【言の葉庵】メールマガジンNo.74 本日発行しました。
原典読解教室第十回は、「話者は誰か。敬語の程度で見つけ出す」。主語も目
的語もない、日本の古文。今回、上級編として、使われている敬語の種類と程
度で話者を見つける方法をご案内。名言名句は、『葉隠』から番外編を。武士
道の珠玉の名言を一挙に30句ご紹介しましょう。
…<今週のCONTENTS>…………………………………………………………………
【1】原典読解教室 第十回 松永貞徳『戴恩記』を解読する
【2】名言名句 番外 『葉隠名言集』前篇
編集後記…
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【1】原典読解教室 第十回 松永貞徳『戴恩記』を解読する
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今回は、「第二回 主語を探す」の上級編をお届けします。読解のテーマは「
話者は誰か。敬語の程度で見つけ出す」。
テキストは、貞門俳諧の祖、松永貞徳の『戴恩記』を取り上げました。
言の葉庵HPで何度か紹介している、戦国一の数奇大名、細川幽斎の太鼓の芸に
ついての一文です。貞門は、当時の俳諧の主要一派。松尾芭蕉もはじめ貞門に
俳諧を学びました。
そして松永貞徳は、細川幽斎の和歌の弟子。師、幽斎から学んだ歌の教えや師
にまつわる様々なエピソードを収録したのが、この『戴恩記』です。
まずは原文からご案内してみましょう。
◆原文
秀次関白聚楽第にて御能ありしに、《朝長》の〔懺法(せんぽう)〕太鼓、そ
の頃の上手金春又右衛門と申す者つかまつりし。
その日暮れ果てて幽法公へ参り、
「今日はご見物ゆえ胸をどり手ふるひ、前後を忘じ候。なにとか候ひし」
と恐れ敬ひて申しき。幽法公御休息ありしかども、御対面ありて今日の所作
ご褒美なされ御酒下され、御座たけなわなりしに、
「くたびれなるべけれど、一番打たれよかし」
と仰せられて、すなはち御小鼓をあそばれし。大鼓は平野忠五郎、笛は小笛
亦三郎、諷(うたい)は勘七など、みな普段の御近習にて、《杜若》を囃しき。
この者の太鼓、知らぬ者の耳にも自由自在、ここもとの撥音は変りたるやうに
聞きしに、又右衛門両の手をつき、忠五郎にむかひ、
「一番。今生の思ひ出に聴聞仕りたし」
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