やさしい芸術論

冬が来たなら、春はそう遠くない

やなせたかしさん特集 その5

2021年08月21日 | やなせたかし

やなせたかしさんの詩になります。

やなせさんはみんな大好きアンパンマンの生みの親として

広く認知されていますが、

その人生は苦難の連続でした。

やなせさんが小さい頃、父は死に、母はやなせさんと弟を捨て再婚、

弟は成人してから戦死して、やなせさんは天涯孤独となります。

そして69歳でアンパンマンがヒットするまで、

「何のために生まれて、何をして生きるのか」

というアンパンマンマーチの歌詞の言葉を自問自答しながら

生きてこられました。

若くして成功する人もいますが、

やなせさんのように苦労が続いた人生だからこそ分かる事もある。

何よりそんな壮絶な人生からあの

朗らかなアンパンマンが生まれたかと思うと

何か感慨深いものがあります。

詩の最後の神様へのお願いのところの部分は

何故か共感出来ますね。

無理だと分かっていても、無神論者であっても

神様に泣きつきたい時もある。

人生は過ぎさってから分かることの方が多いような気がします。

やなせさんの詩です。

 

【人生は砂糖入りのコーヒーじゃない】

かなしみがあり
よろこびがあり
くるしみがあり
それがいりまじってほろにがい


人生は砂糖入りのコーヒーじゃない
この苦さもまた人生の味と
それは承知しているのですが
やはりにがすぎる
つらすぎる
涙の味が強すぎる
がまんしなくてはいけない
こらえるのが本当だ


いまはつめたい氷雨の夜でも
明日はおもいがけない晴天かもしれない
でも、すこしながすぎる
このコーヒーはにがすぎる
くるしみがながくつづきすぎる
このままおしまいのような気がする


無神論者のくせに
図々しくて申し訳ないのですが
恥をしのんでいいます
「神さま
ぼくは
疲れました
せめて
もういちど…
でもやっぱりやめておこう」


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