言の葉庵現代語訳シリーズ、『現代語訳 十牛図』(PHPエディターズ・グループ)が発売となりました。
水野聡古典翻訳第十二作目にして、初めて本格的な禅の分野にチャレンジしたものです。
・文字では、禅は伝えられない
中世の日本文化を理解する上で、鎌倉時代わが国に伝わった最新の仏教、禅の影響を抜きにしては何も語れません。しかし禅は論理と言葉に依らないため、これを読み物や知識から理解することはほとんど不可能だとされてきました。
師と弟子の間で、以心伝心で伝えられてきた禅の精神とはいったい何か。悟りを開くためにはどうすればいいのか。そもそも人は悟りを開くとどうなるのか(変わるのか)。禅にはじめて触れた人は、とてつもなく多くの疑問に打ちのめされ、途方に暮れることでしょう。禅の師もまた、これを言葉では弟子に伝える手立てをもたない。この問題は、禅宗のお坊さんも、一般の禅を学ぶ人も、中国も日本も、数百年前も現代も、まったく変わらないのです。
・悟りを導く、十枚の牛の絵
「これはいかん」。宋の廓庵という偉いお坊さんは一念発起しました。そして悟りを開くためのヒントを言葉ではなく、絵で描いて見せたのです。
これが『十牛図』。十枚の牛の絵です。見失ってしまった「真の自己」を牛に託して、自分探しの旅の過程を描いたもの。牛を探し、見つけ、捕え、手なずけ、自らのものとなしていく、すなわち悟りを開くプロセスを簡潔な絵と短い詩文であらわした作品です。
・本格的な禅の古典にはじめて触れる
今日「断捨離」などのブームにより、禅が一般の人にも注目されています。禅関連の書物も毎月出版され書店にならんでいます。
鈴木大拙を筆頭とする禅の入門書や掛け軸に書かれる禅語の本を読んだ方は時々いらっしゃるでしょう。しかし、本格的な禅の古典籍である『臨済録』、『無門関』、『正法眼蔵髄聞記』などにチャレンジしたという声をぼくの周りではいまだ聞いたことがありません。また禅入門の手引きとしてこれらを勧める人もいません。
ここに、『十牛図』の大きな存在価値があります。牧歌的かつ素朴な牛の絵を一枚一枚めくっていくことで、禅とは何か、悟りを開くとどうなるのか、を少なくとも肌で感じることができるのです。
本書ははじめ、能文社より電子書籍として出版されました。今回、監修として玄侑宗久さんのお力を借り、大幅に加筆修正。禅にはじめて触れる読者にもわかりやすい解説も加えて再度書籍として世に問うこととなったものです。
◆現代語訳 十牛図
http://nobunsha.jp/book/post_161.html
【本書の特徴】
◆禅の古典的名著を現代人にもわかりやすく、簡明な言葉で訳しました。自然にすらすら読め、かつ原文参照も想定した直訳です。
◆『十牛図』原画に直接触れていただくために、全ページオールカラー。コンパクトな「禅の絵本」として手元で繰り返しご覧いただけます。
◆古典翻訳家による原テクストの明快な訳出に加え、禅宗碩学による緻密な監修とわかりやすい解説を付しました。
◆全体の構成は、十枚の牛の絵と、それぞれに付された「序」「頌」と呼ばれる詩文を配置。それぞれに簡潔な「鑑賞」を加えました。巻末には原文(読み下し文)も収録。訳者まえがきと監修者の解説・あとがきを、はじめて十牛図を読む読者の方への案内としています。
●玄侑宗久さん『十牛図』ページ
http://genyu-sokyu.com/index.html
●PHP研究所さん『十牛図』ページ
https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-82787-2
水野聡古典翻訳第十二作目にして、初めて本格的な禅の分野にチャレンジしたものです。
・文字では、禅は伝えられない
中世の日本文化を理解する上で、鎌倉時代わが国に伝わった最新の仏教、禅の影響を抜きにしては何も語れません。しかし禅は論理と言葉に依らないため、これを読み物や知識から理解することはほとんど不可能だとされてきました。
師と弟子の間で、以心伝心で伝えられてきた禅の精神とはいったい何か。悟りを開くためにはどうすればいいのか。そもそも人は悟りを開くとどうなるのか(変わるのか)。禅にはじめて触れた人は、とてつもなく多くの疑問に打ちのめされ、途方に暮れることでしょう。禅の師もまた、これを言葉では弟子に伝える手立てをもたない。この問題は、禅宗のお坊さんも、一般の禅を学ぶ人も、中国も日本も、数百年前も現代も、まったく変わらないのです。
・悟りを導く、十枚の牛の絵
「これはいかん」。宋の廓庵という偉いお坊さんは一念発起しました。そして悟りを開くためのヒントを言葉ではなく、絵で描いて見せたのです。
これが『十牛図』。十枚の牛の絵です。見失ってしまった「真の自己」を牛に託して、自分探しの旅の過程を描いたもの。牛を探し、見つけ、捕え、手なずけ、自らのものとなしていく、すなわち悟りを開くプロセスを簡潔な絵と短い詩文であらわした作品です。
・本格的な禅の古典にはじめて触れる
今日「断捨離」などのブームにより、禅が一般の人にも注目されています。禅関連の書物も毎月出版され書店にならんでいます。
鈴木大拙を筆頭とする禅の入門書や掛け軸に書かれる禅語の本を読んだ方は時々いらっしゃるでしょう。しかし、本格的な禅の古典籍である『臨済録』、『無門関』、『正法眼蔵髄聞記』などにチャレンジしたという声をぼくの周りではいまだ聞いたことがありません。また禅入門の手引きとしてこれらを勧める人もいません。
ここに、『十牛図』の大きな存在価値があります。牧歌的かつ素朴な牛の絵を一枚一枚めくっていくことで、禅とは何か、悟りを開くとどうなるのか、を少なくとも肌で感じることができるのです。
本書ははじめ、能文社より電子書籍として出版されました。今回、監修として玄侑宗久さんのお力を借り、大幅に加筆修正。禅にはじめて触れる読者にもわかりやすい解説も加えて再度書籍として世に問うこととなったものです。
◆現代語訳 十牛図
http://nobunsha.jp/book/post_161.html
【本書の特徴】
◆禅の古典的名著を現代人にもわかりやすく、簡明な言葉で訳しました。自然にすらすら読め、かつ原文参照も想定した直訳です。
◆『十牛図』原画に直接触れていただくために、全ページオールカラー。コンパクトな「禅の絵本」として手元で繰り返しご覧いただけます。
◆古典翻訳家による原テクストの明快な訳出に加え、禅宗碩学による緻密な監修とわかりやすい解説を付しました。
◆全体の構成は、十枚の牛の絵と、それぞれに付された「序」「頌」と呼ばれる詩文を配置。それぞれに簡潔な「鑑賞」を加えました。巻末には原文(読み下し文)も収録。訳者まえがきと監修者の解説・あとがきを、はじめて十牛図を読む読者の方への案内としています。
●玄侑宗久さん『十牛図』ページ
http://genyu-sokyu.com/index.html
●PHP研究所さん『十牛図』ページ
https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-82787-2