やさしい芸術論

冬が来たなら、春はそう遠くない

コンプレックスを忘れる瞬間

2021年01月19日 | やなせたかし

人は誰しもコンプレックスを持っています。

 

他人から見るとたいした事ないような事でも、

本人にとっては、デリケートな問題なんです。

 

そんなこころが、ふっと軽くなって、

忘れてしまうような瞬間があったらいいですね。

 

やなせたかしさんが書かれたお話「クシャラ姫」

そんなコンプレックスに関する内容です。

 

 

ある国のお姫様、クシャラ姫は鼻が低いことがコンプレックスです。

ある日、クシャラ姫は家来達が陰で「クシャラ姫の鼻は低い」という話を耳にして、

ショックを受けます。

 

それからというもの、ボール紙で作った三角形の鼻を、

自分の鼻の上に乗せて生活していました。

 

コンプレックスを隠そうと、ボール紙を乗せたのですが、

それを見た人は、クスクス笑ったので、

だんだん人の前に姿を現すのが嫌になって森へ行きました。

 

 

森へ行って動物たちと楽しく遊んでいると、

恐ろしい黒い竜が姿を現しました。

 

クシャラ姫は、恐ろしいと思いつつも、

ある事が気になって、話しかけました。

 

 

クシャラ姫「なぜ、そんなにかなしそうな目をしているの?」

竜    「ぼくはこんな酷いかたちなのに怖くないんですか?」

クシャラ姫「怖くないわ。だってあなたはとてもかなしそうなんだもの。」

 

やさしいクシャラ姫はハンカチを出して、

竜の目に溜まっている涙を拭いてあげました。

 

すると竜は、ひとりの美しい王子の姿に変わりました。

 

「ありがとう。

 ぼくは悪い魔法使いから、竜の姿に変えられ、

 ぼくの涙を拭いてくれる人が現れるまで魔法は解けないところだった。

 色々な人に頼んだけど、誰もぼくのかなしみには気が付かなかったよ。」

 

こんなおとぎ話のような事が、目の前で起きたので、

クシャラ姫は、うれしくなって、鼻の上のボール紙を外しました。

竜の姿に何年も変えられていた王子のかなしみに比べれば、

鼻の低さなんて気にならなくなったのです。

 

「鼻の低いのなんて何でもない。

 大切なのは人のかなしみが分かるこころを

 持っているかどうかだ。

 あなたはぼくのかなしみを分かってくれた

 この世でたった一人のひとだもの。」

 

そう言って王子は、クシャラ姫と結婚し、

幸せに暮らしました。

 

 

コンプレックスは確かに辛いものですが、

その辛さが気にならなくなるほどの瞬間が、

いつかやってくるといいですね。

 

その瞬間まで楽しく暮らしましょう。

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