まされたけど、ここのところ長いこと頭痛と
いえるものがなかったもから、ああ、これはたまらない。なにしろ、頭蓋骨中がまんべんなくずきずきする。
今日は仕事が少し遅れ気味だからスパートをかけなきゃならないのになあ。

ツレアイ君は朝からやたらとラブラブ攻勢で来る。それほど警戒心が沸いてこないのは、モラハラ時代の
ハネムーン期の官能的といえそうな甘美なやさしさとは本質的に違っているからだろう。あの頃の、私が
精神的に消耗し尽くした後のやさしさは、捕らえた獲物をむさぼっているようなところがあったけど、今の
ちょっともめた後のやさしさはママに叱られて「ボクのこと捨てないで」とべたべたまとわり付くのに似ている。
反省したかといえば、まあ、あまり反省していない。でも、少なくとも「まずかった」という気持はあるから、
「ごめんね」の代わりにラブラブで来るわけ。元から感情を言葉で表現するのが苦手な人なことはわかって
いるけど、ん~、しゃあないなあ。

せっかくのラブラブなんだけど、ガンガンと響く頭痛を抱えていては自在に反応することもままならず、何と
なくしんねりむっつりのまま。何しろ仕事が行列しているから、少し遅れてしまうとまた徹夜モードになって
しまいかねない。だけど、ツレアイ君を教室へ送り出してから、いつも「gal」と呼んではばからない人たちに
会って、きっとにこにこいい人をやってるんだろうなあ、と想像していたらおかしくて、声を出してひとり笑い
してしまった。

とどのつまりは、子供は親の産物で子は親の鏡。ツレアイ君だって両親の日常の姿を見ながら「世渡りの
術」を体得して来たということなんで、ほんとに「しゃあないや」と思うしかないな。それに、この頃はパパが
ボケたというのか、1日中ぼんやりと座っているか眠っているかという状態だそうで、それがかなりショック
だったフシもある。男のいわゆる「中年の危機」は父親の老いや死がきっかけで始まることが多いそうだし、
前の「危機」が私の父が他界した直後から始まったことを考えたら、今、自分の父親の姿に自分を重ねて、
ちょっぴり不安定な心理状態になっても不思議はなさそう。ここんところは、私がファイアウォールをアップ
グレードして、ツレアイ君の「無意識のイジワル」を水際で封じるのが一番なのかもしれない。

どっちにしても、ツレアイ君があんまりいっしょうけんめいにラブラブをしかけて来るから、こっちはやっぱり
うれしくなってしまう。ふ~ん、「頭がガンガン痛いの~」とちょっと甘ったれてやろうかな。あんがい頭痛も
和らぐかもしれないし、そしたらロメオ気取りのツレアイ君も「おれってまだイケてる~」と思ってさらによりを
かけるかもしれないし・・・。ツレアイ君、Keep up with good workで、がんばって。(ただし、モテ試しは
家でだけだぞぉ。外でやったらどうなるか、わかってるよね!)


忘れちゃえばいいの?

2007年09月25日 | 今日の風の吹きまわし
ちょっとストレスなのかな。ツレアイ君とけんかになった。この頃ずっと、会話の中で、どこの誰であっても、
女性をさすのに「gal」という言葉を使うのが気になっていた。日本語で「ギャル」といえばキャッピキャピの
女の子のことをさすのかもしれないけど、英語のふだんの会話で特に中年以降の女性をさしていうときは
いいことなしの、むしろ侮蔑的な響きになる。まさに、ツレアイ君のトーンはその侮蔑が丸出しなのだ。

英語教室でいろいろと手助けをしてくれたベトナム人女性のことをやたらと「あのgalが」というから、なんで
「woman」じゃだめなのときいたてみた。そこで、ツレアイ君は大むくれになって、「オレの言葉を直すな」と
切れた。「オレはPC(politically correct)は嫌いなんだ。オレは言いたいことを言いたいように言う。」と。
おまけに「オレはお前がFワード使うのを嫌でも黙っているのに」と来た。ちょっと待て。私はFワードなんか
使わないよ。使ったとしたら、街で見かけたおつむ空っぽJガールが得意になって使ってたって話したとき
だけでしょ?Fワードを使ってたのはあなたが憧れて美化してやまないニッポンのオンナノコ。あのコ達は
そういう英語を覚えに来て、そういう英語を使う連中と付き合ってるの。

そこまで一気に言ったら、ツレアイ君はドタドタと足音を立ててベースメントへ降りていってしまった。そうか、
やっぱりまだ憧れているんだなあ。若くない女は仕返しをしてやりたいママの化身でしかないのだろうな。
いろんな想いがフラッシュバックみたいにどどっと襲いかかってきた。人を貶めないと自分を支えられない
のは、やっぱり何も変わっていないってことか。何も変わってないのだ。しばらくバスルームにこもって泣き
ながら、何度も「もう終わりにする?」と自分に問いかけた。

仕事をしにオフィスへ降りて行ったら、ツレアイ君が決まり悪そうに腕を広げて「忘れようよ」と言って来た。
またゴミをカーペットの下に掃きこんで見なかったことにするつもり?水に流した方がいいことと、流さずに
しっかり向き合ったほうがいいことがあると思うんだけど、ツレアイ君はすべて「水に流して、なかったことに
して、忘れろ」だ。ニッポンジンか!だけど、ツレアイ君はツレアイ君で、私が変えられるもんじゃない・・・


新相対性理論?

2007年09月24日 | 今日の風の吹きまわし
日曜日。納期を書き込んだカレンダーを見るときは半ば無意識に日付に1を足しているからおかしくなる。
夏時間の間、日本標準時は常に16時間先を行っている。日本の人は私より16時間早く年を取るのかな、
なんてヘンなことを考えたりするけど、日本へ行くとほぼ1日がどこかに消えてしまうから、なんか寿命が
1日縮んでしまったような感じがしないでもない。じゃあ、日付変更線を越えてカナダに来たらその日1日の
やり直しみたいなことになるから、その分だけ寿命が延びて、人生のやり直しもできるってことかな・・・?

日本はまた三連休とのことで、1日余分に時間をもらえた飛び入り仕事にかかる。またまたお局さま問題。
野次馬性たっぷりで、テレビドラマを見るようで、息抜きをさせてもらって、おまけにお金までもらえるから、
いうことなしの仕事。『日本語俗語辞書』というおもしろいサイト(http://zokugo-dict.com/)に行き着いて、
「お局さん」の意味も勉強した。それにしても、なのだ。この職場は女性社員の年齢が高いのか、やたらと
ひともんちゃくが起きる。ああいった、こういった、常識だ、非常識だ、とよくもめる。こんな不可解な問題に
遭遇した異文化人はさぞかし目を白黒させているだろう。だって、ビジネススクールで学んだMBAの知識
などまったく用をなさない別世界なんだから、大変。

ある基準に対して何かを「計る」のはおそらく人間だけだろう。度量衡にはいろいろな単位があって、目に
見えるものは何でも定量化できる。定量化して並べれば「比べる」ことだってできて、合理的な取捨選択が
できる。世の中でいろいろ便利なんだけど、でもそれは目に見えるモノを定量化しているうちだけ。人間を
定量化しようとするとめんどうなことが起きてくる。もちろん、知能指数とかTOEICのスコアのようなものは
客観的に使えば何かの役に立つのかもしれない。だけど、自分を「基準」にして他人を計るのは主観的な
行為。ものさし上の自分対他人の相対的な位置関係を計ることで、結局は自分の相対的な価値を計って
いるようなところがある。それはそれでいいんだろうけど、相手によって自分自身の価値がくるくる変わると
いう欠陥があって、自分はこういう人間だという絶対値を見出せないからやっかいだ。常に相手を計って、
それで一喜一憂するのは相手じゃなくて自分自身では疲れてしまわないのだろうか。

だいたい人間性を定量化するってこと自体が無理難題なわけで、このお局さんたちもそれに疲れているの
かもしれないなあ。ふ~ん、これ、社会心理学の「新相対性理論」・・・ってことはありえない?


持続しない記憶

2007年09月23日 | 今日の風の吹きまわし
え~と、きのうはまじめに仕事をしました・・・というわけでもなかったけど、まずはメールオーダーで買った
リビングのエンドテーブルをちゃっちゃか組み立てて、その勢いで仕事の方もけっこうはかどった。もっとも、
「本日の営業終了」の前にもう10月半ばまで予定が入ってきてしまったから、まだ当面は休めないな~と
いう、ちょっと切迫した気分でもあるけど。

はかどりついでに夕べは久しぶりにムサカを作った。かなり手間はかかるけど、しばらく食べていないと
「ああ食べたいなあ」という気分になる料理。ツレアイ君はギリシャ風サラダを作った。キャセロールの類は
まとまった量を作らないとどうもおいしくできる感じがしないので、けっこうな量になる。それをまたど~んと
食べるものだから、寝る前に秤に乗ったツレアイ君は「一気に増えた」と。う~ん、かなりハイカロリーでは
あるけど、そんなに一気に増えるかなあ。しばらく測ってなかったんじゃない?

その前の夜、ツレアイ君が冷蔵庫のドアをきちんと閉めなかったもので、3時間ほどライトが点いたままに
なって、庫内の温度が15度以上に上がる「事故」があった。下のほうは生鮮品じゃないからいいけれど、
問題なのはライトに近いところにあった卵。ケースの端っこの2個はすっかり温かくなっていた。マーカーで
バッテンをつけておいたけど、ダメかなあ。では、なぜ冷蔵庫のドアがしまっていなかったか。根本原因の
解析をやってみると、ツレアイ君はピクルスが好物で冷蔵庫に自作の即席漬けも含めて何本も置いてある。
それをドアを開けて最初に目に付いたスペースに置いてしまうのはまあいいとしても、中身を食べ終わった
ビンまで何気なく、それも大きなものの「指定席」に置いてしまうので、上はすかすか、下はごちゃごちゃ。
今回はそこにさらにソーダのビンを入れたから、ドアがつかえてしまった、というわけ。やれやれ・・・

けさはけさで、アラームを解除せずに外へ出て行ってしまう。いつもならドアを開けたところでピィピィと鳴り
出すので、慌てて戻ってきて解除するんだけど、なぜかけさは大急ぎで庭へ出てしまったから、いつまでも
ピィピィピィ。どうやらカラスを追い払うことに夢中になってアラームのことはすっかり失念ということらしい。
私が慌てて解除したけど、おいおい、大丈夫かなあ、この人?まさかビッグAの兆候じゃないよねぇ。そう
いうといつも「オレの健忘症は生まれつきだ」と返ってくる。生まれつき忘れっぽいということだけは忘れて
いないらしい。だけど、忘れっぽいんだから気をつけなくちゃという方はすぐに忘れちゃうんだなあ・・・

朝から目の覚めるハプニングで勢いづいて、洗濯機を回しながら仕事のマルチタスキング。外はすっかり
秋空。西洋の暦には立秋というものがないから、秋は秋分の日の明日から公式に始まる。北方からはもう
雪の便り。早いものだ。ひょっとしたら世の中は記憶に留める暇がないほどの猛スピードで動いているの
かもしれない。だけど、ツレアイ君の忘れっぽさのおかげで私はシャープでいられるということもありそう。
だったら、私がいるってことさえ忘れないでくれれば、まあ、いいか・・・ね。


グローバル化は両刃の剣

2007年09月21日 | 今日の風の吹きまわし
カナダドルがどんどん上がって来たなあと思っているうちに、とうとうアメリカドルと「同じ」になってしまった。
10年くらい前にアメリカドル1ドル=カナダドル63セントという底値だったんだから、びっくりする様変わり。
何しろカナダはアメリカからたくさんモノを買っているから、1ドルが63セントまで下がってしまうと、物価が
上がってしまう。特にあの冬は野菜類の値上がりがすごかった。それがこんどは等価、もしかしたらカナダ
ドルのほうが逆に高くなるかもしれないという。上がったものは下がるし、下がったものはまた上がるのが
世の常ではあるけど、カナダは今や世界の「石油大国」で、しかも原油価格はどんどん上がって行く・・・

実は、私が来たばかりの頃はカナダドルの方が高かった。それでカナダ人がどっと国境を越えてアメリカ
側でショッピング。国境沿いの町のモールの駐車場にはカナダ人が48時間滞在で免税枠を広げるようと
カナダ人がキャンプしていたし、週末ともなるとスーパーの食品が売り切れになったりして、アメリカ人が、
カナダ人の「買占め」はけしからんと愚痴っていたものだ。

今はどうか知らないけれど、昔の日本には「北海道価格」というのがあって、海(津軽海峡)を越えて来る
というだけでモノの値段が上がった。開拓時代に「内地」の商人に搾取された歴史もあるもんで、北海道
独立論に傾倒していた私は、「このやろ~」と憤慨していたけど、カナダでも、西から東へ工業原料を運ぶ
鉄道運賃は、東から西へ工業製品を運ぶ運賃よりもずっと安く設定されていたことがあった。同じレールの
上を同じ貨車が行ったり来たりしているだけのはずなのに、西部人にとっては傲慢な東部人の横暴・・・。
自由貿易協定があっても、アメリカから来るものはアメリカ製でなければ関税がかかるし、マージンが積み
上がるってことも計算に入れても、まだカナダ側の値段は高めになっていて、しかも、アメリカドルが安く
なってもカナダ側では値段は下がらない・・・

だけど、この調子だともっと気楽にカタログショッピングができるなあ。1ドルが1ドルになれば、アメリカで
買った方が安いものがたくさんある。クリスマスショッピングのシーズンにはカナダ人が越境ショッピングに
どっと繰り出しそう。30年前は1年に1回しか免税枠を使えなかったけど、今は滞在1回ごとだし、金額も
かなり上がっているから、週末ごとにちょこちょこ出かけたらかなり無税で買い物ができる勘定。カナダの
人口は国境沿いに集中しているから、アメリカ側のモールはまたもやカナダ人で溢れかえるかも・・・

なんだか得するような気分になるけど、おいおい、ちょっと待て。ひとりぼっちのグローバルビジネスは
「輸出」の比率がやけに高い。カナダドル高になって喜ぶのは買う方だけで、売る方には「冬の時代」だ。
円安のおかげで円建レートが実質的に「大幅値下げ」になってしまったのに、アメリカドルのレートまでが
値下げになってしまうわけだから、あ~あ、がっくり来ちゃうよなあ。レートを上げてくれなんて気安く言え
ないこの業界、レートの高いところに営業攻勢かけるか、もっと仕事をするか。じゃないとカナダドルでの
決算は減益になっちゃうもんなあ。ああ、ヤダぁ~


食べる話で元気百倍

2007年09月20日 | 今日の風の吹きまわし
徹夜ボケというのは2日くらいして後遺症が出てくる。時差ボケと似たようなもので、体内時計が狂うことに
は変わりがないから、同じことか。そんなわけで今日はちょっとペースを緩めて、野菜の買い出し。

トウモロコシが8本で4ドル。1本60円くらいかな。収穫期もそろそろ終わりだから、4本買って来て今日の
夕食にした。スチーマーで蒸すと、茹でるのとはまた味わいがぜんぜん違う。茹でるときは塩を使うけど、
蒸すときはトウモロコシそのままの甘さだし、粒々のぱりっとした食感も残っていい。こんなおいしいものを
車を走らせるのに使ってしまうなんて、なんとももったいない話だよなあ。

でっかい西洋ナスはムサカの材料。ギリシャ系の食品店でケファロティリというチーズを買ってあるので、
料理にちょっと時間をかけられそうな今のうちに作ろう、というわけ。これ、ちょっと塩気のある羊のミルクの
チーズで、厚めのスライスに軽く粉をまぶしてオリーブ油で色が付く程度に焼いたものに、レモンをジュッと
絞って食べるとすご~くおいしい。

チーズといえば、しばらくチーズショップに行っていないなあ。ツレアイ君はスモークしたグーダとか、うんと
熟成したチェダー、グロスターといったオランダ、イギリス系が好き。私はブリーとかポールサリュのような
柔らかなフランス系のものと、ヤギや羊のミルクで作ったちょっとクセのあるものの両極端が好き。フランス
の伝統のあるケベックにはおいしいチーズがけっこうある。クリスマスが近づけば、モッツァレラにバジルの
葉とプロシュットを巻き込んだものが出て回る。スライスすると赤とグリーンのクリスマスカラーというわけ。

でも、クリスマスの話はまだちょっと早すぎるなあ。あと2週間半で感謝祭だから、フリーザーに入っている
7キロの七面鳥を焼く算段を始めなくちゃ。詰め物の味付けに使うハーブはサイモン&ガーファンクルの歌
の通りに「パセリ、セージ、ローズマリー&タイム」。それから松の実と七面鳥のレバー。ふむ、今年は鴨の
燻製の脂身をちょっぴり入れてみようか。

来週はそろそろ肉類の買い出しに行かなくちゃ。久しぶりにカスーレを作ろうかなあ。これもちょっと手間が
かかるけど、だいぶ前からそのつもりで缶詰めの豆を買ってあるんだし・・・。たまには日本料理的なものも
作ってみようかなあと、日本のレシピをググッてみることもあるんだけど、ご飯に添える「おかず」の分量な
もので、1品に野菜類を添える我が家の「メインコース」の量がわからなくて、つい「めんどう、やめとこ~」
となる・・・食べものの話になると俄然元気が出て来てしまう私なんだけども。


渡る世間は・・・

2007年09月19日 | 今日の風の吹きまわし
急に肌寒くなった。隣町のそんなに遠くないところで真っ白になるほど雹が降ったらしい。そういえば、午後
ツレアイ君が「雷が鳴ってるよ~」といってきた。へぇ。近ければ、一応はコンピュータをシャットダウンする
ことも考えるけど、聞こえないよ~。外を見たらけっこう青空が広がっていい天気。不安定なのはやっぱり
季節の変わり目なのだろう。

やった、やったという達成感みたいな気分に乗って、そのまま次の仕事にアタック。まあ、よくある職場での
もめごとなんだけど、専門性が何にもないからかえって難しい。どうしてこうも人間関係がこじれるんだろう
なあと思いつつ、目を吊り上げた当事者の顔を想像しつつ、「お局さま」になったつもりでやってみるけど、
う~ん、やっぱり難しい。難しいんだけど、ちょっぴりのぞき見しているみたいで、ひとり外野席はワイワイ。

それにしても、よくもめるなあ。セクハラでなければパワハラ。でなければ女同士のけんか。読売小町でも
頻繁に出てくるテーマだから、ありふれた職場の問題なんだろうけど、いったい何なんだろうなあ。やっぱり
バブルの後遺症なんだろうか。根本的に自分に自信を持っていないように見えるし、自分が誰かわかって
いないようなところもある。自分が他人みたいになってしまっているのかもしれない。ふ~ん、自分は他人、
他人は自分を映す鏡・・・はあ、それでお互いを疑心暗鬼の横目で見てるんかいな。

ツレアイ君のコンピュータにまた前と同じ変なウィルスが入り込んだらしい。起動するとへんてこりんなログ
インのダイアログが出る。セキュリティのアプリケーションを作ったところに電話しても埒があかなくて、どう
すればいいんだ!と詰め寄ったら、ヘルプデスクの人が別の会社が作ったアプリケーションを教えてくれた
そうだ。「ぼくも使っています」だって。おいおい、昔からある「うちのスタッフは向かいのレストランで食べて
ます」っていうジョークと同じじゃないの、それ?たとえば、マイクロソフトのヘルプデスクの人が、「マックを
使うと良いですよ。ボクも使ってます」というのと同じじゃない?うはは・・・

まあ、おススメのアプリケーションをダウンロードしたらインストールする前にウィルスを検知して、駆除して
くれたそうで、あわや・・・のウィルス感染はくしゃみ程度の軽症で済んだようだ。ふぅ・・・


あなた、作る人、私、食べる人

2007年09月18日 | 今日の風の吹きまわし
あ~あ、とうとう徹夜しちゃった。ふつうなら3日分に近い量をトータル13時間でやったわけだから、1日で
2日働いたってことかな。だったら今日1日は「振り替え休日」・・・というわけには行かないのが玉にキズ。
アドレナリンがじゃんじゃん出ている間に押せ押せで行かないとまた徹夜になってしまう。だけども、なぜか
切羽詰ってしまうとすごいパワーが出るのが不思議。太古の時代からの生存本能なのかもしれないけど、
最後の6時間はトイレにも行かずにひた走りしてしまった。

服を脱ぎ捨ててベッドにもぐりこんだのは午前8時。朝日がキッチンいっぱいに差し込んでまぶしかった。
そうだなあ、日の出どころか朝の光を見ることもあまりないもんなあ。少しだけ寝て正午前に起き出したら、
サンフランシスコからトライアルに合格したという知らせ。めったに「A」を付けないベテランが「A」を付けて
くれたそうな。まあ、英日時代にいやになるほど契約書をやったもので、Legalese(一見難解な弁護士語)
はお手のもの。中身が把握できたら、後はあのもって回った文体で書けばいい。それでも、これはめっちゃ
うれしいニュース。まだ仕事が来たわけじゃないけど、さっそくツレアイ君とハイファイブ!でお祝い。

きのうのツレアイ君は、ブレッドメーカーでパンを焼いて、アイスクリームを作って、パスタソースを作って、
と大車輪だったらしい。パスタソースは一緒に入れる野菜の量を減らしたり、外したりして研究に熱心だ。
ミートソースにすると特に独特の味わいがあって、すごくおいしいから、私は徹底的にほめまくってしまう。

キッチンで鍋をかき回しているツレアイ君なんて、10年前には想像もつかなかった。だって、結婚してから
ずっと共働きだったのに、家事はまったく手伝おうとしなかった人なんだから。(ここはパパを見習ったせい
だろうけど。)とにかく、「おいしいものを楽しんで食べる」ことには関心が低かったツレアイ君だけど、週末
ごとに外食するようになってからは、少しずつレストランをグレードアップして行くうちに、「食」に興味を持ち
出したらしい。作戦成功!というわけじゃないけど、人間は年を食うにつれて「色気より食い気」というのが
私の信条だから、これは「良い方向へ発展しています」ってことかな。

だけど、ツレアイ君は人の指示をあまり聞かないから、そばで手取り足取り教えるってわけには行かない。
私も人に手取り足取り教えるのはどうも苦手なたちなので、「レシピ通りに行くと思わない方がいい」という
くらいの助言はしたけど、後はツレアイ君におまかせ。少しくらい危なっかしくても知らんぷり。キッチンから
すごい音が聞こえても知らんぷり。とにかく「教えて君」になるまでは耳を塞ぎ、目をつぶっての知らん振り。
レシピは目安であって、ニンジン1本でも大きさも違えば味も違うし、調理器具だって、プロ用と家庭用では
パワーが違いすぎて、同じ結果が出ると思ったら大違い。ここは臨機応変に工夫するしかないわけだけど、
マニュアル人間的なところがあるツレアイ君はその臨機応変が苦手。おまけに、失敗したらへこむどころか
パニックになってしまうことが多い。

それでも、この数年にキッチンがすごいことになったことが何度もあったけど、掛け値なしでおいしい!!と
いえるものができあがるようになった。そうなると男はますます凝ることになっているらしいし、道具に凝る
向きも多いようで、ツレアイ君もご多聞に漏れず。メインコースを作る私よりも高級な道具を持っているから
すごい。う~ん、仕事に追われていない1日があったら、夕暮れを感じつつツレアイ君が作ったマティニを
傾け、ツレアイ君が育てた(超オーガニックの)野菜サラダと特製ドレッシング、私のお得意メインコースの
後はツレアイ君が作ったアイスクリームかクレムブリュレ。挽き立てのコーヒーの後は、スロージャズを聴き
ながらゆっくりとアルマニャックのグラスを傾ける・・・な~んてひとときもいいだろうなあ。


秋来たりなば冬遠からじ

2007年09月16日 | 今日の風の吹きまわし
土曜日。天気はどうやら下り坂。今年はあちこちで早々と紅葉の始まっているそうだ。そういえば我が家の
池のほとりにあるツタカエデも半分ほど紅葉している。木々はラニーニャのせいで寒い冬が来るって知って
いるんだろうなあ。

仕事が詰まったと言いながら(ほんとにきっちきちに詰まっているんだけど)、ディナーにお出かけ。今日は
久しぶりにお気に入りのLe Crocodile。前回のサーバーだったラファエル君の担当のテーブル。ちょっと
おちょぼ口のフランス語訛りがかわいい。(ケベックのフランス語じゃなくて、フランスのフランス語の訛り。)
私は焼いたフォアグラとウズラのグリルの前菜にカリブーのヒレ肉。ツレアイ君はシャンテレルのサラダと
ヒレ肉のステーキ。ちょっとこってりだから、ワインはローヌ川下流のグレナシュを多く使ったものを選んで
もらった。

フォアグラの横についていたウズラ。ちっちゃなドラムスティックを見たら、こんな「小鳥」を食べちゃっても
いいのかなあと思ったけど、けっこうあっさりしていい味だった。カリブーというのはカナダ北部の森に住む
トナカイ。そのヒレ肉なんだけどクセがない。ラムの方がよっぽど自己主張が強いくらいだ。ソースはワイン
リダクションという、ワインを煮詰めて濃縮したもの。

このリダクション、エスコフィエが考案したという話で、今けっこう流行っているソースだけど、簡単なようで
実はすごい量のワインやお酒がいる。飲み残しのワインを使い切ろうと思って作り始めたら、結局もう1本
開けて、その半分も使ってしまったくらいだ。それでできあがったのが、二人前ちょっとくらいのレッドワイン
リダクション。思いつきにしては上出来で、おいしかったけども・・・

ツレアイ君に、明日は2日分の仕事を超特急でやっつけなきゃならないもんで、おかまいできませんよ~と
予告したら、「ボクはパスタソース作りで忙しいからいいよ~」ときた。緑色のままぐずぐずしていたトマトも
慌てて色づいているらしい。やっぱり冬はすぐそこまで、なのかな。

秋の日の、ためいきの・・・

2007年09月15日 | 今日の風の吹きまわし
夏らしさもどうもこれまでらしい金曜日。朝食もそこそこにダウンタウンへ出た。まずは、予約をしてあった
公証人のところへ行って、日本で必要な書類に署名して、自筆の署名であることを証明してもらう。何しろ、
結婚して英語苗字になって、それからファーストネームが変わって、日本国籍はとっくにないし、おまけに
戸籍も抹消してしまっているというややこしい話になもんで、あっちの国のお役所が「どこの誰なんだろ?」
と首をかしげてあたりまえのユーレイ日本人なのだ。

次の目的地はとなりのブロックにあるパスポートオフィス。テロ対策におおわらわのアメリカが、これまでは
パスポートもビザもなしで往来できたカナダ人にもパスポート所持を求めることに決めたから、さあ大変。
今年は空路でのアメリカ入りだけなんだけど、今までアメリカは庭続きの「お隣のワシントンさんち」みたい
な感覚でいたカナダ人はパスポートを持っている人が少ない。それがパスポートがなきゃ出張もできないと
なって、パスポートオフィスには初めてパスポートを申請する人たちが長い、長い列を作った。朝の5時に
並んで、手続きが終わったのは正午近くなどという信じられない話もあったそうだ。

でも、先月から、すでにパスポートを持っている人は写真とパスポートと簡単な申込書だけで、めんどうな
国籍や身元の確認手順が不要になったおかげで、混雑はかなり緩和されたらしい。着いたのは午後1時
過ぎで、待合室には空いた椅子がちらほら。おお、と思ったら、番号をくれた案内カウンターの人が「ここで
待っていなくても、1時間くらいで戻ってくれば大丈夫」だって。なんだ、番号をもらってコーヒーでも飲みに
行ってしまった人がたくさんいるらしい。というわけで、私たちもダウンタウンをぶらついてくることにした。

パスポートオフィスに戻ったのは午後1時ちょっと過ぎ。歩き疲れた足を休めること30分ほどで私たちの
番号が表示板に出た。その間、応答がなくて別のに変わった番号がいくつかあった。あれあれ、ランチに
出かけて戻るのが間に合わなかったのかな。この人たち、また並び直しになるのかしら。二人分を一緒に
手続きしている間に、案内窓口にオフィスの外まで溢れる行列ができた。どうやら金曜日の午後ということ
で、早めに仕事を抜け出して来た人たちがかなりいるようだ。二人分174ドルの手数料をクレジットカード
で払い、レシートをもらって、手続きはおしまい。新しいパスポートは10月第1週に書留で郵送されるとの
ことで、サンフランシスコ行きに十分間に合いそうだ。

これで今日の用足しはおしまい。始まりが早い金曜日のラッシュアワーの中を、帰り着いたら3時半過ぎ。
市役所からの郵便を見て仰天。先月払ったはずの駐車違反のチケットが未払いだからと何と「召喚状」。
小切手帳を見たら、あちゃ~、払った金額を間違って、足りないではないか。すでに払った分は丸損という
ことにして、倍になった罰金を払うか、裁判所へ行って「無実」を主張するか。もちろん、メーターの時間を
オーバーしてたんだから、無実ってことはありえないわけで・・・しょうがない、60ドル、スト中でサービスが
ゼロの市役所に、鼻をつまんで寄付しちゃおっと。

仕事はどんどん遅れて来た。ここんところは、のんきにブログなど書いてないで、腕をまくらなくちゃ。いや、
腕まくりなんて柔なことは言ってられない。もろ肌脱ぎにねじり鉢巻3本で徹夜、くらいじゃないと・・・うう


安倍さんでなくたってストレス

2007年09月14日 | 今日の風の吹きまわし
安倍さんが急に辞めちゃったと思ったら、機能性胃腸症とかいうので入院したとか。「美しい国」を標榜する
経済大国日本の総理大臣が、なんだか「ボク、もう、や~めた」みたいな感じで仕事を放り出してしまうって、
どう見てもやっぱり今どき風だなあ。経費のごまかしみたいなケチっぽいスキャンダルで次々大臣が辞職
なんてバナナリパブリックじゃあるまいし、と思っていたけど、見たら二代目、三代目のお坊ちゃまばっかし。
昔から「売家と唐様で書く三代目」というからねぇ。それに、子供は親を見て育つものだし・・・

胃腸障害というから何かと思ったら機能性胃腸症だって。ちょっとググッてみたら、日本人の4人に1人は
経験者で、比較的女性に多いんだそうな。世界的にも増えているそうだけど、要するに、ツレアイ君などは
成人した頃からずっと患っているというストレス性の胃腸障害。消化不良に胸焼け、げっぷにおなら・・・。
ツレアイ君はTUMSという制酸薬の一番大きいのをいつもベッド脇においているし、旅行に行っても必ず
一度は薬局を探し回ることになる。だけど、入院するってのはちょっと大げさじゃないのかなあ。世界中に
ごまんといる患者は、薬を飲んで、愚痴をこぼして、それでも仕事は投げ出さずにがんばってるんだけど。

バンクーバーではレストランの屋外パティオや建物の入口付近などでもタバコを吸えなくなるそうだ。夏は
人気のパティオだけど、歩道の一角を占拠しているわけで、若い人に人気のレストランやスターバックスの
あるところでは、歩行者はタバコの煙の中を歩かされる。歩道いっぱいに若いアジア人が固まってタバコを
ふかしているところには英語学校があると冗談に言われるくらい。(まあ、歩道いっぱいで通れないから、
煙の中を歩かずに済むんだけど。)新条例ではビルの入口6メートル以内は禁煙になるそうで、毎日雨の
季節が来たら、スモーカーにはストレスの溜まる街になるかもしれない。

バンクーバーの住宅取得可能指数が71を超えたそうだ。平均的な世帯が平均的な戸建の家を買うには
世帯所得の71%のお金がかかるということだけど、これは税引き前の世帯所得だから、手取りの所得で
見たら100%を超えてしまう。何とか平均的な家を買えたとして、平均的な25年償却のローンだと月々の
支払が実に3230ドル(約35万円)だから、共働きでもかなり苦しい。金利が一ケタの今でもこれだから、
若い世代には大きなストレスだろう。ちょうど25年前に私たちが初めてマイホームを買ったときの金利は
20%近かったから、半分近い頭金を払ってもまだ私の手取りがほぼすっぽりローンの返済に消えたけど、
それでもバンクーバーに家を買うことはできた。今だったら、標準25%の頭金を貯めるのだって難しそう。

きのうの家族形態の統計によると、一世帯あたりの人数が減り続けて、今では単身世帯が全世帯の3割
近くになっているという。15才以上の人口で未婚者が過半数を占めるようになったこともあるだろう。独居
人口が増えると、住居もそれだけの数が必要になる。ダウンタウンはコンドミニアムの建設ラッシュだけど、
このあたりにも原因があるのかもしれない。独身で、大きなローンを抱えて、気晴らしにスターバックスの
歩道のテーブルでエスプレッソを飲みながらタバコを吸うこともできないとなれば、安倍さんじゃなくたって
機能性胃腸症になるんじゃないかなあ。若いって大変・・・