露の音 幽かな独り言

 
軌跡を見失わないよう
     追憶のよすがを
       記憶の欠片を遺したいのです

人を外れる夢

2022-01-29 15:04:32 | 叙情


もう何年も前の学生時分に

お人形のお芝居が面白そう

という気軽な気持ちで劇場に足を踏み入れ

それから時間を作っては

国立文楽劇場や他の場所での公演に

足を運んで楽しんでおります

文楽


その文楽を介して知己を得た方から

歌舞伎の女形を取り上げた小説を薦めてもらって

ついでに映像作品も薦めてもらって

喜んで観ていたのですが

そもそも女形に興味を持った理由が

若干道を外していまして

幻想怪奇小説の文脈


「花曝れ首」が大好きで赤江瀑さんを読むようになり

少し前に出た傑作選も楽しく読んで

血天井を見に行きたいなと思いつつ

妖怪じみた女形さん達に惚れ込み

今に至る


そして現実に名高い女形さんの舞台映像を観て

納得しました

優れた女形は人外境の化け物である


あんなに綺麗なのは女でもなければ人でもない

という誉め言葉です悪しからず


そもそも人外好きからの人形好きからの

文楽大好きですので

我ながら根本が全くぶれていないのが流石

伝統とか芸術とか堅苦しいことはさて置き

綺麗なものは綺麗、好きなものは好き

そうやって愛でたって良いと思います


おそらくわたしが文楽人形に出会ったのも

小野不由美さん『東京異聞』

「とうけい」の「けい」が異なる異世界の異形の物語

純粋な想いから変化を遂げた娘人形

清い眸の妖しへの憧れは今もそのまま

わたしも人形になりたい


人を外れる夢を、いっとき現に見せてくれる

そんな舞台をこれからも楽しんでいきたいと思います


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