手話通訳者のブログ

田舎の登録手話通訳者のブログです。

手話通訳士は国家資格か?

2016-02-24 06:27:58 | 手話
手話世界の外の人(手話に関わったことがない人)から、
「手話通訳士って、国家資格ですよね?」
と聞かれた場合、「そのとおりです」と答えている。

こういう場面を主流派手話通訳者に見られると、
「たいしさん、何言ってるんですか! まったく! ちゃんと勉強しなさいよ!!」
と叱られる。


「外」の人は詳しい解説を聞きたがっているわけではない。
だから、上記の答えでいいと思っている。
手話通訳士について本気で学びたいと思っているなら、いくらでも学べる。
PCやスマホを使える人なら、ちょっと検索すればある程度の情報は得られるのだから。
初対面での挨拶代わりの質問だったり、ちょっとした立ち話での軽い質問なら、おおよその説明でいいと思う。


手話通訳とは何か。
法的な位置づけは、ボランティア(より厳密に言えば有償ボランティア、というところだ)である。
ボランティアだから、誰でもできる行為なのだ。
医師、弁護士のような独占業務ではない。
医師や弁護士などの正真正銘の国家資格は、法によって業務が規定され、法によって守られている。
手話通訳者の業務について定めた法律は、ない。
法的に言えば、ようやく手話が「言語」と認められたばかりであり、手話通訳者の業務そのものについて定めた法律ができるまでは、まだまだ、数十年はかかるのではないか。
例えば、税理士なら「税理士法」がある。「手話通訳士法」なんて、あらへん。


従って、厳密な意味で、あるいは法的観点から言えば、
「手話通訳士は国家資格ではない」
ということになる。
でもこれは手話世界の中だけ、それも手話学習者(研究者含む)の中でしか通じない話である。



引退準備

2016-02-23 06:27:56 | 手話
昨年度まで、手話通訳問題研究会(以下、通研)の会員だった。情報だけもらって、まったく活動しない幽霊会員であった。
昨年度末をもって、退会した。
県の登録手話通訳者は、通研の会員として在籍していないと、通訳現場に出ることができない。
そこで、仕方なく、会員として名前を連ねていた。
しかし、「たいし」の悪評は県の関係者にも届いているらしく、県からの派遣はわずかに1件のみ。
通研の会員として在籍していることにほとんど意味はなくなり、退会した。

退会した理由は、もう一つある。
上記の個人的な理由よりも、こっちの方が重要である。
市の手話通訳者として、活動を開始したからである。
活動とは、通訳以外の運動。
昨年から、市の派遣者とはっきり敵対する形で動き始めた。
そこで、通研に迷惑をかけないよう、退会した。

派遣者との闘いは、はっきり言って勝ち目はない。
それでも、おとなしく消されるのはまっぴらである。

コーディネーターの苦悩

2016-02-21 06:13:28 | 手話
わけのわからん規則(運用ルール)に苦しめられている人は誰か。
実は、申請者や手話通訳者以上に、コーディネーターが苦しんでいる場合もある。
上司からは理解しがたい規則を押し付けられ、申請者や手話通訳者からは「そんなアホなルールに従えるかい!」と食いつかれる。


「たいしさん、急なことですみません。今夜、7時30分からなのですが、通訳お願いできませんか」
あのなあ、いつも、言ってるやろ? 今、仕事中なんやで。場所もわからんのに、答えようがないやんか。
「すみません、規則なので・・・お願い、できませんか?」
あのなあ・・・“市内”ということしかわからんのに、どうやって判断するんや。今、夕方の5時やで。1時間で仕事を切り上げたとして、移動に使える時間は最大1時間半。市内の一番不便なところだったら、ギリギリや。おまけに、今の状況で何時に仕事を切り上げることができるか、予想しにくい。
「うーん・・・じゃ、あの、内緒で、場所を言います・・・駅裏です」
なんだ、近いやんか。ほな行くわ。
「ありがとうございます!」

派遣者から突然電話がかかってきて、しかも、通訳実施は当日。こういう場合はほぼ100%、「わけあり通訳」である。
だから、電話を受ける通訳者もピンときて、なんとか都合がつく場合でも、
「いやあ、突然言われても都合がつきません」
とか何とか言って逃げてしまう。
こういう「わけあり案件」の手話通訳者を決めるのは大変だ。電話の声のトーンで、コーディネーターの必死さが伝わってくる。
嫌われ者の「たいし」も、こういう時だけは、感謝される。