舞蛙堂本舗リターンズ!~スタジオMダンスアカデミーblog

ダンス(フラ・ベリーダンス他)と読書と旅行とカエル三昧の日々を綴る徒然日記。

良いフラ・ダンサーになるための7箇条

2013-11-24 01:56:15 | ダンス話&スタジオM
自称・フラ界のヤドクガエルとしてはついつい毒舌の方が筆が進むもんですから、なんだか毒々しい記事ばかりになりがちなので、たまには良い例の事も書きたいと思います。
もちろん、私の書くモノですから良い例と言いつつも逆説的に悪い例の方向へばかり話がそれるかもしれませんが、そこらへんはご了承のほどを(笑)。


ここで言う「良いダンサー」とは技術的に優れているダンサーとか、才能を持ったダンサーだけではなく、「良い方へ向かっているダンサー」「今後の伸びが期待できるダンサー」も含まれます。
ですから、趣味で踊っている人であっても、フラを始めて1年経っていなくても、誰もが良いダンサーたり得るのです。
これだけ何十年も同じ世界を見ておりますと、そういう良いダンサーがどういう人か自ずと分ってくるもので、じっさい良いダンサーは年々目に見えて成長していくものです。
せっかくフラを踊っているなら、出来るだけ多くの人に良いダンサーになって欲しいという思いを込めて、今日はそこらへんを箇条書きにして解説します。


(1) 向上心を持っている。

これはフラに限らず、趣味でも学業でも仕事でもすべてについていえる事ですね。
どんなものであれ、何かに取り組む時には「より良くなりたい」とか「もっと上手くできるようにしたい」と思って取り組んだ方が充実しますし、成果も上がるものです。
「頑張るとかダサイ」なんて言わないで、せっかくやるなら頑張った方が楽しいですよ。

もちろん趣味であれば、頑張るったってガムシャラにやる必要はありません。
特にフラの場合、向上心を持っている真面目な人ほどその奥深さに早い段階から気づく傾向にあり、それゆえに自分の進歩が大変遅く感じられるものなのですが、教える側から見ていれば、そういう人は確実に進歩しているのがちゃんと見えています。
のんびりペースでいいと思って取り組んでいる人であっても着実に進歩しているわけで、1年ほど過ぎると当初からは考えられないくらい上達していたりするものですから、早々に「自分には才能がない」などと決めつけず、気長に取り組む事が大切です。

「もっと上手に踊れるようになりたい」と考える事それ自体が上達への一歩ですし、その気持を忘れない人なら絶対に上達できます。保証します。


(2) 上達のためには「自分が踊る事」より「見る事」が大切だと知っている。

とりわけフラを始めて最初の段階では、とにかくお手本をよ~く見て(あなたのお手本がお手本に相応しいお手本である事を切に祈ります)、真似する事に努めましょう。
レッスン中は見ているばかりでなく、自分で実際に動いてみる事も大切ですが、家に帰ってからは自主トレよりも「上質なダンサーのお手本を見る」方が上達に繋がります。

フラについて何の予備知識も無い状態でどこかの教室に入った場合は、何が上質か分らないと思いますので、まずはYouTubeなどでハワイのダンサーのフラを観てみましょう。
本屋さんでフラ雑誌を見るとハワイの有名な教室やクムのお名前が調べられますし、それも分らない場合は、「メリーモナーク」で検索する事をお勧めします。
とりあえず最新のメリーモナークのDVDを買ってしまうのもひとつの手ですね。

ちなみに、
わざわざ買う場合は間違っても「教則ビデオ」の類を買わないように気をつけましょう。
そういうモノを出している先生が先生として優れているとは限りません。むしろ優れてない事の方が多い(笑)。
なぜならば、優れた先生ほど教則ビデオでフラを学ぶ事はムリだと知っているからで、まあそういう事実というか現実と懐事情を天秤にかけた結果あくまでも商売として教則ビデオを出してるって先生もいらっしゃるでしょうが、最初っから懐事情のことしか考えずに出してる人もいますので(笑)、盛大なハズレくじを引きたくなければ、手を出さないでおいた方が無難です。
しかも、そのハズレくじの中には「DVD代を損する」という小ハズレから、「とてもフラと呼べないようなひどい代物を本物と思い込まされてしまう」というフラ人生を棒に振るレベルの大ハズレまで大小とり混ざっておりまして大変リスキーです。


(3) 「フラはハワイの踊り」だと知っている。

良識ある愛好家にとっては、なんかもう♪あたりまえ♪あたりまえ♪あたりまえ体操~~♪と歌い出したいような話ですが、この当然の事を当然と思わないダンサーが多いのが、日本のフラ業界のおそろしいところです。

フラがハワイの踊りである以上、すべてのダンサーが目指すべきはハワイのフラであり、「日本人なんだから日本人らしく」なんて発想は有り得ませんし、たとえ自分の先生がハワイアンでなくても、ハワイの人が踊っているのを見た事がないなんてのは言語道断です。
是非ともハワイのフラを出来るだけ沢山観るようにして(もちろん生で観る機会が無ければ映像だっていいのです)、「ハワイらしいフラとはどんなものか」を見極める目を養いましょう。
自分がそれを忠実に再現できるかどうかはさておき、見る目だけなら心がけ次第で1ヶ月でも習得できます。

まず「ハワイらしいフラがどういうものか見極められるようにする」。
次に「自分の踊りをハワイらしいフラに近づけるよう努力する」。
これが出来れば、必ず上達する事間違い無しです。


(4) 量より質が大切。
「上達=レパートリーを増やす事」ではないと知っている。


始めて1年以内なら、「これで何曲覚えた!」というのを励みにしてもいいでしょう。
しかし、入門レベルから次のステップに進むためには、量より質を究める事の方が大切です。
曲数にばかりこだわっているうちは、何年経とうが若葉マークの新人さんです。

もちろん新しいものを覚えるのは楽しいし、レパートリーが増えれば嬉しいものです。何百曲も踊っている私でさえそう思います。
でも、早くゴールに辿り着く事ばかり夢中になっていると、ひとつひとつの動きを美しくするとか、どの動作がどういう意味を持っているか考えるとか、そういう質の部分がおろそかになりがちです。

ステージを観たお客様にダンサーのレパートリー数が分るはずもなく、今そのダンサーが披露している踊りだけで判断されるわけですから、ぜひとも「上手なダンサーね」と思ってもらえるよう、質を高める事を忘れないようにしましょう。


(5) 踊りの動作が丁寧である。

これは(4)と関連した事で、ひとつひとつの動作が丁寧だとそれだけでかなり踊りの質がアップします。
どれほどの初心者であっても丁寧に踊るよう心がける事は必ず出来る事ですので、ぜひこれを念頭に入れて踊りましょう。

同様に、「姿勢を良くする」というのも丁寧に踊る事の一環として心がける事をお勧めします。
姿勢が良くて指先まで神経を行き届いているダンサーは、それだけで美しいダンサーになれるのです。


(6) 自分の現状に満足しない。

何年もキャリアを重ねていくと、人によっては「今の私、もう十分上手いんじゃない?これ以上頑張る必要なくね?」と思う事があるかもしれません。
しかしそう思った時点でアウト。あなたのフラ人生はそこで終わりです。


私はほんの10年前まで自分のフラは下手糞であり、才能が無いのを脳味噌で補って何とかここまでやって来ただけだと思っていました。
なぜなら、それまでの20年近くの間、私の手本は母マミちゃんとメリーモナークの上位入賞者しか無かったからです。
母はあのとおり向上心が服着て踊ってるような人ですし、メリモは今のような親切な全部収録されたDVDなど出ておらず、上位入賞のカホロクーとかパレカさん時代のカムエラとかしか収録されてないビデオしか出ていなかったので、それらから自分の実力を推し量るしかなく、当然劣等感の塊になりました。

しかし、今考えるとあの状況はとても幸せだったと思います。

私が上ばかり見上げてフラに取り組んで来た事は、向上心を養う上でとても役立ちました。
今でも自分が下手糞とまでは言わなくとも(って下手糞が人様に教えたら処刑モノです)、自分はまだまだと思い、ますます精進せねばと思い続けられるのは、あの20年があったからこそだと思っています。

今では当時じゃ信じられないくらいのブームになったお陰で、ネットでも週末のイベントでも無尽蔵にフラが観られるようになり、そういうのを見ていくと下を見ればキリが無いのですが(笑)、そこで敢えて下を見ず(っつーかネタにするに留めてwww)、自分自身はつねに上を見て際限なくそちらを目指していこうという姿勢がとても大切です。


(7) 他人に「アロハの心」を押し付けない。

滅多にフラを精神論で論じない私も、これだけは言っておきたい(笑)。

何だかフラ業界の人は精神論が大好きな人が多く、とくに愛されているのがこの「アロハの心」。
アロハの心をどう解釈するかは人によって色々だと思いますが、まあ博愛精神とか寛大さとか、そういう感じでしょうかね()。

もちろん、自分がアロハの心を持っていると標榜するのはいい。いやホント、良い事だと思いますよマジで。
でもねえ、これを他人様にまで強要するのはいかがなものか。
ソレやっちゃう時点で、もうその人はアロハの心とか持ってないと思う(笑)。


だいたい、アロハの心とか口に出して言っちゃう時点でちょっと違うんだよね。
そもそも本当に寛大な人は、他人に自分の意見を押し付けないものです。
実際に口に出しちゃってる人を見てると、そういう人に限って実はすごく利己的で、自分の損得にこだわる人だったりする。
要するに自分以外の誰かが得したり、自分が不利益を被ったりするのが許せないんだな。
だから黄門様の印籠よろしく「アロハの心」を振りかざすんだとおもう。


そんなわけで、アロハの心っつー日本語は胡散臭いので好まんのだが(笑)、ハワイにいると確かにこれこそがAloha Spiritなんだなあと思う経験が色々あります。
見知らぬ人に親切にしてもらったりね。それも、日本人じゃここまで絶対してくれないだろう、というレベルの親切だったりしますからね。
でもそれってあくまでもSpiritなわけだから、本人の内面から自然と湧き出るものであって、私もそうでありたいとは思うけれど、自分は持っているとわざわざアピールするものではないし、ましてや他人に押し付けるものではない。


この話がなんで良いダンサーに繋がるかというとですね。
「アロハの心」なるモノを他人に押し付けるタイプの人は、まずもって良いダンサーではありません。
そういう人はだいたい自分の踊りにも根拠の無い自信を持っていて、「どう!?私うまいでしょォ」という押し付けがましさタップリの踊りだったりします。
んで、自分の踊りに対して何か言われると「あんたにはアロハの心が無い!!」とキレる(笑)。


フラは確かに内面の性格がにじみ出る踊りで、押し付けがましいタイプの人の踊りは押し付けがましくなり、せっかちな人はそれが踊りに出ちゃうし、自信の無い人はオドオドしてしまいがちです。
なので、自分の性格を顧みると、自ずと自分のフラの改善点も見えてくるかもしれません。

例えば私は生来大変ガサツな性格ですので、十数年前まで非常に繊細さを欠いた踊りを踊っていました。
しかし、自分がガサツである事をよ~く弁えた上で精進した結果、だいぶ丁寧に踊れるようになってきました。
なので、今はガサツな性格は踊りに出てないと思います。技術で補えば、内面の性格(の欠点)がにじみ出てしまうのを何とか出来るという実例です。

性格という点では、たぶん私のプライドの高さは遠慮なく踊りににじみ出まくりだと思いますが、美しいフラにおいて「誇り高さ」は必要不可欠だと思っておりますので、特に直す気はないです(笑)。




以上、私が思いつくところの「良いダンサーの条件」を7つ挙げてみました。
やっぱ案の定毒舌方面に流れがちだよなあ。いくら何でも毒々しすぎだろと思ったところは流石に自粛したんですけどね。「学ぶのをやめたくせに自己満にひたって踊り続けている人」を「すでにゾンビになっているのに気づかずうろうろしている人」に喩えてみたり…って、ここでバラしたらおんなじですね(笑)。
いやホント、冗談抜きで「向上心を失い自己満だけになったフラ」はゾンビと同じで、みっともないのを通り越してグロいからやめた方がいいよ(笑)。


ちなみに、これはダンサー全般を想定して書いたもので、どちらかというと趣味で踊っているダンサーのお話です。
先生だったりプロのダンサーになると、条件がまるで変わります。
今挙げて来たようなのはプロであれば常識中の常識、出来て当然の話ですからね。

なので、今度は【プロ編】を別記事にして書いてみたいと思います。
当然、毒舌度がもりもりと上がりますが気にしないでくださいね~♪

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1 Comments

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初めまして (Keola)
2013-11-28 13:53:28
初めまして、ハワイと日本のハーフのKeolaと申します。
今、大阪国際大学の4回生なのですが、「ハワイの伝統文化とHulaの将来性について」という内容の研究を7年間しています。色々リサーチしていたら、「フラの研究―舞踊としてのフラの変遷―」という論文をお書きになられたとの事をブログにて知りました。

Hulaの論文があまり無いので大変興味がございます。もし良ければなのですが、拝見させて頂いてもよろしいでしょうか?どうかご検討をお願いいたします。
以下にメールアドレルを記載しますので、もしよろしければご連絡を頂けたらなと思います。
よろしくお願いいたします。

its.iannitta@gmail.com

Ian Keola Nitta
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