私的海潮音 英米詩訳選

数年ぶりにブログを再開いたします。主に英詩翻訳、ときどき雑感など。

蓮を喰うものたち 165~167行目

2011-08-10 18:39:20 | 英詩・訳の途中経過
The Lotos-Eaters Alfred Tennyson

[ll.165-167]

Chanted from an ill-used race of men that cleave the soil,
Sow the seed, and reap the harvest with endurung toil,
Storing yearly little dues of wheat, and wine and oil;



蓮を喰うものたち アルフレッド・テニスン

[165-167行目]

声をそろえてその唄を うたうは虐げられたもの 土をたがやし
種をまき 労してわずかな実りえて
麦もあぶらもぶとう酒も 年ごとえてはついやして



 ※まことにギリシア的な厭世観。松平千秋訳『オデュッセイア』(岩波)上巻153頁の訳注によれば「刻苦して生計を立てる」は人間の枕詞なのだそうです。
  「本義は実のところ明らかではない」との但し書きつきですが。この松平氏の訳注が私は大変好きです。「……エポロス(前四世紀の史家?)は褒めているらしい。しかしエポロスの褒めた理由を記した原文の意味が、訳者にはよく判らない」などと率直に記してあるあたり、注なのに妙に笑える。……どうもこのごろ雑文が長いな。つぎの訳は何にしたものか。

蓮を喰うものたち 162-164行目

2011-08-08 17:37:47 | 英詩・訳の途中経過
The Lotos-Eaters Alfred Tennyson

[ll.162-164]

But they smile, they find a music centred in a doleful song
Steaming up, a lamentation and an ancient tale of wrong,
Like a tale of little meaning thro' the words are strong;



蓮を喰うものたち アルフレッド・テニスン

[162-164行目]

笑まうものらは たちのぼる かなしびの唄の
ただなかに 嘆きと旧いあやまちの昔語りのただなかに 妙なるしらべを
聴きいだす ことばでわずかのおもむきの 増すのを見出すかのように



 ※神々の態度としては間違っちゃいないのでしょうが、『一分で泣ける感動話百話』とか、なにかその手の流行り本を思い浮かべてしまった。われわれは「泣ける実話」が大好きらしい。だからすぐ商品になってしまう。理由は言いにくいが今少し世間に腹を立てています。(たいていいつも立てているのですが)。私のせっせと書き送る虚構はなぜ商品価値を認めてもらえないのか。……理由はすでに打ち明けていますね。いいんだ気長にやるから。しかし明日の糧が心もとない。


蓮を喰うものたち 159~161行目

2011-08-05 14:37:50 | 英詩・訳の途中経過
The Lotos-Eaters Alfred Tennyson

[ll.159-161]

Where they smile in secret, looking over wasted lands,
Blihght and famine, plague and earthquake, roaring deeps and fiery sands,
Clanging fights, and flaming towns, and sinking ships, and praying hands.


蓮を喰うものたち アルフレッド・テニスン

[159-161行目]

かれらは笑むのだ ひそやかに 荒れるこの世を見おろして
木枯れと飢えと疫病と 揺らぐ大地と大波と 焼けつく砂地と
いくさばと 燃える都としずみゆく船といのりを見おろして


 ※earthquake, roaring deeps。160行目があまりにも今につきづきしい…。いやしかし神は恨まずよく祀ろう。永い永い目でみたらきっと小さな変事なのだ。私は秋までにかならず鹿島神宮へ行くぞ。先だっての台風の週に宿をキャンセルしたのです。自然災害の多いところは山河が美しい。脈絡がなくなってきたので以上。(自然災害で苦労なさっている方、ご不快に思われたらすみません)。


蓮を喰うものたち 156-158行目

2011-08-03 20:00:24 | 英詩・訳の途中経過
The Lotos-Eaters Alfred Tennyson

[ll.156-158]

For they lie beside their nectar, and the bolts are hurl'd
far below them in the valleys, and the clouds are lightly curl'd
Round their golden houses, girdled with gleaming world;




蓮を喰うものたち アルフレッド・テニスン

[1556-158行目]

かたえに天の美酒をおき はるかひくくの谷間へと
いかづち投げるものどもの かろがろと 雲のとばりにかくされた
こがねの館をとりまいて 煌めくそらのあるゆえに


 ※語順はしっちゃかめっちゃかです。

蓮を喰うものたち 153~155行目

2011-08-01 17:53:51 | 英詩・訳の途中経過
The Lotos-Eaters Alfred Tennyson

[ll.153-155]

Let us swear an oath, and keep it with an equal mind,
In the hollow Lotos-land to live and lie reclined
On the hills like Gods together, careless of mankind.



蓮を喰うものたち アルフレッド・テニスン

[150-152行目]

ちかいをさせよ われわれに そして乱れずたもたせよ
うつろのはすのひらく地に 生きてこの身をよこたえて
丘辺につどう神々のごとく浮世のうれい捨て