第 3 回 子 ど も 医 療 講 座
「 赤 ち ゃ ん を 楽 し く 育 て る た め に」
-子どもを病気にしない育て方-
始めに、この講座を始めた時に、恥ずかしながら「望まない子どもの誕生」を考えたことがありませんでした。でも最近は多いようです。もっと早期の性教育をすべきだと思います。特に子どもが生まれたらどうなるかということを教えなければいけない時代に来ているのに、それが遅くとも高校ですべきなのに、されていません。
簡単に子どもを作らない、妊娠しないことを教えなければいけません。日本は低用量のピルの普及が遅れていて、その上避妊具も使用しないためなのではないでしょうか。
望まない妊娠の第二は、強姦です。父親による娘への強姦も後を絶ちません。皆さん、強姦されたら、または望まない性行為を強制されたら、すぐに低用量のピルを飲んで下さい。そうすれば妊娠が避けられるはずです。ピルは、産婦人科で処方箋をもらうことができます。私が吹上診療所にいた時には、友人の産婦人科医に月二回来てもらい、産婦人科何でも相談外来をしていました。そのことを教えてくれたその友人も亡くなりました。とにかく、望まない子どもは作らないで下さい。できた時には、すぐ産婦人科医に相談して下さい。
副題の通り、私の勧める育て方をすると子どもは病気をしません。ただし、親の言うことを聞かなくなります。そして自立して生きていきます。どちらを選びますか。
◎さて、いよいよ始めます。
1.赤ちゃんを育てるのは、親にとっても赤ちゃんにとっても、楽しいこと。
赤ちゃんは、一日ごとに育っていきます。見ていると楽しいです。赤ちゃんが、おっぱい(母乳またはミルク)を飲んでくれると気持ちが良いです。痛くなるほどはった乳房を吸ってくれると、気持ちがよいです。母乳は自然に授乳が楽しくなります。母乳が出なくても、ミルクをごくごくとおいしそうに飲んでくれると、見ていても楽しいものです。赤ちゃんの仕草を見ていたり、声を聞いていたり、目を見ていると可愛いいでしょう。赤ちゃんの笑顔を見ていると、嫌なことも忘れます。
2.赤ちゃんを育てるのは、誰にでもできます。
大切なことは、愛すること。愛することは楽しいこと。愛する人の子どもを産むこと。
いくら自分の子どもでも愛せない子どもは、うまく育てられません。愛情といつくしみをもって、赤ちゃんの世話をすることは、自然でやりがいのあることです。男だって赤ちゃんを育てるのは楽しいことです。ただ楽しさを知らないだけです。父親の育児は、技術よりも心、夫婦のいたわりあいや妻へのおもいやりが、良い父親になります。子育てで不安になることは、誰にでもあります。小児科専門医に相談して下さい。(今の小児科医はどうかな?)
3.楽しくないことは?
①赤ちゃんが泣く時。赤ちゃんが泣くのはなぜ。
赤ちゃんは、言葉が話せないから、泣くことで要求や意志を表現しています。何を要求しているかを見つけて、満たしてあげればよいのです。(それが大変ですが。)
②それでも赤ちゃんが泣きやまない時は。
赤ちゃんが、どうしても夜、泣きやまない時、おしゃぶりをしゃぶらせたり、軽くゆすったりします。ゆりかごやゆりいすで、ゆっくりやさしくゆすること。急檄にゆすると「ゆさぶりっこ症候群」になってしまいますから、ゆっくりゆすること。
それから、自動車に乗せて近所をドライブするといい。これは、アメリカの育児書にも書いてあります。どうも自動車の軽い振動がいいのではないかと言われていますが、現実には何がいいかわかっていません。アメリカではそれが商品化されて、赤ちゃんのベッドにつけると自動車の振動の音がしてゆさぶる商品があります。それをつけてあげると、赤ちゃんが眠くなります。日本でも商品化されるといいのですが。あとは悪い夢をみて泣いている場合は、しっかり目を覚ましてあげると、普通は泣きやみます。でもなかなか覚めてくれません。
②おっぱいやミルクを飲んでくれない時。
赤ちゃんがおっぱいやミルクをあまり飲んでくれないと心配になります。母乳がいいのは、母乳を吸ってもらうと自然に気持ちが良くなることと、母乳をどのくらい飲んでいるか、量が見えないことです。沢山飲んでも、少ししか飲まなくても、お母さんにとっては量がわかりません。だから心配になりません。ところがミルクの場合は、「今日は50mlしか飲んでくれない。きのうは150mlも飲んだのに」と思うとどうしても心配になります。そこが母乳とミルクの違いです。だからミルクでもあまり飲む量を気にしないようにすると良いです。
昔はミルクを沢山飲むと大きくなると言われましたが、そうではありませんでした。赤ちゃんがおっぱいを沢山飲むから体が大きくなるというのは、思い違いでした。体が大きくなる子が沢山飲みます。生まれつき小さい素質の子は少ししか飲みません。
イギリスの小児科医がそれを証明しました。このことは日本にはあまり伝わっていないようです(多くの小児科医が知らないですから)。
昔高度成長経済期になるまでは、日本人は栄養不足でした。だから小さかったのです。私の世代もそうでした。私の同級生で中学を過ぎたころに、急激に大きくなった人がいます。
それは今まで栄養不足で伸びられなかったのが、その時期に沢山食べて栄養が満ち足りたから、その人の持っていた元々の遺伝的大きさになったわけです。それだけのことです。
今の人は生まれた時から、欲しい時に欲しいだけ食べることかできるので、大きい人が多くなりました。もう白人とそんなに遜色がなくなってきています。日本人が小さいと言われたのは、昔の話。それは乳幼児期と成長期の栄養不足だったのです。
実はイギリスでもそうだったのです。昔は労働者の体が小さくて貴族の体が大きかったのです。(それをもって階級制度を正当化しようとしたのです)でもそれは栄養の差でした。だから今はその差はなくなりました。(労働者も生活が豊かになり栄養状態が良くなったのです)それをイギリスの小児科医たちが証明しました。
だから、大きくなる子が沢山飲むのであって、遺伝的に大きくならない子は少ししか飲みません。それで構いません。だから欲しい時に欲しいだけ飲ませれば良いです。
④離乳食を食べてくれない時。
離乳食も同じで、欲しい時に欲しいだけあげればいいです。ただし嗜好食品は除きます。基本的な食品に関してということになります。だから身体の大きい赤ちゃんやよく動く赤ちゃんは、よく食べます。おとなしいお子さん、あまり身体を動かさないお子さん、小さいお子さんはあまり食べません。それはカロリーをそんなに使わないから、そんなに沢山食べないで済んでしまいます。
だからできるだけ、離乳食を作るのも、手をかけて作らないようにしましょう。手軽に簡単に作りましょう。売っているものでも、高いものはあまり買わないことです。折角手をかけて、赤ちゃんが食べてくれないとがっかりします。そうすると、また作るのが嫌になってしまいます。だけど、ちょこちょこっと作れば「まあ食べてくれなくても、また作ればいいや」という気持ちになります。そうするとうまくいきます。市販の離乳食もそうで、折角買って来て食べさせようとしたのに食べてくれないと嫌になります。
どんどん食べれば、どんどんあげて構いません。欲しいだけあげて良いです。よく、食べ過ぎ飲み過ぎで病気になるといいますが、これは思い違いです。食べ過ぎたら太るだけです。お腹をこわすことはありません。飲み過ぎなら、おしっこが一杯出るだけです。それで病気になることはありません。(いろいろな思い違いが現代では一杯です。「思い違いの科学史」という本が出ているくらいです。惑わされないで下さい。特にネットは危険です。)
知恵熱とか、夏期熱とか言うことが昔ありましたが、それは昔、病気の診断がつかなくて、何で熱が出たか判らなかったのです。ところが、何で熱が出たか判らないと患者さんも医者自身も不安になります。だから、どこかに原因を求めたのです。だからその原因を身近なところに求めたのです。これが原因ではないかと思ったのです。現代ではそういうことはありません。(知恵熱も夏季熱ももうないです。でも赤ちゃんを着せ過ぎにすると体温が38℃になることがあります)
専門家でも、間違ったことを言う人がいます。今の医学は細分化され、自分の専門外については知らない医師が多くなりました。例えば小児科でも、新生児・未熟児科、内分泌科、血液悪性腫瘍科とか、循環器科、呼吸器科、腎臓、神経、精神などと多岐に専門が分かれています。整形外科ですら7以上の専門分野に分かれています。その一つに小児整形外科があります。このように耳鼻科、眼科、皮膚科、泌尿器科などでも小児専門と言う分野があります。ところが自分の専門以外のことで口を出します。その時に学問的な根拠がないのに自分で考えた事を言います。そうすると専門の分野で名前が通っている人だと、信じられてしまいますが、しばしば思い違いがあります。
一番多いのは、お腹を冷やすとお腹をこわすという思い違いです。お腹をいくら冷やしても、下痢をすることはありません。判りやすい例は、ダイバー(潜水作業者)です。水中ではものすごく冷えますから暖を取るために、ウエットスーツの中におしっこをします。そのくらい冷えるのに、その人たちは下痢をしません。海女さんたちも海からあがってたき火で暖を取りますが誰も下痢をしません。
赤ちゃんでも大人でもそうですが、下痢がひどい時にお腹を触ってごらんなさい。触るとお腹が冷たくなっています。それでお腹を冷やしたから下痢をしたと思ったのでしょう。でも原因と結果が逆だったのです。本当はお腹の具合が悪いから冷えたのです。お腹が回復すると自然にお腹は暖かくなります。冷えたからではなかったのです。
お母さん方女性に多い、よく腰が冷えるとか足が冷えるとかいうのも、冷やしたから冷えたのではなくて、貝合が悪いから冷えたのです。だから暖めても暖めてもそういう時は暖まりません。病気が良くなると、自然に曖まっています。
普及しなかったのですが、人間の皮膚温度を調べて病気の診断に使うというサーモグラフィーという検査機械があり、それで病気の診断をしようとしました。「皮膚のどこが冷たいか」で病気を推定するのです。つまり冷たくなっているのは病気のしるしです。病気だから冷たくなっていて、冷やしたから病気になった訳ではなかったのです。しかし、精度がよくなくて使われず、暑さ寒さのひどい時に気象情報のテレビ画像に使われたり、空港の入り口で熱のある人をチェックする為に使われています。
だから食べ過ぎ飲み過ぎも同じで、病気になることはありませんから心配しないで下さい。
太るだけです。ただ牛乳やコーラなどのカロリーのあるものを飲み過ぎると、それでお腹が一杯になり、食事を食べなくなることがあります。またしっかり食べていて牛乳を飲むと肥満の原因になります。
⑤言うことを聞かない時。
なかなか子どもが言うことを聞いてくれません。これは生後7カ月前後、人見知りをし始めて以後のことが多いです。人見知りは自己主張の一種です。自分の好きな人とそうでない人を分けますが、他のことでも同じで好きなやり方しか受け付けてくれません。この頃にはプライドがあると言います。叱ってもあまり意味がありません。叱られても、叱られたりたたかれたりしたことは覚えているけれども、何故叱られたのか判らないのです。だから繰り返し同じことをします。最近多い子どもの虐待を見ても判りますが、タバコの火を体に押し付けられて火傷させられても、繰り返し同じ間違いをします。だから繰り返しやられて、身体にやけどの跡が一杯ついています。体罰は意味がありませんし、叱っても意味がありません。
3歳過ぎると、多少判ってきます。精神的なことからくる病気、例えば気管支喘息なども大体は3歳過ぎから発病します。
マナーや礼儀作法は4歳を過ぎてから教えます。それでないとしている意味が判らないからです。子どもに物を借りる時に、「貸してちょうだいと言いなさい」というお母さんが多いけれども、3歳までは意味がわからない。だから、お母さんが代わりに言えばいい。
ある子どもがお母さんに「おもちゃを貸してと言いなさい」と教わった。そうするとその子どもは2歳だったのですが、そう言えば自分が借りていいものだと思っていたのです。だからそう言って相手のおもちゃをとってしまいます。相手は嫌だと言ってるのに、貸してちょうだいと言って、持っていってしまうのです。つまり、マナーの意味がわからないから教えても意味がないのです。マナーは本格的には4歳過ぎ、幼稚園に入るころから教えます。
できれば、お母さんがやって見せて、まねをするように仕向けます。大人が教えるより少し上の年齢の子に教えてもらう方がうまく行きます。
子どもが言うことを聞いてくれないと、どうするかが悩みの種です。何かを止めさせたい時、できるだけ小さいうちは、関心をそらすことです。子どもというのは、関心が次々と移ります。ですからパッと「これはどう」とおもちゃや子どもが関心を持ちそうな他のことに関心をそらします。そっちがおもしろそうだとそっちにいってしまいます。そして、やっては困ることから離れていきます。そのようにして関心をそらせます。
例えば子どもが物を投げました。いけないことですが「投げちゃだめよ」と言わないで、知らんぷりして「ほらこっちで遊びましょ」と言ってパッと他へ誘導します。叱ると、しっかり子どもの頭にインプットされて覚えてしまいます。だからパッと他のことに誘導して、今のことを忘れてもらいます。そうすると叱らないで済みます。だからやめさせたいことや、嫌がることを他のことに誘導することで忘れて貰います。
叱れば叱る程、そのことをしっかり覚えていて、親が怒った時に仕返しに、それをします。
悪いことをしたり、悪いことや危険なことをしようとしても同じですね。他へ関心をそらして忘れて貰います。
早い子は3歳、遅い子は4歳を過ぎるようになると、話が判るようになりますから、「これは危ないからしないでちょうだい」と話をします。「何故危ないか」も話しをします。判っても判らなくても構いません。同じことを繰り返し繰り返し言い続けることです。叱らないで下さい。危険なことほど叱らないで下さい。「危ないからしないで」を繰り返し言うしかありません。
叱って言うことを聞かせると、叱られない所、つまり親の見ていない所でやります。そして事故につながります。だけど、叱らないで言うことを聞いてくれると、親のいない所でも決してしません。そうすると、親がいなくても、事故が起きません。
そのかわり大変ですよ。根気よく繰り返し言い続けないといけないのだから。そして言うことを聞いてくれたら、ほめてあげて下さい。「いい子ね」と。
みんないい子になりたいから、お母さんの言うことを聞いてくれるようになります。
もし、どうしても叱る時には「あなたはいい子だから、こういう悪いことをしてはいけませんよ」と叱ります。
子どもの論理というのはおもしろいもので、良い子は悪いことをしてはいけないのです。良い子は良い子にしていなければいけません。でも悪い子は悪いことをしてもいいのです。だって悪い子なのだから。嘘つきは嘘をついていいのです。嘘つきなのだから。ぐずな子はぐずぐずしていていいのです。だってぐずなのだから。
だから、そういう非難の仕方を決してしてはいけません。つまりいつもいい子にしてあげる。「いい子だから、こういう様にしましょうね」と言う。決して命令しないこと。大人でもそうでしょう。命令されると嫌だけれど、「こうしましょうね」と言われるとなんとなくそういう気持ちになったりします。
子どもをうまく誘導すること。1回や2回、いや繰り返し言っても言うことを聞いてくれなくても、そんなことは仕方がないと思って下さい。繰り返し繰り返し、言うことです。
それから何かをさせたい時、やってもらいたい時には、親がやって見せること。楽しそうにやって見せると子どもはやりたがります。それから上のお子さんだとか、よその子がやっているのを見せます。それを見てやりたがった時に、正しいやり方を教えるというのが、幼児教育の基本です。やりたがらない時には、無理にやらせません。じっと機会をねらって、また同じことをやって見せます。やりたがるのを待ちます。育児は根気がいります。だから私は、育児は若い時にしかできないと思いますし、若いからできるのです。それは子どもを愛しているからです。愛していなければできません。最近は、子連れで結婚することも増えました。相手の子を愛して下さい。そうすれば虐待は無くなります。
⑥いつでも、どこでも、連れていかなければいけないこと。
子どもを育てる時に一番大変なことは、24時間いつも一緒にいることです。これが大変です。いつも親から離してはいけません。ある程度大きくなったら、誰か大人に預けて出ていけます。子どもだけで置いて行ってはいけません。
日本ではそうではありませんが、欧米では家や車の中に大人がいないままに子どもを一人で置いていくと、法律で罰せられる国が増えています。それは子どもを守るためです。
車の中に子供を置いたまま事を盗まれ、盗人が子どもがいるのに気が付いて放り出されてしまうという事件がありました。あの事件の問題は親が非難されなければいけないのです。欧米ではまず親が処罰されます。もちろん犯人も処罰されます。そういう危険にさらしてしまったということが親の責任です。
アメリカの話ですが、レストランのガラスの外の自分の席の前にべビーカーに乗せて置いただけで警察官が来て問題になりました。それはフランス人だったので、目の前で見ているから大丈夫ということで何とかおさまったのです。それすら問題なのです。これは子どもを保護するため、とにかく誰かに預けて大人が側についていることが必要です。いつでもすぐ子どもの危険に対処できることが必要なのです。
べビーシッターが子どもを虐待したというテレビが放映されていましたが、アメリカではそれが問題になる程ふえています。子どもを安全に守ってあげることが必要です。子どもを育てることは大変なことなのです。日本でも、特に無認可保育所での問題があります。訴えても、子どもは戻りません。
4.赤ちゃんに、自分が愛されていることを感じさせることが大切。
愛されていると感じさせるのは、とうしたらいいか。アメリカのホワイト博士が言うには「気持ちがいい」と感じさせてあげるとうまくいくと言います。そうすると父母の愛情を感じます。
そういう状態の子どもは、あまり病気をしません。いつもいい気持ちにしてあげましょう。その為には
①いつもお腹を一杯にしてあげること。空腹を満たすことです。
それには早めの離乳をお勧めします。
早期の離乳は、1)赤ちゃんの食欲を満たします。
2)そうすれば、寝る時もしっかり食べさせれば、夜中の授乳は無くなります。
3)指しゃぶりや物を口に入れることが無くなります。その結果、
4)異物の誤飲事故が減らせます。
5)大きくなっての指しゃぶり、その後の爪噛みをなくします。
6)3か月過ぎての母乳依存は、低カロリーのために、赤ちゃんの脳の代謝の栄養不足と、筋肉などの身体の栄養の不足が生じ、脳と身体の発達の遅れを生じます。乳幼児早期の低栄養は、脳の発達の遅れと体特に身長の伸びの遅れを生じ、遺伝的慎重に達しないことが出てきます。遺伝的に両親から受け継いだ、知能と身長をそのまま発揮させるためには、早期の離乳を勧めます。
私の世代の身長が低いのは、小さい時の低栄養だったからです。
7)思春期の食にまつわる精神的な病気は、乳幼児早期の食生活に問題があるのではないかと疑われています。欲しい時に欲しいだけ飲んだり食べたりと自然の食欲に任せて育てると、食関連の病気(肥満、食欲異常症、食思不振症など)が少なくなると思われます。
8)食物アレルギーも、赤ちゃんへの早期の、しかも好きなものを好きなだけ与えることが、予防できると思います。食物アレルギーは、乳幼児への食べ物の押し付けや制限から生じている疑いがあり、私はそれをやめてもらうことによって治しています。
ついでに言えば、発達障害も神経質な子どもへの干渉、過保護などのしつけが厳しすぎることによって生じている疑いがあります。1歳半までに見つけて、早期に専門医に育て方のアドバイスを受けるとよくなる例が少なくないからです。それができる医師は少数ですが。
授乳はいつでも欲しい時に欲しいだけ与えましょう。赤ちゃんの食事ですから、お腹が空いた時にあげましょう。
母乳はあくまで食事の一部ですから、お腹が空いている時以外はあげないで下さい。日本では泣くとすぐ母乳をあげる人が多いし、寝る時にあげます。つまり睡眠剤や、精神安定剤のかわりに母乳をふくませてしまう事が多いのです。そうすると、断乳(卒乳)も簡単にいきます。寝る時も離乳食が遅いとおなかが空くので欲しがります。
離乳食は早めに、赤ちゃんに合わせて進めましょう。赤ちゃんが主人公です。あなたの前にいる赤ちゃんに合わせて進めましょう。本や他人(医師、保健師、栄養士、助産師、友人)の言うことに、あなたの赤ちゃんが当てはまるかどうかは判りませんから、目の前の赤ちゃんに聞いて下さい。
早めの離乳食は、果物から野菜に進めます。まず果汁、そして果実がゆから、野菜の煮つぶしに進め、おかゆなどの穀類は生後4ヶ月過ぎてから与えます。
果汁がスプーンで飲めるようになったら、果実がゆに進めます。
初めはりんごソースで、アップルパイを液状にしたものをイメージして下さい。おろしたりんごを白湯で倍にうすめてお砂糖をいれておいしくしてどろっとするまで煮て与えます。
(甘いものを早くから与えると、甘いもの好きになるという思い違いを信じないで下さい。子どもの成長期特に乳幼児期は、脳の代謝にグルコースが必要です。だから炭水化物が必要ですが、手っ取り速い糖分を好み、成長が止まるとつまり大人になると欲しがらなくなります。ただし、親が甘いもの好きなら仕方がありません。)
美味しくして与えましょう。食べてみて美味しい物、上の子が欲しがるほどの物を与えましょう。甘く美味しくし、塩分も減らさず、美味しくしないと食べてくれません。それで悩んでいるお母さんたちがいますが、糖分や塩分を減らすことは、ワクチンを打たなければいけないことと同じ意味ではないでしょうか。無条件で信じてはいけません。何かを疑ったら、全て疑って下さい。私は、そうして今の考え方にたどりつきました。
初めはウースターソース状にし、なれたらだんだん濃くしてとんかつソース状にし、最後はおろしただけにして与えます。
それが食べられたら、バナナをフォークの背でよくつぶして与えます。
それから野菜の煮つぶしにします。うらごしなどする必要はありません。赤ちゃんも喜ぶし、手もかからない。離乳食もできるだけ早めに進めましょう。あなたの赤ちゃんを信じて下さい。食べられなければ押し出すか口に入れて味を見て吐き出します。食べるものを与えて下さい。本に書いてあること、他人の言うことには思い違いがありますが、あなたの目の前の赤ちゃんは現実です。あなたの赤ちゃんを信じて下さい。
ある赤ちゃんは、7か月過ぎまで母乳だけでしたが、這い這いできるようになり、ある時這い這いして行き、卓上のお茶碗の中に手をつっこんで、ご飯を掴んで食べ、それ以後母乳をいやいやして、ご飯や親の食べるもの以外を受け付けずに離乳した例があります。
離乳は、母乳から栄養価の高い親の食事に移行する過渡期なのです。世界でいろいろなことが行なわれていますが、とにかく幼児の食事に移行できればよいのです。
日本の子どもは戦後、どんどん成長して今は非常に大きくなりました。それに合わせて、離乳食を進めてあげないと、本当は、お腹が一杯にならないはずです。
どのくらいかと言うと、昭和20年頃の赤ちゃんは生まれた時の体重が2倍になるのに6か月かかりました。今は早いお子さんは2カ月、遅くて3カ月で生まれた時の体重の倍の体重になってしまいます。ところが、雛乳食の指導は70年前の昔とまったく変わっていません。それどころかアレルギーを作らないためとまことしやかに言い(全く根拠はなく)、離乳食を遅くすることを勧めます。私は食べものアレルギーも含めてすべてアレルギーは、育児の中で作られていると思います。なぜなら育児法を変えると治るからです。
だから離乳食を勧めないと赤ちゃんはお腹が空きます。お腹が空くから、指しゃぶりしたり、物を口に入れたりします。昔はヨーロッパやアメリカでも昔は離乳食が遅かったのです。それでフロイトは「口唇期」と言いました。
所が離乳食をどんどん早く始めるようになりました。どのくらい早くしたかというと、アメリカの小児科医で一番極端な人は生後1週間で果汁を始めて、2週間で離乳食を食べさせることをしました。でもこれは余りにも行き過ぎということになり、もう少し遅くするようになりました。その結果今は生後1ヵ月過ぎから果汁、2ヶ月過ぎぐらいには、離乳食を始めます。大きくなる子は、もう1ヵ月過ぎてから、食べさせてもよいのです。
何を指標にして判断するかというと、赤ちゃんが与えられたものを拒否できる意思表示ができるようになると、与えてもよいと言います。舌で押し出してしまうとか、ロを横に向ける、顔を横に向けるなどです。そういう意志表示ができるようになったら、離乳食を始めてよい時期です。これはアメリカ小児科学会栄養委員会の勧告です。
その理由は、生まれたばかりの赤ちゃんは原始半者がり、口に触ったものを飲み込もうとします。これは生まれたばかりの赤ちゃんが生き残るために必要なことなのです。しかし、1~2か月でそれをしなくなります。そこから始まります。
生後1ヵ月で果汁、2ヵ月で離乳食をと、または体重5kgで果汁、7kgで離乳食を始めると教わりました。昔はそう指導していましたが、大きな子や、体重がどんどん大きくなってしまう子や、それから良く体を動かす子は、お腹が空きますから欲しがります。ミルクや母乳ではお腹が満足しないです。大人が牛乳を沢山飲んでも、お腹が一杯にならないのと同じです。離乳食は少ない量で濃厚にいきます。母乳やミルクはうすいので、スープを飲んでるようなもので、しっかりお腹が一杯になるためには、離乳食の方が良いのです。
欧米で判ったことは、離乳食を進めていったら、指をしゃぶる子や物を口に入れる子が3分の1になりました。3分の2の子は、お腹が空くから指をしゃぶっていたのです。
早く進める離乳食は、果物から野菜へ進めます。
おかゆは穀類ですから、4ヵ月以後にしないと、赤ちゃんの胃で消化できません。バナナとかリンゴは生後1ヵ月で消化できます。だからバナナとかリンゴから始めておかゆに進めます。早く始める離乳食は果物から始めます。果物から始めて、野菜に進め、生後四か月になり、おかゆに進めます。
欧米では早くて6ヵ月、遅くて9ヵ月で離乳が終わります。だから、離乳期のミルクを売っている先進国は日本だけで、アメリカのメーカーも日本向けにだけ売っています。フォローアップミルクは発展途上国向けの物と先進国では考えられています。発展途上国では、離乳食を充分子どもに与えることができません。与える食べ物がないとか、手に入らないとか、お金がないとかという理由からです。だから遅くなります。そういう場合のためのミルクです。
与える量は、赤ちゃんが自分で食べる量を決めますから、食べるだけ与えて下さい。最近は食べてくれない子が出てきました。美味しくしていますか?。お母さんや上の子が食べたくなる程、おいしくしていますか。美味しくなければ食べません。食べ過ぎも飲み過ぎも病気になりません。みんな思い違いです。ふとったり、おしっこを一杯したりするだけです。お相撲さんを見て下さい。
無理して食べても病気にはなりません。(ただし成人病は別です。)
②赤ちゃんの能力を伸ばすように手助けをしましょう。
赤ちゃんがピョンピョン跳ねたがったら、跳ねさせてあげましょう。赤ちゃんが嫌がっているのに無理に赤ちゃん体操をさせてはいけません。子どもの性格によって、高い高いを怖がる子もいます。高い高いされたのを恐がって夜泣きをしてしまいます。そういう子には高い高いをしてはいけないのです。元気な子は高い高いをしたがり、喜びます。喜ぶ事をしてあげましょう。赤ちゃんの能力はいろいろあります。その能力を伸ばしてあげましょう。喜ぶことをやらしてあげればよいです。でもおっとりした子、おとなしい子はいろいろされることを嫌がります。そうしたらしないで下さい。それがストレスになり、病気になりますから。
スキンシップもやめましょう。赤ちゃんが喜んだらしてあげて、喜ばない時にはやめて下さい。あなたも彼氏からべたべた触られて気持ちが良いですか? 触って欲しい時も、抱いて欲しい時も、どちらも嫌な時もあるのです。赤ちゃんが要求した時にしてあげて下さい。
私は「いい子ね」とほめながら頭をなでてあげますと、子どもはみんな喜びます。これが本当のスキンシップです。子どもとこころが通じ合うことが必要です。
③周りのことに興味を持たせてあげましょう。
いろいろな面白そうなことをつくりましょう。ところが、おもちゃにはなかなか子どもは興味を持ってくれません。単純な絵柄よりは複雑な絵柄のものを赤ちゃんは喜びます。ガラガラもそうです。それから回転式のオルゴール。みんな親が喜びそうなものが売られていて、子どもが喜びそうなものが少ないです。いずれにしても、複雑なもの、変化のあるものを喜びます。子ども向けの番組で「セサミストリート」というのが20数年続いていて、見るとわかりますが、あれが子どもの興味をひく特徴です。パッ、パッ、パッ、パッと変わっていきます。次から次へと変わっていきます。大人はあんなのに追いつけないですけど、子どもはああしないと喜びません。いろんなことに興味を持ちます。周りのことに次から次へと興味を持ちます。興味を持つけれど、そこに集中しない。すぐ他のことに興味を持ちます。それが子どもの特徴です。できるだけいろんなことに興味を持たせる。それが子どもの能力を発達させることです。できるだけ、いい気持ちにしてあげる。赤ちゃんのしたがることを手助けしてあげる。そしていろんなことに興味を持たせる。結構、自動車の鍵なんかに興味を持ったりします。ガラガラ与ええても放りだして、鍵なんかを持ったりします。おもちゃより、日常的に使うものに興味を持つことが多いです。でも危ないもの、今後続かれては困ることはやめましょう。
④気持ち良くすること。
気持ちがいいという様にするには、どうしたらいいかというと、いつもお腹一杯にしてあげること、つまり空腹を満たすことです。もう一つは、嫌がることをしないこと。赤ちゃんが泣いて嫌がれば判りますが、泣かないと判りません。でも赤ちゃんが「いやだな」と思っても泣かないで我慢していることがあり、それがストレスになります。
その一番は赤ちゃんが要求しないのに、抱いたり触ったりしないこと。周りの大人が抱きたがったり、上の子がなでて触ったりすることを、嫌がる赤ちゃんにはストレスになり、いやな気持ちになります。中には平気な子もいますが、少数です。赤ちゃんの目を見るとよく判ります。「いやだな」という目つきをしていれば嫌なのです。止めましょう。
5.妊娠した時にすること。
女性が妊娠を嫌がるのは、お腹が出て、あまり素敵なスタイルではないという。だからできるだけ美しさを保つためには、あまり太り過ぎないこと。まわりで栄養つけなくてはと言いますが、赤ちゃんの体重が3キロちょっと、胎盤に500グラム、羊水に500グラム、そうすると5キロ弱で十分です。これがお産の時の体重増加。多少お母さんが太る分を見て7キロというのが限度です。10キロ超えたらもう駄目です。つまりその分お母さんが太っているのです。
だから、妊娠したら太ったというのは、妊娠中に太っているのです。太らないように気をつけましょう。私が子どもの頃は、お母さんたちは痩せていて、栄養失調だったから、栄養つけなさいと言っていました。赤ちゃんを産むたびに、歯がポロポロとれたとかいう話を聞きました。今は皆十分、必要な栄養はとれていますから太らないこと。
妊娠しての注意の第二は、妊娠中毒症を予防しましょう。水分、塩分をできるだけ控える。特に塩分を控えれば水分をとらなくてすみます。太り過ぎると、お産の時難産になりますが、妊娠中毒症も難産になったり、子どもがいろんな問題を抱えて生まれる原因になります。
その二つに気を付ければ大きな問題はなく、良いお子どもが生まれると思います。そして、期待された子どもを産むこと。待ち望んだ子どもを産むことが一番です。妊娠中にやっぱり夫婦関係も仲良くしなければなりません。
お母さんが妊娠の末期から乳児の初期にパニックに陥ると、子どもは臆病になります。いつも楽しい気持ちでいると、うまくいきます。妊娠したらいつも楽しくしてください。そうするといい子が生まれます。
6.離乳食を進めること。
赤ちゃんも一人の人間として認めてください。一人一人の赤ちゃんによって違いますから、一人一人の赤ちゃんに応じて離乳食を進めていきます。喜んでくれたら、とんどん進める。喜ばなければゆっくり進める。そこがポイントです。早ければ6ヵ月で離乳食が終って構いません。遅くて9ヵ月。日本は5ヵ月か6ヵ月で離乳食を始めますから、大変遅いのです。
さらに最近は母乳信仰があり、母乳は赤ちゃんの最高の栄養と思い違いをしている人が居ます。3か月まではその通りです。しかし、5か月で終わりです。
だから早期に離乳し、5~6か月で離乳食中心の食事にすることが大切です。
離乳が遅いので問題が起きます。日本の子どもは固いものを食べないと言う人達がいます。食べ物を良く噛まないとも言います。
私は離乳が遅いから。人見知りが始まる前までに固いものを食べさせてしまう。そうすると平気で食べます。それから、「良く噛むとおいしくなるもの」を食べさせます。すると噛むようになります。やわらかくて、噛まないでも食べられるものを食べさせたら、噛まないで食べてしまいます。すぐ飲み込んでしまいます。
噛まないと飲み込めなくて、良く噛むと味が出ておいしいと、良く噛んで食べるようになります。そうやって子どもに噛むことを教えます。小さいうちにもぐもぐすることを覚えさせます。それはもぐもぐすると美味しいともぐもぐします。
大体6ヵ月前後で乾燥したかさかさした物、ウエハース、マンナ、うすやきのおせんべい、ビスケットのかけら、パンなどをちぎって与えます。パンは決してミルクとか紅茶とかに浸さないで下さい。乾燦したものを口に入れてあげます。自分の唾液でもぐもぐしながら柔らかくして、こくんと飲み込むことのおいしさを教えます。そうするともぐもぐすることを覚えます。もぐもぐが楽しかったら、いつももぐもぐします。そうして噛むことを覚えます。
この話を東京の小児歯科のグループにしましたら非常に感動されました。「やっぱりそうなんですか」といわれました。とにかく、噛みなさいと言っても噛みません。噛むことを楽しませます。噛むとおいしい。そうして噛むことを教えていきます。そうすれば自然に良く噛んで食べる。固い物も食べます。
今、ドッグフードやキャットフ-ドで育った犬や猫たちが固い物を食べません。犬が骨を噛んでおいしい骨の髄を食べません。猫が魚の骨の間の肉を舌でざらざらっとこそげ落としてとって食べません。ドッグフード、キャットフードで簡単においしく食べられてしまう生活で小さい時から育ってしまうと、そういうことをしなくなってしまいます。
人間もそうです。だからいろんなことを教えてあげましょう。
「人見知り前に」をこだわるのは、人見知りは赤ちゃんが「自己を確立したこと」です。
だから、プライドを持ち、自分の好きな人と好きではない人を区別します。それが日常のすべてに出て来ます。自分の好きなやり方と嫌いなやり方をはっきりさせます。そして「がんとして」それを変えません。頑固な年寄り(私もそうですね)と同じです。
早く始める離乳食については、いくつかのポイントがあります。「甘いものを小さい時から与えると好きになるから、与えてはいけない。甘いもの好きにすると虫歯になる。」とよく言いますが、これもどちらも思い違いです。小児歯科の先生方にもそういう話をしたのです。「甘いものを制限しないでください。甘いものを食べたら、あとで歯を磨けばいいじゃないですか。」それはそうですと言われましたが、歯を磨けばいいのです。「海女物を食べたら、歯を磨くこと」を教えましょう。食べたければ歯をみがきます。
一番大切なのは、虫歯になるのは歯を磨かないからではありません。歯の質です。だから小学校では毎年虫歯予防デーで歯のきれいな子を探しますが、歯を磨かない子ではなく、きちんと1日3回磨いていて虫歯のない子を探します。これが難しいのです。虫歯のない子はたいがい歯を磨いてないのです。よく磨いている子はたいがい虫歯があるのです。だから大変ですが、たまにはいます。
虫歯は歯の質です。そしてなぜか先進国はどんどん虫歯の数が減っています。後進国は昔は少なかったのに、今は虫歯の数がどんどん増えています。何か生活環境や文化的環境に関係があるのではないかと私は考えます。
だから歯を磨くことは悪いことではないが、それで100%虫歯を予防できるわけではありません。それには、子どもが歯磨きを嫌わないようにすることが一番です。きれいに磨くために押さえ付けたりすると、子どもは歯磨きを嫌いになります。嫌いになると自分の意志が通る年齢になると歯を磨かなくなります。
歯磨きは楽しそうにやってみせて、自分で磨くように教えます。うまく磨けなくてもいい。毎日磨いて本人が一生懸命やっていれば、そのうち上手になります。楽しく磨く、毎日磨くことを教えることが基本です。嫌がったらやめましよう。甘い物は制限しないでください。
甘い食品というのは、子どもの食品にとって必需品です。なぜか、糖分というのは人間の身体の三大栄養素のーつです。これをゼロにはできません。
子どもに甘い物を制限したらどうなりますか。糖分が不足するから、欲しくてしょうがなくなります。目の色を変えて欲しがります。だから制限しないで下さい。
糖尿病の人達にも糖分を制限できません。なぜかというと糖分はある程度は食べないといけないから。糖尿病の人でも、ゼロにはできない。糖質制限食が流行していますが、スーパー制限はしないで下さい。減らす必要はありますが、ゼロにはしない方がよいようです。
子どもには、甘く調理した食品を食事の中で食べさせてしまいましょう。それで十分に糖分を与えておくとそんなに欲しがらなくなります。ただ例外はあります。お父さんかお母さんが甘い物好きで、甘い物に目がない人はしょうがありません。遺伝的に受け継いでしまいますから。これは環境だけでは治せません。
人間というのは、生まれつきのものと環境と、どちらが優位かというのは、いろんな論争がありますが、やっぱり生まれつきがかなり比重を占めて、プラス環境によって決まります。
特に性格的なもの、正しく言うと気質というのは生まれつきで、性格というのは環境によって変わるというふうに考えられています。だから、生後1ヵ月の赤ちゃんでも、糖水を飲ませると喜ぶ子と、お茶の方を喜ぶ子と分かれます。生後1ヵ月で判ります。これはいくら治そうとしても治りません。そして甘い物は十分与えて下さい。十分与えることによって満足感が得られると、それ以上欲しがらなくなります。よく話すのですが、「饅頭嫌い」という落語がありますが、饅頭を一杯食べると最後に「お茶が怖い」という落ちがありますが、そんなに甘いものを食べ続けられないのです。皆さんもそうでしょう。
アレルギーの心配をするなら、卵に気を付けてください。卵が一番アレルギーになる人が多い。世界的平均で赤ちゃんの5~7%。ところが大人になると1%ない。ということは成長とともに解消されると考えられますから、早く与えるのを避けます。
周りにアレルギーの病気の人、喘息、じんま疹、アトピー性皮膚炎、花粉症、そういうアレルギーの人がいたら、1歳までは卵をあげません。いなければ生後半年から、硬ゆでで黄身だけあげます。白身はl歳過ぎてからにします。
周りにアレルギーの人がいる場合は、卵の白身は2歳から3歳過ぎまであげてはいけません。
1歳過ぎて黄身だけあげます。牛乳は2番目にアレルギ-が多いです。牛乳は6か月までは必ず沸かしてからあげましょう。沸騰させます。生の牛乳(温めただけでもだめ)をあげてはいけません。生クリームも与えてはいけません。
6ヶ月以後についてはあまり確証がありません。ただし、生の牛乳は腸から出血しますから、少し与えるだけです。大量に飲む時には、沸かさないといけません。1日200mlくらい飲むのなら、沸かさなくてもしっかり他に肉や魚を食べていればいいというのが、アメリカの小児科学会の見解です。
大人でもそうです。便の検査をする時でも、牛乳を沸かさずに飲んでいる人は便の潜血反応がプラスになります。だから、牛乳を飲まない方が余計な検査(大腸ファイバー)をしないで済みます。沸かすというのは温めるのではなく、グラグラ煮立てることです。内科医はほとんど知りません。便の潜血検査以外には特に問題が起きないからです。
小児科では大分知られるようになりました。離乳後も牛乳を沸かさずに一日1リットル以上飲ませていると、そういう場合肉などを食べていないことが多く、ひどい貧血になります。
私も一人診ています。血色素が3~4g/dLくらいで、研修医があわてて輸血しようとしたくらいでした。鉄剤を飲ませれば2か月くらいで治ります。
食物アレルギーは卵と牛乳の次は青味の魚です。というのは昔の話で、今は様変わりしています。私の観察では、アレルギーは家庭で作られているからです。親から離すと治ります。
今の食生活は変化しているので、食物アレルギーも変化しています。こんなことはアレルギーの専門家たちは言いません。私はデータを取っていないので信用されませんが、実践的な医療つまり「治ればよい」という考えで治療してきたから言えるのです。
離乳食を早く進めるのは、まず果物、お野菜で、アレルギーが少ないです。まれにはありますが、普通は考える必要はないでしょう。
おかゆは、4ヵ月もしくは、体の小さい子や女の子、動きの少ない子は5ヵ月ぐらいにならないと食べないかもしれません。食べるまで待てばいいです。急にある時から食べるようになります。カロリーが不足すると、食べるようになります。
7.嫌な気持ち、不快な気分にさせないこと
必要ないのに、抱いたりさわったりしないでください。キスをしたり、ほっぺたをくっつけたりもそうです。赤ちゃんが喜んでくれたらしていいです。喜ばないのにしないでください。赤ちゃんはフワフワして、ぬいぐるみみたいでさわっていると気持ちがいいです。
だから親の方は自分が気持ちがいいから頬をくっつけたりします。でも赤ちゃんがそれで喜んでくれるとは限りません。喜ばないのにしないでください。目をみればわかります。
迷惑そうな顔をしてたら、やめましょう。男性が女性を触りたがるのも同じです。触る方は気持ちがいいが、触られる方は嫌です。
困るのは2人目、3人目のお子さんの時、上の子が赤ちゃんをおもちゃがわりにします。
私の知人でおもちゃ博物館の運動をやっている人がいうのですが、「先生、おもちゃで一番面白いおもちゃは何だか知っていますか。」「人間です。人間が一番面白いおもちゃなんです。」だから、赤ちゃんをおもちゃにしてしまう。ですから赤ちゃんをおもちゃにしないためには、赤ちゃんにできるだけ一度も触らせないことなのです。
初めてお子さんが生まれた時、お母さんたちは皆とまどうでしょう。どう触ったらいいか。だんだん慣れて上手になります。
子どもたちだってそうです。初めて見る自分以外の小さな生き物を見て、触らせないようにしておくと、触っていいかどうかわからないから、なかなか触らない。ところが、一回触って大丈夫と思うと、もう次から次へと繰り返して触るようになります。だから、一度でも触らせてはいけません。次の赤ちゃんを産む時には、必ず上の子には触らせないことです。
その内赤ちゃんが這い這いして自分から動くようになると変わってきます。できるだけ、女の子には赤ちゃんと同じくらいの大きさの赤ちゃん人形を買ってあげます。そしてお人形を「これはあなたの赤ちゃん」、本物の赤ちゃんは「こっちはお母さんの赤ちゃん」と分けてしまう。そうすると、ミルク飲み人形を抱かせ、お母さんが赤ちゃんにおっぱいを飲ませると、一緒になって自分の赤ちゃんにミルクを飲ませます。それをしてやらないと、自分も自分もと母親と一緒に赤ちゃんにおっぱいを飲ませたがります。
これをするのは女の子だけです。女の子は生まれながらにして女の子なのです。女と男というのは、私の考えでは、違う生き物だと思っています。考え方も行動範囲も違います。
育てられてそうなるのではないし、ホルモンの関係でもありません。生まれた時から違います。男の子は、赤ちゃんをおもちゃにするが、お世話はしません。
2歳過ぎから女の子は、「女の子にはオチンチンはないけど、赤ちゃんが産めるんだよ」というと、赤ちゃんが産めることが嬉しくて、それだけで納得してしまいます。不思議なものです。
男の子は赤ちゃんに関心のない子が多く、退屈するとやってきて、いじったり触ったりします。そうすると赤ちゃんがいろいろと反応するのが面白いのです。だから、始めからできるだけ触らせないのがよいです。でも一度触ってしまったら止められません。ではどうするかというと、おんぶできたらおんぶしてしまうとか、赤ちゃんは放っといても一人遊びしていますから、上のお子さんの相手をしてあげます。そうするとうまくいきます。ただ、這い這いしたり、動き出すと、なかなかうまくいかなくなります。
でも赤ちゃん特に女の子に多いのですが、おっとりとして何をされても平気な子がいます。その場合はほっておいても病気をしません。
乳幼児精神科医の渡辺久子医師がいうように、「たんぽぽは放っておいても花を咲かせますが、洋蘭は手をかけないと花を咲かせません。」それと同じで、神経質な子は、上手に育てないとうまく育ちません。
8.赤ちゃんは親の思い通りにならないもの。
赤ちゃんは、親の思い通りにはいかないものです。そうすると、親は楽しくない嫌な気分になります。イライラしたり、強制すると反発します。させようとするとしたがらない。やめさせようとすると、したがります。みんな反対の方向にいきます。だから、上手にうまく関心をひきつけることです。しかし、それでも生まれた時から、一人一人性格が違います。それぞれ反応の仕方が違います。上の子でうまくいっても下の子でうまくいかなかったりします。それが子どもです。子どもにいろんなことをさせて上手にしたかったら、嫌なことをさせないことです。
それからできるだけ、ほめてあげましょう。ほめ上手になりましょう。子どもはほめて育てましょう。失散しても叱らないで「失敗しちゃったね、今度は上手にできるよ」とほめてあげます。子どもの時に自信をなくすと、大人になっても自分の行動に自信を持てなくなります。いつも叱られていると、自信を失います。「自分はできない、駄目なんだ」と思ってしまいます。「また失敗するのではないか、また怒られるのではないか」と思ってしまいます。ほめて育てましょう。
ほめて育てると、また今度もほめられると思い、一生懸命やります。そしてうまくいきます。うまくいくからまたほめられます。失敗する子は、また失敗するのではないかと思ってしまうと、失敗してしまいます。自分で自分に暗示をかけてしまうのです。
いけないこと、悪いことをした時もそうです。何をしたから悪いかと判らせて叱ることが大切です。そうすれば、したことを叱られているので、自分の生き方を叱られていないので子どもは違う受け取り方をします。でも女の子は小学校入学以後、男の子は小学三、四年生にならないと言うことを聞いてくれません。
最近流行っているイメージトレ-ニングと同じです。長島元巨人軍監督は選手時代から自分で始めたそうです。教わらなくてやったのです。だけど今の選手は教わってやります。試合の経過をずっとイメージしていって、いつもうまくいくイメージを頭の中に描きます。ボールが飛んで来て、うまく何球目かにジャストミートして、ホームランを打つ。ホームランを打ってぐるっとべースを回って帰ってくるところまでイメージする。それを寝る前にして、寝ます。明日の試合は必ずうまくいくと、自分に良い方にイメージをします。
それと同じように、子どもにも「大丈夫、うまくいくよ」といいイメージを植え付けましょう。そのためにはうまくいったら、すかさずほめてあげます。失敗しても今度はうまく行くよと、いい方にいい方に、誘導してほめてあげます。ほめ上手になりましょう。そうすると、大人になって自信を持って、いろんなことができるようになります。それから、嫌なことはできるだけやらせない。嫌がったらやらなくていいのです。いつも楽しいことだけを教えていきます。そうするとうまくいきます。
ボリス・ベッカーというドイツのコーチは子どもたちにテニスを教えましたが、球を拾いに行くのが嫌だと言うと、球にひもをつけて引っ張ると集まるようにしました。それで子どもたちは、練習をするようになり、男子と女子の世界一の選手を育てたのです。
今活躍しているゴルフの女子の選手は、最初親からテニスをやらされたが嫌になり、ゴルフに転向して日本一になりました。それは、テニスは飛ばした球を拾いに行かなければならないが、ゴルフはそれがないという理由でした。
9.赤ちゃんを一人の人間として扱う。
赤ちゃんが生まれたら、話しかけてあげてください。赤ちゃんが判っているか判っていないかは別にして、始終話しかけましょう。初めてのお子さんより2番目、3番目のお子さんの方が、言葉が早いのは、上の子が始終話しかけるからです。
初めての子はお母さんが始終話しかけましょう。そうすると言葉が早くなります。言葉というのは、我々が英語を覚えるように、一つ一つ単語を覚えるではありません。沢山の言葉が頭の中にあって初めて一つ言葉が出ます。だから言葉が出る頃に青森から東京に出てくると、初めて出る言葉は青森弁です。
だから言葉をいっぱい聞かせてあげます。できるだけ話しかけてあげましょう。話しかけることによって、それが判るかどうかはわかりません。でも話しかけることでお母さんは無意識に仕草をし、その仕草が伝わります。子どもはそういう仕草やお母さんの感情に非常に敏感です。つまり言葉でコミュニケーションができないから、それ以外のコミュニケーションで通じています。動物の世界がそうです。仕草やちょっとした鳴き声の違いで、お互いにコミュニケーションをとっているのです。そういうところを赤ちゃんが敏感に持っています。
言葉で会話ができるようになると、それが薄れていきます。大人になると、なかなかそういうことが伝わらなくなります。小さいうちはそういうことが敏感にわかりますから、私は赤ちゃんに仕草や顔の表情で語りかけます。それで赤ちゃんたちは、笑ったり反応をします。それに対しまた仕草や顔つきで答え、赤ちゃんと会話をします。お母さんたちはそれに気が付きません。それで子どもが私の顔や仕草を見て態度を変えるのに驚かれます。
言葉をかけてあげる時に自然に仕草が出ます。だから言葉をかけましょう。言葉より仕草が子どもに伝わるから、言葉の中味が伝わるわけです。
しかし、子どもは判っていても嫌だということがあります。注射をする時もそうです。私も「ちょっと痛いけれど我慢してね。痛ければ大きい声で泣いていいよ。」と注射をします。
それでも子どもは「嫌だ」と言って泣きます。でも暴れ方が違ういます。判っていると暴れないか、暴れても力一杯はしません。ところが、それを言わないでいきなり押さえ付けてやってしまうと次からは大変です。もう必死になって暴れますから、押さえ付けられないです。きちんと言葉で説明すると、嫌だけれども泣いてもそんなに大暴れしません。判っているからです。大人だって注射は嫌です。だけど上手にすればそんなに痛くありません。少しチクッと痛いだけですが、嫌うとひどく痛く感じます。注射恐怖症という病気もあるくらいです。
赤ちゃん(子ども)には、必ず目を合わせてお話ししましょう。目で訴えることです。何かして欲しかったら、目で「こうして頂戴」と言って、それで自分の感情を伝えるのです。繰り返し言ってそれが伝わると、子どもはそれを受け入れて言うことを聞きます。必ず目を合わせましょう。赤ちゃんもそうですが、どんな小さい時でも嘘をついてはいけません。本当のことを言わなくてもいいですが嘘はだめです。嘘でも本当でもないことを言えばいいのです。決して嘘は言ってはいけません。痛いのに、「痛くない」と言ってはいけません。「注射する?」と聞いたら「先生に聞いてみてからね」とか、ごまかすことです。「しない」とはいわない。しないと言ったのにすると、嘘になるからです。一回嘘をつくと、それからは親の言うことを信用しなくなります。私は嘘をつきません。「先生は嘘をつかないから、注射する時はそういうよ」と繰り返し言い、それを実行していると信用してくれます。そうすると外来に来ても泣かなくなります。私の外来は、国立病院時代から待っている子どもたちが泣かないのです。診察室に入っても泣きません。他の小児科医に不思議がられました。
10.赤ちゃんの目が輝いていることが大切。
赤ちゃんの目というのはいつも輝いています。いつも楽しくて輝いています。だから赤ちゃんの目が輝いていない時は、何かどこかに問題があります。だから赤ちゃんが嫌な顔や、変な顔をしている時は本当に心配になります。それはうまくいってないからです。
赤ちゃんが楽しくなっていると、お母さんもいつも楽しくなっているということなのです。お母さんがいつも輝いていると、赤ちゃんも輝いています。私が前に勤務していた病院に、天真爛漫な看護師さんがいました。結婚して妊娠したら「いい子が生まれるに決まっている」としか考えません。「母乳は出るもの」としか思いません。そうすると妊娠8ヵ月ぐらいでタオルをあてないとあふれるぐらい母乳が出てきます。生まれてもお産を痛いもの嫌なものと思っていない。痛いのは当たり前くらいにしか思っていません。それで安産で、いい子どもが生まれ、のびのび育ちます。母親が育児に対して疑問を持たないのです。そうするとどんどん自然にうまくいきます。もっとも小児科の看護師なので赤ちゃんの扱い方は上手ですが。
でもそういう人はごく一部です。誰もと言うわけにはいきません。特に小児科の看護師をしていると、病気の子どもしかみていません。「自分の子どもがああなったらどうしよう」と不安になるのが普通です。普通の人が見ない病気を沢山見ているからです。
お母さんがいつも輝いていると子どもは輝いてきます。子どもに「我慢して頂戴ね」という言葉を使うのはやめてください。我慢するということは、ストレスがたまることです。大人もそうです。我慢してはいけません。嫌なことは嫌だといいなさい。「ノーと言えない日本人」を「ノーと言える日本人に」しようなんていう人がいますが、日本語は相手にノーと言わせない言葉なのです。そういう言葉の構造なのです。相手の顔を見ながら喋っていて、語尾だけ相手の顔色を見て変えたりします。そういうことかできる言葉です。
欧米の言葉は、「イエス」か「ノー」かが先にきます。日本語と同じ語順の言葉は韓国語しかありません。それ以外の言葉は全部最初に「イエス」か「ノー」がきます。つまり日本人は歴史的に言葉が始まる時代からそういう習慣があったのです。これからは、できるだけ「ノー」という言葉を言わせましょう。「嫌だったら嫌だと言いなさい」と教えることです。しょうがないこと、例えばお母さんが仕事で出かけなくてはいけない時、「我慢してね」と言わないで、「お母さんが仕事だからしょうがないでしょ、いいよね、楽しくやっててね」と言いましょう。できるだけ「我慢しなさいと」、「おとなしくしててね」、「良い子にしててね」とか言わないで下さい。「楽しくやっててね。」と言いましょう。その理由は、よくあるのですが、家では伸び伸びして走り回っているのに、幼稚園や学校に行くと良い子になって嫌なこともおとなしくして我慢している子がいます。そういう子は病気になります。我慢してストレスがたまります。むしろはっきり自己主張ができるように育てないといけません。
「外でもいい子にしてね。おとなしくしてね」と言わないこと。みんないい子になりたいから、言うとおりになってしまいます。
11.大人になってもして欲しくないことは、赤ちゃんのうちから見せたり、教えたりしないこと。
できるだけ赤ちゃんが喜んですることを手助けしてあげましょう。そうすると一人一人の赤ちゃんの興味やしたいことが違います。その子の持っている興味や能力を伸ばしてあげましょう。赤ちゃんがやりたがっていることをやらせてあげます。ピョンピョン跳ねたがったら、跳ねさせてあげます。興味を持っていることを積極的にやらせてあげると、その子の能力は伸びていきます。興味の持たないことをやらせようとしないこと。いろんなことをやらせたいと、つい親は思ってしまいますが、そう思っているとなかなかやってくれなくなってしまいます。また子どもの気持ちにはムラがあります。その時々で変わっていきます。それを「一度決めたことだから」などと無理強いしてはいけません。嫌になったらやめましょう。
「 赤 ち ゃ ん を 楽 し く 育 て る た め に」
-子どもを病気にしない育て方-
始めに、この講座を始めた時に、恥ずかしながら「望まない子どもの誕生」を考えたことがありませんでした。でも最近は多いようです。もっと早期の性教育をすべきだと思います。特に子どもが生まれたらどうなるかということを教えなければいけない時代に来ているのに、それが遅くとも高校ですべきなのに、されていません。
簡単に子どもを作らない、妊娠しないことを教えなければいけません。日本は低用量のピルの普及が遅れていて、その上避妊具も使用しないためなのではないでしょうか。
望まない妊娠の第二は、強姦です。父親による娘への強姦も後を絶ちません。皆さん、強姦されたら、または望まない性行為を強制されたら、すぐに低用量のピルを飲んで下さい。そうすれば妊娠が避けられるはずです。ピルは、産婦人科で処方箋をもらうことができます。私が吹上診療所にいた時には、友人の産婦人科医に月二回来てもらい、産婦人科何でも相談外来をしていました。そのことを教えてくれたその友人も亡くなりました。とにかく、望まない子どもは作らないで下さい。できた時には、すぐ産婦人科医に相談して下さい。
副題の通り、私の勧める育て方をすると子どもは病気をしません。ただし、親の言うことを聞かなくなります。そして自立して生きていきます。どちらを選びますか。
◎さて、いよいよ始めます。
1.赤ちゃんを育てるのは、親にとっても赤ちゃんにとっても、楽しいこと。
赤ちゃんは、一日ごとに育っていきます。見ていると楽しいです。赤ちゃんが、おっぱい(母乳またはミルク)を飲んでくれると気持ちが良いです。痛くなるほどはった乳房を吸ってくれると、気持ちがよいです。母乳は自然に授乳が楽しくなります。母乳が出なくても、ミルクをごくごくとおいしそうに飲んでくれると、見ていても楽しいものです。赤ちゃんの仕草を見ていたり、声を聞いていたり、目を見ていると可愛いいでしょう。赤ちゃんの笑顔を見ていると、嫌なことも忘れます。
2.赤ちゃんを育てるのは、誰にでもできます。
大切なことは、愛すること。愛することは楽しいこと。愛する人の子どもを産むこと。
いくら自分の子どもでも愛せない子どもは、うまく育てられません。愛情といつくしみをもって、赤ちゃんの世話をすることは、自然でやりがいのあることです。男だって赤ちゃんを育てるのは楽しいことです。ただ楽しさを知らないだけです。父親の育児は、技術よりも心、夫婦のいたわりあいや妻へのおもいやりが、良い父親になります。子育てで不安になることは、誰にでもあります。小児科専門医に相談して下さい。(今の小児科医はどうかな?)
3.楽しくないことは?
①赤ちゃんが泣く時。赤ちゃんが泣くのはなぜ。
赤ちゃんは、言葉が話せないから、泣くことで要求や意志を表現しています。何を要求しているかを見つけて、満たしてあげればよいのです。(それが大変ですが。)
②それでも赤ちゃんが泣きやまない時は。
赤ちゃんが、どうしても夜、泣きやまない時、おしゃぶりをしゃぶらせたり、軽くゆすったりします。ゆりかごやゆりいすで、ゆっくりやさしくゆすること。急檄にゆすると「ゆさぶりっこ症候群」になってしまいますから、ゆっくりゆすること。
それから、自動車に乗せて近所をドライブするといい。これは、アメリカの育児書にも書いてあります。どうも自動車の軽い振動がいいのではないかと言われていますが、現実には何がいいかわかっていません。アメリカではそれが商品化されて、赤ちゃんのベッドにつけると自動車の振動の音がしてゆさぶる商品があります。それをつけてあげると、赤ちゃんが眠くなります。日本でも商品化されるといいのですが。あとは悪い夢をみて泣いている場合は、しっかり目を覚ましてあげると、普通は泣きやみます。でもなかなか覚めてくれません。
②おっぱいやミルクを飲んでくれない時。
赤ちゃんがおっぱいやミルクをあまり飲んでくれないと心配になります。母乳がいいのは、母乳を吸ってもらうと自然に気持ちが良くなることと、母乳をどのくらい飲んでいるか、量が見えないことです。沢山飲んでも、少ししか飲まなくても、お母さんにとっては量がわかりません。だから心配になりません。ところがミルクの場合は、「今日は50mlしか飲んでくれない。きのうは150mlも飲んだのに」と思うとどうしても心配になります。そこが母乳とミルクの違いです。だからミルクでもあまり飲む量を気にしないようにすると良いです。
昔はミルクを沢山飲むと大きくなると言われましたが、そうではありませんでした。赤ちゃんがおっぱいを沢山飲むから体が大きくなるというのは、思い違いでした。体が大きくなる子が沢山飲みます。生まれつき小さい素質の子は少ししか飲みません。
イギリスの小児科医がそれを証明しました。このことは日本にはあまり伝わっていないようです(多くの小児科医が知らないですから)。
昔高度成長経済期になるまでは、日本人は栄養不足でした。だから小さかったのです。私の世代もそうでした。私の同級生で中学を過ぎたころに、急激に大きくなった人がいます。
それは今まで栄養不足で伸びられなかったのが、その時期に沢山食べて栄養が満ち足りたから、その人の持っていた元々の遺伝的大きさになったわけです。それだけのことです。
今の人は生まれた時から、欲しい時に欲しいだけ食べることかできるので、大きい人が多くなりました。もう白人とそんなに遜色がなくなってきています。日本人が小さいと言われたのは、昔の話。それは乳幼児期と成長期の栄養不足だったのです。
実はイギリスでもそうだったのです。昔は労働者の体が小さくて貴族の体が大きかったのです。(それをもって階級制度を正当化しようとしたのです)でもそれは栄養の差でした。だから今はその差はなくなりました。(労働者も生活が豊かになり栄養状態が良くなったのです)それをイギリスの小児科医たちが証明しました。
だから、大きくなる子が沢山飲むのであって、遺伝的に大きくならない子は少ししか飲みません。それで構いません。だから欲しい時に欲しいだけ飲ませれば良いです。
④離乳食を食べてくれない時。
離乳食も同じで、欲しい時に欲しいだけあげればいいです。ただし嗜好食品は除きます。基本的な食品に関してということになります。だから身体の大きい赤ちゃんやよく動く赤ちゃんは、よく食べます。おとなしいお子さん、あまり身体を動かさないお子さん、小さいお子さんはあまり食べません。それはカロリーをそんなに使わないから、そんなに沢山食べないで済んでしまいます。
だからできるだけ、離乳食を作るのも、手をかけて作らないようにしましょう。手軽に簡単に作りましょう。売っているものでも、高いものはあまり買わないことです。折角手をかけて、赤ちゃんが食べてくれないとがっかりします。そうすると、また作るのが嫌になってしまいます。だけど、ちょこちょこっと作れば「まあ食べてくれなくても、また作ればいいや」という気持ちになります。そうするとうまくいきます。市販の離乳食もそうで、折角買って来て食べさせようとしたのに食べてくれないと嫌になります。
どんどん食べれば、どんどんあげて構いません。欲しいだけあげて良いです。よく、食べ過ぎ飲み過ぎで病気になるといいますが、これは思い違いです。食べ過ぎたら太るだけです。お腹をこわすことはありません。飲み過ぎなら、おしっこが一杯出るだけです。それで病気になることはありません。(いろいろな思い違いが現代では一杯です。「思い違いの科学史」という本が出ているくらいです。惑わされないで下さい。特にネットは危険です。)
知恵熱とか、夏期熱とか言うことが昔ありましたが、それは昔、病気の診断がつかなくて、何で熱が出たか判らなかったのです。ところが、何で熱が出たか判らないと患者さんも医者自身も不安になります。だから、どこかに原因を求めたのです。だからその原因を身近なところに求めたのです。これが原因ではないかと思ったのです。現代ではそういうことはありません。(知恵熱も夏季熱ももうないです。でも赤ちゃんを着せ過ぎにすると体温が38℃になることがあります)
専門家でも、間違ったことを言う人がいます。今の医学は細分化され、自分の専門外については知らない医師が多くなりました。例えば小児科でも、新生児・未熟児科、内分泌科、血液悪性腫瘍科とか、循環器科、呼吸器科、腎臓、神経、精神などと多岐に専門が分かれています。整形外科ですら7以上の専門分野に分かれています。その一つに小児整形外科があります。このように耳鼻科、眼科、皮膚科、泌尿器科などでも小児専門と言う分野があります。ところが自分の専門以外のことで口を出します。その時に学問的な根拠がないのに自分で考えた事を言います。そうすると専門の分野で名前が通っている人だと、信じられてしまいますが、しばしば思い違いがあります。
一番多いのは、お腹を冷やすとお腹をこわすという思い違いです。お腹をいくら冷やしても、下痢をすることはありません。判りやすい例は、ダイバー(潜水作業者)です。水中ではものすごく冷えますから暖を取るために、ウエットスーツの中におしっこをします。そのくらい冷えるのに、その人たちは下痢をしません。海女さんたちも海からあがってたき火で暖を取りますが誰も下痢をしません。
赤ちゃんでも大人でもそうですが、下痢がひどい時にお腹を触ってごらんなさい。触るとお腹が冷たくなっています。それでお腹を冷やしたから下痢をしたと思ったのでしょう。でも原因と結果が逆だったのです。本当はお腹の具合が悪いから冷えたのです。お腹が回復すると自然にお腹は暖かくなります。冷えたからではなかったのです。
お母さん方女性に多い、よく腰が冷えるとか足が冷えるとかいうのも、冷やしたから冷えたのではなくて、貝合が悪いから冷えたのです。だから暖めても暖めてもそういう時は暖まりません。病気が良くなると、自然に曖まっています。
普及しなかったのですが、人間の皮膚温度を調べて病気の診断に使うというサーモグラフィーという検査機械があり、それで病気の診断をしようとしました。「皮膚のどこが冷たいか」で病気を推定するのです。つまり冷たくなっているのは病気のしるしです。病気だから冷たくなっていて、冷やしたから病気になった訳ではなかったのです。しかし、精度がよくなくて使われず、暑さ寒さのひどい時に気象情報のテレビ画像に使われたり、空港の入り口で熱のある人をチェックする為に使われています。
だから食べ過ぎ飲み過ぎも同じで、病気になることはありませんから心配しないで下さい。
太るだけです。ただ牛乳やコーラなどのカロリーのあるものを飲み過ぎると、それでお腹が一杯になり、食事を食べなくなることがあります。またしっかり食べていて牛乳を飲むと肥満の原因になります。
⑤言うことを聞かない時。
なかなか子どもが言うことを聞いてくれません。これは生後7カ月前後、人見知りをし始めて以後のことが多いです。人見知りは自己主張の一種です。自分の好きな人とそうでない人を分けますが、他のことでも同じで好きなやり方しか受け付けてくれません。この頃にはプライドがあると言います。叱ってもあまり意味がありません。叱られても、叱られたりたたかれたりしたことは覚えているけれども、何故叱られたのか判らないのです。だから繰り返し同じことをします。最近多い子どもの虐待を見ても判りますが、タバコの火を体に押し付けられて火傷させられても、繰り返し同じ間違いをします。だから繰り返しやられて、身体にやけどの跡が一杯ついています。体罰は意味がありませんし、叱っても意味がありません。
3歳過ぎると、多少判ってきます。精神的なことからくる病気、例えば気管支喘息なども大体は3歳過ぎから発病します。
マナーや礼儀作法は4歳を過ぎてから教えます。それでないとしている意味が判らないからです。子どもに物を借りる時に、「貸してちょうだいと言いなさい」というお母さんが多いけれども、3歳までは意味がわからない。だから、お母さんが代わりに言えばいい。
ある子どもがお母さんに「おもちゃを貸してと言いなさい」と教わった。そうするとその子どもは2歳だったのですが、そう言えば自分が借りていいものだと思っていたのです。だからそう言って相手のおもちゃをとってしまいます。相手は嫌だと言ってるのに、貸してちょうだいと言って、持っていってしまうのです。つまり、マナーの意味がわからないから教えても意味がないのです。マナーは本格的には4歳過ぎ、幼稚園に入るころから教えます。
できれば、お母さんがやって見せて、まねをするように仕向けます。大人が教えるより少し上の年齢の子に教えてもらう方がうまく行きます。
子どもが言うことを聞いてくれないと、どうするかが悩みの種です。何かを止めさせたい時、できるだけ小さいうちは、関心をそらすことです。子どもというのは、関心が次々と移ります。ですからパッと「これはどう」とおもちゃや子どもが関心を持ちそうな他のことに関心をそらします。そっちがおもしろそうだとそっちにいってしまいます。そして、やっては困ることから離れていきます。そのようにして関心をそらせます。
例えば子どもが物を投げました。いけないことですが「投げちゃだめよ」と言わないで、知らんぷりして「ほらこっちで遊びましょ」と言ってパッと他へ誘導します。叱ると、しっかり子どもの頭にインプットされて覚えてしまいます。だからパッと他のことに誘導して、今のことを忘れてもらいます。そうすると叱らないで済みます。だからやめさせたいことや、嫌がることを他のことに誘導することで忘れて貰います。
叱れば叱る程、そのことをしっかり覚えていて、親が怒った時に仕返しに、それをします。
悪いことをしたり、悪いことや危険なことをしようとしても同じですね。他へ関心をそらして忘れて貰います。
早い子は3歳、遅い子は4歳を過ぎるようになると、話が判るようになりますから、「これは危ないからしないでちょうだい」と話をします。「何故危ないか」も話しをします。判っても判らなくても構いません。同じことを繰り返し繰り返し言い続けることです。叱らないで下さい。危険なことほど叱らないで下さい。「危ないからしないで」を繰り返し言うしかありません。
叱って言うことを聞かせると、叱られない所、つまり親の見ていない所でやります。そして事故につながります。だけど、叱らないで言うことを聞いてくれると、親のいない所でも決してしません。そうすると、親がいなくても、事故が起きません。
そのかわり大変ですよ。根気よく繰り返し言い続けないといけないのだから。そして言うことを聞いてくれたら、ほめてあげて下さい。「いい子ね」と。
みんないい子になりたいから、お母さんの言うことを聞いてくれるようになります。
もし、どうしても叱る時には「あなたはいい子だから、こういう悪いことをしてはいけませんよ」と叱ります。
子どもの論理というのはおもしろいもので、良い子は悪いことをしてはいけないのです。良い子は良い子にしていなければいけません。でも悪い子は悪いことをしてもいいのです。だって悪い子なのだから。嘘つきは嘘をついていいのです。嘘つきなのだから。ぐずな子はぐずぐずしていていいのです。だってぐずなのだから。
だから、そういう非難の仕方を決してしてはいけません。つまりいつもいい子にしてあげる。「いい子だから、こういう様にしましょうね」と言う。決して命令しないこと。大人でもそうでしょう。命令されると嫌だけれど、「こうしましょうね」と言われるとなんとなくそういう気持ちになったりします。
子どもをうまく誘導すること。1回や2回、いや繰り返し言っても言うことを聞いてくれなくても、そんなことは仕方がないと思って下さい。繰り返し繰り返し、言うことです。
それから何かをさせたい時、やってもらいたい時には、親がやって見せること。楽しそうにやって見せると子どもはやりたがります。それから上のお子さんだとか、よその子がやっているのを見せます。それを見てやりたがった時に、正しいやり方を教えるというのが、幼児教育の基本です。やりたがらない時には、無理にやらせません。じっと機会をねらって、また同じことをやって見せます。やりたがるのを待ちます。育児は根気がいります。だから私は、育児は若い時にしかできないと思いますし、若いからできるのです。それは子どもを愛しているからです。愛していなければできません。最近は、子連れで結婚することも増えました。相手の子を愛して下さい。そうすれば虐待は無くなります。
⑥いつでも、どこでも、連れていかなければいけないこと。
子どもを育てる時に一番大変なことは、24時間いつも一緒にいることです。これが大変です。いつも親から離してはいけません。ある程度大きくなったら、誰か大人に預けて出ていけます。子どもだけで置いて行ってはいけません。
日本ではそうではありませんが、欧米では家や車の中に大人がいないままに子どもを一人で置いていくと、法律で罰せられる国が増えています。それは子どもを守るためです。
車の中に子供を置いたまま事を盗まれ、盗人が子どもがいるのに気が付いて放り出されてしまうという事件がありました。あの事件の問題は親が非難されなければいけないのです。欧米ではまず親が処罰されます。もちろん犯人も処罰されます。そういう危険にさらしてしまったということが親の責任です。
アメリカの話ですが、レストランのガラスの外の自分の席の前にべビーカーに乗せて置いただけで警察官が来て問題になりました。それはフランス人だったので、目の前で見ているから大丈夫ということで何とかおさまったのです。それすら問題なのです。これは子どもを保護するため、とにかく誰かに預けて大人が側についていることが必要です。いつでもすぐ子どもの危険に対処できることが必要なのです。
べビーシッターが子どもを虐待したというテレビが放映されていましたが、アメリカではそれが問題になる程ふえています。子どもを安全に守ってあげることが必要です。子どもを育てることは大変なことなのです。日本でも、特に無認可保育所での問題があります。訴えても、子どもは戻りません。
4.赤ちゃんに、自分が愛されていることを感じさせることが大切。
愛されていると感じさせるのは、とうしたらいいか。アメリカのホワイト博士が言うには「気持ちがいい」と感じさせてあげるとうまくいくと言います。そうすると父母の愛情を感じます。
そういう状態の子どもは、あまり病気をしません。いつもいい気持ちにしてあげましょう。その為には
①いつもお腹を一杯にしてあげること。空腹を満たすことです。
それには早めの離乳をお勧めします。
早期の離乳は、1)赤ちゃんの食欲を満たします。
2)そうすれば、寝る時もしっかり食べさせれば、夜中の授乳は無くなります。
3)指しゃぶりや物を口に入れることが無くなります。その結果、
4)異物の誤飲事故が減らせます。
5)大きくなっての指しゃぶり、その後の爪噛みをなくします。
6)3か月過ぎての母乳依存は、低カロリーのために、赤ちゃんの脳の代謝の栄養不足と、筋肉などの身体の栄養の不足が生じ、脳と身体の発達の遅れを生じます。乳幼児早期の低栄養は、脳の発達の遅れと体特に身長の伸びの遅れを生じ、遺伝的慎重に達しないことが出てきます。遺伝的に両親から受け継いだ、知能と身長をそのまま発揮させるためには、早期の離乳を勧めます。
私の世代の身長が低いのは、小さい時の低栄養だったからです。
7)思春期の食にまつわる精神的な病気は、乳幼児早期の食生活に問題があるのではないかと疑われています。欲しい時に欲しいだけ飲んだり食べたりと自然の食欲に任せて育てると、食関連の病気(肥満、食欲異常症、食思不振症など)が少なくなると思われます。
8)食物アレルギーも、赤ちゃんへの早期の、しかも好きなものを好きなだけ与えることが、予防できると思います。食物アレルギーは、乳幼児への食べ物の押し付けや制限から生じている疑いがあり、私はそれをやめてもらうことによって治しています。
ついでに言えば、発達障害も神経質な子どもへの干渉、過保護などのしつけが厳しすぎることによって生じている疑いがあります。1歳半までに見つけて、早期に専門医に育て方のアドバイスを受けるとよくなる例が少なくないからです。それができる医師は少数ですが。
授乳はいつでも欲しい時に欲しいだけ与えましょう。赤ちゃんの食事ですから、お腹が空いた時にあげましょう。
母乳はあくまで食事の一部ですから、お腹が空いている時以外はあげないで下さい。日本では泣くとすぐ母乳をあげる人が多いし、寝る時にあげます。つまり睡眠剤や、精神安定剤のかわりに母乳をふくませてしまう事が多いのです。そうすると、断乳(卒乳)も簡単にいきます。寝る時も離乳食が遅いとおなかが空くので欲しがります。
離乳食は早めに、赤ちゃんに合わせて進めましょう。赤ちゃんが主人公です。あなたの前にいる赤ちゃんに合わせて進めましょう。本や他人(医師、保健師、栄養士、助産師、友人)の言うことに、あなたの赤ちゃんが当てはまるかどうかは判りませんから、目の前の赤ちゃんに聞いて下さい。
早めの離乳食は、果物から野菜に進めます。まず果汁、そして果実がゆから、野菜の煮つぶしに進め、おかゆなどの穀類は生後4ヶ月過ぎてから与えます。
果汁がスプーンで飲めるようになったら、果実がゆに進めます。
初めはりんごソースで、アップルパイを液状にしたものをイメージして下さい。おろしたりんごを白湯で倍にうすめてお砂糖をいれておいしくしてどろっとするまで煮て与えます。
(甘いものを早くから与えると、甘いもの好きになるという思い違いを信じないで下さい。子どもの成長期特に乳幼児期は、脳の代謝にグルコースが必要です。だから炭水化物が必要ですが、手っ取り速い糖分を好み、成長が止まるとつまり大人になると欲しがらなくなります。ただし、親が甘いもの好きなら仕方がありません。)
美味しくして与えましょう。食べてみて美味しい物、上の子が欲しがるほどの物を与えましょう。甘く美味しくし、塩分も減らさず、美味しくしないと食べてくれません。それで悩んでいるお母さんたちがいますが、糖分や塩分を減らすことは、ワクチンを打たなければいけないことと同じ意味ではないでしょうか。無条件で信じてはいけません。何かを疑ったら、全て疑って下さい。私は、そうして今の考え方にたどりつきました。
初めはウースターソース状にし、なれたらだんだん濃くしてとんかつソース状にし、最後はおろしただけにして与えます。
それが食べられたら、バナナをフォークの背でよくつぶして与えます。
それから野菜の煮つぶしにします。うらごしなどする必要はありません。赤ちゃんも喜ぶし、手もかからない。離乳食もできるだけ早めに進めましょう。あなたの赤ちゃんを信じて下さい。食べられなければ押し出すか口に入れて味を見て吐き出します。食べるものを与えて下さい。本に書いてあること、他人の言うことには思い違いがありますが、あなたの目の前の赤ちゃんは現実です。あなたの赤ちゃんを信じて下さい。
ある赤ちゃんは、7か月過ぎまで母乳だけでしたが、這い這いできるようになり、ある時這い這いして行き、卓上のお茶碗の中に手をつっこんで、ご飯を掴んで食べ、それ以後母乳をいやいやして、ご飯や親の食べるもの以外を受け付けずに離乳した例があります。
離乳は、母乳から栄養価の高い親の食事に移行する過渡期なのです。世界でいろいろなことが行なわれていますが、とにかく幼児の食事に移行できればよいのです。
日本の子どもは戦後、どんどん成長して今は非常に大きくなりました。それに合わせて、離乳食を進めてあげないと、本当は、お腹が一杯にならないはずです。
どのくらいかと言うと、昭和20年頃の赤ちゃんは生まれた時の体重が2倍になるのに6か月かかりました。今は早いお子さんは2カ月、遅くて3カ月で生まれた時の体重の倍の体重になってしまいます。ところが、雛乳食の指導は70年前の昔とまったく変わっていません。それどころかアレルギーを作らないためとまことしやかに言い(全く根拠はなく)、離乳食を遅くすることを勧めます。私は食べものアレルギーも含めてすべてアレルギーは、育児の中で作られていると思います。なぜなら育児法を変えると治るからです。
だから離乳食を勧めないと赤ちゃんはお腹が空きます。お腹が空くから、指しゃぶりしたり、物を口に入れたりします。昔はヨーロッパやアメリカでも昔は離乳食が遅かったのです。それでフロイトは「口唇期」と言いました。
所が離乳食をどんどん早く始めるようになりました。どのくらい早くしたかというと、アメリカの小児科医で一番極端な人は生後1週間で果汁を始めて、2週間で離乳食を食べさせることをしました。でもこれは余りにも行き過ぎということになり、もう少し遅くするようになりました。その結果今は生後1ヵ月過ぎから果汁、2ヶ月過ぎぐらいには、離乳食を始めます。大きくなる子は、もう1ヵ月過ぎてから、食べさせてもよいのです。
何を指標にして判断するかというと、赤ちゃんが与えられたものを拒否できる意思表示ができるようになると、与えてもよいと言います。舌で押し出してしまうとか、ロを横に向ける、顔を横に向けるなどです。そういう意志表示ができるようになったら、離乳食を始めてよい時期です。これはアメリカ小児科学会栄養委員会の勧告です。
その理由は、生まれたばかりの赤ちゃんは原始半者がり、口に触ったものを飲み込もうとします。これは生まれたばかりの赤ちゃんが生き残るために必要なことなのです。しかし、1~2か月でそれをしなくなります。そこから始まります。
生後1ヵ月で果汁、2ヵ月で離乳食をと、または体重5kgで果汁、7kgで離乳食を始めると教わりました。昔はそう指導していましたが、大きな子や、体重がどんどん大きくなってしまう子や、それから良く体を動かす子は、お腹が空きますから欲しがります。ミルクや母乳ではお腹が満足しないです。大人が牛乳を沢山飲んでも、お腹が一杯にならないのと同じです。離乳食は少ない量で濃厚にいきます。母乳やミルクはうすいので、スープを飲んでるようなもので、しっかりお腹が一杯になるためには、離乳食の方が良いのです。
欧米で判ったことは、離乳食を進めていったら、指をしゃぶる子や物を口に入れる子が3分の1になりました。3分の2の子は、お腹が空くから指をしゃぶっていたのです。
早く進める離乳食は、果物から野菜へ進めます。
おかゆは穀類ですから、4ヵ月以後にしないと、赤ちゃんの胃で消化できません。バナナとかリンゴは生後1ヵ月で消化できます。だからバナナとかリンゴから始めておかゆに進めます。早く始める離乳食は果物から始めます。果物から始めて、野菜に進め、生後四か月になり、おかゆに進めます。
欧米では早くて6ヵ月、遅くて9ヵ月で離乳が終わります。だから、離乳期のミルクを売っている先進国は日本だけで、アメリカのメーカーも日本向けにだけ売っています。フォローアップミルクは発展途上国向けの物と先進国では考えられています。発展途上国では、離乳食を充分子どもに与えることができません。与える食べ物がないとか、手に入らないとか、お金がないとかという理由からです。だから遅くなります。そういう場合のためのミルクです。
与える量は、赤ちゃんが自分で食べる量を決めますから、食べるだけ与えて下さい。最近は食べてくれない子が出てきました。美味しくしていますか?。お母さんや上の子が食べたくなる程、おいしくしていますか。美味しくなければ食べません。食べ過ぎも飲み過ぎも病気になりません。みんな思い違いです。ふとったり、おしっこを一杯したりするだけです。お相撲さんを見て下さい。
無理して食べても病気にはなりません。(ただし成人病は別です。)
②赤ちゃんの能力を伸ばすように手助けをしましょう。
赤ちゃんがピョンピョン跳ねたがったら、跳ねさせてあげましょう。赤ちゃんが嫌がっているのに無理に赤ちゃん体操をさせてはいけません。子どもの性格によって、高い高いを怖がる子もいます。高い高いされたのを恐がって夜泣きをしてしまいます。そういう子には高い高いをしてはいけないのです。元気な子は高い高いをしたがり、喜びます。喜ぶ事をしてあげましょう。赤ちゃんの能力はいろいろあります。その能力を伸ばしてあげましょう。喜ぶことをやらしてあげればよいです。でもおっとりした子、おとなしい子はいろいろされることを嫌がります。そうしたらしないで下さい。それがストレスになり、病気になりますから。
スキンシップもやめましょう。赤ちゃんが喜んだらしてあげて、喜ばない時にはやめて下さい。あなたも彼氏からべたべた触られて気持ちが良いですか? 触って欲しい時も、抱いて欲しい時も、どちらも嫌な時もあるのです。赤ちゃんが要求した時にしてあげて下さい。
私は「いい子ね」とほめながら頭をなでてあげますと、子どもはみんな喜びます。これが本当のスキンシップです。子どもとこころが通じ合うことが必要です。
③周りのことに興味を持たせてあげましょう。
いろいろな面白そうなことをつくりましょう。ところが、おもちゃにはなかなか子どもは興味を持ってくれません。単純な絵柄よりは複雑な絵柄のものを赤ちゃんは喜びます。ガラガラもそうです。それから回転式のオルゴール。みんな親が喜びそうなものが売られていて、子どもが喜びそうなものが少ないです。いずれにしても、複雑なもの、変化のあるものを喜びます。子ども向けの番組で「セサミストリート」というのが20数年続いていて、見るとわかりますが、あれが子どもの興味をひく特徴です。パッ、パッ、パッ、パッと変わっていきます。次から次へと変わっていきます。大人はあんなのに追いつけないですけど、子どもはああしないと喜びません。いろんなことに興味を持ちます。周りのことに次から次へと興味を持ちます。興味を持つけれど、そこに集中しない。すぐ他のことに興味を持ちます。それが子どもの特徴です。できるだけいろんなことに興味を持たせる。それが子どもの能力を発達させることです。できるだけ、いい気持ちにしてあげる。赤ちゃんのしたがることを手助けしてあげる。そしていろんなことに興味を持たせる。結構、自動車の鍵なんかに興味を持ったりします。ガラガラ与ええても放りだして、鍵なんかを持ったりします。おもちゃより、日常的に使うものに興味を持つことが多いです。でも危ないもの、今後続かれては困ることはやめましょう。
④気持ち良くすること。
気持ちがいいという様にするには、どうしたらいいかというと、いつもお腹一杯にしてあげること、つまり空腹を満たすことです。もう一つは、嫌がることをしないこと。赤ちゃんが泣いて嫌がれば判りますが、泣かないと判りません。でも赤ちゃんが「いやだな」と思っても泣かないで我慢していることがあり、それがストレスになります。
その一番は赤ちゃんが要求しないのに、抱いたり触ったりしないこと。周りの大人が抱きたがったり、上の子がなでて触ったりすることを、嫌がる赤ちゃんにはストレスになり、いやな気持ちになります。中には平気な子もいますが、少数です。赤ちゃんの目を見るとよく判ります。「いやだな」という目つきをしていれば嫌なのです。止めましょう。
5.妊娠した時にすること。
女性が妊娠を嫌がるのは、お腹が出て、あまり素敵なスタイルではないという。だからできるだけ美しさを保つためには、あまり太り過ぎないこと。まわりで栄養つけなくてはと言いますが、赤ちゃんの体重が3キロちょっと、胎盤に500グラム、羊水に500グラム、そうすると5キロ弱で十分です。これがお産の時の体重増加。多少お母さんが太る分を見て7キロというのが限度です。10キロ超えたらもう駄目です。つまりその分お母さんが太っているのです。
だから、妊娠したら太ったというのは、妊娠中に太っているのです。太らないように気をつけましょう。私が子どもの頃は、お母さんたちは痩せていて、栄養失調だったから、栄養つけなさいと言っていました。赤ちゃんを産むたびに、歯がポロポロとれたとかいう話を聞きました。今は皆十分、必要な栄養はとれていますから太らないこと。
妊娠しての注意の第二は、妊娠中毒症を予防しましょう。水分、塩分をできるだけ控える。特に塩分を控えれば水分をとらなくてすみます。太り過ぎると、お産の時難産になりますが、妊娠中毒症も難産になったり、子どもがいろんな問題を抱えて生まれる原因になります。
その二つに気を付ければ大きな問題はなく、良いお子どもが生まれると思います。そして、期待された子どもを産むこと。待ち望んだ子どもを産むことが一番です。妊娠中にやっぱり夫婦関係も仲良くしなければなりません。
お母さんが妊娠の末期から乳児の初期にパニックに陥ると、子どもは臆病になります。いつも楽しい気持ちでいると、うまくいきます。妊娠したらいつも楽しくしてください。そうするといい子が生まれます。
6.離乳食を進めること。
赤ちゃんも一人の人間として認めてください。一人一人の赤ちゃんによって違いますから、一人一人の赤ちゃんに応じて離乳食を進めていきます。喜んでくれたら、とんどん進める。喜ばなければゆっくり進める。そこがポイントです。早ければ6ヵ月で離乳食が終って構いません。遅くて9ヵ月。日本は5ヵ月か6ヵ月で離乳食を始めますから、大変遅いのです。
さらに最近は母乳信仰があり、母乳は赤ちゃんの最高の栄養と思い違いをしている人が居ます。3か月まではその通りです。しかし、5か月で終わりです。
だから早期に離乳し、5~6か月で離乳食中心の食事にすることが大切です。
離乳が遅いので問題が起きます。日本の子どもは固いものを食べないと言う人達がいます。食べ物を良く噛まないとも言います。
私は離乳が遅いから。人見知りが始まる前までに固いものを食べさせてしまう。そうすると平気で食べます。それから、「良く噛むとおいしくなるもの」を食べさせます。すると噛むようになります。やわらかくて、噛まないでも食べられるものを食べさせたら、噛まないで食べてしまいます。すぐ飲み込んでしまいます。
噛まないと飲み込めなくて、良く噛むと味が出ておいしいと、良く噛んで食べるようになります。そうやって子どもに噛むことを教えます。小さいうちにもぐもぐすることを覚えさせます。それはもぐもぐすると美味しいともぐもぐします。
大体6ヵ月前後で乾燥したかさかさした物、ウエハース、マンナ、うすやきのおせんべい、ビスケットのかけら、パンなどをちぎって与えます。パンは決してミルクとか紅茶とかに浸さないで下さい。乾燦したものを口に入れてあげます。自分の唾液でもぐもぐしながら柔らかくして、こくんと飲み込むことのおいしさを教えます。そうするともぐもぐすることを覚えます。もぐもぐが楽しかったら、いつももぐもぐします。そうして噛むことを覚えます。
この話を東京の小児歯科のグループにしましたら非常に感動されました。「やっぱりそうなんですか」といわれました。とにかく、噛みなさいと言っても噛みません。噛むことを楽しませます。噛むとおいしい。そうして噛むことを教えていきます。そうすれば自然に良く噛んで食べる。固い物も食べます。
今、ドッグフードやキャットフ-ドで育った犬や猫たちが固い物を食べません。犬が骨を噛んでおいしい骨の髄を食べません。猫が魚の骨の間の肉を舌でざらざらっとこそげ落としてとって食べません。ドッグフード、キャットフードで簡単においしく食べられてしまう生活で小さい時から育ってしまうと、そういうことをしなくなってしまいます。
人間もそうです。だからいろんなことを教えてあげましょう。
「人見知り前に」をこだわるのは、人見知りは赤ちゃんが「自己を確立したこと」です。
だから、プライドを持ち、自分の好きな人と好きではない人を区別します。それが日常のすべてに出て来ます。自分の好きなやり方と嫌いなやり方をはっきりさせます。そして「がんとして」それを変えません。頑固な年寄り(私もそうですね)と同じです。
早く始める離乳食については、いくつかのポイントがあります。「甘いものを小さい時から与えると好きになるから、与えてはいけない。甘いもの好きにすると虫歯になる。」とよく言いますが、これもどちらも思い違いです。小児歯科の先生方にもそういう話をしたのです。「甘いものを制限しないでください。甘いものを食べたら、あとで歯を磨けばいいじゃないですか。」それはそうですと言われましたが、歯を磨けばいいのです。「海女物を食べたら、歯を磨くこと」を教えましょう。食べたければ歯をみがきます。
一番大切なのは、虫歯になるのは歯を磨かないからではありません。歯の質です。だから小学校では毎年虫歯予防デーで歯のきれいな子を探しますが、歯を磨かない子ではなく、きちんと1日3回磨いていて虫歯のない子を探します。これが難しいのです。虫歯のない子はたいがい歯を磨いてないのです。よく磨いている子はたいがい虫歯があるのです。だから大変ですが、たまにはいます。
虫歯は歯の質です。そしてなぜか先進国はどんどん虫歯の数が減っています。後進国は昔は少なかったのに、今は虫歯の数がどんどん増えています。何か生活環境や文化的環境に関係があるのではないかと私は考えます。
だから歯を磨くことは悪いことではないが、それで100%虫歯を予防できるわけではありません。それには、子どもが歯磨きを嫌わないようにすることが一番です。きれいに磨くために押さえ付けたりすると、子どもは歯磨きを嫌いになります。嫌いになると自分の意志が通る年齢になると歯を磨かなくなります。
歯磨きは楽しそうにやってみせて、自分で磨くように教えます。うまく磨けなくてもいい。毎日磨いて本人が一生懸命やっていれば、そのうち上手になります。楽しく磨く、毎日磨くことを教えることが基本です。嫌がったらやめましよう。甘い物は制限しないでください。
甘い食品というのは、子どもの食品にとって必需品です。なぜか、糖分というのは人間の身体の三大栄養素のーつです。これをゼロにはできません。
子どもに甘い物を制限したらどうなりますか。糖分が不足するから、欲しくてしょうがなくなります。目の色を変えて欲しがります。だから制限しないで下さい。
糖尿病の人達にも糖分を制限できません。なぜかというと糖分はある程度は食べないといけないから。糖尿病の人でも、ゼロにはできない。糖質制限食が流行していますが、スーパー制限はしないで下さい。減らす必要はありますが、ゼロにはしない方がよいようです。
子どもには、甘く調理した食品を食事の中で食べさせてしまいましょう。それで十分に糖分を与えておくとそんなに欲しがらなくなります。ただ例外はあります。お父さんかお母さんが甘い物好きで、甘い物に目がない人はしょうがありません。遺伝的に受け継いでしまいますから。これは環境だけでは治せません。
人間というのは、生まれつきのものと環境と、どちらが優位かというのは、いろんな論争がありますが、やっぱり生まれつきがかなり比重を占めて、プラス環境によって決まります。
特に性格的なもの、正しく言うと気質というのは生まれつきで、性格というのは環境によって変わるというふうに考えられています。だから、生後1ヵ月の赤ちゃんでも、糖水を飲ませると喜ぶ子と、お茶の方を喜ぶ子と分かれます。生後1ヵ月で判ります。これはいくら治そうとしても治りません。そして甘い物は十分与えて下さい。十分与えることによって満足感が得られると、それ以上欲しがらなくなります。よく話すのですが、「饅頭嫌い」という落語がありますが、饅頭を一杯食べると最後に「お茶が怖い」という落ちがありますが、そんなに甘いものを食べ続けられないのです。皆さんもそうでしょう。
アレルギーの心配をするなら、卵に気を付けてください。卵が一番アレルギーになる人が多い。世界的平均で赤ちゃんの5~7%。ところが大人になると1%ない。ということは成長とともに解消されると考えられますから、早く与えるのを避けます。
周りにアレルギーの病気の人、喘息、じんま疹、アトピー性皮膚炎、花粉症、そういうアレルギーの人がいたら、1歳までは卵をあげません。いなければ生後半年から、硬ゆでで黄身だけあげます。白身はl歳過ぎてからにします。
周りにアレルギーの人がいる場合は、卵の白身は2歳から3歳過ぎまであげてはいけません。
1歳過ぎて黄身だけあげます。牛乳は2番目にアレルギ-が多いです。牛乳は6か月までは必ず沸かしてからあげましょう。沸騰させます。生の牛乳(温めただけでもだめ)をあげてはいけません。生クリームも与えてはいけません。
6ヶ月以後についてはあまり確証がありません。ただし、生の牛乳は腸から出血しますから、少し与えるだけです。大量に飲む時には、沸かさないといけません。1日200mlくらい飲むのなら、沸かさなくてもしっかり他に肉や魚を食べていればいいというのが、アメリカの小児科学会の見解です。
大人でもそうです。便の検査をする時でも、牛乳を沸かさずに飲んでいる人は便の潜血反応がプラスになります。だから、牛乳を飲まない方が余計な検査(大腸ファイバー)をしないで済みます。沸かすというのは温めるのではなく、グラグラ煮立てることです。内科医はほとんど知りません。便の潜血検査以外には特に問題が起きないからです。
小児科では大分知られるようになりました。離乳後も牛乳を沸かさずに一日1リットル以上飲ませていると、そういう場合肉などを食べていないことが多く、ひどい貧血になります。
私も一人診ています。血色素が3~4g/dLくらいで、研修医があわてて輸血しようとしたくらいでした。鉄剤を飲ませれば2か月くらいで治ります。
食物アレルギーは卵と牛乳の次は青味の魚です。というのは昔の話で、今は様変わりしています。私の観察では、アレルギーは家庭で作られているからです。親から離すと治ります。
今の食生活は変化しているので、食物アレルギーも変化しています。こんなことはアレルギーの専門家たちは言いません。私はデータを取っていないので信用されませんが、実践的な医療つまり「治ればよい」という考えで治療してきたから言えるのです。
離乳食を早く進めるのは、まず果物、お野菜で、アレルギーが少ないです。まれにはありますが、普通は考える必要はないでしょう。
おかゆは、4ヵ月もしくは、体の小さい子や女の子、動きの少ない子は5ヵ月ぐらいにならないと食べないかもしれません。食べるまで待てばいいです。急にある時から食べるようになります。カロリーが不足すると、食べるようになります。
7.嫌な気持ち、不快な気分にさせないこと
必要ないのに、抱いたりさわったりしないでください。キスをしたり、ほっぺたをくっつけたりもそうです。赤ちゃんが喜んでくれたらしていいです。喜ばないのにしないでください。赤ちゃんはフワフワして、ぬいぐるみみたいでさわっていると気持ちがいいです。
だから親の方は自分が気持ちがいいから頬をくっつけたりします。でも赤ちゃんがそれで喜んでくれるとは限りません。喜ばないのにしないでください。目をみればわかります。
迷惑そうな顔をしてたら、やめましょう。男性が女性を触りたがるのも同じです。触る方は気持ちがいいが、触られる方は嫌です。
困るのは2人目、3人目のお子さんの時、上の子が赤ちゃんをおもちゃがわりにします。
私の知人でおもちゃ博物館の運動をやっている人がいうのですが、「先生、おもちゃで一番面白いおもちゃは何だか知っていますか。」「人間です。人間が一番面白いおもちゃなんです。」だから、赤ちゃんをおもちゃにしてしまう。ですから赤ちゃんをおもちゃにしないためには、赤ちゃんにできるだけ一度も触らせないことなのです。
初めてお子さんが生まれた時、お母さんたちは皆とまどうでしょう。どう触ったらいいか。だんだん慣れて上手になります。
子どもたちだってそうです。初めて見る自分以外の小さな生き物を見て、触らせないようにしておくと、触っていいかどうかわからないから、なかなか触らない。ところが、一回触って大丈夫と思うと、もう次から次へと繰り返して触るようになります。だから、一度でも触らせてはいけません。次の赤ちゃんを産む時には、必ず上の子には触らせないことです。
その内赤ちゃんが這い這いして自分から動くようになると変わってきます。できるだけ、女の子には赤ちゃんと同じくらいの大きさの赤ちゃん人形を買ってあげます。そしてお人形を「これはあなたの赤ちゃん」、本物の赤ちゃんは「こっちはお母さんの赤ちゃん」と分けてしまう。そうすると、ミルク飲み人形を抱かせ、お母さんが赤ちゃんにおっぱいを飲ませると、一緒になって自分の赤ちゃんにミルクを飲ませます。それをしてやらないと、自分も自分もと母親と一緒に赤ちゃんにおっぱいを飲ませたがります。
これをするのは女の子だけです。女の子は生まれながらにして女の子なのです。女と男というのは、私の考えでは、違う生き物だと思っています。考え方も行動範囲も違います。
育てられてそうなるのではないし、ホルモンの関係でもありません。生まれた時から違います。男の子は、赤ちゃんをおもちゃにするが、お世話はしません。
2歳過ぎから女の子は、「女の子にはオチンチンはないけど、赤ちゃんが産めるんだよ」というと、赤ちゃんが産めることが嬉しくて、それだけで納得してしまいます。不思議なものです。
男の子は赤ちゃんに関心のない子が多く、退屈するとやってきて、いじったり触ったりします。そうすると赤ちゃんがいろいろと反応するのが面白いのです。だから、始めからできるだけ触らせないのがよいです。でも一度触ってしまったら止められません。ではどうするかというと、おんぶできたらおんぶしてしまうとか、赤ちゃんは放っといても一人遊びしていますから、上のお子さんの相手をしてあげます。そうするとうまくいきます。ただ、這い這いしたり、動き出すと、なかなかうまくいかなくなります。
でも赤ちゃん特に女の子に多いのですが、おっとりとして何をされても平気な子がいます。その場合はほっておいても病気をしません。
乳幼児精神科医の渡辺久子医師がいうように、「たんぽぽは放っておいても花を咲かせますが、洋蘭は手をかけないと花を咲かせません。」それと同じで、神経質な子は、上手に育てないとうまく育ちません。
8.赤ちゃんは親の思い通りにならないもの。
赤ちゃんは、親の思い通りにはいかないものです。そうすると、親は楽しくない嫌な気分になります。イライラしたり、強制すると反発します。させようとするとしたがらない。やめさせようとすると、したがります。みんな反対の方向にいきます。だから、上手にうまく関心をひきつけることです。しかし、それでも生まれた時から、一人一人性格が違います。それぞれ反応の仕方が違います。上の子でうまくいっても下の子でうまくいかなかったりします。それが子どもです。子どもにいろんなことをさせて上手にしたかったら、嫌なことをさせないことです。
それからできるだけ、ほめてあげましょう。ほめ上手になりましょう。子どもはほめて育てましょう。失散しても叱らないで「失敗しちゃったね、今度は上手にできるよ」とほめてあげます。子どもの時に自信をなくすと、大人になっても自分の行動に自信を持てなくなります。いつも叱られていると、自信を失います。「自分はできない、駄目なんだ」と思ってしまいます。「また失敗するのではないか、また怒られるのではないか」と思ってしまいます。ほめて育てましょう。
ほめて育てると、また今度もほめられると思い、一生懸命やります。そしてうまくいきます。うまくいくからまたほめられます。失敗する子は、また失敗するのではないかと思ってしまうと、失敗してしまいます。自分で自分に暗示をかけてしまうのです。
いけないこと、悪いことをした時もそうです。何をしたから悪いかと判らせて叱ることが大切です。そうすれば、したことを叱られているので、自分の生き方を叱られていないので子どもは違う受け取り方をします。でも女の子は小学校入学以後、男の子は小学三、四年生にならないと言うことを聞いてくれません。
最近流行っているイメージトレ-ニングと同じです。長島元巨人軍監督は選手時代から自分で始めたそうです。教わらなくてやったのです。だけど今の選手は教わってやります。試合の経過をずっとイメージしていって、いつもうまくいくイメージを頭の中に描きます。ボールが飛んで来て、うまく何球目かにジャストミートして、ホームランを打つ。ホームランを打ってぐるっとべースを回って帰ってくるところまでイメージする。それを寝る前にして、寝ます。明日の試合は必ずうまくいくと、自分に良い方にイメージをします。
それと同じように、子どもにも「大丈夫、うまくいくよ」といいイメージを植え付けましょう。そのためにはうまくいったら、すかさずほめてあげます。失敗しても今度はうまく行くよと、いい方にいい方に、誘導してほめてあげます。ほめ上手になりましょう。そうすると、大人になって自信を持って、いろんなことができるようになります。それから、嫌なことはできるだけやらせない。嫌がったらやらなくていいのです。いつも楽しいことだけを教えていきます。そうするとうまくいきます。
ボリス・ベッカーというドイツのコーチは子どもたちにテニスを教えましたが、球を拾いに行くのが嫌だと言うと、球にひもをつけて引っ張ると集まるようにしました。それで子どもたちは、練習をするようになり、男子と女子の世界一の選手を育てたのです。
今活躍しているゴルフの女子の選手は、最初親からテニスをやらされたが嫌になり、ゴルフに転向して日本一になりました。それは、テニスは飛ばした球を拾いに行かなければならないが、ゴルフはそれがないという理由でした。
9.赤ちゃんを一人の人間として扱う。
赤ちゃんが生まれたら、話しかけてあげてください。赤ちゃんが判っているか判っていないかは別にして、始終話しかけましょう。初めてのお子さんより2番目、3番目のお子さんの方が、言葉が早いのは、上の子が始終話しかけるからです。
初めての子はお母さんが始終話しかけましょう。そうすると言葉が早くなります。言葉というのは、我々が英語を覚えるように、一つ一つ単語を覚えるではありません。沢山の言葉が頭の中にあって初めて一つ言葉が出ます。だから言葉が出る頃に青森から東京に出てくると、初めて出る言葉は青森弁です。
だから言葉をいっぱい聞かせてあげます。できるだけ話しかけてあげましょう。話しかけることによって、それが判るかどうかはわかりません。でも話しかけることでお母さんは無意識に仕草をし、その仕草が伝わります。子どもはそういう仕草やお母さんの感情に非常に敏感です。つまり言葉でコミュニケーションができないから、それ以外のコミュニケーションで通じています。動物の世界がそうです。仕草やちょっとした鳴き声の違いで、お互いにコミュニケーションをとっているのです。そういうところを赤ちゃんが敏感に持っています。
言葉で会話ができるようになると、それが薄れていきます。大人になると、なかなかそういうことが伝わらなくなります。小さいうちはそういうことが敏感にわかりますから、私は赤ちゃんに仕草や顔の表情で語りかけます。それで赤ちゃんたちは、笑ったり反応をします。それに対しまた仕草や顔つきで答え、赤ちゃんと会話をします。お母さんたちはそれに気が付きません。それで子どもが私の顔や仕草を見て態度を変えるのに驚かれます。
言葉をかけてあげる時に自然に仕草が出ます。だから言葉をかけましょう。言葉より仕草が子どもに伝わるから、言葉の中味が伝わるわけです。
しかし、子どもは判っていても嫌だということがあります。注射をする時もそうです。私も「ちょっと痛いけれど我慢してね。痛ければ大きい声で泣いていいよ。」と注射をします。
それでも子どもは「嫌だ」と言って泣きます。でも暴れ方が違ういます。判っていると暴れないか、暴れても力一杯はしません。ところが、それを言わないでいきなり押さえ付けてやってしまうと次からは大変です。もう必死になって暴れますから、押さえ付けられないです。きちんと言葉で説明すると、嫌だけれども泣いてもそんなに大暴れしません。判っているからです。大人だって注射は嫌です。だけど上手にすればそんなに痛くありません。少しチクッと痛いだけですが、嫌うとひどく痛く感じます。注射恐怖症という病気もあるくらいです。
赤ちゃん(子ども)には、必ず目を合わせてお話ししましょう。目で訴えることです。何かして欲しかったら、目で「こうして頂戴」と言って、それで自分の感情を伝えるのです。繰り返し言ってそれが伝わると、子どもはそれを受け入れて言うことを聞きます。必ず目を合わせましょう。赤ちゃんもそうですが、どんな小さい時でも嘘をついてはいけません。本当のことを言わなくてもいいですが嘘はだめです。嘘でも本当でもないことを言えばいいのです。決して嘘は言ってはいけません。痛いのに、「痛くない」と言ってはいけません。「注射する?」と聞いたら「先生に聞いてみてからね」とか、ごまかすことです。「しない」とはいわない。しないと言ったのにすると、嘘になるからです。一回嘘をつくと、それからは親の言うことを信用しなくなります。私は嘘をつきません。「先生は嘘をつかないから、注射する時はそういうよ」と繰り返し言い、それを実行していると信用してくれます。そうすると外来に来ても泣かなくなります。私の外来は、国立病院時代から待っている子どもたちが泣かないのです。診察室に入っても泣きません。他の小児科医に不思議がられました。
10.赤ちゃんの目が輝いていることが大切。
赤ちゃんの目というのはいつも輝いています。いつも楽しくて輝いています。だから赤ちゃんの目が輝いていない時は、何かどこかに問題があります。だから赤ちゃんが嫌な顔や、変な顔をしている時は本当に心配になります。それはうまくいってないからです。
赤ちゃんが楽しくなっていると、お母さんもいつも楽しくなっているということなのです。お母さんがいつも輝いていると、赤ちゃんも輝いています。私が前に勤務していた病院に、天真爛漫な看護師さんがいました。結婚して妊娠したら「いい子が生まれるに決まっている」としか考えません。「母乳は出るもの」としか思いません。そうすると妊娠8ヵ月ぐらいでタオルをあてないとあふれるぐらい母乳が出てきます。生まれてもお産を痛いもの嫌なものと思っていない。痛いのは当たり前くらいにしか思っていません。それで安産で、いい子どもが生まれ、のびのび育ちます。母親が育児に対して疑問を持たないのです。そうするとどんどん自然にうまくいきます。もっとも小児科の看護師なので赤ちゃんの扱い方は上手ですが。
でもそういう人はごく一部です。誰もと言うわけにはいきません。特に小児科の看護師をしていると、病気の子どもしかみていません。「自分の子どもがああなったらどうしよう」と不安になるのが普通です。普通の人が見ない病気を沢山見ているからです。
お母さんがいつも輝いていると子どもは輝いてきます。子どもに「我慢して頂戴ね」という言葉を使うのはやめてください。我慢するということは、ストレスがたまることです。大人もそうです。我慢してはいけません。嫌なことは嫌だといいなさい。「ノーと言えない日本人」を「ノーと言える日本人に」しようなんていう人がいますが、日本語は相手にノーと言わせない言葉なのです。そういう言葉の構造なのです。相手の顔を見ながら喋っていて、語尾だけ相手の顔色を見て変えたりします。そういうことかできる言葉です。
欧米の言葉は、「イエス」か「ノー」かが先にきます。日本語と同じ語順の言葉は韓国語しかありません。それ以外の言葉は全部最初に「イエス」か「ノー」がきます。つまり日本人は歴史的に言葉が始まる時代からそういう習慣があったのです。これからは、できるだけ「ノー」という言葉を言わせましょう。「嫌だったら嫌だと言いなさい」と教えることです。しょうがないこと、例えばお母さんが仕事で出かけなくてはいけない時、「我慢してね」と言わないで、「お母さんが仕事だからしょうがないでしょ、いいよね、楽しくやっててね」と言いましょう。できるだけ「我慢しなさいと」、「おとなしくしててね」、「良い子にしててね」とか言わないで下さい。「楽しくやっててね。」と言いましょう。その理由は、よくあるのですが、家では伸び伸びして走り回っているのに、幼稚園や学校に行くと良い子になって嫌なこともおとなしくして我慢している子がいます。そういう子は病気になります。我慢してストレスがたまります。むしろはっきり自己主張ができるように育てないといけません。
「外でもいい子にしてね。おとなしくしてね」と言わないこと。みんないい子になりたいから、言うとおりになってしまいます。
11.大人になってもして欲しくないことは、赤ちゃんのうちから見せたり、教えたりしないこと。
できるだけ赤ちゃんが喜んですることを手助けしてあげましょう。そうすると一人一人の赤ちゃんの興味やしたいことが違います。その子の持っている興味や能力を伸ばしてあげましょう。赤ちゃんがやりたがっていることをやらせてあげます。ピョンピョン跳ねたがったら、跳ねさせてあげます。興味を持っていることを積極的にやらせてあげると、その子の能力は伸びていきます。興味の持たないことをやらせようとしないこと。いろんなことをやらせたいと、つい親は思ってしまいますが、そう思っているとなかなかやってくれなくなってしまいます。また子どもの気持ちにはムラがあります。その時々で変わっていきます。それを「一度決めたことだから」などと無理強いしてはいけません。嫌になったらやめましょう。