大層遅まきながら綾辻行人さんにのめり込んでから3か月ほど
館シリーズを順番に、間に囁きシリーズを挟んで
大作『暗黒館の殺人』を読み切りました
一言で感想を述べるなら
わたしの理想
異形と猟奇と狂気と背徳と怪奇
どれをとっても過ぎれば胸が悪くなるものながら
わたしの心惹かれてやまない闇
それらを絶妙なるバランスで歪な美しさに形作る
素晴らしい作家の存在が嬉しくて仕方がありません
理性の光で意外な事実が明らかにされるのも爽快ですが
理性の道を狂気が直走る様は何と痛快なことか
ここからは事件の真相に触れて綴りますが
フェアにちりばめられていた記述から玄児と忠教の入れ替わりは気づいたのですが
「江南」は完全に疑う対象から外しておりました
「中也」と言い、読み手として勝手に被せていた仮面が
次々と剥がれていく様は驚きと共に快感でした
そして何よりも
真の玄児が愛おしくてなりません
ミセリコルデの様な衝動
『暗闇の囁き』の双子もそうですが
無垢なる殺意の何と臈たきことか
幻想の暗がりにしか存在が許されない異形の心
物語の醍醐味ですね
もすうぐ館シリーズの既刊分を読み終わってしまいそうなのが寂しいです
その代わりと言っては何ですが
作品の中で触れられているような過去の推理小説も少しずつ買い始めていますので
それを見始めるのも楽しみです