地図のいろいろ

半世紀も地図作りに携わっていましたので、この辺で振り返って地図を見直してみようかな~・・・。

ヘカタイオスの世界地図

2008-03-17 10:13:38 | Weblog
ヘカタイオスの世界地図
初期のギリシャ人もバビロニア人と同じく、「世界は平たい円盤状をなす」ものと考えていました。
ギリシャの最初の地理学者ヘカタイオス(BC6世紀)の作といわれています。銅版に彫られたものです。
オケアノス(OCEANOS)とよぶ海洋に囲まれ、地中海によってエオローバ(EUROPA)とアジア(ASIA)に別れ、東の端にインドがあると考えられていました。
アフリカもトルコも中近東もアジヤなのですね。

当時としてはギリシャ周辺の海岸線や河川が実によく描かれています。侵略戦争に使われたようです。まさに弱肉強食の世界ですからね。
さて、この地図には、海岸線と河川が実によく描かれているといいましたが、当時の戦略上もっとも大事な要素ではなかったかと思います。
記載されている川の名を挙げますと、ドナウ川(ヘカタイオスの地図では「イストロス川」と呼ばれています)、ナイル川、ポー川、ドン川(流れ行く先が少し変ですが)、インダス川、ユーフラテス川です。
また、キプロス、クレタ、シチリア、コルシカ、サルディニアといった地中海の島の形は、今の地図とあまり変わりませんね。ギリシャ人にとって地中海は格好の交通路でしたでしょうから。
それから、この地図も、北が上を向いています。東が上という世界観は・・・?
BC6世紀の頃、ギリシャを中心にこんなにコンパクトで正確な世界地図が作られていたことは驚きです。私の好きな古代地図の一つです。