黒部信一のブログ

病気の話、ワクチンの話、病気の予防の話など。ワクチンに批判的な立場です。現代医療にも批判的で、他の医師と違った見解です。

自己暗示

2022-04-28 10:55:21 | アレルギー疾患の精神身体医学
          自己暗示

           自己暗示                
                            クーエ「自己暗示」より抜粋
 (この書は、私が催眠療法を学ぶきっかけとなった感激した本ですが、今は手元にありません)。

 あなたは自己暗示で、あなたの持つ自然治癒力を解放し、充分にその能力を発揮させていける。しかし、その過程にはいろいろな妨害がある。
 ある考えが精神に提示されたとしても、精神に受入れられない限り、決して現実にはならない、ということである。逆に意識がその事実だけを念頭におきだしたら、痛みはかえって増してくる。
 ①ある考えが精神を独占してしまった場合、その考えは実際に、肉体的もしくは精神的状態となってあらわれる。
 ②ある考えを意志の力でおさえようと努力すれば、その考えをますます強めてしまうだけである。

 自己暗示の基本法則
 「意識に入ってくる考えは、無意識によって受け入れられたら、かならず現実に変わり、今後の生活の中で永続的な要素となる」(=無意識的自己暗示)。

 自己暗示の過程は、
(1) 考えを受け入れ、 (2)その考えを現実に変える、という2つの段階から成り立つ。
この2つの作用を行うのは無意識である。その考えが、本人の心から出たものか、外部から他人の媒介で提示されたものか、などは問題にする必要はない。

 本質的には、どんな暗示も自己暗示である。必要な区別は、
② われわれの意志や選択のおよびえない所で起こる無意識的自己暗示と、
②われわれが実現したいと思う考えを意識的に選び、それをなんとかして無意識に伝えようとする誘導自己暗示の2つだけである。

 エミール・クーエは「自分には人をなおす力などなく、また、生まれてこのかた、人をなおしたこともない」という。「患者を健康にする道具は、かれら自身の中にそなわっている」クーエはただ、健康についての考えを患者の内面に呼び起こす助けをしているにすぎない。今後は患者自身で自分の運命を扱って行けるはずだし、またそうしなければならない。

 自己暗示の一般的法則
 どんな原因からであっても、暗い考えに襲われたら、われわれの注意を何かもっと明るいものへ移さなければならない。病気にかかったら、くよくよ悩むことによって身体の器官のもつあらゆる機能を病気にゆだねてしまい、自分の生命力をわが身の破壊にさしむける結果となる。
 心から根こそぎにすべきものの1つは恐怖(不安)である。恐怖(不安)は、心が否定的な考えにこだわるだけでなく、その考えと我々の心が親密になり、しだいに効果を強める。

 われわれは自分自身のためにも、隣人たちの欠点や弱点にこだわらないようにすべきだ。他人の欠点をいつも考えていると、その考えが絶えず心の中にあり、無意識的にそれを受け入れ、われわれ自身の性格の中にそれを実現させる危険が大きい。
 自分自身のために、否定的な考えを避けるべきだ。

 他人に対しても、尚更そのこころがけでいなければならない。「顔色が悪いね」とか、「具合が悪いんじゃない」と本人が云いもしないことをいう時、相手がとりあわなければよいが、本気にすると、相手の健康を害していることになる。
 子どもに対しては、もっと深刻で、慎重にしなければいけない。
 「カゼをひきますよ」、「病気になりますよ」、「転びますよ」などと悪いことを暗示してはいけない。繰り返し聞かされているうちに病気になってしまう。
 同じように、悪い子、馬鹿、間ぬけ、ぐず、のろま、不良、親不孝者、なまけ者などと云ってはいけない。それを受け入れられなければよいが、受け入れてしまったら、そうなってしまう。「僕は悪い子だ。悪い子は、悪い事をしてよいのだ。」と考える。
 (だから「あなたは良い子だから、こういう悪いことはしてはいけません」としかりましょう。良い子は悪いことができないのだから。)

 一般暗示
一般公式
 「毎日、あらゆる面で、私はますますよくなってゆく。」 (Day by day,in every way, I’m getting better and better.)→→「すべての面で、一日ごとに、ますますよくなっていく」
 ひもを1本用意して、それに結び目を20つけるとよい。寝床についたら、目を閉じ、筋肉の力をぬき、らくな姿勢をとる。次にひもにつけた結び目をたぐりながら、一般公式の暗示を20回唱える。言葉は、自分の耳に聞こえるくらいの音量で、声に出して唱える。無心に、子守歌でも口ずさむように、単純な気持ちで、努力せずに唱える。
 朝、目が覚めたら、起き上がる前に、就寝前と同じ様に公式を繰り返す。
 規則正しく繰り返すことがこつである。あとは、種を蒔いたのだから、芽が出てくるのを待ち、芽が出たら若葉になるのを待つ。まだかまだかと気をもまないこと。
 こんなことをしても良くなる訳がないと不信の念を抱くかぎり、暗示の効果は消滅するだろう。信頼が大きいほど、結果は早く訪れてこよう。

 自己満足している人は、自分以外の他人の美徳を認めることができない。
 自分の考えを意識的に誘導できる時間は、睡眠の直前と直後である。このときにかけられた暗示は、より確実に受け入れられるだろう。この時間が一般公式をくり返し唱えるのに最適である。

 努力逆転の法則で、努力するほど、うまくいかない。(努力し過ぎてもいけないこと)
 シェヴルールの振り子の実験(略)

 特殊暗示
 特殊暗示は、一般公式ほどの効果を持ちえない。
 特殊暗示をかけるには、誰からも妨げられない部屋へ行き、座り心地のよい椅子に腰をおろして目を閉じ、筋肉の力をぬく。云ってみれば、昼寝をしようとする時と同じ具合だ。
そうすれば、無意識の潮が、特殊暗示の効果をあげるのに充分な高さまで満ちてこよう。
 今度は、言葉によって、自分の望んでいる考えを呼び出す番である。これこれの改善が起こるだろうと、自分自身に告げる。その時に、こころにその考えをおしつけたり、努力したり、注意力をむりやりその考えに向けたりしてはいけない。緊張せずに、なんとなく心にうかべるようにする。

☆特殊暗示の仕方
 無理な要求はしてはいけない。3つの段階を含む。
 ①改善の即時開始、②迅速な進展、③完全かつ永久的な治癒、

◇例:難聴
 「今日この日から、私の聴力はだんだん好転していく。日一日と少しずつよく聞こえるようになるだろう。その好転ぶりは、徐々に速さを増して、かなり短期間のうちに、まったくよく聞こえるようになり、一生その状態は続くだろう。」
◇恐怖やいわれのない予感
 「今後、私は幸福で、確信にみち、快活な状態をますます意識するようになるだろう。私のこころに入ってくる考えは、強く健全なものであるだろう。日々に自身を増して、自分の実力を信じるようになる。そして同時に、その実力はさらに強まった形で表れることになろう。私の生活は、ますます平穏で、安楽で、明朗なものになっていく。この変化は日々に深みをまして、遠からぬ将来に私は生活を一新させていることだろう。かって私を悩ました憂慮はもはや消滅しているだろうし、舞い戻ることなど決してないだろう。」
◇記憶が悪い人は
 「私の記憶は、今日からあらゆる分野で増進するだろう。受け止められた印象はさらに明確なものになり、努力せずとも、児童的に記憶されるだろう。思い出したい時には、すぐさま正確なかたちで心にうかび出てくるだろう。記憶の増進は迅速に行われ、たちまち以前には思いもよらなかったほどになろう。」
◇短気、かんしゃくには、
 「今後、私は日を追って上機嫌になるだろう。沈着と快活がふだんの精神状態となり、やがて諸事万端この心持ちで受けとめるようになろう。私は周囲の人々に激励と助力をさしのべる中心的人物となり、私自身の上機嫌さを彼らにも移してしまうだろう。この快活な気持ちはついには私の習性となり、どんな事態をもってしても、私からそれを奪うことはできなくなろう。」
◇喘息には
 「今日この日から、私の呼吸は急速に容易となるだろう。まったく自分でも気づかぬうちに、そして自分ではなんら努力せずとも、私の器官は、肺と気管支の健康を回復させるのに必要ないっさいのことをするだろう。大車輪で働いてもまったく不便を感じなくなろう。
私の呼吸は、のびのびして、深く、快いものになるだろう。私は、自分の健康増進に必要な、汚れのない空気を吸い込むだろう。その結果、私の全器官は活気をおび強さを増すだろう。さらに私は平静に安眠して最大限の休養をとり、快活な気分で目覚め、日々の仕事に楽しい期待をかけるだろう。この過程はすでに今日始まっており、遠からず、私は完全かつ永久的な健康を回復するだろう。」
 ☆よくなってきたら、それに合せて暗示の内容を変えていけばよい。

◇痛みには
 痛みに反撃をはじめる時は、すわって目を閉じ、冷静に、そして自信をもって、「これからこの痛みをとりのぞいてやる」と自らに告げる。望みどおりの結果が得られたら、「今、回復した安楽な無痛状態は永続的になり、患部はみるみる補強されて正常な健康状態に達し、以後はその望ましい状態が常に続くだろう。」と暗示をかける。
 痛みが軽くなっただけで、完全にとりのぞけない場合は、次のような暗示を用いると良い。「もう大分楽にになってきた。もうすこしで完全に止るだろう。私は正常な状態に戻り、今後もその状態が続くだろう。」

◇難しそうに見える仕事にとりかかる時に
 まず目を閉じ、静かにこう云う。「私がしなければならない仕事はやさしい。まったくやさしい。やさしいから大丈夫できる。私はそれを手ぎわよく、立派にやってしまうだろう。しかも仕事を楽しんでやるから愉快になってきて、身も心も仕事にみごと調和して、結果は、期待を上回りさえするだろう。」これで自信がでてきたら、進行方法を考え出す段階へ入る。
◇思案投げ首のとき、一晩寝て考えろ。
 悩んだら、くどくど考えず、「一定の時間がすぎたら、解決策が自ら浮かんでくるだろう」という暗示をかけ、ぐっすり眠って無意識の力に任せるとよい。朝目が覚めた時に、良い案が浮かぶことがある。時々これを実行している人がいる。うつらうつらしている時に、よい案がひらめくからと、枕元に鉛筆とメモ帳をおいている。
 ジョギングや山登りの最中にひらめくのも、同じである。無意識に任せると、良い考えが浮かんでくる事が多い。
◇発作の伴う病気には
 「今後私は常に、いつ発作が起こってくるかを前もって予知するだろう。その接近に際しては充分な警告をうけるだろう。警告を受けても、恐怖や疑念は生じまい。私は、それを避ける力が自分にあることを確信してやまないだろう。」
 警告が出たら、――これは間違いなく出る―― 患者は一人になって、発作が進行しないように特殊暗示をかける。
 まず「平穏と自制」の暗示をかけ、さらに「 正常な健康状態がすでに再起しつつあること、精神が充分に統制されていること、どんなことがあってもその均衡は乱れないことなどを、何度も、しかも努力を避けながら、唱える。

◇神経性疾患や恐怖、憤怒といった激情は、肉体的運動となって表れることが多い。
 (恐怖は身震い、動悸、歯のがたつきを、また憤怒は手の握りしめを起こす。)
 「怒りのかわりに、同情、忍耐力、上機嫌を感じるだろう。したがって肉体の状態も安楽かつ自由になるだろう」
◇1つの単語を繰り返してもよい。
 「沈着、歓喜、力、愛、純潔」
 しかし、特殊暗示は単なる補助手段であって、ひまがなければ無視してもかまわない。

☆痛みの処理--
 --心配、恐怖、意気消沈といった心の苦悩にもよい。
 何かの考えを口に出して唱えていれば、その間は、その考えが心を占めている。
 しかし「痛くない」という考えだと、すぐその反対の連想の「痛い」が心を占めてしまいやすい。(それで「だいじょうぶ」とか「平気だ」とか言う言葉を思い浮かべる)
 そこで頭痛、歯痛などの痛みで悩んでいる時は、座って目を閉じ、静かに、その痛みをこれから取り除いてやると、自分に保証する。そっと手で患部をさすりながら、できるだけ早口で、音を絶え間なく流すような調子で、「それは消える」、「消える、消える、・・・・・消えた」。約1分くらい息が苦しくなるまでぶっ続けに早口で唱え、一番最後に「消えた」としめくくる。
 痛みがひいてきたら、「もうじき完全に止まってしまう」という暗示をかける。
 痛みがひいたら、「もうぶり返すことはない」という暗示を。
 痛みがひどく、これに立ち向かえない場合は、ベッドに横たわるか椅子にもたれて、心身ともに力をぬく。努力はことを悪化させるだけだから、痛みに考えをまかせてしまう。
痛みをじーっと感じて待っていると、しばらくすると、気力が湧いてきたら、また始めよう。
 痛みは、われわれの肉体的機能がどこか狂っている危険信号である。初期症状の出す貴重な警告である。(痛みがひいたら、その原因を考え、まず心身の休息をとるべきである。痛みがとれたからと、すぐ仕事をしてはいけない。私は、危険というよりは、警告信号、注意信号だと思う)

☆子どもは
 子どもの生まれる前から始めよう。妊娠中の女性は衝撃や驚愕、精神的ショック、パニックを感じてはいけない。子どもが臆病になる。ひどいと流産したり、障害が残ることがある。
 生後数ヶ月の子どもに直接適用しうる自己暗示は、愛撫だけである。けれども母親や乳母の精神状態が乳児のこころに刻み込まれて行き、その時の精神形成が末長く尾を引く。
 特殊な病気になったら、子どもを膝の上に抱き、患部をやさしくなでながら、健康の完全回復を、言葉で念ずるのである。
 子どもが母親の云うことが理解できるようになったら、次の方法になる。
 夜、子どもが寝ついたら、母親は子どもの寝ている部屋に入り、子どもを起こさないように注意しながら、枕元から約1メートルの所に立って、必要と思われる暗示をささやき始める。子どもが病気なら「お前の病気は治っていく」という形式の暗示を20回繰り返す。
子どもが健康なら一般暗示の公式だけで充分である。同時に子どもの、健康、性格、知能などに関する特殊暗示をかけてもよい。部屋を出る時は、再び子どもを起こさないように注意する。目を覚ましそうな気配を示した時は、「眠りなさい」という命令を5、6回ささやけば、また寝ついてしまうだろう。
毎晩これを休まずに数週間実践するとだんだん効果が表れてくる。子どもがまだ言葉を話す以前から始めることだ。そして子どもが日々のさまざまな問題に自分で対処できるようになったら、そして少し難しい事が起こっても親の助けを求めに来なくなったらやめる時がきた。
 子どもが話せるようになったら、朝晩大人と同じ一般暗示を繰り返すように教えてもよい。
 7~8歳の時に、就寝後暗示をする時は、男の子は父親が暗示をした方がよい。
 女の子は母親でよい。
 思春期に、はなはだしい困難や危険に当面している徴候がみえた時には、再びその特殊な困難に関する特殊暗示のかたちで、就寝後暗示をかけてやるとよい。この場合も、他の場合と同様に目的だけを暗示してやればよく、目的を達する手段の選択は無意識の自由にまかせるべきである。しかし性に関することは難しい。
 子どもが話し方を覚えたら、すぐ苦痛に立ち向かうすべを教えることだ。
 子どもに目をつぶらせ、その患部をそっとなでながら、自分と一緒に「なおる、なおる、なおる・・・なおった。」と繰り返し唱えさせる。(日本では、「痛いの、とんでけ、とんでけ、とんでけ・・・とんでった」の方がよいだろう。)そして自分でやるように教えていく。

☆☆自己暗示は医療にとって替るものではない。
 医療の働きを、より効果的にし、今まで医療だけでは治らなかった人々を治すためである。
 自己暗示は、自己修養の手段である。
 自己暗示の効果は道徳にも及ぶ。将来犯罪者を立ち直らせる方法になろう。
犯罪は病気なのだから、病気として取り扱うべきである。
自己暗示は内的生活の原則を教える。
                          以上   

アレルギー疾患の精神身体医学

2022-04-28 10:44:45 | アレルギー疾患の精神身体医学
           アレルギー疾患の精神身体医学

 説得療法

 説得療法とは
はじめに
 私はこの言葉を九大の故池見酉次郎教授の文献から知りました。でも私はそんなことを知らずにしていたことでした。ただ私は、患者数が多く、一人ひとり違うので、個別にしていましたが、花粉症の時だけは、待合室を使って集団で行ないました。
 池見酉次郎教授の論文はその内にブログにのせますが、取り敢えずそこに書かれていた「説得療法」の説明を載せます。
 「心理的脱感作の第一段階として、先ず説得療法を行なった。これは被験者たちを一堂に集めて、心身相関についての全般的なことをいろいろ話したり、われわれがやった心身相関の実験をスライドなどで見せたりした後で、自由に質疑応答させ、さらに個人面接までおこなって、問題の症状が起きた時の条件などを細かく聞き、各人がなっとくが出来る状態にまで、再教育する方法である。」
 しかし、それだけでうまく治癒する人もいるが、出来ない人に本格的に心理的脱感作療法をするというのです。私はそこまでできませんでした。そこまでの準備と時間が無かったからです。次に載せる「自己暗示」に書かれている、思い込みの激しい人を、うまく誘導するには催眠療法を使わないとできないからです。
 「自己暗示」はフランスの薬剤師エミール・クーエの自己暗示法で集団で集めて、自己体験の話をさせたりしてから、自己暗示で病気を治すように話をし、病気を治していたというのです。
 私のした説明療法は、必ず思い出してもらうために、詳しい説明をプリントして渡すことでした。ある雑誌に70枚作っている医師がいると書かれていたので、私は100種類以上作って渡していました。一度聞いても忘れてしまいますから、文書にして渡して、繰り返し読んでもらいます。それで安心してもらうことが狙いです。
 当初は小児科専門でしたから、主に感染症と脱水とアレルギー疾患でした。感染症はアメリカの感染症の本からとりました。アメリカの医学書は実践的なので、私は誰にも習わずに、アメリカの医学書で静脈切開を覚えました。読んだ通りにして行けば、出来ました。
 今でも手元にあります。これは先輩の松尾慶応小児科教授から薦められて買い求めた本です。私は陰に日向にいろいろな先生方から応援してもらい、今があります。慶応だけでもなく、医学だけでもなく、いろいろな分野にわたります。感謝しています。
 アメリカの医学書は実践的で、いろいろな日本の医学書に書かれていないことを学びました。例えば麻疹と風疹の見分け方や、水痘の水疱の鑑別、解熱剤による麻疹の内攻や脳症の発病、インフルエンザや水痘以外でも解熱剤で脳症になること、アセトアミノフェンでもライ症候群になることなど、あまたにのぼります。
 日本の医学書は書いた人を知らないと、信用できません。大学を問わずそういう医師は少数です。例えば、名古屋市立医大小児科教授だった小川先生は、弟子たちに「信頼できると思ったら、電話してでも患者の治療法の教えを請いなさい。教えてくれなければ二度と聞くことはない。自分の患者を助けてくれるなら、救急車でも、ヘリコプターでも呼んで、連れて行きなさい。」と教えていたと浜松医療センターの新生児科医長から聞きました。残念ながら、その弟子であった小川助教授は教授になれずに、埼玉医大の中山喜弘教授に呼ばれて埼玉医大総合医療センター教授になりました。その小川教授は病床で、自分の後任に東大出身で長野県立こども病院にいた田村正徳教授を指名しました。良い医師は、良い医師を知っているのです。
 中山教授は私の父(千葉大卒)の同級生の弟で、慶応を卒業して千葉大の医局へ行きました。田村教授は小児科医師連合での友人でした。皆、腕の良い患者さん思いの小児科医で人を使うのも上手で、信頼できました。いずれも私を支えてくれた人たちです。
 大学闘争や青医連運動、小児科医師連合運動をしたおかげで私は多くの医師たちと知り合い、教えを受け、支援を受けました。あの頃はみんなあつく医学や医師のあり方を語りましたが、今は過去の話になりました。それだけの想いで医者になってはいないと思います。
 外来診療でする場合には、よほどの信頼関係ができていないと難しいです。評判を聞いて来てくれる人は、信頼関係が作りやすいのでうまく効果が出ることも多いです。
 薬だけくれればよいという患者さんは難しいです。
 吹上共立診療所時代には、黒部教信者と言われるほど信頼してくれる患者さん、というより母親たちがいました。そうすると子どもたちが病気をしないか、しても軽く済んだり、兄弟が同じ病気にかかると受診せずに治ってしまったりして、患者数が減少してしまい、常に新患を増やす努力をしていました。それでも今の医療制度では経済的に成り立たず、乳幼児健診や予防接種、住民基本健診や特定健診などの内科の健診で稼ぐしかありませんでした。
 ウイルス疾患では、解熱剤と抗生物質を出さなければ、使う薬が無いし、胃腸炎は食事療法で済むし、嘔吐症の場合は絶飲食の時間をおくとか、診断がポイントであり、治療ではお金をとれず、説明だけになったのです。
 それで説得療法は、主にアレルギー疾患が対象でした。アトピー性皮膚炎なども一度新聞に取り上げられて何人か来られましたが、子どもはみな1か月以内に治ってしまいました。
 気管支喘息も発作を起こさなくなるし、蕁麻疹、食事アレルギーも軽快し、スギ花粉症とアレルギー性鼻炎だけが、軽くなるが完全に治癒とはなりませんでした。ストレスが何かをつかむことが難しく、ストレスを無くすことができなかったからです。乳幼児の喘息様気管支炎も難しいケースでも1年で治りました。
 大人は難しいのは、思い込みが大きく、それを変えさせることが難し野です。その内に載せますクーエの「自己暗示」に詳しく書かれています。それで集団で、教育と暗示をし、それを強化するための自己暗示を教えることで改善を図るのです。

 これから順次私の持っている文献や、私の作ったプリントをブログに載せていきます。資料に基づいて書いたものですが、昔作ったものの中には時代と共に変わってしまったものもあるかも知れません。できるだけ直して載せますが、出来ていないものもあることはお許しください。日本は医療が標準化されていませんから、最先端医療を除いたら、十分対応できると思います。