黒部信一のブログ

病気の話、ワクチンの話、病気の予防の話など。ワクチンに批判的な立場です。現代医療にも批判的で、他の医師と違った見解です。

新型コロナのパンデミックは、なぜ起きたか

2020-10-13 11:01:53 | 新型コロナ感染症
     新型コロナウイルスのパンデミックは、なぜ起きたか(第七報)

  新型コロナウイルスのパンデミックは、スペイン風邪の再来だ

 

1. 新型コロナウイルスはスペイン風邪の再来だ
 主役は新型コロナウイルス。インフルエンザウイルスに代わって登場した。その舞台は、人種差別と貧困と格差社会の世界情勢にあり、その為に人々の免疫は低下している。ウイルスの繁殖する気候も整って、パンデミックになった。

2. 伝染病学者バーネットは、インフルエンザの流行を分析し、「パンデミック(世界的大流行)の起きる条件は、まず第1に適当な気候条件、第2には住民の大多数の免疫水準が低いこと、そして第3にそこに適当な型のウイルスが存在することである」という。

3. まさにスペイン風邪はそれに該当した。世界中の人々の免疫水準が低下していた。そこに変異したA型インフルエンザウイルスが出現し、冬から始まった。スペイン風邪のパンデミックは1918年に起き、その時に世界中の人々は免疫が低下した状況に置かれていた。1914~1918年は世界第一次大戦だったし、1917年10月にロシア革命は起き、ソヴィエト政権が成立。中国、トルコ、メキシコでの革命、アジアでの民族運動、南ア連邦が独立。日本でも米騒動など世界中が戦乱、騒乱と飢えにさらされていた。戦争に動員されたり、革命に参加した若者たちがスペイン風邪で命を落とし、若者の死亡率が高かった。

4. 第二次世界大戦の時は、感染症が流行したが、パンデミックを起こすような適当なウイルスは登場せず。その後もアジア風邪、香港風邪、ロシア風邪、2009年新型インフルエンザなどが流行したが、舞台が整わず、パンデミックにはならなかった。

5. 今スペイン風邪が流行した時の世界の人々の苦難の状況が成立した。
 第1に、異常な気候。北半球の温暖化でシベリア凍土や北極の氷の溶けだし。アメリカ、アマゾンとオーストラリア、インドネシアの森林火災。中国とアメリカの砂漠化。中国とアジアの集中豪雨と洪水。サバクトビバッタの大発生。そして冬12月の武漢から始まった。

 第2に、世界中に「ブラックライブズマター(黒人の命は大切)」が広がり、共感を呼んだのは、人種差別と貧困と格差社会が世界に広がり、都市の貧困層の圧倒的な拡大が進んでいたから。そして世界中に内戦、干渉戦争、内乱、政治的経済的混乱が広がっている。それで大量の移民、難民、農村からの出稼ぎ労働者が都市労働者の貧困層を形成した。それが世界的に形成されグローバル化し、そのために自然免疫の低下した人々が大量に発生していた。

 第3に、そこに新型コロナウイルスが登場した。適度に強くて、致死率が高くなくその為に感染力が強い、未だ遭遇しなかったウイルス。コロナウイルスはまずサーズ(SARS-Cov、 重症急性呼吸器症候群、死亡率9.6%)、マーズ(中東呼吸器症候群、死亡率34%)、そして今回の新型コロナウイルス(死亡率1~3%)へと変異して登場した。今度の新型コロナの正式名称は、SARS-Cov-2です。

6.新型コロナウイルスは現実の世界を明らかにした
 今の世界には、構造的な不平等があること。飢餓、貧困、暴力、人種差別、家父長制の危機です。また女性差別、宗教差別(ムスリムほか)、カースト制度など(アサド・レーマン)
問題にしているのは、資本主義の暴力性であり、・・・採取/搾取主義の論理です。今、最前線にいる労働者が、自分たちは不可欠であると同時に使い捨てにされ、犠牲にされていると訴えています。新自由主義は、第二次世界大戦後に労働者が獲得したものを解体するための階級闘争だ。(ナオミ・クライン)世界のNGOは、テーマ別にわかれた為に、現実世界を見えにくくした。
 新型コロナのパンデミックは、この世界の現実を明らかにした。明らかにされたのは、
第一は、格差社会を生んだのは、資本主義にあること(特に新自由主義)。それは対等な取引をしていても、格差社会が生じる市場経済に内在する不平等。
第二は、内戦と戦争。旧社会主義諸国の経済の破綻や腐敗と、植民地から独立した諸国の権力を握った人々による腐敗。社会(文化、経済、宗教など)の発展の違いによる社会的権力構造の違いによる国内や国と国の、紛争と内戦、戦争。
第三は、工業の発展と農業の衰退。大量の農民が都市労働者化し、出稼ぎ労働者の大量の発生と発展途上国の大都市周辺のスラム形成。そして公害。(これは先進諸国の歩んだ道の踏襲)
第四に、医療が人間性を失っていること。先進国の介護施設でのトリアージ(命の選別)と医療費削減のための諸政策が、多くの高齢者や医療従事者の命を奪った。
先進国で増加しているうつ病とアレルギー疾患を治せないし、予防できないこと。それに成功したのは北欧諸国で、うつ病と自殺と感染症を減らしてきた。それを医療ではなく、社会的政策すなわち政治で成し遂げた。(医学は社会科学であるから―白木博次)
第五に、病気の重症と軽症の違いは人間の側にあること(デュボス)。ストレスによる免疫力の低下(セリエ)。病気の重症度は人間の側の問題であり、さらに精神的要因が関与している(心療内科)。このことを臨床の感染症医学が受け入れていない。(生物学や公衆衛生学、精神医学では一部受け入れられている)
第六に、だから対策は社会経済的に援助し、人間的な豊かな生活を保証すること。これが新型コロナの教えてくれたことです。北欧特にスウェーデンがそれを実践していたのです。現実には、学生と貧困家庭と貧困者への、奨学金の棒引きと経済保証が必要であり、富裕層のためのGoto〇〇 などではない。もちろんロックダウン(都市封鎖)を解除し、移動の自由を回復させれば、それだけで中間層以上の人たちは動き出し、経済は回復へ向かいます。
Gotoキャンペーンでは国民の1/5の最貧困層は救われません。その階層にコロナの犠牲者がでるでしょう。