熊本レポート

文字の裏に事件あり

さとうベネックの倒産と東京地検特捜部

2012-11-21 | インポート
 九州No2のゼネコンであったさとうベネック(大分市)が、負債総額約44億3000万円で破産。
 同社は9月、民事再生法の適用を申請していたが、これまでの経緯に余りにも不明瞭な点が多いと下請け業者などの債権者が反発し、そこで東京地裁は同手続きを廃止して、破産への移行を決定。
 そんな中、同債権者48社が、老舗ゼネコンをわずか半年間ほどで倒産に追い込んだとし、再建に乗り出していた大川義広氏を「特別背任容疑」で東京地検特捜部に告発。
 同氏は2月、企業再生ファンドから13億円で株式を取得(さとうベネック買収)すると、前代表ら役員を追放し、約16億5800万円をさとうベネックから同氏のダイセンホールディングスに貸し付け、それを買収資金の返済に回した。
 年商も1000億円に回復したとはいえ、16億円の現金をいきなり貸し付けとは、同社の資金繰りが悪化するのは当然だと、これが告発の理由。
 また、この特別背任容疑とは別に債権者35社が、約6億円の損害賠償訴訟も行う予定で、同氏所有の中洲(福岡)辺りのビルでの変動も予想される。


安田公寛市長の指定管理者制度と女性ランナー

2012-11-21 | インポート
 平成15年、小泉内閣は地方自治法の一部改正で「公共施設の管理、運営を営利法人へ代行させる」とした指定管理者制度を施行。
 多くの市町村が財政再建で同制度を活用し、自治体財政のスリム化を図ったが、中には民間委託経営で売上が一気に好転した施設も出た。
 ところが天草市の場合は、例外となった。
 キャンプ場にシーズンのあるのは確かだが、秋口に天草市の同施設へ足を踏み入れた観光客から「バンガローは廃屋かと思うほど荒れ、周辺の草木は伸び放題の山」と、管理費の未払いかとクレームが挙がった(管理費は年度委託費)。
 確かに日曜日でも同地内の飲食施設は休業中で、逆に施設内には又貸しかと思われる別団体事務所が入居。
 また一方、同指定管理者制度を導入した下田温泉街の温泉センターが、朝10時からの営業を正午からのオープンに変更。
「当初、説明会では諸経費負担増による入浴料の値上げ話から始まって、それでは困ると住民からの声で結局、管理者と妥協したのが営業時間の短縮」(住民談)
 サービスの低下はもちろん、企業努力の見られない旧態依然とした親方日の丸の経営で、果たして指定管理者制度の趣旨とは何だったのか。
 同温泉センターの管理者は、同地を地元とする古賀市議会議員の家族が役員で、同議員も理事。
 また同議員は、同温泉街の観光案内と足湯場を管理する「ぷらっと」の代表でもあるが、このぷらっとも指定管理者。
 天草市は同市からの管理費支出について、制度の目的から可能な限り支出を抑えようとする。この場合、古賀氏は議員として、この同市サイドにある。ところが片方の温泉センター及びぷらっと側はどうかというと、人件費他で可能な限り管理費支出増大に期待する。この場合、古賀氏は指定管理者側にある。
 すなわち古賀氏は、法人の取引契約で禁じられた「利益相反行為」(一方の利益は片方の不利益)にあたる立場。
 分かりやすくいえば、該当の自治体から公共事業(工事)を受注する事業所(建設会社)代表と全く同じだ。政治倫理に抵触するという見解は、これは当然。
 これについて天草市担当部長は、
「安田公寛市長が『問題なし』と決めた」
 市長の政治判断だと回答。
「マラソンが好きというか、マラソンランナーの女性が好きだというのか、市長の打ち上げ(主催者)を途中放棄してのプライベート優先には困ったもんだ」
 同市役所のトイレから漏れ出てきた会話だが、地方分権、地方自治体への権利拡大には、やはり無理がある。
 天草マラソンの前に指定管理者制度の趣旨、政治倫理である…。