私的海潮音 英米詩訳選

数年ぶりにブログを再開いたします。主に英詩翻訳、ときどき雑感など。

頌歌 ―不死なる幼きころに 第十連②

2014-03-22 15:29:02 | 英詩・訳の途中経過
Ode:
Intimations of Immortality from Recollections of Early Childhood

William Wordsworth

William Wordsworth

X [ll.176-187]

What though the radience which was once so bright
Be now for ever taken from my sight,
Though nothing can bring back the hour
Of splendour in the grass, of glory in the flower;
We will grieve not, rather finde
Strength in what remains behind;
In the primal sympathy
Which having been must ever be;
In the soothing thoughts that spring
OUt of human suffering;
In the faith that looks through death;
In years that bring the philosophic mind.


頌歌 ―不死なる幼きころに

ウィリアム・ワーズワース

X[176-187行目]

嘗てあれほど照り映えた
ひかりが今や目見をさり
花の盛りと青草のかがやくときを
だれであれ 呼び戻しがたくあろうとも
吾らは嘆きにしずむより
視えぬなにかに残された 力づよさを見出そう
在りつづけるにちがいない
はじめの心の共鳴りと
ひとらしい 苦しみ受けて湧き出でる
こころやすさと
死を見つむ 曲がりのなさと
哲人の心もたらす年日とで



 ※またも久々の更新。十連目はこれで終了&ようやく最終連にかかります。177行目「目見」は「まみ」、183行目「共鳴り」は「ともなり」とお読みください。






頌歌 ―不死なる幼きころに 第十連①

2014-03-10 11:37:33 | 英詩・訳の途中経過
Ode:
Intimations of Immortality from Recollections of Early Childhood

William Wordsworth

X [ll.169-175]
 
Then sing, ye Birds, sing, sing a joyous song!
And let the young lambs bound
As to the tabor's sound!
We in thought will join your throng,
Ye that pipe and ye that play,
Ye that through your hearts to-day
Feel the gladness of the May!



頌歌 ―不死なる幼きころに

ウィリアム・ワーズワース

X[169-175行目]

唄えや唄え鳥たちよ 唄えひとつの悦びを
若いひつじをこつづみの
音に合わせて跳ねさせろ
吾らは想いのうちでこそ あなたの群につらなろう
笛ふきならし 戯れて
心のままにこの春の
よろこび享ける汝らに

  
 ※じつに二週間ぶりの更新。176行目以降で少々行き詰っております。言葉遣いや内容など、単純かつ純粋に力強い感じに訳したいのですが……私の繊弱なセンスではなかなか難しいようです。
 ところでこの十連目は三連目冒頭のリフレインのようです。また、拙訳の冒頭「唄えやうたえ~」は謡曲の江口から。↓


  謡へや謡へ泡沫のあはれ昔の戀しさを 
  今も遊女乃舟遊 世を渡る一節を謡ひていざや遊ばん

 この手のものはとくに詳しいわけではないのですが、この一節だけは妙に耳に残っていました。やはり七五は強い。