私的海潮音 英米詩訳選

数年ぶりにブログを再開いたします。主に英詩翻訳、ときどき雑感など。

レダと白鳥 二連目

2011-08-22 08:02:47 | 英詩・訳の途中経過
Leda and the Swan W. B. Yeats

How can those terrified vague fingers push
The feathered glory from her loosening thighs?
And how can body, laid in that white rush,
But feel the strange heart beating where it lies?


レダと白鳥    W・B・イェイツ

ちからなくふるへるゆびのなぜ
やはらかな羽毛におほはれた誉れをおしのけられやう ほころびかけたももから
ましろいせめにおそはれた うつし身になにができやう
ききしらぬこころの脈打ちを感じとるほか


 
 ※最後の一行の訳がしっくりこない。「感じる」と近い意味でもう少し古雅な表現がないものか。

レダと白鳥 一連目

2011-08-19 18:22:32 | 英詩・訳の途中経過
Leda and the Swan  W. B. Yeats

A sudden blow: the great wings beating still
Above the staggering girl, her thighs caressed
By the dark webs, her nape caught in his bill,
He holds her helpless breast upon his breast.


レダと白鳥   W・B・イェイツ

ふいのひとふきのあとにも おほひなるつばさはうちつづけてゐた
たぢろくむすめのまうへで ふとももをかぐろい
みづかきのなで くちばしはうなじをとらへて
のがれえぬむすめのむねはだかれる おほひなるみむねのしたに



 ※四連構成の一連目。題材はご存知ギリシア神話、ゼウスの化身の白鳥に襲われる美女レダです。
  気が付くと一連はすべてひらがなになってしまった。
  


年経て智慧の来たると

2011-08-17 12:05:28 | W・B・イェイツ
The Coming of wisdom with Time W. B. Yeats

Though leaves are many, the root is one;
Throught all the lying days of my youth
I swayed my leaves and flowers in the sun;
Now I may wither into the truth.


年経て智慧の来たると    W・B・イェイツ

しげる葉は数多なれども幹ひとつ
いつはりのあをいまひるのつづくまま
葉むらしげらせはなさかす
おれは枯れるかさとりへと


 ※三十一文字でどうにかと思ったものの断念。17×2+12×2=58文字になりました。

蓮を喰うものたち 171~最終行

2011-08-14 16:52:40 | 英詩・訳の途中経過
The Lotos-Eaters Alfred Tennyson

[ll.171-173]

Surely, surely, slumber is more sweet than toil, the shore
Than labor in the deep mid ocean, wind and wave and oar;
O, rest ye, brother mariners, we will not wander more.




蓮を喰うものたち アルフレッド・テニスン

[171-173行目]

しかりまさしくまどろみは 骨折りよりも甘いもの 岸は
労より望ましい 海のさなかの波風と櫂の労より望ましい
ああだから やすめよ海のはらからよ われらみな もはやさまようことはない 




※とうとう終わってしまった。確かめたところ今年の二月五日からやっておりました。延べ半年間! われながら吃驚です。そして実に希望のない終わり方でした。立つんだオデュッセウス、故郷で妻子が泣いている。

 つぎは三回ほどイェイツの短いの。そのつぎは思案中です。牛歩の歩みのテニスン最後まで読んでくださった方、いらしたら有難うございました。
 

蓮を喰うものたち 168~170行目

2011-08-12 18:02:11 | 英詩・訳の途中経過
The Lotos-Eaters Alfred Tennyson

[ll.168-170]

Till they perish and they suffer―some, 'tis whisper'd―down into hell
Suffer endless anguish, others in Elysian valleys dwell,
Resting weary limbs at last on beds of asphodel.



蓮を喰うものたち アルフレッド・テニスン

[168-170行目]

いくさばで 息の緒たえて 地の底へ
くだり果てない苦しみをうけるか 苑の谷間へと
めされ疲れた手と足を 彼岸の花のしとねへと なげる休みののこるのみ