私的海潮音 英米詩訳選

数年ぶりにブログを再開いたします。主に英詩翻訳、ときどき雑感など。

林檎つみのあとに 7~8行目

2014-12-20 23:25:28 | 英詩・訳の途中経過
After Apple-Picking

       Robert Frost

Essence of winter sleep is on the night,
The scent of apples: I am drowsing off.



林檎つみのあとに

       ロバート・フロスト

冬の眠りを凝らせて夜にやどった
林檎の香 おれはまどろみかけている



 ※8行目の訳は、じつはまだ迷っています。日本語での一人称はできるかぎり用いたくないのです…



林檎つみのあとに 1~5行目

2014-12-13 18:09:31 | 英詩・訳の途中経過
After Apple-Picking

Robert Frost

My long tow-pointed ladder’s sticking through a tree
Toward heaven still,
And there's a barrel that I didin't fill
Beside it, and there may be tow or three
Apples I didin't pick upon some bought.
But I am done with apple-picking now.


林檎つみのあとに

       ロバート・フロスト

ながほそい ふたつのとがった梯子の先は樹を貫き
天を向いたまま
かたえの樽はみちきらず
ふたつみっつの摘まぬ実が
枝にのこっていようけど
これで摘むのはおしまいだ



 ※またロバート・フロストを試みてみます。私には珍しくアメリカの詩人…と、思いかけましたが、よく考えたらT・S・エリオットはアメリカ人でした。
しかし、これはこの先手を焼きそうです。散文調は何よりむずかしい…。〔1行目「貫き」は「ヌき」とお読みください。完全な散文詩は私の手にはあまるため、基本は7・5の変形でいきます。)


砂州をこえて〔全文:再編集)

2014-12-13 17:56:06 | A・テニスン 
              砂州をこえて

            アルフレッド・テニスン

         
            日がおち夕の星がでて
            冴えたひとつの声がよぶ
            砂州にうめきのないことを
            海へ漕ぎだすそのときは

            けれども潮〔シオ〕はねむたげに
            なりあわだつにはあまりにも みちたりすぎているといい
            果てぬ淵からきたものが
            もとへともどるそのときは

            たそがれ夕の鐘がなり
            あとには闇があるばかり
            去るに嘆きのないことを
            ついに旅立つそのときは

            有為〔ウイ〕のさかいの彼方〔アナタ〕から
            あふれる水にながされて はるかにさかりゆくにせよ
            ねがわくば みちびくかたとあいみたい
            砂州をこえきるそのときは



            Crossing the Bar

            Alfred Tennyson

          Sunset and evening star,
          And one clear call for me!
           And may there be no moaning of the bar,
          When I put out to sea.

           But such a tide as moving seems asleep,
           Too full for sound and foam,
           When that which drew from out the boundless deep
           Turn again hom.

          Twilight and evening bell,
          And after that the dark!
          And may there be no sadness of farewell,
          When I embark;

          For tho' from out our bourne of Time and place
          The flood may bear me far,
          I hope to see my Pilot face to face
          When I have crost the bar.


       2014年11月15日~12月5日

砂州をこえて 最終連

2014-12-05 23:59:42 | 英詩・訳の途中経過
Crossing the Bar

        Alfred Tennyson

For tho' from out our bourne of Time and place
The flood may bear me far,
I hope to see my Pilot face to face
When I have crost the bar.


砂州をこえて

      アルフレッド・テニスン

有為のさかいの彼方から
あふれる水にながされて はるかにさかりゆくにせよ
ねがわくば みちびくかたとあいみたい
砂州をこえきるそのときは




 ※ようやく最終連に至りました。1行目「有為」は「ウイ」とお読みください。ちなみに意味は↓

   有為〔仏〕
   さまざまの因縁によって生じた現象、またその存在。
   絶えず消滅して無常なことを特色とする(『広辞苑』)

   …だそうです。Time and Placeの訳として強引にひねりだしました。そして、同じく1行目「彼方」は「アナタ」とお読みください。これは、じつはまだ漢字にするかひらがなにするか迷っております。さらに、2行目の「はるかに/ゆくに」の二重の「に」がやや気に食わないため、もしかしたら再編集がてら修正するかもしれません。