日本の国籍法第11条には、「日本国民は、自己の志望によって外国の国籍を取得したときは、日本の
国籍を失う」と書かれている。また、日本の旅券法第18条には日本のパスポートが失効する理由として、
その1に「日本の国籍を失ったとき」と明記されている。さらに、戸籍法第14節第102条の2には、「国
籍喪失の届出は、届出事件の本人、配偶者又は4親等内の親族が、国籍喪失の事実を知つた日から
1箇月以内(届出をすべき者がその事実を知つた日に国外に在るときは、その日から3箇月以内)に、
これをしなければならない」としている。届出制の戸籍は国籍喪失届がないといつまでも抹消できない
から、「5万円以下の過料」の罰則つきで届出義務を定めている。
つまり、日本人が自分の意志で外国の国籍を取得すると、「日本国籍」は自動的になくなってしまうので
あって、喪失届を出さないで戸籍を「残している」と言う人もいるけど、それは単なる「幻」。でも、日本に
籍がなくなっても、それは外国に移っただけ、つまり日本の「国民」だった人が別の国の「国民」になった
だけのことで、「日本人」でなくなるわけではないのに、「日本国民=日本人」の観念が染み付いている
日本人には「国籍喪失=日本人失格」という恐怖の図式が浮かぶらしい。おまけに「日本人が外国人に
なれるわけがない」というから、「てことはなにかい、おまいさん、日本国籍を喪失した日本人は人格も
喪失するってことになるんかい?」と突っ込みたくなるけど、まあ、このあたりは、定年で企業の名入り
名刺がなくなって自己の存在感まで喪失してしまうサラリーマンに似たイメージがあるのかもしれない。
たぶんに、人間が戸籍(家)と言う「箱」に所属するという概念の影響なのだろう。
カナダのように重国籍を認める国がある(といってもつい30年ほど前からの話)一方で、日本のように
外国籍になったら「はい、さよなら」という国もある。ちょっと読み込めば、「どうしても家を出ると言うなら
勘当だ!」と言っているようにも聞こえなくもないけど、まあ、「日本」というオヤジは家父長制の尻尾を
引きずっているんだからしょうがない。外国籍のままで何年も日本で暮らすのは不自由が多いと聞いて
いるけど、移民で成り立つカナダでは、もちろん、いずれは正式に「カナダ人」になって欲しいけれども、
永住者の資格を持つ「外国人」のままでいても誰も何も言わない。
選挙権がないことや公務員に採用されにくいこと以外は、社会保障などで市民と差別されることもない
から、現実に市民権を取らないままでカナダで一生を終える人も相当な数になる。アメリカへ行くときに
その他外国人と同じく扱われるのが不便だと言う人もいるけど、それは国境通過で特権を持つ「カナダ
国民」ではないからというアメリカ側の論理にすぎない。日本国籍のままでいれば、子供に日本国籍を
伝えられるし、日本に2年くらい里帰りしたって5年間に合計3年カナダに居住していれば永住権を喪失
することもない。要するに日本人(国民)でいたければ無理してカナダ国籍を取る必要はないということ
なのだ。
なのに、カナダ国籍を取って、同時に日本国籍/旅券「も」キープしたい、しているという人たちがかなり
いる。日本の法律の上では外国籍になった日から日本国籍はなくなり、日本国旅券も無効になるから、
その旅券を使うことは旅券法違反になり、「五年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又は
これを併科」される。「日本が二重国籍を認めないからしかたがないじゃん」というけれど、カナダ国籍に
ならなくても支障がないのに、危険を冒してまでなぜ「二つの国籍」を持ちたがるのか不思議でならない。
「あたしは日本人だってことに誇りを持ってるから」と言う理由も、「日本の法を犯してまで」という疑問を
解くだけの説得力はない。日本の法律の話だからカナダではどうでもいいんだけど、やっぱり疑問。
ひょっとしてカナダの市民「権」が欲しいということなんだろうか。カナダの移民制度には「移民権を取る」
という観念はないんだけど、日本人はよく「移民権を取る」というし、永住者は「永住権がある」というし、
カナダ国籍になれば「市民権を取った」という。つまり、「権」とつくものは何であれ持っていないと損だと
いう心理があるのかもしれない。あるいは、「あっちが欲しいけどこっちも手放すのはイヤ」という欲張り
なのかもしれないし、単に「スリルの追求」なのかもしれない。ちょっとうがった見方をすれば、国際化と
やらで海外で暮らす日本人が増えすぎて「外国暮らし」のブランドパワーが低下したものだから、ここは
希少価値が感じられる「二重国籍」ブランドでワンランクアップの効果を狙っているのかもしれないし・・・
国籍を失う」と書かれている。また、日本の旅券法第18条には日本のパスポートが失効する理由として、
その1に「日本の国籍を失ったとき」と明記されている。さらに、戸籍法第14節第102条の2には、「国
籍喪失の届出は、届出事件の本人、配偶者又は4親等内の親族が、国籍喪失の事実を知つた日から
1箇月以内(届出をすべき者がその事実を知つた日に国外に在るときは、その日から3箇月以内)に、
これをしなければならない」としている。届出制の戸籍は国籍喪失届がないといつまでも抹消できない
から、「5万円以下の過料」の罰則つきで届出義務を定めている。
つまり、日本人が自分の意志で外国の国籍を取得すると、「日本国籍」は自動的になくなってしまうので
あって、喪失届を出さないで戸籍を「残している」と言う人もいるけど、それは単なる「幻」。でも、日本に
籍がなくなっても、それは外国に移っただけ、つまり日本の「国民」だった人が別の国の「国民」になった
だけのことで、「日本人」でなくなるわけではないのに、「日本国民=日本人」の観念が染み付いている
日本人には「国籍喪失=日本人失格」という恐怖の図式が浮かぶらしい。おまけに「日本人が外国人に
なれるわけがない」というから、「てことはなにかい、おまいさん、日本国籍を喪失した日本人は人格も
喪失するってことになるんかい?」と突っ込みたくなるけど、まあ、このあたりは、定年で企業の名入り
名刺がなくなって自己の存在感まで喪失してしまうサラリーマンに似たイメージがあるのかもしれない。
たぶんに、人間が戸籍(家)と言う「箱」に所属するという概念の影響なのだろう。
カナダのように重国籍を認める国がある(といってもつい30年ほど前からの話)一方で、日本のように
外国籍になったら「はい、さよなら」という国もある。ちょっと読み込めば、「どうしても家を出ると言うなら
勘当だ!」と言っているようにも聞こえなくもないけど、まあ、「日本」というオヤジは家父長制の尻尾を
引きずっているんだからしょうがない。外国籍のままで何年も日本で暮らすのは不自由が多いと聞いて
いるけど、移民で成り立つカナダでは、もちろん、いずれは正式に「カナダ人」になって欲しいけれども、
永住者の資格を持つ「外国人」のままでいても誰も何も言わない。
選挙権がないことや公務員に採用されにくいこと以外は、社会保障などで市民と差別されることもない
から、現実に市民権を取らないままでカナダで一生を終える人も相当な数になる。アメリカへ行くときに
その他外国人と同じく扱われるのが不便だと言う人もいるけど、それは国境通過で特権を持つ「カナダ
国民」ではないからというアメリカ側の論理にすぎない。日本国籍のままでいれば、子供に日本国籍を
伝えられるし、日本に2年くらい里帰りしたって5年間に合計3年カナダに居住していれば永住権を喪失
することもない。要するに日本人(国民)でいたければ無理してカナダ国籍を取る必要はないということ
なのだ。
なのに、カナダ国籍を取って、同時に日本国籍/旅券「も」キープしたい、しているという人たちがかなり
いる。日本の法律の上では外国籍になった日から日本国籍はなくなり、日本国旅券も無効になるから、
その旅券を使うことは旅券法違反になり、「五年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又は
これを併科」される。「日本が二重国籍を認めないからしかたがないじゃん」というけれど、カナダ国籍に
ならなくても支障がないのに、危険を冒してまでなぜ「二つの国籍」を持ちたがるのか不思議でならない。
「あたしは日本人だってことに誇りを持ってるから」と言う理由も、「日本の法を犯してまで」という疑問を
解くだけの説得力はない。日本の法律の話だからカナダではどうでもいいんだけど、やっぱり疑問。
ひょっとしてカナダの市民「権」が欲しいということなんだろうか。カナダの移民制度には「移民権を取る」
という観念はないんだけど、日本人はよく「移民権を取る」というし、永住者は「永住権がある」というし、
カナダ国籍になれば「市民権を取った」という。つまり、「権」とつくものは何であれ持っていないと損だと
いう心理があるのかもしれない。あるいは、「あっちが欲しいけどこっちも手放すのはイヤ」という欲張り
なのかもしれないし、単に「スリルの追求」なのかもしれない。ちょっとうがった見方をすれば、国際化と
やらで海外で暮らす日本人が増えすぎて「外国暮らし」のブランドパワーが低下したものだから、ここは
希少価値が感じられる「二重国籍」ブランドでワンランクアップの効果を狙っているのかもしれないし・・・