手話通訳者のブログ

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手話通訳に関する質問への回答/先輩通訳者の助言

2015-11-18 01:02:17 | 手話
個別の質問には答えられないが、今日は「よくある質問」に対する回答を書かせてもらお。

手話の勉強方法とか、通訳現場で発生した問題への対処など、自分で考えてもどうしていいか分からず、先輩通訳者に質問することもあるだろう。
質問できる人は幸せだ。わしらの世代は質問どころか、手話を学ぶ場所なんかほとんどなかったんやで。
ま、それはさておき。

「通訳者Aはこう言うし、通訳者Bは全く違っていて、こんなことを言う。
質問して、ますますわからなくなりました。たいしさんはどう思いますか?」

自分で答えを出さなあかん。質問できる人が二人もおって、よかったやんか。
考え続けること。悩み続けること。それが、手話通訳者の仕事や。
自分の中で答えが出ても、それで終わりやない。
これでいいのか、と常に考え続けること。
自分で出した結論であっても、先輩通訳者の教えであっても、そこに安住してはならない。

世の中の手話通訳者に対して不満に思っていることがある。
考察が足りない。
手話通訳に対する考え方だって、時代とともに移り変わっていく。
かつて、手話通訳とは、「聴覚障害者の耳の変わりをすること」と理解されていた。
手話通訳者には自分の考えなど不要、むしろ邪魔なものだ、とさえ、言われていたんや。
それが、時代の流れと共に少しずつ変化してきた。
今では、「手話通訳者としての行動」を求められる。
「手話通訳者は、聴覚障害者の耳の変わりをしているだけではダメだ」
と考えられるようになった。

では、昔の考え方が間違いで、今が正しいのか?
そうではない。
その時代その時代の多数者がどう考えているか、ということに過ぎない。

本日現在活動している手話通訳者の中にも、
「手話通訳者の仕事はろう者の耳の代わりをすること。それ以上のことをしてはならない」
という強い信念を持っている人もいる。

「どれが正しいか」なんて考える必要はない。

自分はどう考えるか、が大切なんや。