録画人間の末路 -

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そこに"友"は居なかった・・・。「人類危機一髪 巨大怪鳥の爪 カラー版」

2024-06-08 10:37:20 | 特撮・モンスター映画
少し前から当ブログで昔書いたB級映画「キラークラウン」の記事へのアクセスが結構あります。なんでなんだろうと思ってましたら、この映画を原作としたゲームが発売されていたんですね。


Switchは無しでXbox Seriesがある点が如何にも非日本向けです。わたしはゲーマーではないので買うつもりはないですが、興味のある方お試しあれ。
「キラークラウン」は公開当時は全く人気がなく、すぐに上映終了になってしまったのにのちにカルト人気を得た作品です。それがついにここまで来ましたか。あちらでカルト化するとすごいなぁ。日本では過去に酷評された作品がカルト化して人気に・・・と言う展開は結局古い価値観を嘲笑う対象になるだけなのでここまでくることないですからね。

わたしはゲームより映画そのものを好みます。そうしたカルト路線を組んだと思われるDVDが発売されました。「人類危機一髪 巨大怪鳥の爪 カラー版」(以下「カラー版」と呼称)です。
 
以前発売された「人類危機一髪!巨大怪鳥の爪」(以下「旧版」)をカラーライズ化したもののようです。アマゾンのリンクだと"!"がついてますがパッケージの方にはついてないですね。いや、誰がこの作品をカラーライズ化しようと考えますか。「プラン9 フロム アウタースペース」みたいに他の映画に取り上げられて知名度を上げた作品とかならまだ理解できますが、本作は一部マニアに造形が知られるくらい、それも出来がいいとはとても言えない怪物の姿を嘲笑う意味で知っている人が少しいる程度の知名度しかありません。これをわざわざ・・・。ただ、わたしは知らなかったのですが本作の怪鳥が"ラ・カルカーニュ"(登場人物の一人だけ"カルカーニュ"と呼んでいる。語源は知らない)の名でMUGENという格闘ゲーム用エンジン用キャラとして開発されたことがあるらしいので、好きな人はきっと好きなんでしょう。どこの誰がカラー化してソフトにしようと思ったのか気になりますが、その意気を受けようじゃありませんか。なにより以前の旧版はVHSからダビングしたと思われるひどい画質でしたから大いに期待します。パッケージの絵も新作ですしね。本編登場の怪鳥と似てないのは気がかりですが。

・・・。あれ? 画面が4対3です。全体的に画面が滲んでます。着色が「プラン9 フロム アウタースペース」はもちろん「ウルトラQ」みたいに丁寧でないのは仕方ないのですが、何かデジタルに伴って発生したものとは思えないノイズだらけ。決定的なのは51分56秒に入っている露骨なアナログノイズ。これ、旧版にも全く同じノイズがあるんです。つまり、カラー版は旧版にただ色を塗っただけのシロモノでしかなかったのです。

ガッカリ。

気が抜けました。原題「THE GIANT CRAW」のもっと状態の良い素材は存在するんですよ。画角も4対3ではなく横長のものが。てっきりそれを使って作り直したものだとばかり思っていたのに。本作の発売、以前のRUNコーポレーションではなく、販売シービー株式会社・製作コロメディアとなってますが、ひょっとして名前変えた同じところ? RUNコーポレーション、たびたびトラブル起こしてたしなぁ。そう思ってみるとパッケージ裏の解説文も穴埋めがストーリーの説明が加えられたこと以外は全く同じ文章です。カラーライズと言っても多分AI使ってフルオートでやらせたんでしょう。パッケージもAI使って書かせたってところですかね、似てないし。
わたしは「THE GIANT CRAW」を海外製怪獣映画の中でも良作として高く評価してるんですよ。造形は良くないし緻密な特撮でもないですよ。ですがわたしの知る限り初の宇宙怪獣であり、ちゃんとSF作品しているんです。おそらく「空の大怪獣ラドン」をたたき台にして膨らませた描写は、日本の特撮作品で鳥のような飛行怪獣、それも一般的に良作扱いされる作品の多くが「THE GIANT CRAW」からアイディアをいただいたんじゃないかと思われるくらい時代を先どった映画となっています。だからこそ日本語字幕付きで見やすい形で少しでも画質のいいものが欲しかったんですが、またしても期待は裏切られました。てっきり"変態"と書いて"友"と呼びたくなるような人が企画開発したものと思っていたのですが、もっと安直に作ってしまったみたいです。一応の良心があったのか、旧版映像の最下部にあったスイッチングノイズは削られてましたし日本語字幕も作り直していましたが、褒められるのはそれだけ。

同社はこの後も「クロノス」「大怪獣出現」のカラー版DVDを出すそうですが、まぁ期待をしちゃいけないな。見ないで文句を言うのもアレだし注文もしてあるのでこのまま買いますが、やはりオリジナルはオリジナルのままで楽しむ方がいいのだとつくづく思いますね。
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