録画人間の末路 -

人は記録をしながらじゃないと生きていけない

GODZILLA - 神対神

2018-11-10 15:02:32 | 特撮・モンスター映画
※個人ブログゆえに内容に触れています

第二部の「GODZILLA 決戦機動増殖都市」を見てテンションが上がり、楽しみにしていた完結編「GODZILLA 星を喰う者」が9日からついに公開。やはりいてもたってもいられず、ギリギリ間に合うと判断して初日の最終上映に行ってきました。

いや~、夜の回が信じられないほど映画館のロビーは混んでいます。もちろん全員がゴジラを見に来たわけではありませんが、相当数いますね。もうちょっと日数が経過してから見に来ればもっと空いていたのかも知れませんが、それにしても予想を超える混雑ぶりです。もちろんわたしは事前に席とチケットの予約を済ませていますから混んでいようと関係なし。それに、やはりといいますか、皆さん後ろにばかり行きたがりますので、わたしの座る前方(とうとう三部作全部同じ席で鑑賞するという快挙を成し遂げました(笑))に来る人は少なく、今までと大して変わらない環境でじっくりと鑑賞することができました。

三部作の三作目と言えば、当たり前ですが完結編になります。典型的三部作の一つと言えるのが「スター・ウォーズ」。これをテンプレと考えると
第一作目~局地的だが一応の勝利 第二作目~敗北と再出発 第三作~予定調和、あるいは大勝利でのハッピーエンド
となります。なのでわたしが当初「星を喰う者」のストーリーとして予想していたのは

"人類を一度外宇宙へ出し、ウラシマ効果によって地球に長い時間を経過させたのは、ギドラを探し出して地球まで誘導するためと、人類を疲弊させることで異星人エクシスを信頼させ、判断力を奪って生贄とするため。時間をかけてゴジラを最強の状態まで育て上げ、地球人を踏み台にすることでエクシスはかつて先祖を壊滅させたギドラの打倒をゴジラに行わせる計画だった。ついに地球までやってきたギドラはエクシス接触以前にも増した力を持ち、その猛威にさしものゴジラも劣勢。地球人一行は最後の望みをフツアの神の復活に託す。フツアの神の力でゴジラは力を増強、ギドラを倒すが、同時にすべての力を使い果たし、地球に根を張る休眠状態に入る。果たして次の復活は数年後か、それとも数万年後が・・・。人類はその限られた時間の間、地球上に再び居住することを望んだ。"

こんな感じでございました。第一作がファイナルウォーズ、第二作が東京SOSベースだとしたら第三作は怪獣大戦争かVSキングギドラベースという予想だったわけです。結果は・・・それなりに掠ってはいましたが、よく言って当たらずとも遠からず、くらいなものでした。今までは制作側の考えたSF設定にゴジラという存在を放り込んだ、な内容でしたが、今回は終始ファンタジー、精神的な独自の宗教概念のセリフが飛び交う話で、ある意味ハルオやゴジラの活躍は少なめという印象でした。一応科学的解釈で神の存在を肯定するという考え方(主に逆説を利用するようですが)はありますし、怪獣を生物ではなく土地神として解釈する話も過去に少なからずあります。ましてゴジラはその名を示す英単語は発音が狂うことを覚悟のうえで頭に"GOD"の三文字を入れたものですから、宗教的概念がSFや怪獣の描き方と矛盾するということはないです。ですが、その概念に基づく説明セリフが非常に多く、その反面ストーリーはあまり展開しませんし、ゴジラとギドラの戦いも動きの少ないもので、いわゆる怪獣バトルの醍醐味はあまりありませんでした。何よりギドラという存在を別宇宙からの干渉、というこの宇宙の物理法則も時間の概念もすべて捻じ曲げてしまう(あるいはそれすら喰らいつくす)存在として描いたためにゴジラはギドラに触っても触れることができず、ギドラはゴジラに一方的にかみついて攻撃できるという、ちょっと面白みに欠ける描き方(その割に、ゴジラの熱線だけはあえて捻じ曲げてまで接触を嫌がっていたような。当たれば通用したのかも)。セリフだけとはいえ、せっかく決戦地が聖地・富士山麓だというのにそれを活かすことはなかったのです。期待していたフツアの神も声とシルエットが特に意味なく、ファンへのサービス的に出てくるのみでちょっとガッカリ。決着も、一応ギドラは倒したものの、おそらくは現宇宙の物理法則に縛られた本体の一部とそのゲートをつぶしたのみで、完全に滅ぼしたとは言えないものでした。ただ、わたしがあの作中のギドラを推測する限り、現宇宙の"存続"と"成長"を善とする概念とは異なる別宇宙の"一つに戻ろうとする"概念そのもの、宇宙の一部が次元を超えて干渉してきた存在と言え、いくらゴジラでもそれを完全に滅ぼすことは出来ない存在だったように思うのです。何と断言できる知識はありませんが、本作は過去二作とは違い、モチーフを過去のゴジラ作品以外のところから持ってきたような気がします。

最後、ギドラという絶対的神の布教にあらがった人類は、土地神を信じるフツアの民につながる道を選びました。見方によってはこれは宗教戦争でした。そんな中、ただ一人そのどちらでもない神、ゴジラにその身をゆだねたのが主人公のハルオの描き方だったように思います。憎悪という名の敬愛を持って。最後の特攻は旧文明の痕跡をすべて消すため、ともとれる描き方ではありましたが、ハルオの信仰相手は結局ゴジラであったということだったように思えてしまいます。何回か見直せばまた別の考えも出てくるのかも知れませんが、現状ではこんなところです。
それにしても、ギドラも結局は首だけの登場で、終始ゴジラ以外の怪獣を極力名前を出すだけで姿を出さないことに徹したシリーズでした。ゴジラとその亜種以外にはっきりと全身が映った怪獣は、それこそ第一作冒頭のドゴラくらい。「怪獣映画ではなく、ゴジラ映画である」ということを狙ったのでしょうか。


これでしばらくわたし向きの映画はないなぁ。次は半年後くらいかな? フフフ。

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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (まじかるぱす)
2018-11-10 23:31:02
割と楽しめたのは楽しめたのだけど、もひとつ消化不良な感じが残る作品でした。
「目」を失ったギドラがゴジラに捕らわれてしまうというのはどう考えても逆で、ギドラはこの宇宙に干渉できなくなってしまうのが本当だと思うし。
ハルオが(機械文明を道連れに)死んでお終いというのも無責任な作り方だなという感じ。生き残った博士たちのその後が何も描かれてない。それ以前にハルオの出撃の時点で物語からさっぱり忘れ去られてるというのは……。
まあ、従来の東宝怪獣に何の拘りもない造り手による斬新な解釈のギドラというのは面白かったですけど。
しかし、これ見たら、来年のレジェンダリー版がとても古臭く感じてしまいそうな不安が……
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Unknown (krmmk3)
2018-11-11 01:14:08
>まじかるぱすさん
確かに、本来ならば中継車を失った時点で消滅するほうが納得がいきますね。若干構成の練り込みが足りなかった印象を受けます。
一応ラストの子供たちに入れ墨のような模様がなく、地球人との混血を思わせるところが一応のフォローなんだと思います。
逆にその、今の日本人クリエイターだと古く感じて避けそうな設定を堂々とやってくれるところを期待してます。
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いいなぁ〜 (ドラピー)
2018-11-13 14:23:32
こんにちは。
色々と忙しく(まぁ、若おかみやバーフバリばかり観ていて)て、未だ観に行けてないんですが、ついつい気になって記事を読んじゃいました。

これは増々観ないわけには行かないですね!
余計に気になって仕方ないです。

予告で既に心理・精神・宗教的世界?な話になりそうな予感はしていたし、そもそもこのシリーズには怪獣バトルは期待していないので、きっと私は落胆せずに観れると思います。

1, 2と観てきて、ギドラの存在を匂わせて終わったので、広げた風呂敷をどのように回収するのか、に専らの感心があります(笑)

今週末こそは観るぞぉ!
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Unknown (krmmk3)
2018-11-15 01:57:14
>ドラピーさん
ぜひ見に行って、完結の様子を目に焼き付けてください。難しいセリフはあえて理解せずに感じるままに行きましょう。考えるな、感じるんだ。
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Unknown (Beep)
2018-11-19 02:10:15
遅ればせながら見に行きました。
なんか怪獣映画というより哲学的な何かみたい。(宗教は太陽の法https://happy-science.jp/movie/にでも任せましょうw)
ビルサルドによるメカゴジラ・シティの攻撃失敗にもエクシフが批判も何も無かったのはビルサルドもゲマトロン演算により
手のひらの上で猿回しされていたような物ですね。
フツアノの神も曖昧なままで終わってしまったので消化不良感は残りますね。

次は
https://theriver.jp/godzilla2-done/
https://www.youtube.com/watch?v=LQ0CUZ7zYhc
ですかね。

P.S.
スタン・リー氏が亡くなられました。ご冥福をお祈りいたします。
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Unknown (krmmk3)
2018-11-20 01:21:38
>Beepさん
ある意味一番かわいそうなのはビルサルドだったかもしれないですね。彼らだえは純粋に地球人を助けるつもりだったのかも。
後で考える分にはいい作りとも言えますが、前作の流れからくるとやはり不満は残ります。
次は半年後が。今のわたしの環境から半年後ってかなり長いです。こっちは肉弾戦を期待。
スタン・リー氏、亡くなっていましたね。長い間伝説を作り上げた、もう一人の漫画の神様と言える人だったように思います。
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先週末やっと・・・ (ドラピー)
2018-12-10 18:00:34
先週末にやっと観れました。

本作ではゴジラの存在は「調和・調停役」なんですね。
めっちゃ宗教的(あるいは哲学的)なお話過ぎて、ほとんどの人はポカーンってなっちゃいます。
決して娯楽作品・・・とは言えません(笑)

確かにこの内容だと意見が真っ二つに分かれそうです(笑)
ちなみに私は楽しめました。多くの謎が未回収のままですが、そんなのリアルでもママあることですし。
(なんでゴジラなのか・・・とか。モスラは一体なんやねん、とか。)

レビューでよく見るハルオの特攻も、ちゃんと意味が描かれてましたし(その是非は別にして)、おかしな点はギドラの最初の無双っぷりですね。
「他の次元の宇宙から来るとこっちの次元の法則が通用しないのに、なんであちらからこちらへは干渉出来るねん。そもそも次元違うのになんで肉眼で視認できるねん。」とか色々突っ込みたい気持ちはありましたけど、SFですからね。野暮ってもんです(笑)

ちゃんと「命は繋がった」し、人間の愚かさ、浅はかさは異星人も共通というところも面白かったし、昔からSF界隈で唱えられてきた数々の問題点の焼き直しであったとしても、うん、これはこれでありだなと思いました。

大甘で80/100点。(減点理由:特攻の描き方がちょっとあっさり過ぎ。モスラの謎。その他未回収の謎。)
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Unknown (krmmk3)
2018-12-10 23:58:28
>ドラピーさん
第一・二部の絶対王者とはゴジラの扱いが明らかに違いますね。最初から狙っていたんでしょうが、ちと物足りなう感じてしまいます。
一方的な攻撃はSFというよりファンタジーによくある流れという印象です。今回モチーフがゴジラ外からかなぁと感じたのはそのせいですが、素直に怪獣バトルやってほしかった。
未回収の謎は「同時発売の小説で補完してね」なのかも。だとすると将来ビデオで見る人が困るよなぁ。
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