露の音 幽かな独り言

 
軌跡を見失わないよう
     追憶のよすがを
       記憶の欠片を遺したいのです

積んで、崩して

2022-08-28 14:07:11 | 日記


二つに分かれて聳えていた

『異形コレクション』の塔

2年かけて読み切ることができました


途中に復活後の3冊も挟みつつ

一番入手に時間がかかった

名高い『江戸迷宮』を最後に

休止前に刊行された全巻を読み終えました


『江戸迷宮』

治世が永く、市井の営みもうかがえる

平穏の中で文化芸術を育み

災害を乗り越えながら継がれてきた

江戸時代が好きなのですが

歴史小説は嫌いなのです

史学を齧った者のやっかみなのですけれどね


山白朝子『エムブリヲ奇譚』が大好きなように

時代小説なら受け入れられるのですが

得手勝手な妄想を読まされるのは苛々する


とはいえ

好き嫌いはさておいて

普段は手を伸ばさないようなものにも

少しく触れてみる気になるのがアンソロジーの妙

これもまた異形の装いと思ってみると

そう構えず受け入れられるもの

歴史小説ではないながら

好みに合わなかった一篇を除き

確かに面白い話が多かったです

面白い、だけでは語弊がありますね

奇妙で物悲しくて恐ろしくて

怪談に落語に無惨絵の美しさ

玉虫色に燦めく闇に満ちた良い1冊でした


愛すべき異形が詰まった宝箱

あと残っているのは復活後の2冊

『狩りの季節』『ギフト』

最近高さを増したホラーとミステリの塔の合間に

少しずつ大切に読んでいこうと思います


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする