私的海潮音 英米詩訳選

数年ぶりにブログを再開いたします。主に英詩翻訳、ときどき雑感など。

レダと白鳥 最終連

2011-08-26 19:45:28 | 英詩・訳の途中経過
Leda and the Swan W. B. Yeats


Being so caught up,
So mastered by the brute blood of the air,
Did she put on his knowledge with his power
Before the indifferent beak could let her drop?


レダと白鳥   W・B・イェイツ

         かうしてとらへられて
そらをゆくけものの血にうしはかれて
むすめは知つただらうか ちからによつて
なさけをしらぬくちばしにときはなたれるまへに


  ※終了。つぎはイェイツの少し長めのにします。本当はイニスフリーをやりたいのですが、あれはうら若き高校生のころに読んだ尾島正太郎訳がこびりついていまして、出だしが「いざ立ちて行かばやな」しか思いつけないのです。エリオットの荒地と同じ葛藤ですね。嗚呼西脇順三郎訳。もういっそミルトンあたりにするかな……。失楽園は不倫小説ではないと世に知らしめるのです。一文の得にもならなかろうと有意義な挑戦ではないか。


  ※訳がごそっと一行抜けていました。「So mastered by the brute blood of the air」の部分を8月27日追加。ついでにその前の行「かくもとらへられて」→「かうしてとらへられて」に変更。