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クニアキンの日記

日々、興味を持ったことなどを調べたりして書いていきます。
旧日記の復元については7月13日の日記をご覧ください。

遠い記憶が繋がる驚き

2024-05-14 21:26:26 | 天文
小学校時代、父に連れられて清水に行って、「三五教」と書いて「あなないきょう」と読むいう奇妙な名前のバス停から乗った遠い記憶があります。今はどうなったいるんだろうと検索してみました。すると、これまた過日、遠い記憶から蘇った草場修氏(草場修氏のこと - クニアキンの日記)を見出した天文学者 山本一清博士と三五教の繋がりが明らかになり、
これも小学生の時に沼津の香貫山頂に見えた奇妙な建物とも繋がりました。
そしてその建物は、今でも時々名前を聞く月光天文台に繋がっていたとは😲 
 坂井 義人「山本一清博士他界前一ヵ月について」第7回天文学史研究会
さらにもう一つ、私が中学生当時、静岡市児童会館屋上の天文室におられた、柴田宸一氏のお名前もこれら香貫山天文台関連資料の中に散見されたのも驚きでした



十三夜

2023-10-27 19:19:27 | 天文
図書館からの帰り道、道の先に月が上ってきていました。そういえば十三夜かなと思って調べたら、やはりそうでした😊
ちなみに図書館の前の道はほぼ東西に走っています。

どうして中秋の名月から1か月後の十五夜ではなく十三夜を特別視しているのか、私は、中秋の名月も、十三夜の月も、どちらもほぼ真東から上ってくるのが理由なのではないかと考えています。既にそういう説が出されているかどうか、不勉強にして知りません。ご教示頂ければ幸いです。

旧暦の八月は、秋分を含むように定められますから、太陽は秋分点の近くにいます。従って旧八月の満月は春分点の近く、即ち天の赤道の近くにいます。と、いうことは、十五夜の月は、ほぼ真東から上って来るということです。

一か月の間に太陽は黄道上を東に移動しますから、秋分点から少し南東に進んだところに進んでいます。従って、満月は春分点から少し北東に進んだところにいます。では、ちょうど春分点あたりに月が来るのが何日前になるか、概算してみますと、太陽が1年(365.25日)の間に天球を1周、それに対して月は1恒星月(27.3日)の間に1周ということをもとにして、ほぼ2日となります。

よって十三夜の月はほぼ春分点あたりにいるので、ほぼ真東から上って来るという計算になります。理屈はともかく、2023天文年鑑の9月の空、10月の空を見ると、月の赤道通過は正に中秋の名月と十三夜の日に起こっています。

草場修氏のこと

2021-10-10 20:10:55 | 天文
このところ寝る前に、プレアデスやプレセペを双眼鏡で見たりしていますが、カペラがその横で明るく輝いています。
全天で何番目の明るさなのだろう、明るい星だけの星表があればダウンロードして光度順に並べ変えてみようかな思ったりして、ふと、中学生の時に「天文ガイド」の記事で読んだ草場氏の話を思い出しました。

ルンペンが毎晩星を見ながら星図を作り、それを天文学者が校訂して出版したという話でした。当時は、まだ実際に市販されていて、
https://iss.ndl.go.jp/books/R100000039-I001783512-00
書店に注文して100円?で購入しました。1枚の大きな紙に印刷されていて、折り畳んで袋に入っていました。今でも実家のどこかにある筈です。

web 上に、草場修氏について、いろいろ情報がありました。
http://mononoke.asablo.jp/blog/2018/11/10/8995450
からご覧あれ。

遅い月の出

2021-03-04 18:54:51 | 天文
1日の午後6時半頃、東京にいる孫が電話をかけて来て、「月が見えない!」と。
「この前、満月だった。」と言っているので、今日は夕方に月が見えないので驚いたらしい。とりあえず孫には、「もう少しすると出てくると思うよ」と答えて、娘に、「同じ満ち欠けの月は大体同じ時刻に出てくるので、1か月で24時間遅れる。従って1日には 24÷30 時間位遅れるという理屈になるよ。」と注釈しておきました。

電話を終えて改めて東京の月の出を調べたら、3月1日は19時46分。前日2月28日は18時36分だったので、1時間10分も遅くなっている!
私もちょっとびっくり。満月が27日だったので、「いざよい、立待ち、居待ち、寝待ち」の「立待ち」にしては遅すぎるかなとも。

2日以降について調べてみると、数日間は毎日1時間10分程度遅くなりますが、8日あたりからは急速に遅れ時間が小さくなり3月15日(7:00)と16日(7:25)の差はわずか25分!

こんなに変動が大きいとは知らなかった・・・

で当然、その変動の原因を知りたくなります。

web 上を見ていくと、暦Wiki/月の出入りと南中/月の出入りは難しい? - 国立天文台暦計算室 がきちんと(定量的に)考察しているようです。

最初の部分に書いてあることは上で娘に説明したようなことなのでさっと読み飛ばして次の、「月の動きを基準にする」に進みます。
月の南中から南中までを=平均太陰日を基準にしてグラフを描くということで、自分でもやってみようと思ったのですが、月の出入りのデータを打ち込むのは面倒なので、探したところ、暦象年表 令和 3年 2021 から取り出せそう。
で、2021年2月と3月の月の出、南中、入の時刻の表を表計算で作成し、まず2月1日午前0時を起点とした時間単位のデータに直します。
2月1日の南中と入りは出より前の時刻で、即ち前の「平均太陰日」のできごとになりますので、手作業で削除して上に詰めます。「平均太陰日」が「平均太陽日」より長いために起こる抜けも、同様に上に詰めていきます。

そして南中時刻の間隔の平均(=平均太陰日)を出して、それに基づいて平均した南中時刻をちょうど 12:00 になるように実際の南中時刻と出入り時刻の表を作り、それをグラフに描いたのが次の図です。


月の周期運動のデータとして、S 最南、E 赤道通過、N 最北、P 最近、A 最遠、がそれぞれどの日にあたるのか書き込んだ列を作り、横軸に表示しました。
南中時刻が前後するのは、南中と南中の時間間隔が一定でなく「平均太陰日」のまわりにばらつくことによるもので、太陽の場合の「均時差」に相当するものです。でも変動の幅は1時間程度で、これは次に考察する月の出入時刻の変動に比べると小さいです。

月の出入り時刻の変動は4時間近くに及びますが、大雑把に見ると Nと書かれた付近、即ち月が北にあるときは月の出は早く、入りは遅く、逆にS、即ち南にあるときは出は遅く、入りは早く、なっています。これはちょうど、太陽が夏には早く出て遅く沈み、冬には遅く出て早く沈むことに対応しています。
ただ太陽のように完全に周期的になっていないのは、太陽の運動が天球上で(殆ど)動かない黄道に沿っているのに対し、月の動き(白道)は黄道の周辺で絶えずふらついていることによると思われます。

毎日の出入り時刻の変化は隣り合う点の差に相当しますので、月の出について見ると、SからNに向かう途中(太陽の場合の春に相当)ではどんどん早くなり、NからSに向かう途中(太陽の場合の秋に相当)ではどんどん遅くなることが分ります。
ただこれは月の南中時刻を基準にしているので、太陽を基準にした普通の時刻にする必要があります。月の南中は平均太陰日と平均太陽日の差、約50分ずつ毎日遅れます。従って、SからNに向かう途中での毎日の月の出の遅れは50分より小さく、NからSに向かう途中での遅れは50分より大きくなることが分ります。

3月1日はNからSに向かう途中ですので、遅れは50分より大きい、また3月16日はSからNの途中で50分より小さくなる、このようにして最初に見た現象が説明できます。

最後に、これも冒頭で指摘した「いざよい、立待ち、居待ち、寝待ち」との感覚のズレですが、昔の人が特に満月を見たのは中秋の名月、太陽は秋分点付近にあるので、満月は春分点近くにあります。言い換えればSからNの途中でマ毎日の月の出の遅れは50分より小さくなります。
実際、今年の中秋の名月9月21日の月の出は18:07、22日は18:34、23日は19:00と、遅れは30分未満ですので、「いざよい、立待ち、・・・」にぴったりの表現なのでは。
もっとも、現代のせわしない我々にとっては、これでもまだちょっと長いような気もしますが😁 

ちなみに3月1日の8時頃、娘から
大きな月が出ましたー!
とメッセージが来ました。😊 

星図を描く

2021-02-21 17:20:55 | 天文
友人が天体写真に凝り始めて星野写真を送って来るので、星列の同定とか楽しんだりしています。滝星図 8.5 等 ではちょっと物足りなくなってきたので、自分で星表データをダウンロードして Excel で描いてみようと思いました。

随分昔に、一度やったことはあるのですが、詳細は忘却のかなたで、そもそもデータも更新されているでしょうから、新たに最初から試みることにしました。手順を備忘のために記録しておくことにしました。

ヒッパルコス星表というのが一般的なようなので、まず
に記されたリンク先から赤経、赤緯範囲を指定して必要部分のみダウンロードしようとしましたが、範囲の指定がうまくできなかったので、結局、ftp で張られていた全データへのリンク先から FFFTP を使って gz ファイルをダウンロードし、7ZIP で解凍しました。

Excelで読込み、該当の赤経、赤緯範囲を切り出し、赤緯は軸の向きを逆にして描きました。3等星以上を色を変えないと星座の形が見えてきません。

描いた図で、σ Ori 付近の星列を写真と見比べてみたのですが、ちょっと力不足のようなので、Tycho-2 catalogue を試みることにしました。

Tycho-2 catalogue data files からダウンロードでき、データのフォーマットもThe Tycho-2 Catalog Format  から分かるのですが、表が、GSC region number に従って配列されているというので、見たい部分の region number を知る必要があります。そのため、The Guide Star Catalog. III. Production, database organisation, and population statistics. - NASA/ADS で pdf ファイルをダウンロードして説明を読みました。

全天を2段階で区分けしています。まず、約 7.5°の large regions に区切り、次にそれらをさらに small regions に区切ります。large regions は同じ赤緯範囲を赤経 0h を起点にぐるりと一周する順に番号が振られています。赤道沿いからまず北半球、次に再び赤道沿いから南半球の順です。small regions は、large regions の順に通し番号になっています。(pdf ファイルの Fig.1, Fig.2 参照)

以下、具体的に GSC region number を知る手順を、オリオン大星雲付近を例に説明します。

まず赤緯の範囲の中心が -3.75 なので、Table IV から、一周の赤経 24 h を N=48 に分け、即ち 30m ごとに区切られていることが分ります。従って起点の赤経 0h 00m ~ 0 h 30 m から数えて、欲しい赤経 5h 30m ~ 6 h 00 m の範囲は 12 番目であることが分ります。
さらに Table IV に、L1=367 とあり、起点の赤経 0h 00m ~ 0 h 30 m の範囲の通し番号が 367 ということなので、欲しい赤経 5h 30m ~ 6 h 00 m の範囲の large region の番号は 378 と分ります。

次に Table V から、番号 378 の large region を区切った small region の通し番号が が 4766 から始まっていること、さらに k=4 、即ち縦横それぞれ4分割され、合計 16個の small regions に区切られていることが分ります。

以上より、small region number 4766~4781 の範囲が必要と分ります。

先にダウンロードした Tycho-2 catalogue data files の catalog.dat ファイルの各行の先頭の4桁数字が small region number になっているので、必要範囲を切り出せば良いのですが、ファイルが大きいので少々大変です。
ちなみに index.dat ファイルは、各行が各 small region の情報になっています。例えば、その 4766 行目は
1227506| 7967| 82.51| 84.38| -1.87| 0.00
となっていて、catalog.dat は 1227506 番目のデータから、suppl_1.dat は 7967 番目のデータから、それぞれ 4766 の領域のデータが始まっていることを意味しています。また後ろは角度で表現した、赤緯、赤経の下限、上限です。

ヒッパルコス星表の時と同様に Excel で描いてみました。4.0 等、9.0 等で3段階に描き方を変えると、写真との対応もずいぶんうまくできました。
最初、suppl_1.dat を入れずにやっていたら、抜けている星が結構あったのですが、入れたら問題なくなりました。suppl_1.dat は、catalog.dat と書式が少し違うので注意が必要です。