露の音 幽かな独り言

 
軌跡を見失わないよう
     追憶のよすがを
       記憶の欠片を遺したいのです

十二国記

2019-11-10 16:33:37 | 日記


待ち焦がれていた十二国記の続編

白銀の墟 玄の月

一・二巻を二日かけて読み終わってから長かったひと月

三・四巻は一息に半日で読んでしまいました

また十二国が旅できるのが嬉しく

新たな人々の営みに心躍らせつつ

それぞれの心情に感情を揺すられながら

戴の行く末を手に汗握りながら見届けた四冊

とっても楽しかったです


ここからは内容に触れていきますが


泰麒がとても強くなっていて驚きますね

泰麒というと、か弱く幼い印象が強いのですが

よく考えると『魔性の子』の高里ですものね

あの静けさに加えて、明確な意志を持ち

狡い官吏たちと渡り合う姿は爽快でした

しかし、頼もしく思うと同時に

蓬莱で周囲の人々を襲った惨劇を

自分の意志として背負う覚悟は

とても悲愴で切なかったです

たった一人で牢番と対峙した時

自らの手を血で汚すのかとはらはらしたのですが

流血に至らない暴力で安堵しました

それなのに

あれ程に逡巡していたというのが嘘の様に

静かに手を下した時には呆気にとられました

しばらく信じられなかったのですが

そうだ、泰麒は王を前にすると異様な力を発揮するんだった

と思い至って、ようやく事態を呑み込みました

あの幼い泰麒が、不遇を受入れるばかりだった高里が

手に入れた理をも曲げる強さ

危うく、不安を覚えるような力

今後は自身も含めた誰も傷つけることのないよう願うばかりです


様々な立場で様々に考え、様々に生きる人々が

何を大事にして、何を犠牲にするのか

一様でなくても良いと包容する世界が温かいですね

主を異としても心情は通じ合う軍人たちの

勇侠と悲哀が丁寧に描かれていたように思います

何に忠義を尽くすのか

その忠義を競い合う中で起こった悲劇

琅燦の行動には驚きましたが

好奇心に尽くす姿はどこか憧れを感じて憎み切れません

王の庇護から外れた民として、理への眼差しが異なるのでしょう

不気味な程に機械的な天の摂理の中で

そのような多彩さが認められているのが少し嬉しいのです


それにしても流石の傑物が救出を待たなかったことが驚きでした

生きていたことが明かされた時には快哉を叫びましたが

それでも、すべてがすぐに順調に走り出す訳ではなく

最後まで緊迫する展開にページをめくる手が止まりませんでした


そんな張りつめた物語の中で少しほっとすることも

有能でありながら滅茶苦茶な雁の主従が面白くて大好きなのですが

雁の助力を願う運びになって、楽しみにしていたのです

特使って誰かな~?まさかな~、と思っていましたら

まさか揃いも揃って国を出てくるとは

変わらない身軽さが面白く、安心しました


あっという間に読み終わってしまった新作ですが

また読み返してみたい話もたくさんありますし

来年に出るという短編もとても楽しみです

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