露の音 幽かな独り言

 
軌跡を見失わないよう
     追憶のよすがを
       記憶の欠片を遺したいのです

レ・ミゼラブル

2015-08-27 08:47:42 | 日記


数年前に映画で観てから、ずっと観に行ってみたいと思っていました

ミュージカル「レ・ミゼラブル」



今月はお金に余裕ができたので、思い切ってS席をとり

昨日の昼の部を観に行って来ました!


席に着くだけでどきどきするので、劇場って大好きです

歪で傾いた建物のようで美しい舞台美術を眺めて

わくわくしている内に、待ちに待った開演

実際にオーケストラピットでの演奏がある舞台を観たのは

おそらく初めてだったので、凄く感動しました

演奏する方々は見えなくても、指揮者さんの腕は見えるので

そこに大勢の演奏者さんがいることを実感

迫力の演奏と、迫力の歌声

ジャン・バルジャンの囚人番号が異なることなど

映画版のサントラで聴き馴染んだ曲との相違も楽しみつつ

男性たちの重厚な声に聴き入っていました

そこから悲しいシーンが続くので

おそらく舞台が始まって20分経ったかどうかわからないあたり

優しい司教さまのシーンでまず涙が流れました

話は重々に知っているのに、感動してしまうのです


「独白」などのソロパートの歌もそれぞれ素敵なのですが

「一日の終わりに」など民衆たちが声を合わせて歌うところも大好きです

悲しく震え上がる様な日々の嘆きを歌っていても

奥底には生きる力がみなぎっていている様に聴こえます

一方で、娼婦たちの「ラブリィ・レディ」は高い声で陽気ですが

悲しくえげつない実体を無理やり明るく誤魔化しているようで

娼婦たちのシーンが一番恐ろしく感じます


そこから救い出されて病床にありながら

幻のコゼットを想うファンテーヌにまた涙して

独り箒を握りしめるコゼットのシルエットにまた涙ぐんで…

その一方で、待っていましたマダム・テナルディエ!

その巨体と怒声の威力には、反抗心は挫かれるしかないですね

その賑やかな宿では裏で非道がまかり通っていて

夫妻の手際の良さに何処を見るべきか迷うこと

調子のいい表向きの主人はどう考えても手先で

上下関係は明らかにマダムの方が上の様ですね


暗い森の中でコゼットに出会ったバルジャンの優雅な礼に

可憐に膝を折って礼を返すコゼットがとっても可愛い

「雲の上のお城」の2人のハーモニーがとっても素敵でした


それから時が経って

わたしの大好きな人が登場する段となりました

尚も貧民たちの呪う様な歌が響く街を

颯爽と駆け抜け君臨するガブローシュ

叶わぬ想いに奔走するエポニーヌ

原作では、ガブローシュはテナルディエ夫妻の末っ子で

エポニーヌとは姉弟にあたるのですが

劇ではその関係にはまったく触れられない様ですね


映画で観たときに惚れ込んだエポニーヌ

テナルディエ夫妻と破落戸たちの犯罪に加担して見張りに立ち

ジャベール警部が来たと鋭く警告する声や

コゼットの家をテナルディエ一味の襲撃から守るために

独り威嚇する様に歌う力強い声がとっても素敵でした


恋心を秘めて無邪気に奔放に振る舞う姿は本当に可愛くて…

貴方の目は節穴か、とマリウスに問い詰めたくなりますね

マリウスのためにコゼットとの仲を取り持ち

門の外で独り嘆く歌声が悲しい

バルコニーに出てきたコゼットがマリウスを見て

驚いて室内へ戻ってしまったように見えて

外へ降りてきた演出がとっても素敵でした

が、わたしはその後ずっとエポニーヌを見つめてしまいました


劇中のどの歌も好きですが

特に「民衆の歌」と「ワン・デイ・モア」が好きで

観終ってから延々と「民衆の歌」が流れるか

口遊むか口笛を吹くかしています

力強く、希望へ向けて進む姿が本当にカッコいい歌です

その革命の日に向けて、それぞれの想いを歌う「ワン・デイ・モア」

バラバラに歌っているようで、やがて絡み合い

ひとつの旋律に結ばれていく最後に鳥肌が立ちます


25分間の休憩を挟みまして


アンジョルラス達の決起の時

マリウスからコゼットへの手紙を届けて

どこまでも独りでいるしかない境遇を歌うエポニーヌ

「オン・マイ・オウン」の伸びやかで切ない声も素敵です

帽子で長い髪を、コートで身体の線を隠してバリケードに戻り

客席も巻き込まれているかのような銃撃の嵐の中

マリウスを庇って銃弾を浴びたエポニーヌ

苦痛に悶えながら歌う「恵みの雨」

「ムッシュー・…マリウス…」と歌うところでわたしの涙腺決壊

辛そうなのだけれど、幸せそうで

良かったとは言い切れないけれど、エポニーヌは満たされたのでしょうね


激しい戦いの中、ガブローシュが撃たれ

次々と銃弾に倒れていく学生たち

辛うじて息のあるマリウスを担いで下水道を行くバルジャンや

拠り所とする理念が崩壊し、橋から身を投げたジャベールのシーンでは

舞台後ろのスクリーンの映像がとっても効果的でした


生き延びたマリウスとコゼットの婚礼の日

素敵な舞踏会のシーンですが、音楽がテナルディエ(笑

貴族を装ってやってきて、傍若無人に振る舞う夫妻ですが

ひとつだけ良いコトをしましたね

マリウスが真相へと辿り着く手助け

マリウスがコゼットを連れて去った後も歌い踊り続けていましたが

何だか悪人なのに憎みきれないのですよね…不思議です


コゼットと共に過ごす幸せを遠ざけ、静かに死を待つバルジャン

ファンテーヌも迎えに来て、この儘独りで生を終えるか…

というところに駆けつけてきたコゼット

ここでもう涙が溢れて来まして、舞台がぼやける始末

普段は泣いても数筋流れれば止まるのですけれどね

この時は止まらなくて…

映画を観て初めて号泣したのはレミゼでしたが

舞台でもまた涙が止まらなくなりました


そして、エポニーヌも現れ、死した人々が現れ

明日への希望を籠めて「民衆の歌」を歌って幕


役者さん方が挨拶に出てきてくださりまして

明るいライトの下で、それぞれの衣装にも注目することができました

特に、エポニーヌが女であることを隠すために着ていたコート

裾が長く広がるようになっていて

裾をつまんで優雅な女性らしいお辞儀をしてくださいました

小走りで去る後ろ姿も素敵でしたよ

勢揃いの後も、何度か拍手に応えて出てきてくださって

舞台上の役者さん方が、オーケストラの方々を讃えたりして

客席からもスタンディングオベーションをする方が出始めたので

わたしも勇気を出して立ち上がって

舞台の方々に手を振りながら、お別れしました


一つの作品でこんなに涙したのは初めてで

観に行って本当に良かったなと思いました

何度でも観に行きたくなるような作品に出会えて本当に幸せです


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