やさしい芸術論

冬が来たなら、春はそう遠くない

やなせたかしさん特集 その7

2022年01月09日 | やなせたかし

今も昔も人の世は世知辛いものです。

 

夏目漱石は小説「草枕」の中で、

人の世は住みにくいと語っています。

 

やなせたかしさんも社会の理不尽な部分に疑問を呈しながらも、

それでも一歩前に進む事を伝えています。

 

 

やなせさんの詩を二つ紹介します。

 

【人生のレース】

小学一年生のとき
鉢巻きして
スタートラインに並んだ
ピストルの音で
夢中でかけた

人生のレースに参加してみると
みんな
ずるいことばかりしている
だれかピストルをうってください
並んでください
私はフェアにたたかいたい

 

【ところであなたは…より】

なぜ ほくはここにいて
なぜ ぼくは生きていて
なぜ ぼくはこんなことをしているのか
なぜ こんなにもひたむきに
仕事を続けているのだろう?
なぜだかぼくはわからない
しかし今の仕事をやめるとして
ぼくは何をすればいいのか
そいつもぼくにはわからない
本当に自分のしていることがよくわかり
目的と生き甲斐をちゃんともって
みんな生きているのだろうか
ぼくは時々不安になる
回転する地球のある地域では
火薬の焦げる匂いがする土に血が流れ
ある地域では子供が飢えて泣き叫んでいる
そしてそれを解説することを職業にして
家族をやしなっている人もいる
ところで あなたは……。

↓今日の一曲(自作曲)↓

 


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