門前の小僧

能狂言・茶道・俳句・武士道・日本庭園・禅・仏教などのブログ

横浜よみうりカルチャー6月新講座「茶の湯の始まり」他全3教室

2021-05-27 12:59:21 | カルチャー講座
6月より、横浜にて新しい【言の葉庵】カルチャー講座が始まります。

いずれも初心者対象の日本文化入門コースです。

ご興味がありましたら、ぜひ、ご参加お待ちしています。





NEW!〈横浜市・よみうりカルチャー横浜校〉

1.一日講座:茶の湯のはじまり~茶道の歴史と意味~

https://www.ync.ne.jp/yokohama/kouza/202104-18010201.htm

2021年6月29日(火) 10:30-12:00

・受講料 (会員) 3,300円(税込) 教材費165円 施設維持費385円



茶道の歴史をやさしく学ぶ、1dayレッスン。茶は奈良時代に日本にもたらされ、長い年月をかけて今日の茶道文化となっていきました。かつては貴族や武士など、特権階級が茶の湯に親しみ、室町から戦国期にかけて「天下人」の最大の楽しみとなったのです。豊富な茶道資料や画像を通して茶道史のトリビア!に触れてみましょう。初心者対象の入門編です。





2.定期講座:茶の湯文化史入門  ~千利休の侘び茶の世界~

https://www.ync.ne.jp/yokohama/kouza/202107-01510201.htm

2021年7月6日(火)~ 毎月第一火曜日 10:30-12:00

・受講料 (会員) 3か月 3回: 9,900円(税込) 教材費495円 施設維持費1,155円

      (体験) 1回  3,850円(税込)



 茶の湯は中世以来の日本文化と精神を総合した、日本独自の生活哲学です。茶の歴史・意義・思想を、千利休や他の名茶匠の足跡をたどりながら、やさしく学んでいきます。茶書・史書から漫画まで幅広い資料を通覧し、解説します。

 ◆茶の心「侘び」とは何か?

 ◆茶書の代表作、「南方録」「山上宗二記」を読解

 ◆名物道具の由来と茶室の成り立ちを詳しく解説

 ◆人気漫画「へうげもの」の世界観を検証





3.一日講座:怖くて哀しいお能の女の話~丑の刻参り伝説

https://www.ync.ne.jp/yokohama/kouza/202107-18010202.htm

2021年7月24日(土) 17:00~18:30

・受講料 (会員) 3,300円(税込)、(一般)3,850円(税込)

       教材費165円 施設維持費385円



「草木も眠る丑三つ時……」。日本の怪談は、仏教説話や古い民間伝承から生まれました。とりわけ“丑の刻参り”とよばれる五寸釘を藁人形に打ち込む、恐ろしい呪いの儀式はフィクションである能のある曲から生まれてきたことをあまり人は知らないかもしれません。恐ろしくも哀しいある一人の女の物語。能「鉄輪(かなわ)」をビデオ映像とともに分かりやすく解説していきます。



(1.~3.共通)

・講師 水野聡(能文社)

・お問い合せ・お申し込み:よみうりカルチャー横浜:045-465-2010

・受付時間:平日、土曜、日曜日 10:00~20:00
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名言名句 第七十回 鳥鳴きて山更に幽なり。

2021-05-02 13:20:52 | 禅語


鳥鳴きて山更に幽なり。 ~王籍『入若耶渓』





茶席の禅語として古くから親しまれる漢詩の一文です。

この一句のみ書かれることが多いのですが、もとの形は、漢詩の中の次の対句。



(原文)

蝉噪林逾静

鳥鳴山更幽



(読み)

蝉噪(さわ)ぎて林逾(いよいよ)静かに 

鳥鳴きて山更に幽(ゆう)なり



作者は中国、梁の詩人、王籍。「若耶渓(じゃくやけい)」とは、浙江省にある風光明媚な渓流の名です。



初夏の一日。公務を離れ、一人渓流沿いの林道を歩く詩人の小さなシルエット。

人が近づくことで、騒がしく鳴いていた蝉の声が一斉に止み、林は静寂に包まれる。



深山へと深く分け入っていくと、一声鋭く野鳥がさえずる。その声が消えると、山は深く黒々とした沈黙に飲み込まれてしまうのです。

鳥の一声によって、あたかもこの世界に自分ただ一人が取り残されてしまったかのような、絶対的な山の静寂にはじめて気が付きます。



松尾芭蕉の「閑かさや岩にしみいる蝉の声」や「古池や蛙とびこむ水の音」も、時空を超えた同じ禅境をあらわしているのかもしれません。



人は静かな場所に長くいると、その本当の静かさに気が付かくなくなってしまうもの。

鳥がそのしじまを破ることにより、静かさがいっそう深く感じられるのです。

仏修行者はこの意味を転じ、人には平穏で楽しい日常ばかりではなく、辛さや悲しみもまた必要である、と説きます。

人は辛いことに直面すると、こんなことは起こらなければよかったのに、と考えがちですが、まさにその一事により、自分にとってかけがえのないものに、はじめて気づかされるのだ、と。



― 鳥鳴きて山更に幽なり



今、コロナ禍によって、人と世界の仕組みが大きく変わろうとしています。

人類と地球にとって、いままで当たり前にあり、すでに忘れてしまったもの、しかし本当に大切なものは何だったのかを悟る時が到ったのかもしれません。









『入若耶渓』 王籍



艅艎何泛泛    艅艎(よこう) 何ぞ泛泛(はんはん)たる

空水共悠悠    空水 共に悠悠

陰霞生遠岫    陰霞(いんか)遠岫(えんしゅう)に生じ

陽景逐廻流    陽景(ようけい)廻流(かいりゅう)を逐(お)ふ

蝉噪林逾静    蝉(せみ)噪(さわ)ぎて林逾(いよいよ)静かに

鳥鳴山更幽    鳥鳴きて山更に幽(ゆう)なり

此地動歸念    此の地、歸念(きねん)を動かし

長年悲倦遊    長年 倦遊(けんゆう)を悲しむ





【解釈】

この舟はなんと軽やかに浮かび進んでいるのだろう。

天と川面は、はるか遠くへ広がっていく。

朝焼け夕焼けの霞が遠山の洞穴から湧き出て

日差しは渦巻く川の流れを追う。

蝉が騒々しく鳴けば林はいよいよ静まって

鳥が一声鳴けば山は一層深くほの暗い。

この地は帰郷の思いをつのらせるが

長年遠地での勤めに倦み、悲しむばかりである。
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