やさしい芸術論

冬が来たなら、春はそう遠くない

アンパンマンの見つめる幸せ

2021年01月11日 | やなせたかし

みんな大好きアンパンマン。

恐らくアンパンマンを見て毛嫌いする人はいないのではないでしょうか。

 

 

そのアンパンマンの生みの親は、やなせたかしさんです。

童謡「手のひらを太陽に」や絵本「やさしいライオン」なども創作されました。

 

やなせさんの人生は、苦難の連続で、

苦難の連続にも関わらず、正義について、幸せについて考え、

「希望」の大切さを強く訴えて、アンパンマンなどを通して

世の中に平和と安らぎを与えてくれます。

 

やなせさんは小さい頃、父親を亡くし、母親に捨てられ、

親戚の家に弟と二人で預けられました。

 

青年になると戦争が起こり、中国の戦地へ赴きます。

そこで初めて飢える事の苦しみを知ります。

やっと終戦となり、祖国へ帰ると、

たった一人の愛する弟が戦死している事を告げられます。

 

天涯孤独の身になるも、積極的に漫画や詩や絵本などを

書き続けますが、なかなか売れっ子にはなれません。

歳をとるにつけて多病にも悩まされます。

 

奥さんがおりましたが、その奥さんが余命三か月と宣告された時、

ようやくアンパンマンがTVで放映され全国的な人気を得ました。

(やなせさんが実に69歳の時!)

 

そこから94歳で亡くなるまで精力的な創作活動を続けました。

 

やなせさんの人生は愛別離苦、孤独、飢え、病気、

戦争などの苦難を乗り越え、

その苦難を希望に昇華させて作品を生み出す人生でした。

 

その人生経験から生まれたのがアンパンマンであり、

アンパンマンはやなせさんの精神そのものでもあると思います。

 

アンパンマンは常に笑顔で、人を助け、人の幸せを願います。

利己のない、利他的な生き方をしてます。

 

やなせさんはインタビューで、以下のように

語っていました。

 

「今の世の中はエゴの時代だから、

アンパンマンのような利他的なキャラクターは

受け入れられないんじゃないか。」

 

アンパンマンの正義は、

悪い奴をやっつけるのではなくて、困っている人を助ける事です。

 

例えば、お腹がすいている人の所へ行って、

自分の顔を食べさせてあげたり、人の役に立つような行動をする事です。

 

アンパンマンは顔が無くなっても、

バイキンマンに顔を濡らされても、

新しい顔に取り換え、何事もなかったかのように

毎日西に東へ飛び回っています。

 

やなせさんのように

あらゆる苦しみ、痛みを経験したからこそ、

人の苦しみ、痛みや悩みを理解することが出来、

人にやさしくする事が出来るのだと思います。

 

それが習慣となって、何の考え無しに

自然に、当たり前のように人助けが出来ているのだと思います。

 

中国の思想家孔子の言葉に

 

「心の欲する所に従えども矩を踰えず」

(自分の心の思うままに行動しても、決して道徳から外れないという事。)

 

というものがあります。

これは孔子自身が70歳の時に達した境地だと言われています。

 

アンパンマンはまさに、

こころの思うように、自然に行動している事が

結果的に人を助け、笑顔にし、みんなに希望を与えていると思います。

 

貧しくて、ひもじくて、苦しくて困っていて、

誰からも見向きもされない人からアンパンマンを見た時、

アンパンマンは神様のような、仏様のような存在だといえます。

 

お釈迦様であり、キリストであり、太陽であり、希望そのものでもあります。

 

アンパンマンは、困っている人を助ける時、

その人が笑顔になると、アンパンマンも嬉しそうに笑顔になります。

 

アンパンマンの見つめる幸せは、自分自身の幸せではなく、

人の幸せ、人が喜んでいる様子、人の笑顔なんだと思います。

 

やなせさんの名言がそれをよく表しています。

 

「人生は喜ばせごっこ。人は人を喜ばせる事が一番うれしい。」

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