姉T「ウチは毎月の電気代が結構かかっているんだぞ!」
krmmk3「何に電気代使っているんだよ」
姉「やっぱり乾燥機代だな。洗濯物を浴室の乾燥機で乾かすから、かなりの電気代がかかるのだ」
k「乾燥だけコインランドリーでやれば? 大体少ししか洗濯物がない時でも浴室乾燥機を毎日使うから金がかかるんだろう」
姉「乾燥だけコインランドリーなんて、貧乏くさいじゃないか! 近所のおば様方にどんな噂をたてられるかわからないこのご時世に」
k「じゃ、普通に干せば?」
姉「干すだけだと乾くのに時間がかかるし、これからは部屋干しが多くなるからにおうんだよねぇ。あ、あのCMのにおわない洗剤使おうか。"ママの腋毛もにおわなぁい♪"ってやつ」
k「・・・・・・・・・わたくし推測いたしますに、そのCMソングは"生乾きでもにおわなぁい♪"と歌っているのではないでしょうか」
相変わらず上京の際は万年空耳人間、姉Tのマンションに宿泊させてもらっている。奥の部屋はほとんどわたしの宿泊専門室状態だ。で、その姉Tの家の電子レンジがついに寿命を迎えた。そもそもの故障の発端は昨年だか一昨年だか細かいことは忘れたが、姉Tがフラインドチキンを再加熱しようとして電子レンジに"手持ち部分のアルミホイルをつけたままで"放り込んだことにある。当然中で電磁波が反射し、聞くも恐ろしい事態となってしまった。にも関わらず、姉Tはさっさと止めればいいものを「どうしよ、どうしよ」とあわてふためくだけで設定時間が終了するまで触らず、結果中が真っ黒になってしまった。そんなレンジを「まだ動く」としつこく使いつづけていたのが、ついに限界を迎えてしまったらしい。よくもまぁ動きつづけたものだ。で、さっさと買ってくればいいものを、わたしが来るから、ということで「その時に選んでもらおう」と放っておいたそうな。選んでもらう、と言えば聞こえはいいが、もし万が一にもお気に召さないものだったりしようものなら、一体どんなメに合わされるかわかったもんじゃない。とはいえ、自分ひとりだとなんだかんだ理屈をつけて何も買わないのが姉Tという人種である。しょうがないので今日の秋葉原探索に連れて行くことにした。ただ、今の秋葉原って、家電品を扱う店はもう何軒も残っていなかったような・・・。まぁいいか、最悪ヨドバシカメラで買えばいい。
そういや、秋葉原というか、東京都千代田区は路上喫煙禁止地区だったっけ。ここが最初だったかどうかは知らないけど、千代田区、実質的に秋葉原が禁止したことで全国に路上喫煙禁止の条例が次々と出来て言ったっけ。わたしは全く喫煙しないので本来言う立場ではないが、以前秋葉原で路上喫煙者のタバコの先が手に当たってヤケド~と、言っても手の甲が少し赤くなって体毛がコゲた程度~したことがあるので、良いことだと思っている。なんでこんな話持ち出したかというと、地元でも最近始まったんだよねぇ、路上喫煙禁止条例。ただ、モデル地区として一部の繁華街のみを対象としたため、その繁華街入り口となっている十字路が投げ捨てられたタバコの吸殻だらけになってしまっているのだ。「禁止区域でだけ、吸わなければいいんだろ」という勝手な考えが手にとるように分かるが、だからといって吸殻を路上に投げ捨てることに正当性などカケラもない。むしろこういう風に投げ捨てるから、さらにタバコ吸いの立場が悪くなっていることに気がつかないのだろうか。
で、秋葉原だけど、条例施行前よりは少ないものの、施行直後と比べると、投げ捨てられた吸殻、ずいぶん目立つようになっている。タバコが吸いたい、というのならともかくなぜこうまで吸殻を路上に投げ捨てなければならないのかが理解できない。吸殻の始末が出来ないところでは条例に関係なく吸うべきではないと思う。
さて、喫煙問題はこのくらいにしておいて、姉Tの電子レンジだ。やっぱり気が付いてみると家電品を扱う店は本当に少なくなっているので、もうまっすぐヨドバシカメラに向かうことにする。ねらいは、可能な限り機能の無いレンジだ。最近のは機能がアップしてセンサーで自動的に再加熱の時間調整をしてくれたりするのだが、姉Tはこれがダメだ。機械の自動調整の熱さが気に入らなければ「つめたい!」とわめきだすだろうし、10秒単位でボタンを押して時間調整する機能も大抵あるが、「それで間違いなく時間延長できる? 実はそれでも一定以上熱くならないように機械が勝手に止めたりしない? それに責任とれる?」とか言うので、そこまで言われるのなら最初から何の機能もないシンプルモデルしか対象に入れない方が得である。ただ、どのメーカーも主流は多機能型。ヨドバシカメラ内も探しに探してやっと四機種だけ展示してあるのを見つけた。姉Tが以前から目をつけていたのはシャープのものだが、お値段13800円。
姉「高い~。新宿のヨドバシでは8980円だったぞ~。」
k「確かに高いなぁ。隣のパナの温度調整が利くやつと同じ値段じゃん」
姉「なに? 秋葉原って実は高いわけ?」
k「それはあるかも知れないが、それにしても本当に新宿がその値段なら高すぎるなぁ。他の店も覗いてみようか。」
で、価格調査。
A店:9980円 B店:9240円
姉「ほら、秋葉原のヨドバシだけ格段に高いわけじゃん。でも、新宿まで行く電車賃を考えたらB店で買ったほうが手っ取り早いかも」
・・・背中を冷たいものが走った。これはマズイ。「最初から新宿へ行っておけばもっと安く買えたのに!」と後でブチ切れを起こされかねない。わたしは考えた。
k「そうだ、値切ろう!」
姉「値切れるの?」
k「他の店ならともかく、同じヨドバシとの比較なら向こうも応じないわけにはいかないだろ? 同じ値段にしてくれるかも」
姉Tはとにかく「自分は何も苦労しなくても安くなる」という現象を何よりも優先する。同じ道を往復する苦労もいとわず、再びヨドバシカメラへ。今度は迷わず単機能レンジのコーナーへ。
・・・ん? 少々違和感が・・・。
姉「うーん、ここだけやっぱり高い。考えたら値切って当然だわ」
k「・・・いや、この値段はともかくさっきの店より高いのは当然だわ」
姉「? なんでやねん」
k「確かに見た目ほとんど区別つかないけど、別物だわ。ここの店だけが
700Wのハイパワーモデルで、さっきのAB両店のは
500Wの低価格モデル。多分新宿ヨドの8980円も500Wだろ」
姉「あ、そういうこと。それなら分からなくも無い」
k「なら、このシャープはないな。同じ値段のパナの方が750Wで出力高いし、解凍とか冷凍食品にも対応できる。こっちが得でしょ」
姉「でも、なんとなくシャープが好きなんだよなぁ」
k「考えても見ろ、このレンジは"パナソニック"と書いてあるんだぞ。間違いなく先日作ったばかりの新しいモデルじゃないか。他のは在庫の売れ残りかも知れないじゃないか」
姉「なるほど!」
妙に説得力があったらしくて即決。店員を捕まえて手続きをとる。が、姉Tの本領発揮はここからだった。
店「で、配送料がですね」
姉「新宿店は1万円以上だと配送料タダにするって言ったよ。当然ここでもタダでしょ」
店「・・・わかりました。負けましょう。じゃぁ設置はお客様の方でやってくださるように」
姉「それくらいやってよ。どこでも設置くらいサービスの範囲でしょうに」
店「・・・・・・はい、設置までやってもらいます。ですが、アース線の接続だけは、別料金がかかりますので」
姉「えええええええ
えええええええええええええええええええ!?」
ああ、文字だけでこの話し方を表現するのは難しい。そう、あなたが聞くともっとも不快になると思われる、ひねりまくった「えええええええええ」を想像してもらいたい。それを二倍くらいにパワーアップさせたものがこの時の姉Tの「えええ」だ。一瞬で対応していた店員の顔がゆがんだ。普段ならば客商売。絶対に許されない行為だが、この時だけは例外、仕方の無いことだ。姉Tに耐性のあるわたしですら気分が悪くなったのだから。
姉「お金なんて払いたくない!(こっちを向いて)あんたやってよ!」
k「いやだよ。あれは危険なんだ。お金払いたくないなら、別に最近の製品ならアース線つながなければダメ、ってことないからつながなければいいだろ」
言って後で言わなきゃよかったと思ったが、この時はそういうしかなかった。
なお、この店員、あまり慣れていないのか、それとも姉Tにサービスしたくなかったのか、この後データの入力に異常に時間がかかった。わたしにもまともとは思えないほど。かなり待たされ、ようやく一度レシートらしきものが目の前に出てきて
店「送り先はこちらで間違いないでしょうか? 確認してください」
で、姉T。そのレシートをジーっと見てなかなか答えない。住所の確認なんて普通一瞬で終わるものなのだが、一分たっても目を離そうとしない。
k「おい、まだかよ。住所確認だけだろ?」
姉「だって、ちゃんとこっちが指定したものが間違いなく入力されているかどうか、確認しないとダメだろ。間違って安いもの送ってこられるかも知れないし」
うわ、店員の前で言うか、そういうこと。さすがに店員不機嫌さを隠し切れず
店「当店はパナの単機能電子レンジは一種類しかおいていませんから、間違うなんてありえませんよ!」
と突っ込んできた。わたしも店員に同情、フォローを入れる。
k「確認ったって、別に型番を正確に覚えているわけでもないだろ。住所だけ確認すれば十分だって」
なおも渋る姉Tをようやく説得し、買い物を終えた。全部で約2時間。ずいぶんかかったような気もするし、案外早く終わったような気もする。なんだかんだ言って買い物を終えた姉Tは一人でさっさと帰っていった。ようやく開放されたわたしは、今度こそ自分の買い物を、心行くまで楽しもうと秋葉原の街へ消えていった。