旅してマドモアゼル

Heart of Yogaを人生のコンパスに
ときどき旅、いつでも変わらぬジャニーズ愛

劇団☆新感線 いのうえ歌舞伎 「IZO」(追記あり)

2008-02-02 | 観たものレビュー
まずは最初に。
完全に元気になりましたー!!と自信を持って言えるほどではないのですが、とりあえず、今日の夜、「Endless SHOCK」を観に行ける状態にはなりました。
コメントレスとか遅れてますが、ご容赦ください。調子が戻りましたら、必ずしますよって。

ということで、今日は少しずつ書き溜めていた「IZO」のレビューを。
レビューというほどの出来ではなく、この舞台を観て、私が感じたそのままを書き綴っただけですけども。


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私の中では、「幕末」といえば「新選組!」が真っ先に脳裏に浮かぶ。
過去はどうあれ、私にとって幕末のイメージはすべて「新選組!」が基準だ。
「新選組!」という大河ドラマほど、私に大きな影響を与えたドラマはなく、その後の大河ドラマを「面白い」とは思っても、「新選組!」のように1話たりとも見逃したくない!という気持ちや、登場人物に感情移入して号泣するほどの心の大きな振れはない。

もともと幕末という時代は好きだったのだが、「組!」を見るまでは私はどちらかというと「倒幕派」だった。高杉晋作や桂小五郎といった長州組が好きで、佐幕派ではないが坂本竜馬に憧れていた。
でも、「組!」を見て、佐幕派と呼ばれる人たちも、ただ自分たちの保身のために徳川幕府を維持させようとしていたわけではないことに気付いて、この時代に生きた人々は、それぞれが時代への夢を抱き、自分が思う所を信じて行動していたんだなあと、今までの自分の中にあった幕末の対立イメージは180度覆されたのだ。


まあ、私の幕末LOVE話はこの程度にしておいて。

はい、「IZO」です。
いのうえひでのり氏が、いつか「岡田以蔵」を描きたいと長年あたためてきた企画が、その以蔵のイメージにピッタリと当てはまる森田剛クンを見つけて実現したこの舞台。
劇団☆新感線の中でも、笑いを極力押さえて、華やかさと重厚感があって、人間ドラマとしての側面が多い「いのうえ歌舞伎」。
どちらかというと、今までのいのうえ歌舞伎は、日本の伝承や神話に基づいたストーリーを描くことが多く、人間以外の魔物や神などが登場することが多かった。
が、この「IZO」は幕末という、現代と比較的近い時代の、実在した人物たちを描くということで、リアルなヒューマンドラマとなっている。
それでも、いわゆる生々しさが表立って出てこないのは、いくつかの暗殺シーンなどを映像にして、生の芝居の合間に挿入したことが関係しているかもしれない。
生の舞台と映像が交互に出ることで、ある種の乾いた空気感が劇場内を支配し、それがかえって、以蔵の心情を一層際立たせる劇的効果が出ているように思ったのは、私の思い込みだろうか。

東京公演は明日で終わりだが、これから大阪公演で観る方も多くいると思うので、ネタバレになるような詳しい話は避けるが、この舞台を観るにあたって、幕末についてちょっと知識を入れておいたほうが、何倍も楽しめると思う。
もちろん舞台上でも、「世の中の動き」を知らない以蔵のために、黒船来航から尊皇攘夷が起こるまでの経緯について「説明」があるけれど、それを理解する前にストーリーはどんどん先に進むし、あらかじめ知っていた方が芝居の内容に集中できると思う。

圧倒的な力の差を見せつけて開国を迫るアメリカに、防戦一方でハッキリした態度を示せないでいる江戸幕府。
開国の動きが見え始めた中、水戸藩士による大老井伊直弼が暗殺された桜田門外の変で、言葉通り「天地がひっくり返り」、時代が大きくうねり出した幕末。

薩摩や長州では藩全体で尊皇攘夷の気運が高まっていたというのに、かつて徳川政権の開府に尽力を尽くし、その恩恵を賜っていた土佐藩では幕府擁護の姿勢が強く、尊皇攘夷の動きに賛同する若い下級武士たちは自由に動くことさえままならない。しかも、土佐藩は他藩とは比較にならないほど、封建的な身分制度で縛られていて・・・というのはこの前、短編小説「さだめゆえ」の中でも書いた。

その後の大政奉還までの時代のうねりに、坂本竜馬や武市半平太などの逸材を擁していたはずの土佐藩が完全に乗り遅れたのは、徳川第一の考えを最後まで崩さなかった藩の姿勢と、薩摩や長州の動きに負けまいと先走った若い志士たちのほとんどが、尊皇攘夷の衰退とともに、その命を絶たれたためと言えなくもない。

またしても、幕末語りになってしまったが・・・


武市半平太のように人を率いる度量も時代を読む頭もない以蔵にとって、自らの「天」と崇める武市のために彼が出来ることは、唯一自慢の刀の腕を振るうこと。
武市に自分の働きを認めてもらいたいがため、ひたすら暗殺剣を振るう以蔵。
武市に拾われ、武市に飼われ、そして武市の影であろうとした以蔵だが、坂本竜馬や勝海舟など、武市とは異なる視点や考えを持つ人々に出会うことで、「どんな時代を望むのか」、「新しい時代で何をしたいのか」を問い掛けられ、武市にただ従属しているだけの自分に、ほんのわずかだが疑問を抱き始める。

それでも、以蔵にとって武市は唯一の「天」であるというその不幸。

武市に捨てられては生きてゆけぬと、恥も外聞もかなぐり捨てて必死に彼にすがる以蔵の姿は、あさましさというよりも心を絞められるような切なさに満ちている。
己が所属できる居場所を見つけたら、少しでもそこに長く居続けたいと思うことは、程度の差こそあれ、誰にでも分かる感覚ではないだろうか。


この舞台における以蔵に対する武市の態度や言動は、現代に生きる私たちから見ると「とんでもなく悪いヤツ」に見えてしまうが、当時、上から下まで土佐の藩士に染み付いていた階級制度を思えば納得がいく。
以蔵への手酷い裏切りもまた、己に降りかかった切羽詰った状況をなんとかして切り抜けて、この躍動の時代を生きて、新しい時代を己の力で作るのだという夢を最後まで諦めようとしなかったための、あくまでも「策の一つ」なのだと考えれば、武市=悪という式で一概に括れるだろうか。
それは、薩摩や長州や土佐の志士たちを、徳川幕府に刃向かう敵と見なして、粛清の刀を振るった新選組についても同様に当てはまる。

誰もが己の中に持っていた「正義」の下に動いていた時代なのだと、そう考えなければ、幕末という時代は語れない、と思うのだ。

だが、その「正義」という論理にただ振り回されただけの人々にとっては、この時代は大勢の人の血が流された、残酷な時代でしかない。
武市半平太を信じて、彼の考えが自分を動かす唯一の「正義」だと信じてきた以蔵は、己の刀でもって時代を変えられると信じつつも、やはり結局はその時代に翻弄されてしまった一人なのだろう。
「ただ目に見えるもののの美しさ」に、最後の最後になってようやく気付く以蔵。
その美しさが血で汚された全てを覆い尽くしてくれたら、という以蔵の切なる希望は、しかしその後に続く、新選組による浪士の粛清、時代を変える転機となった鳥羽伏見の戦い、そして東北から北の蝦夷にわたった壮烈な戦の日々を思うと、なんと虚しい思いだったのかと思わざるを得ない。

自分が求める真の幸せが、案外近くにあることには誰も気付かない。
それは、以蔵が生きた時代に限らず、現代に生きる私たちにも言えるのではないだろうか。
いや。
私たちの方が、あり溢れるほどのモノやコトに囲まれて、自分が本当は何を求めているのか、見失ってしまっているのかもしれない。


で。ここから追記。

よく読み返したら、なんかめっちゃ堅苦しいことしか話してないのな、自分。
芝居もめっちゃ重かったけど、私のレビューも負けずに重いよ?

役者さんたちの話をしてなかったですね。
まずは主演の森田剛。
「荒神~AraJin~」の時も「意外とやるじゃん、剛」って思ったけど、今回はね、正直、脱帽ですよ。
岡田以蔵=森田剛のイメージがこれほどピッタリ合うってのはスゴイと思う。
今まで人斬り以蔵といえば、ミーハーですけども「るろうに剣心」の剣心が私の中のイメージだったんだけど(ま、これはもともと作者が剣心=以蔵のイメージで描いてたってのもあるだろうけど)、『天に飼われた犬』というイメージでいくと、小柄な剛くんのどことなく孤独感を漂わせた雰囲気と、それでいて何かに飢えたような眼差しがとても合ってるなーと。

でも何よりツボにハマったのが、竜馬役の池田鉄洋さんですよ!
池田さんといえば、やっぱり堺雅人ファンの間では「ヒミ花」での次男役としてのインパクトが強烈なんじゃないでしょか?
あの池田さんがリョーマですよ?
最初、私もMさんも「池田さんが竜馬ってどうなん?(笑)」みたいな感じだったんですが、いやいや、いやいや、これがね、実際幕が開いて、池田さんの竜馬を見ましたら、これがまた、よく似合ってるんですよ!!
というか、実在の竜馬のイメージに一番近いんじゃないかと思うほど。
なんか、見た目がどんなにだらしなく見えても、何かとんでもないことをやらかしそうな雰囲気が体全体から発散されてるんですよ。
「組!」んときの江口@竜馬も、なかなかナイスキャスティングだと思ったけど、この池田さんが演じる坂本竜馬を映像で見たくなっちゃった。
ずえーったい面白そう!
硬軟自在な感じで、見た目も愛嬌あるし、なんか見ていて「ガンバレー!」と応援したくなっちゃうような竜馬になりそう。
「篤姫」の玉木@竜馬、見た目はカッコよさそうだけど、なんか今までの竜馬像からあまりかけ離れなさそうで、ちょっと期待薄なんだよね。
玉木君って見た目以上に芸達者な人だと思うから、見た人が「え?これ玉木くんなの?」ってビックリするような竜馬を見てみたいかな。

あとツボったのは、なぜか最初から最後までひたすら真面目な役だった山内圭哉さん。
最初登場した時、ふっさふさの髪型だったので、山内さんだと気づかなくて。
でも、顔はどうみても「山内さんなんだよなあ・・・」と思ってたら、やっぱり山内さんで。
なんか、最初から最後までめちゃめちゃカッコよすぎて・・・いや、山内さんは実際2枚目だからいいんだろうけど、でもなんか「違和感あるなー」と見てましたよ。
この芝居で初めて山内圭哉を知った人は、他の芝居での山内さんを見たらイメージ狂うだろうなあ・・・

あ、もっとツボった人がいた!
いったい何の役をやるんだろうと思ってた粟根さんの勝海舟!
粟根さんが「メガネくん」じゃないーーー!!
ってことに軽くショック(笑)を受けつつ、出たよーー!「おいら」!
野田@海舟が脳裏にフィードバックしちゃったよ?
でも粟根さんの海舟も雰囲気あったなあ・・・出番は少なかったけどね(残念)

まあ、武市役の田辺さんも・・・私の中の武市のイメージとはちょっと違うんだけど、「切れ者」の雰囲気は存分に出てたし、剛君との対比という点では合ってたかも。


気づけば、追記でも長々と語っちゃいましたけど。
それだけ、めっちゃいい舞台やったってことですよ?
ジャニーズの人たちも、かーなーりー観に来てたようですしね。
トーマなんて2日も連続で観に行ってたみたいだし、新感線の準劇団員のアックンも観に行ってたし、イノッチもニノもたっちょんも観に行っててん。
MAのヨネちゃんなんて「俺も新感線の舞台に出たい!」とWEBで発言しちゃってたし。




オイ



オイ




私がアンケートにわざわざ「使ってください!」と書いたアイツはどうした?



NEWSの加藤成亮くん



お笑い好きな君のことだから、「未定」を何回も観に行くのもいいけど






「IZO」を観に行けーーーーっ!



もしも東京公演に行かなかったなら



大阪公演もあるから、行ってこーーい!



たのむよ、ホント。


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