熊本レポート

文字の裏に事件あり

誰も書けないJASMバブルの裏 後編

2024-08-22 | 社会・経済
●024年3月、TSMC進出によって大きく様変わりする菊陽町の役場を訪ねると、同町の今村商工振興課長は「第二工場予定地?まだ何処になるのか決定していません」と語気鋭く応えた。
●アスク工業、坂本、東築建設の地元建設業の特定3社が、同予定地のほぼ8割を収容し終えた時点での同町の対応で、一方の熊本県側から『厄介な問題が浮上』と漏れ出た事案に対する確認であったが、この対応の通り町が責任不在のまま第二工場用地は終盤を迎えて、同時に県の担当課には苦境に陥る問題が浮上していた。
●それがエスエーグローバルの佐藤氏の口から全国紙記者に出た「厄介な問題を生んだ」で在り、それは任せたはずの坂本建設担当エリアでの『仮登記』という実に厄介な残務。仮登記は違法ではないが、それが本来の本登記への権利が抹消する5年目、いや2、3年前の古い仮登記ならともかく、開発事業を知って、しかも用地収容が行われて居る最中にあっての「仮登記」というアクションは、どう考えても理解されるものではない。元暴五年条項を論じている訳ではなく、川の流れを変えると、ダンプやシャベルカーが川に入って来る中、「いや、魚を捕る」と網を拡げられた訳で、また事は農地転用に向けて動いている時、「農地法第三条許可(農地の耕作目的での権利移行)を要する仮登記」とは、同売買では国税マターながら一般的にも首を傾げる仮登記。最終的には約4億円前後で決着したとの話にあるが、それはストレートに決着したのではなく、東京情報の坪25万円という法外な価格へ向け、1億円からの交渉というストーリーからして常識的な商談とは考え難い。しかも同仮登記が山口組元直参組長が関係する事業所となると、熊本県担当課が真剣に悩んだのも確か。元暴5年条項の通り、それを承知で区別するつもりはないが、官製事業での元暴参入は認められなかったはずで、工場用地まで1兆2千億円の助成事業と考え、準国策事業と見る側にとっては、官製事業への元暴参入の前例、判例を熊本県は生んだとして事は極めて重大。
最終的に熊本県は「民と民とに任せた(解決)」と、アスク工業を交渉役としたが、先に述べた担当課長の「対岸の火事」にも想定しなかった地元菊陽町に比べて、熊本県が同問題で苦慮したのは事実。
●ただ約7661坪の農地法第三条許可を要する同仮登記地だけでなく、福島知雄町議長絡みの同法第五条の仮登記地約4689坪もそこには存在。仮登記は地元不動産業者の㈱デレクトで、決済の際に『五分五分では不服とゴネた議長』(デレクト)という噂からして、自ら代表を務める「不動産会社・㈲サンケイ地所で何故に動かなかったか」と、そんな疑問の声も地元には浮上。これを素直であるか否かと判断するのは町民で、自由な商取引と弁明しても、また莫大な収益を得て勇退という姿勢に在っても、町民の一部から出ている「政治倫理を問う」も当然な理屈。それは自らの政治姿勢だけでなく、その実行に同町の情報他での関与があったか否かである。
●ところでアスク工業周辺から漏れ出ている「仮登記地は坂本建設の担当エリア」だが、昨年夏にデレクト(福島議長絡み)が仮登記で押さえた第二工場用地の間口(両サイド)について、「肝心な部分を残した坂本建設も不可解」と、今になって「開けて献上」と疑問の声も浮上している。
●何れにしても6月20日、約60606坪の土地所有権がJASM側に移り、同21日には約48億4800万円が決済され、デレクトには約9300万円、農専には約3億8000円が支払われた(金額は複数の関係者による見解)。
●即ち第一工場用地の場合、後藤町政は用地収容に介入して坪約3・2万。だが、第二工場用地は色々な背景から仮登記の問題があったにせよアスク工業、坂本、東築建設の収容で坪約8万円。同特定3社は約18億円の粗利となった訳だが、前編で紹介の『第二は地元に儲けて貰う』の通りであったか否かは、他人任せで冷静な立場を貫いた菊陽町の判断。
●前編で紹介のZ氏の存在があったか否かはともかく、吉本新町政でのアスク工業(坂本、東築建設)の用地収容事業、そこに踏み込んだデレクト、農専の仮登記行為。この二つの仮登記が坂本建設の誘導で行われたか否かはともかく、こうしたプロセスの結果で決済された約48億4800万円。その内、関係者6者だけによって約18億円が坪約2・8倍に農地価格を上昇させられた訳で、無駄という説の裏である。あくまで自由な商取引と同意する側は、この経緯を改めて検証する必要があるというのが無駄説の裏。
●ところでJASMは日台経済文化交流会について、「該当事業では無関係」と答えているが、ちなみに同会は1975年、酒井麻雄横浜市議が創設。また023年7月に肥後銀行は蒲島知事、木村副知事らを迎え日台経済交流会シンポジウムを開いているが、これも日台経済文化交流会とは無関係。
●JASMに対して「半導体材料の75%は海外調達」、「多産多死型の台湾経営」とか色々な見解がある中、国民1人当たりの負担額1万円という1兆2000億円の助成金からの言い分も存在。勿論、そこに土地代が含まれるか否かの相違もあるが、揃って浮上するは前に述べた無駄という批判で、それは即ち、特定一部のバブル。JASMの地元菊陽町に対する「共存共栄」が真に問われるが、農家の町外での農業、事業所ごと町外に引っ越す町民の報道に接して、その原因とは何かとなると6者だけのバブルではなく、それを許した菊陽町、同町自治の対応能力…。


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