クニアキンの日記

日々、興味を持ったことなどを調べたりして書いていきます。
旧日記の復元については7月13日の日記をご覧ください。

樽見 博「古本通」(平凡社新書318)

2024-04-25 16:55:18 | 読書
樽見 博「古本通」(平凡社新書318)
これまた百均本です😄 
著者は「日本古書通信」の編集者です。

個人蔵書の末路のいろいろな事例、特に、p.75~の高橋新太郎文庫の話など興味深く読みました。

著者は、戦中、戦後の現代文学関係に関心があるようで、そのあたりの詮索話には、私はちょっと辟易しましたが、意外なところで斎藤喜博の名前が出てきたのは、ビックリでした。

印象に残ったところとしては、下記があります。

データと現物の溝は想像以上に深いのだが、その理屈が案外図書館では通らないのである。(p.61)
これは、近年、画像データで読めるようになると、現物の閲覧が難しくなるということについての言及ですが、
画像データなど夢のまた夢の時代に亡父が、写真とかコピーとかでなく、和本は現物を見ないと分からないと言っていたことを思い出しました。

自らの蔵書の行く先を決めて死ぬのも理想なら、没後はどうともなれと一切考えないのも逆に理想的な考え方かもしれない。蔵書家の運命とは別な、書物それぞれの運命もあるのである。(p.162)


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監獄舎の殺人(ミステリーズ! 新人賞受賞作品集)(創元推理文庫)

2024-04-11 18:58:39 | 読書
受賞作品集ということで、そんなにハズレがないかなと思って百均本で購入しましたが、サイコミステリー的傾向のものが多く、ちょっと私の好みとはズレていました。

美輪和音「強欲な羊」 意外性はないのに後味は良くないのは、ちよっと
近田鳶迩「かんがえるひとになりかけ」 殆どSF
櫻田智也「サーチライトと誘蛾灯」 この集の中では、好みです
浅ノ宮遼「消えた脳病変」 うん、そうね。といった読後感
伊吹亜門「監獄舎の殺人」 う~ん・・・
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伊藤 雄馬「ムラブリ」集英社インターナショナル(2023)

2024-04-08 19:06:29 | 読書
伊藤 雄馬「ムラブリ」集英社インターナショナル(2023)

朝日新聞の折々のことば欄で採りあげられていて(3027,3028, 2024-03-14,15)、興味を持ち、図書館で借りて読みました。

最も印象に残ったのは、ムラブリとは直接の関係はないけれど、
教員になってみてわかったが、経済的には楽になったけど、時間はなくなったし、研究テーマも結局、限られた時間でこなす作業になっていった。(p.223)
かな(^^;

他に印象に残ったところとしては、
p.118~の、ムラブリ語には完了相と起動相の区別がないということは面白いと思いました。
p.125 で「今ここで起こっていること」とそうでないことの区別を重視していると考察しています。
p.128 の自殺した女の子、どういう事情だったのだろうと思ったのと、少しかわいそうに思いました。
p.145~146 の所有の表現と所有の概念
個人のなかには「こうすべきだ」という考えは少なからずあるようだが、それを他のムラブリに強要する場面には一度も出くわしたことがない。(p.150)
フアイホム村でムラブリと共に住む宣教師のブンジュンさんは、ムラブリへのキリスト教の不興を諦めたのだが、このような状況をみると、ムラブリが教義を拒んだむからというよりも、伝えることが難しいと感じたためだろうと想像する。(p.181)
ウドムさんはそのことにとても驚いて、ムラブリの向上心のなさを嘆いていた。しかし、もしかしたら、これも知識の集中によって、権力や上下関係が生まれることを無意識的に避けていたとは考えられないだろうか。(p.157)

著者のムラブリ式の生き方、ムラブリではないけれど「人それぞれ」とは思いますが、みんながそういう生き方をしたら、世の中、成り立たなくなるね😑 
最初に引用した、著者が教員になってみてわかったこと、私も感じながら教員生活を送ってきて、定年後ようやく「限られた時間でこなすものではない研究」のできる境地に達しました。
でも世の中全員が年金生活者という訳にはいかないからね😐 

で、そういう「雑念」を去って、著者が体験した事実のみ注目しても、興味深く読めました。
ただ、そういう読み方をするには、地名、人名をしっかり記録しながら読む必要があったと、通読後に気づきました。
前に出ていた名前がまた出た時に、それを忘れていると、だんだん話がこんがらがてきます。

地名は 扉の次のページに略地図が出ていますが、例によって、Google Map で探してみたくなりました。
出てきた順に、関連主要人名の初出ページとともにまとめておきます。これからお読みになる方々のご参考になれば幸です😇 

フアイホム村 Google Maps(p.32)
Huai Hom, Ban Wiang, Rong Kwang distric, Phrae province(プレー県、ローンクワーン郡)
最初に坂本比奈子先生(p.31)にくっついていった村。村に住むアメリカ人宣教師ブンンジュンさん(p.34)と奥様ワセナさん(p.34)夫妻の息子のウドムさん(p.32)が迎えに。
ヤラナー(p.37)民話を語るムラブリの女性。
タラナー(p.37)ヤラナーの夫

フアイユアク村 Google Maps(p.57)
Huai Yuak, Mae Khaning, Wiang Sa district, Nan province (ナーン県、ウィエンサー郡)
3か月後、タンブン・善行(p.59)に行くタイ人カップルに乗せてもらって入村
タシー(p.62) 村長、最初の調査でのインフォーマント
ブンディップ(p.76) 修士1年目の調査でのインフォーマント
タクウェーン(p.83) 3人目のインフォーマント

ターワッ村 Google Maps(p.113)
Tha Wa, Sa Iap, Song district, Phrae province (プレー県、ソーン郡)
フアイホム村のムラブリに連れて行ってほしいと頼まれたウドムさんが、ピックアップトラックの荷台に乗せて連れて行ったというムラブリの村

フアイルー村(p.162)
https://www.google.co.jp/maps/@18.9154444,100.5258056,17z/
Huai Lu, Sanian, Mueang Nan District, Nan Province (ナーン県、ムアンナーン郡)
行政プロジェクトの移住による新しい村
ブンディップに再会
管理人のタイ人青年(知り合い)

ドーイプライワン村(p.168)
https://www.google.co.jp/maps/@18.934514,101.0449653,15z/
Huai Lu, Sanian, Mueang Nan District,
Don Praiwan, Tambon Phong, Santi Suk District, Nan Province (ナーン県、サンティスック郡)
これまでの村のムラブリは語A方言、この村はB方言を話す。(p.203)

最後に出てきたラオスについては、あまり具体的な記述がなく、どこかは分りませんでした。
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綾辻 行人「フリークス」光文社文庫(2000)

2024-03-24 16:16:47 | 読書
フリークス (光文社文庫 あ 20-3) | 綾辻 行人 
10年ちょっと前、綾辻作品にはまり、「囁きシリーズ」に至って「もういいや」となっていましたが、百均本で出ていたのを何となく買ってしまいました。

結構、釣り込まれて読んでしまいましたが、やっぱり私には「もういいや」かな😐 

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G.K.チェスタトン、吉田 健一 訳「木曜の男(創元推理文庫101-6)」東京創元社(1960)

2024-03-21 16:43:02 | 読書
木曜の男 (創元推理文庫 101-6) | G.K.チェスタトン, 吉田 健一
百均本で見つけて、チェスタトンの作品として題名を聞いたことがあった気がしたので買って読みました。
それなりに釣り込まれて読みました。
話の大筋としては大体予想の範囲でしたが、まあ荒唐無稽です。
最後の読後感は、昔読んだ、丸谷 才一「エホバの顔を避けて」とちょっと通ずるものがあるような気がしました。
ちょっと面白いなと思った言い回しは随所にありましたが、いちいち書き抜きませんでした。ただ、p.212 の
仏教というのは、あれは宗教じゃなくて、懐疑なんだよ。
というところだけ挙げておきます。
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