地図のいろいろ

半世紀も地図作りに携わっていましたので、この辺で振り返って地図を見直してみようかな~・・・。

秀吉所持扇面図

2008-03-23 11:06:40 | Weblog
「秀吉所持扇面図」です。
秀吉が愛用していたといわれる扇の地図です。
左半分が中国、まんなかに朝鮮半島が突き出し、右に、日本列島が、まるでエビがはねたようなかたち、行基図の体裁で書かれています。
扇面の図ですから、多分にデザイン的な仕上がりになるのは当然ですが、日本全図は、行基図の体裁が当たり前でしたのですね。
しかし、日本、朝鮮、中国の位置関係や大きさが、ほぼ正しく描かれているのが、伺えます。
また、海岸線の他、河川は確り把握していたようです。戦略的にも、その認識は不可欠ですからね。
また、ソウル、ペキン、ナンキンのほか、中国の主な都市がちりばめられています。
既に、当時は相互の地理的な認識は正しくなっていたようですね。

なのに、文禄(1592)・慶長(1598)の役を企てるとは、第二次大戦と同じような、日本人のおごりの感覚ではないでしょうか。

南蛮渡来の世界地図を屏風にするといった、世界認識と雄大な趣味も、この時代にみることができます。信長、秀吉の海外への関心度が伺えてほほえましいですね。