露の音 幽かな独り言

 
軌跡を見失わないよう
     追憶のよすがを
       記憶の欠片を遺したいのです

探求の指針

2019-03-31 16:26:14 | 叙情


職場と住居の往復に長時間労働

健康と衛生を保つための最低限度の生活

それらで殆ど覆い尽くされてしまう生活の息抜きに

読書


読んでも、読んでも

書店へ行けば読みたくなる小説に出遭えるのが幸せ

恐怖小説に、幻想小説、そしてミステリ

常に何冊かが自室にて待機しています


中には期待外れのものもありますが

それは時の気分に拠るところもあるのですよね


高名な連続猟奇殺人鬼の名前と

いくつかのフレーズに惹かれて買った1冊

キラークラウンの所業が脳裏を過りながら読むものですから

作中の佳境、処刑道具による命の遣り取りに

どうしてそこで人道的なのかと拍子抜けしてしまいました

知識の浅い中高生の時分ならまだしも

要らぬ知識を吸収してきた今では楽しめなくなってしまいました


日常に滲み出る殺意を描く恐怖短編集は

殺人に至る因果が至極真っ当で、面白みがなく感じられてしまいました

もっと非日常を、理論を超越した狂気を

「人の死ぬ話の何が面白い」と言う人がいますが

「人の死なない話の何が面白い」というのがわたしの立場

どうせ虚構ですもの

読書という個人的な営みに、良い子ちゃん顔をする必要などないでしょう


先だって日本ミステリー文学大賞を受賞された綾辻先生の言葉

これからも知性的でありつつ、悪趣味で不道徳、不謹慎な作品を

まさしくわたしの好きな傾向を表すような言葉に驚きました

品が良く規範的、善良でしかない虚構などつまらない

明確になった指針を頼りに

好みの物語を求めていきたいと思います


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