アトピー性皮膚炎をこころで治す ー2-
アトピー性皮膚炎の治療
アトピー性皮膚炎の治療は、
皮膚の治療と 繰り返して起きる発疹を予防することの二つです。
〇皮膚の治療は
第一は、ステロイド外用薬で治すことです。ステロイドによる、かゆみと炎症の治療です。
1)外用ステロイド剤の使い方
2)ぬり薬の使い方
3)外用薬ごとの使い方
以下に書きましたので参照してください。
4)アトピー性皮膚炎の子どものスキンケア
5)アトピー性皮膚炎の診断
6)こころで治すアトピー性皮膚炎
これらは前回述べました。
第二は、かゆみをおさえること。かかないようにすることです。
それには第二世代の抗ヒスタミン剤、特に世界的には、ロラタジンの有効性が認められています。安全性、非鎮静性もあります。
その次は、フェキソフェナジン、エピナスチンです。
7)鼻水とかゆみの治療の話 (前述参照)
〇かゆみの原因は、いやなことをがまんしているからです。こころの原因から、かゆくなり、かゆいから書くので湿疹がてきます。
だからその原因、つまり嫌なことを無くしてあげることが大切です。それがストレス対策です。大人も同じですが、大人のストレスはなかなか無くすことができません。子どもはそれが比較的容易に無くすことができるので、病気を治すことができます。
〇次々と発疹が出てくること、つまりかゆみを予防するのが、ストレス対策です。
乳児のストレス対策は、喘息様気管支炎と同じです。 幼児は、家庭と保育所、幼稚園
特に3歳からの幼稚園は、すべての子どもに適応できる訳ではなく、ほぼ大部分の子どもが適応できるのは4歳からです。だから3歳からでは適応できない子が出ます。
また、今までの経験から、
保育園で、子どもは「這い這い」してからでないと「立って歩いては」いけないと、つかまって立とうとする子どもを押さえつけて這い這いさせられていた子、
プール:顔を水につけるのが嫌、つなみの映像を見てしまったための水の恐怖、剣道:園長が週二回剣道を教えていて、うまくできないで叱られてばかりいる子、それを見ていて可哀想で仕方ない子、どちらも病気になりました。
小学校:友だちのいじめ、教師のいじめ、家庭でのストレス
中学、高校も同じ
1) 外用ステロイド剤の上手な使い方
外用ステロイド剤の副作用をおそれるあまりに、ステロイド剤を使わない傾向が出てきています。では外用ステロイド剤を使わないで治るのだろうか。治ることは治りますが、その条件は一切かかないこと、触らないことです。しかし、かゆいのをがまんできるでしょうか。大人でもがまんできず、かいてしまします。かくと折角治りかけていたのに、また元に戻ってしまいます。ステロイド剤のおかげで、かかないで済むようになると、自分の力で治っていくのでするだから、使わないと治らないことが多く、早いうちに使うと早く治ります。しかも、ステロイド剤ができたおかげで、治るようになった病気も少なくありません。
例えば、包丁は料理に欠かせない道具ですが、人を殺したり傷をおわせたりする道具でもあります。外用ステロイド剤も同じで、大変よく効く薬だが、使い方を間違えると危険な薬でもあります。使い方を良く知っていれば、それ程恐れることはないが、安心しきってもいけません。そもそも副作用の無い薬はないし、よく効く薬ほど副作用も多い。
大切なことは、第一に、よく薬のことを知って、上手に使う使い方のコツを覚えることです。その為には、第二に、上手な医師にかかって、上手なぬり薬による治療法を教えてもらう。軟膏の使い方や、日頃のスキン・ケアの仕方を詳しく教えてくれます。私もしますが、よくならない時は、良い皮膚科医をご紹介します。少し遠くても、一度かかって見て下さい。違いが判るはずです。
第三に、皮膚に今できている湿疹や皮膚炎などの症状を治すのは、ぬり薬ではありますが、基本的には自分の力で治っているのです。しかし、根本的に病気を治すことはぬり薬ではできないです。それは、ぬり薬では、次々と湿疹が新しく出来てくるのを止めることはできません。アトピー性皮膚炎に限らず、慢性的に繰り返し起きてくる病気は、ストレスが原因であることが多いと言うのが、私の病原環境論(適応説)という仮説です。ストレス対策は、別に教えます。劇的に効くことがあります。
1.外用ステロイド剤とは、
副腎皮質ホルモンの外用薬で、その内、皮膚に使うものは、軟膏、クリーム、ローションなどがあります。効き目の強さ(抗炎症作用)に応じて、「最強」、「より強い」、「強」、「中」、「弱」の5段階あります。それぞれ、体の部位で吸収率が異なるし、病気の種類や症状の強さによって、使い分ける。それが上手なのが腕の良い皮膚科医です。医者の誰もが、それができる訳ではないが、しゼの治癒力があるので、治ることが多い。同じ薬でも、使い方で変わることがあることを知っておいて下さい。何にでも効くというものは、むしろ特定のものには効かないようです。
2.外用ステロイド剤の副作用
副腎皮質ホルモンは、外用の方が内服薬に比べたら副作用としてはずっと少ないが、長期間(2週間以上)にわたって、全く同じ場所にぬり続けると、皮膚局所の副作用が出てくる。
☆局所の副作用
多毛と皮膚の委縮(皮膚がうすくなってしまう)――これが第一段階。
ステロイド潮紅(皮膚がうすく、血管がすけてみえる為、皮膚が赤みを帯びる)
毛細血管拡張(血管がういて見える)
ステロイドにきび(顔)
毛のう炎・せつ(皮膚の細菌感染)、皮膚真菌症(かびの感染)
酒さ様皮膚炎(酒を飲んだように赤くなる、にきび様皮疹、潮紅、毛細血管拡張が混在するため。数カ月連用した時に起きてくる。)
3.どう使うか。
1)急性の病気、一時的な病気――かぶれ、ただれ、接触性皮膚炎、軽い湿疹、虫刺されなど。ただし、おむつのあたる部分や首のくびれている所、わきの下はぬらないこと。
まめに1日3回以上ぬり、早く治すこと。早ければ3~4日で治るが、遅くとも7日くらいならぬっても構わないが、7日たっても治らない時は、必ず見せて下さい。よくならない時には、それ以上続けずに、薬を変えるか、ぬり方や治療方針を変えた方が良い。
副作用が恐いからと、1日1~2回とか、ぬったりぬらなかったりしていると、なかなか治らず、かえって長期間ぬり続けることになってしまう。
2)慢性の病気、長引く病気――アトピー性皮膚炎、慢性の湿疹、痒疹(かゆい盛り上がった長引く湿疹)
軽い場合には、急性の場合と同じように、短期間で治して、赤みが完全にとれたら(皮膚炎、湿疹がなくなったら)、保湿剤を使う。少ししかよくならないのに、よくなったと判断する方が少なくありませんので、できれば見せて下さい。(百聞は一見にしかず)
まめに薬をぬって、早く(できれば7日くらいに)治して、休薬期間を4日以上とると、その間に皮膚が回復して、またぬることができる。
慢性の病気は、折角ステロイド剤でよくしても、次から次へと当てらしい湿疹が出てくるので、これを止めるには、その原因であるストレスを無くすことが必要である。
しかし、これがなかなか難しい。これができない為に、薬だけに頼るから副作用が出てくる。
3)内服療法の併用
特に、夕方から夜にかけてが、かゆく、特に寝ている間に無意識にかいてしまうことが多い。かきむしると血が出る程かいてしまう。夜かくのが止まらない場合は、第二世代の抗ヒスタミン剤(俗に抗アレルギー剤などとも言うが)をかゆみ止めとして飲ませて、かゆみをおさえてあげるしかない。「かくな」というのは無理で、かゆみを止めることで、かかないと、どんどんよくなる。第一世代の抗ヒスタミン剤(鼻水の薬)は、副作用として神経系の抑制作用があり、眠気と集中力の減退で、30%くらいの人に見られ、世界的には、短期間ならよいが、長期には(まんぜんと)使ってはいけないという流れになっている。第二世代の抗ヒスタミン剤(抗アレルギー剤)の中でも、一番神経系の抑制の少ない薬にする方がよいが、人によっては効きが悪いことがある。
2) ぬり薬の使い方
- ぬる前の注意は
湿疹やカブレの部位をきれいにしてから、やさしくぬってください。泥や食べ物などの汚れを、よく洗い落とすか、ふき取るかしてからぬればよいのです。
- 一回にぬる量は
普通の湿疹やカブレには、山盛りにぬる必要はありません。指先や手のひらで、軽く数回こすって、表面に残らない程度にぬって下さい。
3.一日に何回ぬればよいですか。
症状のひどい時には、少量を回数多く(一日最低三回)ぬり、症状が良くなるに従って、ぬる回数を減らします。
ぬり薬の種類によっては、一日一回ぬれば良い物もあります。
4.強くこすったほうが良く効きますか。
強くこすると、刺激になりよくありません。薬は軽くぬりこむだけで、よく皮膚に吸収されますので、強くすりこむ必要はありません。
- ぬり薬のやめ方は
自分勝手にやめたりしないで、必ず医師か看護師に相談してからにしてください。自分で治ったと思っても完全に治っておらず、再発することがあります。
自己責任でやめてもよいですが、できれば他の人にも見てもらってからにして下さい。
6. 薬の置き場所は
薬は、子どもがいる場合は、子どもの手の届かない所に置くべきです。
また、よくテレビの上に薬を置く方がいますが、効き目が悪くなるものもありますからやめましょう。
7. お風呂に入ってもよいですか。
お風呂に入ってもかまいません。湿疹やカブレのある所に、汚れが残っていると悪化します。いつも皮膚をきれいにしましょう。高齢の方は、週一回でもかまいません。
- お風呂の後も薬をぬるのですか。
お風呂の後こそ、是非薬をぬりましょう。こういう時に薬をぬると、傷んだ皮膚の回復を助けることになり、薬の効果も、一層よくなります。
9. 薬用石けんを使ったほうがよいですか。
湿疹やカブレなどは、バイ菌による皮膚病ではないのですから、殺菌剤の入った薬用石けんを使う必要はありません。
10. パウダーを使っても良いですか。
パウダーを使う必要はありません。パウダーを使うと、かえって、パウダーが刺激になったり、塊になったりして症状を悪くすることさえあります。今は、パウダー類を皮膚には使わない時代です。日本では今の成育医療研究センターの前身の国立小児病院が最初にできた頃から、使わない方が良いことが判り、初代の山本一哉小児皮膚科医長が提唱しました。
3) 軟 膏 の 使 い 方 ―外用薬ごとの使い方ー
Ⅰ.ステロイド軟こう類
1.リンデロンV軟膏、フルコートも同じ。5g
ステロイド軟膏で、5段階の真ん中の強さの軟膏である。
◇ステロイドなので、
①炎症(赤く腫れ痛い)をおさえ、かゆみをやわらげ、症状を治す力が強い。
②細菌、かび(真菌)、ウィルスなどの栄養になるので、細菌性のものやかび、ウィルスによるものには使うと悪化する。
③2週間以上の長期間連用すると、副作用(皮膚の萎縮、紅潮、毛深くなるなど)が出る。続けて使う場合は、まめにぬって早く治し、多少のびてもよいが、できるだけ7日以内(最大14日)におさえる。4日休薬すれば又使える。ただし、皮膚の同じ場所にぬり続けることであり、違う場所ならばよい。
◇適応:主に体や手足の湿疹、痒い湿疹、皮膚炎(かぶれ)、手の湿疹、赤くなった所や、赤い湿疹によく効く。顔には使ってはいけないが、使う場合は短期間にする。
◇使ってはいけないもの:うみをもったり、化膿した所。とびひ。イボ、水イボ。傷やけが、潰瘍、深いやけど。水虫(白癬)。鼻の穴、口や唇、目、お尻の穴など粘膜にはつけてはいけない。耳やうなじなど髪の毛のつく所も避ける。皮膚のいろいろな傷にもつけてはいけない。但し、例外があるので、医師の指示による場合を除く。
2.リンデロンVG軟膏、ベトノバールG軟膏。5g
リンデロンV軟膏(ステロイド)にゲンタマイシン軟膏(抗生物質)を混ぜたもの。
◇副作用はリンデロンV軟膏と同じ。
◇特徴は、ステロイドだけだと困る化膿しやすい場所や粘膜に使えること。化膿しかかった所も、その状況によって使えること(無条件ではないので、注意が必要)。また一時的には、リンデロンV軟膏と同じに使うこともできる。
◇適応:虫刺され(但し、かきこわした傷の場所をさける)。唇、お尻の穴の周辺部、おちんちんや外陰部など粘膜の腫れ、鼻の周辺(中は一時的だけ)。
ひっかいた小さいかき傷でも、化膿していない時や乾いている時は使える。
湿疹の中で、化膿しやすい場所にあるもの(耳の周囲、うなじ、髪の毛の中の湿疹)。日焼け。
◇使ってはいけないもの:うみをもったり、化膿した所。イボ、水イボ。傷やけが、やけど(状態により一部の治りかけのものに使うことがある)。水虫(白癬)。鼻の穴の中(例外あり)、お尻の穴(外側の皮膚は使ってよい)。
3.ロコイド軟膏、キンダベート、アルメタも同じ。5g、10g
リンデロンV軟膏よりも1ランク弱いステロイド軟膏で、主に顔の湿疹に使う。体の湿疹でも軽く弱いものには効くが、少し炎症が強いと効果が少ない。
しばしば非ステロイドのコンベック軟膏などと混ぜて、さらにうすくして使う。副作用と、使ってはいけないものは、リンデロンV軟膏に同じ。
4.ネリゾナ軟膏。フルメタ、マイザー、トプシム、テクスメテンなど。
二番目に強いステロイド軟膏。強いから、皮膚の同じ場所への塗り続けることは、2週間で止めること。よく効くからかゆみも止まるが、副作用も強いことを忘れずに使うこと。適応や使ってはいけないものは、リンデロンと同じ。
☆ステロイド外用剤の経皮浸透、経皮吸収率
前腕内側を1.0として、
頬 13.0、 前頸部6.0、腋窩(脇の下)3.6、陰部(特に陰嚢)42.0
頭皮 4、 背中 2~3、前腕外側 1.5、
手掌 0.83、足首0.42 足底0.14
だから、顔や首、脇の下、外陰部には弱いロコイド軟膏などのステロイドを使う。
☆皮膚病変の種類や、頭髪部などの場所にはローションを使うなど、軟膏、クリーム、ゲル、ローションを使い分ける必要がある。
軟膏はすべての皮膚症状に適応します。それで私は軟膏を使います。
☆ステロイド軟膏の強さ
1 弱い プレドニゾロン、テラ・コートリル、オイラックスH、強力レスタミンコーチゾン、クロマイP、
2 中等度 ロコイド、キンダベート、アルメタ、リドメックス、レダコート、デカドロン、
3 強力 リンデロンV、フルコート、ベトネベート、メサデルム、デルモゾール
4 かなり強力(次強) トプシム、リンデロンDP、アンテベート、ネリゾナ、マイザー、フルメタ、テクスメテン、バンデル、
5 最強 デルモベート、ダイアコート、ジフラール、
☆ぬり薬の使い方-2
1) 軟膏、クリーム、ローション、ゲルなどの使い分け方
○軟膏はどの状態の皮膚にも使えます。のばしやすいことと、少量で使いやすいこともあり、私は好んで軟膏を使っています。
○クリーム、ゲル、ローションなどは使用する皮膚の患部の状態により、使い分ける必要があります。皮膚科専門医は知っていると思いますが、内科医、内科・小児科医などは知らない医師の方が多いです。
2) 混ぜた混合軟膏を使うか、単独の軟膏を重ねてぬるか。
○混合軟膏は、残った時に他の用途に使えないこともあり、私は使いません。
混合したら、ステロイドの強さが落ちるからという医師もいますが、変わりがないという医師もいます。いらない場合にも使ってしまうので、単独の軟膏の方が使いやすいです。
○私は重ね塗りを勧めます。ステロイドを先にぬり、他の薬をその上から重ねて塗ることが多いですが、違う場合もあります。
○皮膚科専門医では、単独で重ね塗りする医師と、混合してしまう医師とに分かれています。混合軟膏に関しては使用する場所や用途に注意して下さい。限られますから。
Ⅱ 他の軟膏の使い方
5.抗生物質軟膏
いくつかありますが、私は副作用、皮膚の細菌への効果などを考えて、ゲンタマイシン軟膏を好んで使っています。皮膚の細菌にはこれで十分です。それ以上は小児皮膚科専門医に任せます。
ゲンタマイシン軟膏10g、ゲンタシン軟膏など
抗生物質の軟膏。特に皮膚につく細菌によく効く抗生物質である。それで化膿している場所や、化膿しやすい場所に使う。特に、他の抗生物質に比べて、傷の肉芽のあがりがよい。最近は傷の湿潤療法と言って、消毒はせず、水でよく洗い、キズパワーパッドを貼る方法もある。この場合には、ぬってはいけない。
それで膿が出るようなら受診する。
◇適応:すべての傷、けが、やけど。潰瘍、うみや浸出液のでている場所、にきび(もっとよい別の抗生物質軟膏がある)。口唇、口の角、鼻の穴の中、お尻の穴、おちんちんの先(亀頭)、女の子の陰部(膣の入り口)にもぬれる。
水痘の、かきこわして傷があるものや粘膜にできたもの、周りが赤く化膿した所にも使う。
帯状疱疹(ヘルペス)に化膿止めとして使う時は、うすくぬり、べたべたぬらない。ひび、あかぎれ、手の湿疹などのひび割れ、
◇使っていけないもの:特にないが、適応以外のものには効かない。
◇傷には、きれいによく水で洗ってから、つける。消毒するよりきれいに洗うことが大切。菌を殺すより洗い流す方がよい。傷の専門は、形成外科、皮膚科。
☆ほかの抗生剤含有軟膏など
感染が疑われる皮膚の状態に使います。子どもと高齢者では、皮膚の細菌の種類が年齢や環境によって変化しますから、違います。子どもには、ゲンタマイシン軟膏を薦めます。
△エリスロマイシン軟膏 △アクロマイシン軟膏 テラマイシン軟膏 △フラジオマイシン軟膏 △クロロマイセチン軟膏
☆ニューキノロン系軟膏 アクアチム軟膏 10g
☆スルファジアジン銀を含む軟膏 ゲーベンクリーム 50g、100g、
6.アズノール軟膏20g
乾燥し、かさかさした所に使う。唇がかさかさした時に使うとつるつるしてくる。皮膚に使ってもつるつるしてくる。湿疹にぬってもよいが、効果は少ない。
湿潤した褥瘡や擦過傷にも使う。覆い隠す効果があり、膿をすいこんでくれる。
褥瘡によく使われています。
7.亜鉛華単軟膏(チンク軟膏)、サトウザルベ軟膏
主におむつかぶれに使う。赤ちゃんの首のくびれや脇の下などのじくじくし易い所にも使う。ぬらした布でふいてから、ぬる。少し厚くてもよい。おむつを取り替えるたびにぬる。股などの擦れる所にも使うとよい。
副作用は少なく、ぬり続けてもよい。重ねてぬることもある。また、ステロイド軟こうをぬった上に重ねてぬり、ステロイドを保護することもある。
8.マイコスポールクリーム 10g、ラミシールクリーム10g、
真菌(カビ)用のクリーム。強いので、使用は1日1回うすくぬる。おむつかぶれのひどい時に起きるカンジダ症や、足や体の水虫(白癬)に使う。おむつかぶれの場合も一日一回ぬり、その上から亜鉛華軟膏をうわぬりする。ぬった時以外は、おむつを替えるたびにぬらしたガーゼかタオルでふいてから、亜鉛華軟膏をつける。
9.ケナログ口腔用軟膏 3g、5g
ステロイド軟膏なので、できている場所だけに、飲食前にぬると、口内炎の場所をおおって痛みがやわらぐ。長期には使わない。
口内炎は自然に7日くらいで治りますが、痛くて食べられない時に、おおってしみないように、食べる直前にぬる。できるだけ使わない方がよいが、その時だけ使うようにすると副作用が少ない。たまに使うと悪化することがある。それは、ステロイドだから、細菌やかびの栄養になり、繁殖することがあるから。
10.レスタミンコーワクリーム
ジフェンヒドラミンという抗ヒスタミン剤の軟膏で、1日数回、毎日連用してもよいです。かゆみを抑えることが主な働きですが、ステロイドには及びません。副作用としては、まれにかぶれることがあります。顔にもぬることができます。
◇かゆい所ならどこへでも使えます。ステロイド程の効果はありませんが、かゆみ止めであり、副作用も少ない。
じんましん、手足口病、リンゴ病などのかゆみや、赤くないがかゆい所に使います。
11.尿素軟膏
ウレパールクリーム20g、50g、ローション、ケラチナミンコーワ軟膏25g、50g、パスタロンソフト軟膏、同クリーム、ローション、
角質化治療剤。尿素は天然の保湿因子です。角質化した(硬くなった)皮膚を柔らかくしてくれる角層柔軟化作用と水分保持作用があります。保湿剤で、水分を保ち柔らかさを保つ。角質融解剤でもあり、保湿剤でもあります。傷やひび割れにつけるとしみて痛い。湿疹には効かない。バリア機能はありません。
◇適応:乾燥してガサガサした所や、硬くなった所。角化症。毎日つけていると、つるつるしてくる。膝頭、肘の外側、かかとなどにぬるとツルツルしてきます。
12.ヘパリン類似物質含有 25g
ヒルドイドソフト軟膏、クリーム、ローション
水分と結合して保湿効果を発揮します。水分保持作用が主です。バリア機能や角層柔軟化作用はあまりない。保湿作用と軽い湿疹や乾燥してかゆい所に効果があります。赤くなった所やかゆみ止めの効果はうすいです。ステロイドではありません。続けてぬることができます。普通は一日1~2回うすく伸ばすようにぬり、すりこまないこと。ヘパリン類似物質が入っていますが、その効能は定かではありません。
一時女性たちに人気があった薬で、顔にも使えます。手足は軟膏かクリームがよく、冬の乾燥が強い時には、ローションではすぐ乾いてしまいますから、軟膏がお薦めです。
13.ユベラ軟膏
ビタミンEとAの入った軟膏。ビタミンの効果は疑わしいが、基剤の軟膏がよいので、保湿剤として使う。水分保持作用がある。湿疹やかゆみには効かない。あくまで乾燥を防ぎ、乾燥のためにかゆくなることを予防する薬。顔にも使えるし、ハンドクリームとしても使える。バリア機能、角質柔軟化作用は少ない。
うすくのばして使う。ぬった後、表面に白さが残らない程度にうすく軽くのばす。
副作用は、まれに、ぬると赤くなる(ビタミンAの副作用)人があり、なったら止める。他にはなく、何年ぬり続けてもよい。
ビタミンEが入っているので、ひび、あかぎれ(進行性指掌角皮症)やしもやけ(凍瘡)に使う薬です。この場合は、少しこすってすりこみます。
14.ワセリン
プロペト (白色ワセリン)、サンホワイトなど
油性の保湿剤。皮膚の表面に油膜を作ることにより、水分の蒸発を防ぐ効果があります。できるだけうすく、スクリーンをはるようにうすくのばして塗ります。べとべとしやすいから。ぬった後、皮膚の表面が少し光る程度(車のワックスがけの要領)がよい。
副作用はほとんどないが、衣服につくとごわごわしてくる。何年ぬり続けてもよい。一日一回お風呂あがりがよい。湿っている皮膚をうすくおおうようにスクリーン状に塗る。乾燥を防ぐための薬。角質柔軟化作用が主で、バリア機能や水分保持作用はそこそこ。
15.アンダーム軟膏、コンべック軟膏、10g
非ステロイド消炎外用剤です。
消炎鎮痛剤の軟膏で、ステロイドでないので1日数回、1か月以上連用できます。副作用はまれに、かぶれることがありますから、赤くなったり、悪化したらやめて下さい。顔にもつけることができます。軽い湿疹に使いますが、ステロイド軟膏とまぜて薄める為に使うこともあります。最近は見かけません。
16.痛み止めぬり薬
〇ゲル、軟膏、クリーム類
ボルタレンゲル25g、50g。インドメタシンゲル、クリーム25g、50g。 インテバン軟膏10g、25g。フェルビナク軟膏25g、50g
〇スティック型 スミルスチック、セルタッチ
◇使い方
痛み止めのぬり薬。ゲルと言ってクリーム状の薬で、1日2~3回ぬると痛みがやわらぐ。欧米では、貼り薬(湿布)より、ぬり薬が使われている。うすく伸ばして使います。すりこまないこと。べたべたつけないこと。
入浴前に使ってはいけません。しみて痛みますから。入浴後や入浴に関係ない時に使います。
◇副作用はかぶれ。また血液疾患やアスピリン喘息のある人は使用禁止。