極楽とんぼは風まかせ

東は東、西は西。交わることなき二つとはいえ、
広い太平洋、東の風が吹き、西の風が吹き・・・

ご馳走を食べ過ぎたホリデイ

2015年01月01日 | 今日の風の吹きまわし
12月のいわゆる「ホリデイシーズン」はけっこう長い。キリスト教徒にはイエスの生誕を祝うクリスマス、
ユダヤ教徒にはユダヤ人が異教徒からエルサレムの神殿を取り戻して潔めたことを記念するハヌカがあ
り、アメリカのアフリカ系の人たちには(半世紀くらい前から)アフリカの収穫祭にルーツを持つクワンザが
ある。異教徒や異人種の行事が重なるもので、盲目的な「ポリティカリーコレクトネス」が蔓延っていた頃
は、クリスマスとハヌカをまとめて「光の祭」に言い換えようとしたり、挨拶を「ハッピーホリデイズ」に変え
ようとする動きもあったけど、最近はクリスマスはまたクリスマスで良くなったように思う。まあ、声高に自
由だ、権利だと叫んで、結局は(意図していなくても)その自由を抑圧して窮屈な社会にしてしまうめんど
うくさい人たちが多すぎるのが現代社会。

さて、2人家族の我が家の「ホリデイ行事」は、15日頃にクリスマスツリーを飾り、クリスマスイヴ、クリス
マス、大晦日、元旦とご馳走を食べて、Epiphany(公現祭)の前の日1月5日にツリーを片付けるのが
「習慣」。ツリーを飾ったら、カレシのお尻を叩いてご馳走の食材の買い出しに普段はあまり行かないグ
ルメショップやスーパーを回る。Gourmet Warehouseはフォアグラ、Bosa Foodsはパネットーネを初め
とするイタリア食材、郊外のHマートでもこのときはお正月用食品の仕入れ。おいしいものを食べるのも
けっこうひと仕事・・・。

さて、クリスマスイヴ。朝食もそこそこに、まずはバゲットを焼く作業。ブレッドマシンに材料をセットして、
その間に(2つの)フリーザーの点検。なぜか霜取り作業に発展して、逆とんぼになって底まで手を伸ば
して大汗。底の方には何年も忘れていたものが入っていたりする。その合間に出来上がった生地をボウ
ルに出して少し休ませ、レバーのパテ作りの準備。鶏のレバー、玉ねぎ、にんにく、スパイスにクリームに
山羊の乳のバターに「モンシェリ・レミ」。パン生地を3本のバゲットにまとめて休ませている間にオーブン
を温め、その間にパテの材料を炒め、オーブンが温まったらバゲットの生地を入れて、今度はパテの材
料をフードプロセッサにかけてココットに詰め、少量をミニ皿に入れてパセリの葉をぺたっ。これでやっと
ディナーの準備にかかれる・・・。

やっとカレシの出番になって、マイクログリーンを摘んで来て、マティニ作り。グラスを片手にステーキの
半分の牛肉をチョッパーで挽き肉に。骨付きラムのヒレをオーブンに入れて、カレシがピノノワールの栓
を抜いて、いよいよクリスマスイヴのディナー・・・。

      

アミューズブーシュは作りたてのチキンレバーのパテ。焼きたての薄切りバゲットをトーストして、トマトと
一緒に。今回はちょうどよい固さになって、味もすごく良くできた。ワタシのレミが効いたのかな?(テーブ
ルマットの柄がうるさすぎ。)

      

イノシシのスライダー(ミニハンバーグ)。マッシュルームとリークの細切れを山羊の乳のバターで炒めて、
牛乳を入れてソースにしたのを下に敷いて、スライダーを乗せて、その上にハーブを載せた山羊のチー
ズ。付け合せはさやいんげん。

      

自家製の牛の挽き肉でウズラのゆで卵を包んで、転がしながら蓋をして蒸し焼き。ソースはブランディを
煮詰めたリダクション。付け合せはレインボートマトとにんじん。

      

ラムが頃よくミディアムに焼き上がったので、ジャガイモを蒸してオリーブ油とレモン汁と刻みパセリの中
を転がして、後はレインボートマトをスライス。

少量のサラダの後のデザートはゴディバのトリュフ。

翌日はクリスマス。日差しの明るいキッチンで日がな一日料理三昧。まずはカレシご所望のクッキー作り。
混ぜたタネを二分して、刻みピーナッツのと、アーモンド粉/削ったダークチョコレートのクッキー2通り。
前回は膨らんだ生地が押しくらまんじゅうして四角いクッキーになってしまったけど、今度はどうやら丸く
焼けた。

イヴは肉が中心だったから、クリスマスは鳥。解凍した材料はフォアグラ、鶏もも、鶏の胸挽き肉、鴨の
胸肉、七面鳥の胸肉。あとは思いつき上手?のシェフ次第・・・。

      

玉ねぎとほうれん草をバター炒めしてとろっとなるまで煮詰めたソース。少量の鶏の胸肉におろしりんご
と刻みパセリを混ぜて、小さな肉だんご2個。フライパンで火を通してからほうれん草ソースの中にぽとん。
赤と緑はクリスマスカラー・・・。

      

ちょっとぼけたりんごを刻んでバター煮して、水で緩めたのにカルヴァドスを加えたアップルソース。フォ
アグラは塊から2枚切り出して少し高めの温度でフライパン焼き。1982年もののアルマニャックをジャッ
とかけて仕上げ。りんごソースと夏の間に冷凍しておいたブルーベリーを解凍して彩に・・・。

      

胸の挽き肉にオレガノとローストガーリック、白トリュフのペーストを混ぜて、鶏のもも肉にくるっと巻き込
んで、転がし焼き。先日買ったスパイラルスライサーでにんじんをごりごりやったら1メートルもありそうな
「ヌードル」になったからびっくり。アスパラガスの穂と一緒にさっと茹でて、黒オリーブを散らして付け合
せ。(使いでのありそうな道具。)

      

鴨の胸肉はマスタードでひと晩マリネートしておいて、皮の厚い脂に包丁目を入れて、途中で出て来る脂
を捨てながらミディアムちょっとにフライパン焼き。緑色のオクラと赤いビーツを蒸して付け合せ。肉は柔
らかくておいしかった。

      

クリスマスの定番は七面鳥。胸肉の片側の半分くらいのを買って来てあったけど、まだ大きいのでさらに
半分。真ん中から両側に開いて刻んだにんにくとパセリを載せ、凍らせておいたバターを置いてきっちり
巻いたものに、しっかりと小麦粉、卵、パン粉をつけてフライパンで転がし焼き。(焼き上がる頃に中でバ
ターが溶ける。)同じスライサーで作ったにんじんとズッキーニのリボンと、カレシが温室から採って来た
(最後の)ちっちゃなブロッコリを蒸して、赤いトマトで彩を添えてみた。

      

軽いサラダの後はクッキーとコーヒー。

大晦日の夜はワタシの実家の長年の習慣を継いで「すき焼き」。普通のスーパーでは薄切りの肉を売っ
ていないから、昔は半分凍らせたロースト用の塊を四苦八苦しながら薄切りにしていた。家族で移民して
来る韓国人が増えて大きなスーパーを維持で切るだけのコミュニティができた今は、アメリカで起業して
北米各地に展開している「Hマート」に行けば、すき焼き用、しゃぶしゃぶ用と表示した薄切り牛肉の大き
なパックが手に入る。他に(最近はなぜか縮小気味だけど)日本食の食材も手に入るから、便利になった
もんだ。

すき焼き鍋がないのでちょっと小さめで深い鋳物のフライパンで代用。テーブルに1口レンジを置いて、
割り下はけっこういい加減だけど、牛肉、白菜、豆腐、えのきだけ、ねぎ。熱々を溶いた卵につけて、松
茸ご飯と冷やした純米酒をお供に、ワタシにはなつかしい大晦日の味。紅白歌合戦はないけど、真夜中
にはシャンペンの栓を抜いて・・・。

そして、2015年元旦。元旦はかくあるべきというくらいの晴天。のんびり正午過ぎに起きて、シャンペン
入りのオレンジジュースで乾杯して、普通に朝食。夜はホリデイのご馳走ラウンドその4(最終回)。何を
思ったか2015年のテーマは「アジア」。大筋だけはイメージしてあったけど、何ができるかは本番までヒ
ミツ。もっともシェフがわかってないんだから、ヒミツにしようがないけど。

      

思いつくものを全部作ったら食べきれないから、消去法で残った「何ちゃら風」の9品。下ごしらえを含め
てほぼ3時間半かかって、日本風、韓国風、中国風、タイ風、インドネシア風、国籍不明がごっちゃまぜ。
お盆に並べるのがひと苦労。

まずは「何となくお雑煮風」お吸い物。鶏のささみ、しいたけ、ねぎ、玄米のお餅。ビクトリアの自然食品屋
が作っているお餅は平べったい大きな四角。適当に2個分を切り出して、トースターオーブンで焼いて膨
らませた。「それなりにおせち風」はごぼう巻きと一緒に煮たごぼう、子持ち昆布、板かまぼこの3品。ご
ぼうはワタシの大好物。今はHマートにいつも長いのがある。「寿司」はキハダ、サーモン、イクラ。寿司
飯はフリーザーで冷凍してあったものを電子レンジで温めて、合わせ酢を少し足したもの。「サムゲタン
風鶏肉団子」は鶏の挽き肉に刻みねぎを混ぜて、ゴチュジャンを少々加えたものをしいたけと一緒に高
麗人参としょうがで煮た。「ナムル」は大豆もやしとにんじん。「中華風焼き餃子」は包丁で叩いて刻んだ
えびに刻みねぎとチャーハンの素を混ぜたもの。これで中華風というのはちょっとこじつけっぽいけど。
「インドネシア風チキンサテイ」は鶏のささみをココナツミルクを混ぜたピーナッツソースに漬けておいて、
焼いたもの。サンバルがなかったのでタイのチリをちょっぴり。「タイ風えびチリ炒め」はえびといかとコリ
アンダーを炒めてタイのチリソースで味付け。そしてスパイラルスライサーでジュリエンにして蒸したビー
ツの「巣」の中にウズラのゆで卵。これは「何かわかんないっちゃ」。

デザートは解凍しておいた日本のミニ大福。2人とも満腹、満足のいいお正月。でもこのホリデイはちょっ
とばかり食べすぎ、飲みすぎだったようで、揃って何となくぷにぷに、ぷよぷよ。日本に倣って三が日が
明けたら、生活全般を平常に戻して、しっかり運動しなくちゃ。