地図のいろいろ

半世紀も地図作りに携わっていましたので、この辺で振り返って地図を見直してみようかな~・・・。

プトレマイオスの世界地図

2008-03-24 11:06:17 | Weblog
プトレマイオスの世界地図
クラウディオス・プトレマイオス(127-160年頃)は、エジプトの天文・地理学者です。
天文書「アルマゲスト」(地理学提要)を著し、世界で最初の地図帳「アトラス」を作成し、その後16世紀頃までの世界観を作り出した人です。
内容は、世界全図1枚と、部分図数枚(?)からなっているそうですが・・・。

プトレマイオス自身の原図は存在せず、掲載の図は写本で、ナポリ国立図書館にあるそうです。

この地図には、まだ、全世界の1/4しか記載されていませんが、大航海時代前、2世紀頃では当然でしょう。
あとは未知の世界で、まわりに12個の風神を置き、風を送って地球を支えているという想定でごまかしています。
それでも、地球が宇宙の中心にあり、太陽やその他の惑星が地球の周りを回るという「天動説」を唱えていた人です。
多分、アリストテレスらによる世界は球体という節は既に確信していたようです。
アリストテレスは月蝕のときの地球の影から、地球は球形であると確信したようです。
また、球形を平面に描くために円錐図法の考えが取り入れられていたことです。頭脳明晰な人たちですね~!
そして、古代地図としては珍しく、推測や神話を出来るだけ排除して真実のみを描こうとしています。
そのため、地図に約8,000個の経緯度を置き、地図を描いています。画期的な発想です。


この地図の個々の内容ですが、
日本を含む東方が未知のためか、アジアが著しく東方へ伸びています。
アフリカ大陸には大きな山脈と湖が描かれており、そこを源にナイル河が流れている様を捉えています。
混沌としてよく解らない東シナ海は内海となっています。
インド半島は小さく書かれているが、セイロン島は異常に大きく描かれています。
インド洋貿易圏の重要な島として認識されていたのが伺えます。
ガンジス川のミャンマーの所には「金の国」「銀の国」と書かれているそうですし、
マレー半島は黄金半島として書かれているそうです 。
この辺は、文字が解読できないので、よく解りません。
中国や西域の内陸部は、シルクロードや紅海を通して伝えられた情報にもとずいて描かれたようです。



いずれにしても、この地図からは、欲の絡んだ探検思考が支配した時代背景をうかがい知ることができます。